業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症拡大の長期化と、それに伴う自粛要請によって景気の低迷が続いております。10月の行動制限解除によって家計消費は幾分上向いたものの、1月から再度まん延防止等重点措置が発令されたこと、さらに原材料価格の高騰も相まって、当社の主要顧客である店舗型サービス業、とりわけ営業制限を余儀なくされてきた外食産業を取り巻く環境は、かつてない厳しさが続いております。

このような環境下、基幹サービスである顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ(以下「MSR」という。)をはじめとしたミステリーショッピングリサーチ事業の国内における売上収益は、前期と比較し、49.5%増となりました。主な内訳として、MSRは国内の調査数で20.2%増、国内の売上収益で37.2%増、コンサルティング・研修(以下「コンサル」という。)は、国内の売上収益で113.8%増となっております。以上の結果、前期と比較し、売上収益は47.8%増、営業損益は621,622千円改善し、営業利益316,628千円と黒字に転換しております。

また、2021年4月7日に開示しました通期業績予想(注1)に対して、売上収益は99.4%とほぼ予想どおり、営業利益は149.8%と大幅に達成しました。

MSRの国内調査数が当初の見通しを若干上振れ、新型コロナウィルス感染症拡大前(2019年3月期)の65.0%まで堅調に回復したものの、調査単価の高い外食業界の回復は同44.4%に止まりました。一方、IT導入補助金を活用したSaaS(注2)の導入やオンライン研修などのコンサルが大きく伸長しました。粗利の高いコンサルが想定以上に伸びたことで売上収益はほぼ予想どおりに着地、営業利益は大幅に達成することとなりました。

しかしながら、当期もなお、長期に亘る緊急事態宣言等の発出下におかれ、その影響は逓減しつつあるものの、MSRやコンサルの延期または中止が発生し、当社グループの業績に対して引き続き甚大な影響が及んでいる状況に変わりありません。

生産面では、上述のとおり、MSRの国内調査数が堅調な回復を見せる中、MSRやコンサルの再開に向けた引き合いも増加しており、回復の遅れる外食・美容・レジャー業界もこれに続くものと想定されます。このため、役務提供の本格的な再開を念頭に安定的な稼働に向け、万全の生産体制を準備してまいります。

管理面では、前期と比較し、原価が8.6%増、販売費及び一般管理費は13.7%減となりました。原価は、調査数増、売上収益増に伴うモニター謝礼や労務費ならびにレポート生産や顧客紹介などに関する外注費、SaaSの拡大を念頭にした組織再編による労務費などが増加した反面、売上収益に占めるコンサル割合の増加や1調査あたりモニター謝礼の減少などにより、売上収益の伸びに対して低い増加率に止まりました。
 また、販管費は、SaaSの利用者増に伴うサーバーの増強により賃借料、譲渡制限付株式報酬制度設計(注3)に伴う報酬などが増加したものの、人員及び給与減に伴う人件費、減資による租税公課、広告宣伝費や地代家賃などが減少したため、全体として大幅に減少しております。
 なお、当社グループはミステリーショッピングリサーチ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

(注1)2021年4月7日開示の「2021年2月期決算短信〔IFRS〕(連結)」をご参照ください。

(注2)2021年4月7日開示の「2021年2月期決算短信〔IFRS〕(連結)」及び「2021年2月期決算説明資料」をご参照ください。

(注3)2022年3月24日開示の「執行役員の選任及び執行役員に対する譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分に関するお知らせ」をご参照ください。

 

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ49,373千円増加し、3,901,270千円となりました。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ92,528千円減少し、1,034,839千円となりました。

当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末に比べ141,901千円増加し、2,866,430千円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上収益1,933,945千円(前期比625,535千円増)、営業利益316,628千円(前年は304,995千円の営業損失)、税引前利益313,102千円(前年は307,643千円の税引前損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益206,510千円(前年は244,554千円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。

なお、当社グループはミステリーショッピングリサーチ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて198,749千円増加し、1,072,392千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれら要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による収入は、516,715千円(前期比309,145千円増)となりました。これは、税引前利益313,102千円、減価償却費及び償却費の計上70,872千円、営業債権及びその他の債権の減少額64,668千円、営業債務及びその他の債務の増加額75,750千円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による支出は、47,704千円(前期比1,382千円増)となりました。これは、無形資産の取得による支出51,082千円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による支出は、268,664千円(前期は180,622千円の収入)となりました。これは長期借入金の返済による支出180,544千円、自己株式の取得による支出59,641千円、リース負債の返済による支出28,480千円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社グループでは、販売実績のほとんどが生産実績であることから、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントで示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ミステリーショッピングリサーチ事業

2,072,403

144.9

684,702

108.4

合計

2,072,403

144.9

684,702

108.4

 

(注) 1.当社グループの事業は、ミステリーショッピングリサーチ事業の単一セグメントであります。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.IFRSに基づく金額を記載しており、千円未満は四捨五入して記載しております。

4.受注残高には、翌連結会計年度に売上収益となる見込みの金額を記載しております。

5.子会社においては、受注から納品までの期間が短いため、上記金額に含めておりません。

 

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントで示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

セグメントの名称

金額(千円)

 前年同期比(%)

ミステリーショッピングリサーチ事業

1,933,945

147.8

合計

1,933,945

147.8

 

(注) 1.当社グループの事業は、ミステリーショッピングリサーチ事業の単一セグメントであります。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.IFRSに基づく金額を記載しており、千円未満は四捨五入して記載しております。

4.主要な販売先については、いずれも100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規則によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針及び 注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析

(資産合計)

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ49,373千円増加し、3,901,270千円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ133,341千円増加し、1,441,368千円となりました。これは現金及び現金同等物が198,749千円増加、営業債権及びその他の債権が63,964千円減少したこと等によるものであります。

非流動資産は、前連結会計年度末に比べ83,967千円減少し、2,459,902千円となりました。これは繰延税金資産が59,897千円、使用権資産が26,567千円減少、その他の無形資産が18,578千円増加したこと等によるものであります。

(負債合計)

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ92,528千円減少し、1,034,839千円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ117,988千円増加し、949,837千円となりました。これは営業債務及びその他の債務75,094千円、未払法人所得税等が25,242千円増加したこと等によるものであります。

非流動負債は、前連結会計年度末に比べ210,516千円減少し、85,002千円となりました。これは非流動負債の借入金180,544千円、IFRS第16号「リース」の適用によりリース負債が27,272千円減少によるものであります。

(資本合計)

当連結会計年度末における資本は、前連結会計年度末に比べ141,901千円増加し、2,866,430千円となりました。これは自己株式の取得による支出59,641千円、当期利益の計上205,134千円等によるものであります。

 

b.経営成績の分析

(売上収益)

MSRは国内の調査数で20.2%増、国内の売上収益で37.2%増、コンサルは、国内の売上収益で113.8%増となっております。MSRの国内調査数が当初の見通しを若干上振れ、新型コロナウィルス感染症拡大前(2019年3月期)の65.0%まで堅調に回復したものの、調査単価の高い外食業界の回復は同44.4%に止まりました。一方、IT導入補助金を活用したSaaSの導入やオンライン研修などのコンサルが大きく伸長しました。粗利の高いコンサルが想定以上に伸びたことで通期業績予想に対して、売上収益は99.4%とほぼ予想どおりに着地、営業利益は149.8%と大幅に達成することとなりました。

この結果、当連結会計年度の売上収益は、売上収益1,933,945千円(前期比625,535千円増)となりました。

(売上原価、売上総利益)

売上原価については、1,179,191千円(前期比93,707千円増)となりました。調査数増、売上収益増に伴うモニター謝礼や労務費ならびにレポート生産や顧客紹介などに関する外注費、SaaSの拡大を念頭にした組織再編による労務費などが増加した反面、売上収益に占めるコンサル割合の増加や1調査あたりモニター謝礼の減少などにより、売上収益の伸びに対して低い増加率に止まりました。

この結果、売上総利益は754,754千円(前期比531,828千円増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業損益)

販売費及び一般管理費については、560,278千円(前期比89,171千円減)となりました。SaaSの利用者増に伴うサーバーの増強により賃借料、譲渡制限付株式報酬制度設計に伴う報酬などが増加したものの、人員及び給与減に伴う人件費、減資による租税公課、広告宣伝費や地代家賃などが減少したため、全体として大幅に減少しております。

その他の収益は123,656千円、その他の費用は1,505千円発生しており、この結果、営業利益は316,628千円(前年は304,995千円の営業損失)となりました。

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

金融収益は15千円、金融費用は3,541千円発生しており、法人所得税費用107,968千円等を差し引いた結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は206,510千円(前年は244,554千円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当社グループはキャッシュ・フローを重視した財務戦略を進めており、設備投資資金についても投資効率性などを分析した上で、原則として営業活動から得た収入を充当していく方針であります。

なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

親会社所有者帰属持分比率(%)

71.4

74.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.0

0.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ

77.9

146.0

 

(注) 親会社所有者帰属持分比率:(親会社の所有者に帰属する持分)÷(総資産)

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:(有利子負債)÷(キャッシュ・フロー)

インタレスト・カバレッジ・レシオ:(キャッシュ・フロー)÷(利払い)

1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

3.キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

4.利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、モニターに対する謝礼原価やレポートチェックの外注委託費、労務費といった売上原価、人件費や旅費交通費、当社が提供する各種システムのデータサーバ費用等の販売費及び一般管理費であります。投資を目的とした資金需要は、什器備品や社内利用ソフトウェアの購入費用の他、当社がSaaSとして提供する商品群「tenpoket」のシステム開発費用であります。株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。

上記運転資金及び投資資金につきましては、内部資金及び金融機関からの借入により資金調達を行っております。

当社グループは、コロナウィルス感染症拡大の影響を受けて、前連結会計年度において営業損失304,995千円を計上する等、業績が悪化しており、経営成績に対する悪影響が引き続き続くものと想定しております。そのため、中期の運転資金を確保する目的で、当社は2020年7月30日付けで株式会社三井住友銀行より500,000千円の借入を行っており、当連結会計年度末における借入金の残高は236,128千円であります。

また、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保するとともに、財務基盤の一段の強化を図ることを目的として、主要取引金融機関との間で50,000千円の当座貸越契約を締結しております。この契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高はなく、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高1,072,392千円と合わせて、資金について十分な手元流動性を確保しているものと認識しております。

 

(3) 経営成績等に重要な影響を与える要因について

当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業体制、同業他社等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向及び業界動向に注視しつつ、コンサル、生産管理、システム開発、統計解析業務に携わる人材並びに経営管理業務に携わる人材を確保・育成し、事業体制の強化はもとより管理体制の整備を進め、社会及び顧客のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。

 

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