文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
クックビズのビジョン・ミッション・バリューを基礎として、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた次の10年を「食ビジネスの変革を支援する会社」と定義しています。激変する消費者の行動・価値観変容を理解し、飲食店の新たな収益機会や業態の創出と変革にかかる店舗・業務・人材・資金をトータルサポートすることで食産業の再成長に貢献いたします。
既存事業においては、コロナ前・コロナ禍を比較・分析し、中期的なターゲットとなるKPIを設定し、2026年〜2027年には既存事業売上が40〜50億円(CAGR25〜30%)程度まで回復・再成長すると試算しています。これまで支援し続けた「人」を起点に、新たな食体験・食サービスとエコシステムを提供することで、事業規模の再拡大に向けた取り組みを加速させてまいります。
(2)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の事業に関連する飲食市場においては、一般社団法人日本フードサービス協会の統計によると、外食産業の市場規模は、1997年の29兆702億円をピークに2011年には22兆8,282億円まで落ち込みましたが、2012年には23兆2,217億円と回復傾向を示し、2019年には26兆439億円と順調に伸びております。一方で、新型コロナウィルス感染症(以下「COVID-19」)の拡大により、飲食業界では政府・自治体による自粛要請・緊急事態宣言の発令に伴う臨時休業や営業時間の短縮等の処置が実施されたこと等から、2020年の市場規模は18兆2,005億円と大幅に縮小し、2021年においても外食産業の年間売上は前年比で98.6%となりました。とりわけ当社として繋がりの深い居酒屋業態においては、酒類の制限や禁止等の規制の影響を受け、前年比で56.3%と非常に厳しい状況が続いております。
当社は、外食産業の市場規模が今後も比較的に安定して推移するという前提のもと、中長期の成長を目指して事業領域の拡大を進めてまいりましたが、事業を取り巻く環境が当初の想定から大きく変化しており、柔軟かつ機動的に対応する必要が出てまいりました。外食産業の市場規模は短期的には回復しないものと見込み、コスト構造の見直しや当面収益性が見込めないような新規事業からの撤退を行い、既存事業の生産性の最大化を目指すとともに、既存事業の基盤を活かした新規事業により新たな収益機会の獲得を行ってまいります。「新しい働き方」や「新しい生活様式」など、かつての常識が通用しなくなる事業環境の変化への対応は、当社にとって重要課題であると同時に新たな成長の機会でもあると考えております。
このような環境の変化のなか、黒字経営への体質転換を急務と捉え、持続可能な経営基盤の再構築を目指して、COVID-19の拡大の環境下における対応と収束後のアフターコロナに向けた様々な取り組みを進めております。
既存事業につきましては、再成長に向けた具体的な取り組みとして、
・人材採用市場の再定義と自社マーケットシェアの算出
・オンライン広告以外も含めたマーケティング手法強化による求職登録者数最大化
・企業のニーズに合わせたBPOサービスの開発
・掲載企業数・求人数の最大化と、求職者の求人応募アクション最大化
・オンラインセールスの強化による、東名阪エリアの深耕とその他エリアの開拓
を実施し、顧客満足度の向上を目指します。また、現状行っている採用における負担を軽減できる新サービスである「人材紹介プラス」やサブスクリプション型スカウトサービスである「ダイレクトプラス」の月額制プランも継続して行い、飲食業界の活性化を目指します。
先々の取り組みとしては、COVID-19の影響により飲食需要の当面の回復が望めない中で、飲食業界従事者の方々の雇用機会の創出、収入の安定、さらに飲食業界の復興に貢献すべく、既存事業を強化するとともに、資金支援や業務DXなど、既存事業における顧客基盤を生かした周辺領域の業務にも多角的に取り組んでいくことで、売上の拡大を目指します。
上記を踏まえ、以下の事項を優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として認識し、事業展開を図る方針であります。
①飲食業界の人材関連市場の再定義と自社のマーケットシェアの分析
既存事業の回復・再成長、かつ新たな収益機会を獲得していくためには、COVID-19の影響を甚大に受けた食関連ビジネスの現況を正確に分析し、再成長戦略を策定する必要があります。まずは、当社の既存事業に近い飲食業界の人材関連市場の分析から進めておりますが、日本国内の労働人口の将来予測も踏まえて、従来の人材紹介サービスや求人広告サービスという自社サービスの枠に捉われない市場の再定義を行い、多様化する顧客のニーズや課題を探索してまいります。
②既存事業の新たな価値創造と収益性の改善
当社の既存事業においては、経済活動の再開を見据え、採用活動が活発化する業種・業態・エリアを的確に捉えた営業リソースの最適分配を行い、商談機会の最大化を目指してまいります。
また、ブランディング・オフラインプロモーション・SEO・アライアンスなど、オンライン広告以外のマーケティング手法強化による求職登録者数の最大化を図るとともに、掲載企業数・求人数の最大化と、求職登録者の求人応募アクション最大化を実現するため、商品・サービス(ウェブ・アプリ)の大規模刷新に着手いたします。
営業力・マーケティング強化と商品力・サービス力強化という人材ビジネスの基本に立ち返り、収益性の改善による売上回復と黒字化を早期に達成します。さらに、多様化する顧客のニーズを捉えた新たな価値を創造すべく、既存事業の周辺領域における新サービスの開発を活発化させてまいります。
③経営基盤の強化(CBMIプロジェクトの運用)
環境変化へ迅速に対応するために、権限と責任を明確化した新執行体制に2022年11月期期初より移行しております。とりわけ、CBMIプロジェクト(Cookbiz Management Initiative)を代表取締役社長の直下に新設し、経営基盤となる以下の重要テーマを推進しております。
・再成長戦略策定
・リブランディング
・新中期経営計画策定
・人事制度改革・規程類整備
④情報管理体制の強化
当社は、人材サービス事業を行っており、多数の求職登録者(職業紹介希望者、求人案件応募者等)の個人情報を有しているため情報管理が最重要課題であると認識しております。当社は、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が運営するプライバシーマークを取得し、その制度に準じた個人情報管理体制を構築しております。
今後も社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、啓蒙のさらなる推進、ソフトウェア・デバイスのモニタリング体制の拡充など、企業の社会的責任である情報セキュリティの確保に向けた取り組みの強化を行ってまいります。
⑤内部管理体制の強化
当社は、既存事業の回復・再成長と新規事業の展開及び新規サービスの拡充にあたっては、コーポレート・ガバナンス機能の強化は必須であり、そのためには財務報告の信頼性を確保するための内部統制システムの適切な運用が重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスに関しては、内部監査による定期的なモニタリングの実施と監査役会や監査法人との連携により適切に運用しておりますが、ステークホルダーに対して経営の適切性や健全性を確保しつつも、効率性・有効性を阻害する業務フローの改善に取り組むことで、ベンチャー企業としての俊敏さも兼ね備えた全社的に効率的な組織体制の構築に向け、さらなる内部管理体制の強化に取り組んでまいります。
⑥新規事業の開発
当社は、持続的な成長を実現するためには、積極的な新規事業の開発・育成により新たな主要事業を創出することが不可欠であると考えております。2021年7月に発表した中長期成長戦略に基づき、既存事業の周辺領域における新サービスの開発に留まらず、業態創出・店舗OMO・業務DXなどの経営支援領域、食にまつわる事業再生のための投資などの資金支援領域を中心に新規事業の開発・育成を進めることで、食ビジネスの変革に貢献できると考えております。このような方針のもと、今後も事業開発を担う人材を採用・育成し、食産業で生まれる事業機会を確実に捉えて新たなサービスを生み出してまいります。
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