業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当社は、飲食業界に特化した人材サービス業(人材紹介事業・求人広告事業)を展開しております。

 

 当事業年度における当社を取り巻く外食産業の経営環境につきましては、COVID-19の感染拡大により度重なる緊急事態宣言の発令及び休業要請がなされたことを背景に、前事業年度に引き続き業界全体の集客数が著しく減少しており、依然として厳しい経営環境下におかれております。全国的に緊急事態宣言が解除された2021年9月30日以降については、ワクチン接種率の増加と行動制限が段階的に解除されたこともあり、外食産業にも徐々に客足が戻る様子が見られました。厚生労働省が2021年12月28日に発表した2021年11月の有効求人倍率(職業別一般職業紹介状況)は接客・給仕の職業で2.29倍、飲食物調理の職業で2.28倍と、前年同月では接客・給仕の職業で1.91倍、飲食物調理の職業で1.78倍であったため、緩やかな回復基調にはあるものの、新たな変異株による感染拡大の懸念もあり、先行きが不透明な状況が続いております。

 

 この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

 (a)財政状態

当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ357,775千円増加し、2,192,728千円となりました。

当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ372,538千円増加し、1,433,202千円となりました。

当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ14,763千円減少し、759,525千円となりました。

 

 (b)経営成績

当事業年度の経営成績は、売上高1,035,549千円(前期比28.4%減)、営業損失338,705千円(前事業年度は営業損失615,048千円)、経常損失342,762千円(前事業年度は経常損失558,081千円)、当期純損失422,706千円(前事業年度は当期純損失599,593千円)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(人材紹介事業)

 人材紹介事業におきましては、「cookbiz」(※)サイトへご登録いただいた転職を希望される方へ、転職先を紹介する事業を運営しております。

 当事業年度におきましては、求人企業と求職者のマッチング率向上に向け、求人企業の開拓や取扱求人数の拡大を行うとともに、第1四半期より、飲食業界の苦境を踏まえ、採用における負担を軽減できる新サービスである「人材紹介プラス」の提供を本格的に開始しました。人材紹介事業全体の売上高につきましては、緊急事態宣言が数度発令された影響もあり第3四半期までは低調に推移しておりました。しかし、緊急事態宣言が解除された2021年9月30日以降につきましては飲食店などの営業再開に伴い、緩やかな回復基調にあります。

 その結果、当セグメントにおける売上高は506,755千円(前期比35.1%減)、セグメント損失は168,208千円(前事業年度はセグメント損失246,138千円)となりました。

 

(求人広告事業)

 求人広告事業におきましては、求人広告サイトである「cookbiz」(※)の事業を運営しております。

 当事業年度におきましては、飲食業界の人材採用における採用要件の高度化、ピンポイント化を踏まえ、サブスクリプション型スカウトサービスである「ダイレクトプラス」の月額制プランの提供の開始や今夏限定でダイレクトプラスとフーカレ e-ラーニングサービスをセットにしたプランの提供等商品ラインナップの強化を図りました。売上高につきましては、継続的なCOVID-19の影響により苦戦を強いられておりましたが、緊急事態宣言の解除以降は求人ニーズも従前までではないものの、回復しております。

 その結果、当セグメントにおける売上高は528,794千円(前期比20.5%減)、セグメント利益は34,415千円(前事業年度はセグメント損失151,561千円)となりました。

 

※ cookbiz:当社は人材紹介事業及び求人広告事業ともに「cookbiz」の同一ブランドにて展開しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して638,660千円増加し、1,949,519千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動の結果、使用した資金は219,056千円(前事業年度は785,932千円の使用)となりました。その主な要因は、非資金項目である減損損失86,577千円、法人税等の還付及び還付加算金の受取額118,209千円等の資金の増加に対し、税引前当期純損失428,472千円等の資金の減少があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動の結果、獲得した資金は1,288千円(前事業年度は16,055千円の使用)となりました。その主な要因は、敷金の差入による支出5,189千円、有形固定資産の取得による支出6,889千円、無形固定資産の取得による支出7,773千円、資産除去債務の履行による支出33,186千円等による資金の減少に対し、敷金の回収

による収入54,506千円の資金の増加があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動の結果、得られた資金は856,428千円(前事業年度は719,376千円の獲得)となりました。その主な要因は、短期借入金の返済による支出400,000千円、長期借入金の返済による支出150,000千円等の資金の減少に対し、短期借入れによる収入500,000千円、長期借入れによる収入500,000千円、株式の発行による収入403,684千円等の資金の増加があったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

 当社が提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

(b)受注実績

 生産実績と同様の理由により、受注実績に関する記載はしておりません。

 

(c)販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2020年12月1日

至 2021年11月30日)

金額(千円)

前事業年度比(%)

人材紹介事業

506,755

△35.1

求人広告事業

528,794

△20.5

合計

1,035,549

△28.4

 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は総販売実績の100分の10未満であるため記載を省略しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 なお、COVID-19の拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

(a)減損損失

 固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては事業計画等の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌事業年度以降の財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。

(b)繰延税金資産

 繰延税金資産の回収可能性の判断については、将来の課税所得を合理的に見積り、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲内で繰延税金資産を計上することになります。COVID-19の拡大による事業活動への影響は不透明であり、繰延税金資産の回収可能性を合理的に見積ることは困難と判断したことから、繰延税金資産を計上していません。

(c)継続企業の前提の評価

 当社は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無の判断にあたり、貸借対照表日の翌日から1年間のキャッシュ・フローを見積っております。市況の変動等によりキャッシュ・フローが大幅に変動した場合、当該不確実性の判断に影響を及ぼす可能性があります。

 

②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末の総資産は2,192,728千円(前期比19.5%増)となりました。

 流動資産は2,110,187千円(前期比31.5%増)となりました。その主な要因は、未収還付法人税等が120,068千円、未収消費税等が65,058千円それぞれ減少したものの、現金及び預金が638,660千円、売掛金が35,198千円それぞれ増加したためであります。

 固定資産は82,540千円(前期比64.1%減)となりました。その主な要因は、固定資産の除却及び減損損失により建物(純額)が54,627千円、ソフトウエアが20,421千円減少したためであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債合計は1,433,202千円(前期比35.1%増)となりました。

 流動負債は918,717千円(前期比7.4%増)となりました。その主な要因は、資産除去債務が14,142千円減少したものの、短期借入金が100,000千円増加したためであります。

 固定負債は514,484千円(前期比151.0%増)となりました。その主な要因は、金融機関からの借入により長期借入金が350,000千円増加したためであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は759,525千円(前期比1.9%減)となりました。その主な要因は第三者割当による増資及び新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ203,605千円増加したものの、当期純損失の計上により利益剰余金が422,706千円減少したためであります。

 

(b)経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度の売上高は1,035,549千円(前期比409,793千円減)となりました。要因としては、COVID-19の感染拡大に伴う飲食店の長期の休業や営業時間短縮等に伴う来客数の減少に加え、リモートワークの拡大等による都市部での会食や宴席の減少があり、求人ニーズが激減したためであります。

 

(営業損益及び経常損益)

 当事業年度は、拠点の縮小及び移転に伴う地代家賃の削減など不要不急の支出を最大限抑制したものの、売上が大幅に落ち込んだことにより営業損失338,705千円(前事業年度は615,048千円の営業損失)となり、さらに営業外収益として利子補給金3,068千円の計上や、営業外費用として支払利息9,822千円及び株式報酬費用1,214千円の計上により経常損失342,762千円(前事業年度は558,081千円の経常損失)となっております。

 

(特別損益、当期純利益)

 当事業年度の特別損失は86,577千円(前事業年度は83,679千円)となりました。減損損失86,577千円の計上によるものとなります。また、法人税等(法人税等調整額を含む)は△5,766千円となりました。

 上記の結果、当事業年度の当期純損失は422,706千円(前事業年度は599,593千円の当期純損失)となりました。

 

(c)キャッシュ・フローの分析

 当社は、運転資金及び設備投資の調達に際しては自己資金を基本としておりますが、必要に応じて銀行からの借入又は第三者割当増資による調達を行う方針であります。

 当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、営業活動上において必要な人件費や広告費用の営業費用であります。

 当社のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(d)経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業体制等、様々な要因の変化の影響を受ける可能性があります。このため、事業環境を注視するとともに、新規事業の開拓、組織体制の整備及び内部統制システムの強化等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応するよう努めてまいります。

 

(e)経営戦略の現状と見通し

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。

 

(f)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社が継続的に成長していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、2 事業等のリスク」に記載の様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために経営者は常に外部環境の構造や変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。

 

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