課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

(経営方針)

多くの従業員が働きがいを持てば、その企業は安定的に高い顧客満足度と業績成果を生み出せます。その結果、従業員の更なる成長に向けた教育や福利厚生の充実等に投資が回り、より一層の働きがい(従業員満足)に繋がる好循環サイクル、SPCが形成されます。

当社グループは、顧客企業において、このSPC経営を実現することで、従業員と消費者、消費者と企業、企業と従業員を最適に結び付けるサービス提供を通じ、「精神的に豊かな社会の創造」に貢献することをミッションとしております。

その実践のために「社員第一主義」、「顧客中心主義」、「社会的に価値ある事業を行う」という3つの経営指針を設けており、これらの指針に基づき顧客企業に対して調査からコンサルまでの各種サービスを提供してまいります。

 

(経営環境)

当社グループの顧客であるサービス業を取り巻く経営環境は、家計消費の低迷や新型コロナウィルス感染症の感染拡大等により依然として厳しいため、当社グループにおいても事業拡大に向けては、相応の努力を要する状態がしばらくの間続くものと思われます。

しかしながら、同時に、当社グループに期待される使命や役割は、より一層大きなものとなるため、当社グループが掲げる経営理念「精神的に豊かな社会の創造」の実現を目指し、価格競争から付加価値競争への脱却をはじめとした顧客企業の経営課題解決に繋がる効果的な支援を行ってまいる所存であります。

 

(経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

当社グループは、企業価値と株主価値の向上を目指し、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を、「営業利益率」、「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)」としております。

当連結会計年度を含む直近5年間の各指標は以下のとおりとなり、当連結会計年度もなお、新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響は甚大なものとなりました。そのような中業況は着実な回復を見せ、前連結会計年度と比較し、営業損益が大幅に改善、黒字に転換しております

なお、現在開示しております中期経営計画の終了年度である2024年2月期の各指標の目標値は、それぞれ「営業利益率25%超」、「親会社の所有者に帰属する当期利益800,000千円」及び「ROE20%」でありますが、新型コロナウィルス感染症拡大の長期化による影響を加味して修正する必要がある一方、本報告書提出日現在においてそれを合理的に見積ることが困難な状況にあります。

そのため、直近においては中期経営計画方針である生産性の高い事業構造への転換など業績改善に向けた様々な取り組みを進めるとともに、新型コロナウィルス感染症の収束が見通せる状況になり次第、改めて中期経営計画を発表する予定であります。

 

 

 

2018年3月

2019年3月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

営業利益率

(%)

19.7

19.7

12.7

16.4

親会社の所有者に帰属
する当期利益(△損失)

(千円)

366,580

395,684

223,182

△244,554

206,510

ROE

(%)

12.2

12.5

6.9

7.3

 

(注) 1.2020年2月期は、決算期変更の経過期間にあたるため、11カ月の変則決算となっております。

   2.2021年2月期の営業利益率及びROEについては、親会社の所有者に帰属する当期損失であるため記載しておりません。

 

 

(対処すべき課題)

当社グループは、様々な業種への拡大と浸透、従来よりも難度の高い調査への対応力強化によって、基幹サービスである一般消費者(モニター)による顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ」(以下「MSR」という。)の着実な成長を目指しております。

また、新型コロナウィルス感染症の感染拡大によって労働環境に大きな変化が生じておりますが、テレワーク(在宅勤務)の推進により従業員のモチベーション管理に気を揉む顧客企業や業種により人手不足問題を依然抱え続ける顧客企業も数多く存在します。そのような顧客企業の問題解決に資するべく、今後も引き続き従業員満足度調査「tenpoketチームアンケート」(以下「チームアンケート」という。)を第2のサービスの柱として成長させてまいります。

それらの取り組みにより、顧客企業におけるサービスプロフィットチェーン(以下「SPC」という。)経営の実現を支援するとともに、当社グループが掲げる経営理念「精神的に豊かな社会の創造」の実現に向け、更なる経営の安定化を進めるべく、以下の7項目について重点的に取り組んでまいります。

 

(1) モニターの囲い込みと拡充

当社グループは、日本全国に54万人のモニターを保有し、幅広いエリアや属性をカバーしておりますが、一方で顧客ニーズも徐々に多様化しており、それらを満たす将来的なモニターの量の十分性には課題があると考えております。例えば、モニターの少ないエリアに出店しているナショナルチェーン等の調査や、モニター自身が会員として数カ月間に亘るサービスを体験した上でレポートを記入するといった調査など、以前にはない難度の調査が求められるケースもございます。

そのため、今後は効果的な広告宣伝等の実施により当社グループの認知度・信用力向上を図り、登録モニター数の拡充に注力することで、今後もより多様化の進むであろう顧客ニーズを満たすモニター基盤の形成に努めてまいります。

 

(2) レポートの品質向上

当社グループでは、標準的に1レポート当たり7問程度のフリーアンサー設問を設けており、1問当たり200~300字程度のコメントが記載されるため、全体で1,400~2,100字程度の「お客様の生の声」が届けられますが、自店のサービス向上を念頭に、顧客企業の店舗スタッフが自発的な改善アクションを検討・実行するには、何より正しい評価とその評価理由が明確に伝わるレポートが求められています。今後もより一層有効にレポートを活用いただく上で、レポート品質の向上並びにその担保が引き続いての課題と認識しております。

そのため、今後も、レポート評価結果に関するモニターへのフィードバック内容の充実、モニター向けレポート作成方法やレポートチェッカー向けレポートメンテナンス方法のeラーニングコンテンツ化など、レポート品質の向上並びにその担保に資する仕組みの充実に努めてまいります。

 

(3) 既存業種の深耕と新規業種への参入

当社グループの顧客は、外食、小売、自動車、美容、レジャーなどを中心として多岐に亘っておりますが、更なる成長に向けては、これらに加え、金融、宿泊、行政(公共機関)等においても一層の取引深耕を図っていくことが課題と考えております。また、非店舗ビジネスである宅配、通販といった業種にもサービス向上を目的とした調査ニーズは存在していると思われますので、こうした業種への参入も課題であると認識しております。

そのため、今後は総合的なマーケティングへの投資をこれまで以上に積極化することで、MSR、チームアンケート双方について、様々な業種からの受注拡大、さらにはクロスセルの拡大に努めてまいります。

 

(4) 成長に伴う人材の確保・教育

当社グループは、今後もミステリーショッピングリサーチ事業を成長のエンジンとして拡大していくことを志向しており、その支えとなっているものが、主にSPC経営の実現に向け、MSR及びチームアンケートをその仕組みの中心に据えた経営システムのインフラ構築と定着化に関するコンサルティング・研修(以下「コンサル」という。)であると捉えております。しかしながら、経営システムのインフラ構築と定着化をトータルコーディネートできる人材の育成には相応の時間がかかるため、MSR及びチームアンケートの商品力強化と成長に合わせたコンサルニーズの増加に対応できる人材を確保・育成することが課題と認識しております。また、場合によっては、MSRの成長に合わせてレポート生産管理を行う人材、サービス提供の礎である自社開発システムを支える人材並びに調査データの高度な統計解析を担う人材の確保・育成も課題となるであろうことが想定されます。

そのため、今後は以上のような人材の確保・育成が成長のボトルネックとならないよう、顧客ニーズの動向を注視しながら、それに見合った人材確保と適正配置、並びに早期の成長を期待できるOJT機会の充実に努めてまいります。

 

 

(5) サービスの付加価値向上

顧客ニーズの多様化を背景として、覆面調査市場で展開される各社サービスの価格・機能別の棲み分けが進んでいるため、競合他社の動向を注視しながら、当社の提供する各種サービスの差別化を図っていくことが課題と認識しております。

そのため、MSナビ、チームアンケート、SVナビなどの各種ソフトウェアをSaaSパッケージとして提供しておりますが、今後はMSR結果、チームアンケート結果のみならず、業種別、顧客企業別、店舗別、個人別に取得するデータ領域を拡大し、各種ソフトウェアの連携・強化並びに新たな機能を追加することで、中期経営計画(2020年2月期―2024年2月期)に掲げる「SPC経営ダッシュボード」の開発に繋げてまいります。また、コンサルにおいては、MSRによって得た「お客様の生の声」、チームアンケートによって得た「店舗スタッフの働きがいの状況」をもとに顧客店舗での改善活動を行い、従業員満足度や顧客満足度の向上、ひいてはリピート客の増加等による業績向上に繋げるノウハウ「HERBプログラム」の開発やブラッシュアップを継続して行う一方、公募型オープン研修の「店長塾」や顧客企業との共創による活用セミナーなどによりノウハウ受講者の拡大を図ってまいります。加えて、SaaSパッケージの導入支援を行うコンサルにも力を入れ、各種ソフトウェアの利用促進や定着に帰するノウハウの構築に努めてまいります。

 

(6) 海外事業における顧客基盤の拡大と収益のストック化

ここ数年、アジアを中心に海外展開を図る顧客企業からMSRを現地にて実施したいとのニーズが増え、日系企業の進出が著しいタイと台湾にて、各国に進出している日系企業や現地企業からのオーダーに基づき、MSRやHERBプログラムのサービスを提供しておりますが、両国での事業展開においては、継続的にMSRを実施できる顧客基盤の拡大と収益のストック化を図っていくことが当面の課題と認識しております。

そのため、発掘ルートの多様化による新規案件の増注や人的資源の投下などに取り組み、台湾では、2021年2月期において、設立以来初の通期黒字を達成することができました。しかしながら、2021年12月期のタイ、2022年2月期の台湾では、両国ともに国内同様、新型コロナウィルス感染症の感染拡大によるMSRやコンサルの延期又は中止が発生したことで、通期業績に甚大な影響が及びました。今後も、両国の新型コロナウィルス感染症対策とそれに伴う事業環境の変化を注視しつつ、状況に応じて海外事業全体の経営資源配分を見直すなどの手立てを講じてまいります。

 

(7) 新型コロナウィルス感染症拡大の長期化に向けた対応

新型コロナウィルス感染症拡大の長期化に伴い、当社グループにおいては、従業員の安全確保を第一に掲げるとともに、テレワーク(在宅勤務)や時差出勤などを活用し、事業に極力支障が生じない運営体制を構築してまいりました。また、月毎の繁閑差が広がるレポート生産においては、柔軟に生産体制を見直し、雇用調整助成金を有効に活用することで、収益の最大化を図ってまいりました。

そのため、今後も引き続き、新型コロナウィルス感染症拡大の長期化がもたらす事業環境の変化を当面の課題と認識し、必要に応じて適宜適切に対応策を講じてまいります。

 

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