業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、世界的な新型コロナウイルス感染症の急速な拡大、及びそれに対応した政府による緊急事態宣言の発令の影響によって大幅に経済活動が制限され、景気が急速に悪化をいたしました。

2020年5月下旬の緊急事態宣言解除後には経済活動の再開により、景気は一時持ち直しの動きも見られましたが、特定の国・地域では感染が再拡大し、国内においても感染が再拡大したため、2021年1月7日には再び緊急事態宣言が発令されるなど、極めて厳しい状況が依然として続いております。

このような経済状況のもと、当社グループ(当社及び連結子会社)においては、従業員の新型コロナウイルス感染症への感染リスクの軽減及び安全確保を図りながら、持続的な成長並びに企業価値の向上を目指し、インフラを整備しつつ、在宅勤務や時差出勤の導入など感染拡大防止を講じたうえで、研修や面談についてはオンラインによるサービス提供を強化推進してまいりました。また、経営資源の集約・再配置による効率的な事業運営を行う事で収益性を高めることを目的に、2020年11月1日に、当社100%子会社である株式会社A・ヒューマンが、同じく当社100%子会社であったOptia Partners株式会社を吸収合併いたしました。さらに営業拠点の集約による業務の効率化と経費削減を図るため、2020年12月31日に株式会社A・ヒューマンの大阪支店を廃止いたしました。しかしながら、度重なる新型コロナウイルス感染症拡大に伴う企業研修の延期やキャンセル、採用活動の中断や延期、新規顧客獲得のための営業活動の制限等の影響を受けました。

 

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ90,125千円増加し、2,481,904千円となりまし た。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ213,138千円増加し、1,414,305千円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ123,013千円減少し、1,067,598千円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度における当社グループの売上高は、2,492,319千円(前年同期比5.7%減)、営業損失は59,345千円(前年同期は、営業利益20,017千円)、経常損失は52,840千円(前年同期は、経常利益18,883千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は、106,401千円(前年同期は、親会社株主に帰属する当期純損失25,273千円)となりました。

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

メンタルヘルスケア事業

メンタルヘルスケア事業では、新型コロナウイルス感染症拡大防止の対策を講じたうえで、ご相談者の状況に応じたカウンセリングサービスを継続したこと等により、EAP契約企業の維持・拡大に取り組むとともに、引き続き労働安全衛生法に基づくストレスチェック実施ニーズの取り込み及び実施後の組織分析を踏まえたフォローアップサービスの拡販に注力いたしました。また、「健康経営」及び「働き方改革」を目指す各企業の取り組みを支援するとともに、パワーハラスメント防止に関する法律が2020年6月に施行されたことを受け、従来のハラスメント防止研修に加え、ハラスメント相談(通報)窓口サービスの提供を行うとともに、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からオンラインを活用した研修サービスの提供を新たに開始するなど、サービスの充実及び売上の確保を図りました。

以上の結果、セグメント売上高は、集合研修の受注減少等の影響を受けたことから829,767千円(前年同期比4.0%減)にとどまる一方、一部コストの圧縮によりセグメント利益は205,522千円(前年同期比6.6%増)となりました。

 

人材紹介事業

人材紹介事業では、厚生労働省が発表する2020年度平均の有効求人倍率が1.10倍と前年度比0.45ポイント低下するなど市場環境は急速に悪化をいたしました。このような環境の中、当社グループは得意分野である管理職層人材ニーズ取り込み等の営業活動を行ないながら、新型コロナウイルス感染症拡大防止のためオンラインを活用して、求職者との面談や顧客への人材紹介サービスを継続いたしました。しかし、顧客企業の採用活動の中断や遅延が広範に発生したことや、人材ニーズの強い成長企業等への新規顧客開拓活動が制約を受けたことなどにより、セグメント売上高は946,930千円(前年同期比16.8%減)、セグメント利益は38,351千円(前年同期比72.4%減)となりました。

 

人材育成事業

人材育成事業では、研修動画が見放題のライブラリーサービス「ビジネスマスターズ®(Business Masters)を4月より提供開始、法人を中心に会員数を伸ばし、リモートワーク下での社員の知識習得・スキル強化を支援いたしました。主たるサービスである企業研修は、4月から5月にかけて新型コロナウィルス感染症の急速な拡大、及びそれに対応した政府による緊急事態宣言の発令の影響により、延期やキャンセルが相次ぎましたが、緊急事態宣言の解除後は、オンラインを活用したバーチャル研修の導入により徐々に回復してきました。しかしながら、4月から5月にかけて発生した延期やキャンセル分を補うには至らず、セグメント売上高は718,852千円、セグメント損失は1,183千円となりました。

なお、人材育成事業は2019年7月1日よりサイコム・ブレインズ株式会社が連結子会社となったことにより報告セグメントに追加されたため、前連結会計年度は7月から3月の9ヶ月間であり、売上高は642,039千円、セグメント利益は6,206千円となっております。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、長期借入金の返済による支出が54,732千円発生した一方、短期借入れによる収入が250,000千円、法人税等の還付が95,239千円発生したこと等により前連結会計年度末に比べ241,971千円増加し、当連結会計年度末には1,031,756千円(前連結会計年度末比30.6%増)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は154,471千円(同15.5%減)となりました。これは主に、減価償却費95,668千円、法人税等の還付額95,239千円があった一方で、税金等調整前当期純損失54,558千円、法人税等の支払額28,723千円等が生じたことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は60,917千円(同87.9%減)となりました。これは主に、無形固定資産取得による支出32,940千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果 得られた 資金は148,497千円(同51.1%減)となりました。これは主に、短期借入れによる収入250,000千円があった一方で、長期借入金の返済による支出54,732千円によるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループが提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、省略しております。

 

b.受注実績

当社グループが提供するサービスの性質上、受注実績の記載に馴染まないため、省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

メンタルヘルスケア事業

829,057

95.9

人材紹介事業

944,962

83.1

人材育成事業

718,299

111.9

合計

2,492,319

94.3

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による 経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末における流動資産は1,318,598千円となり、前連結会計年度末に比べ159,120千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が241,971千円増加した一方、未収還付法人税等が81,401千円減少したことによるものであります。固定資産は1,163,305千円となり、前連結会計年度末に比べ68,994千円減少いたしました。これは主に、のれん21,498千円、商標権9,160千円、顧客関連資産22,570千円がそれぞれ減少したことによるものであります。

この結果、総資産は、2,481,904千円となり、前連結会計年度末に比べ90,125千円増加いたしました。

 

(負債合計)

当連結会計年度末における流動負債は818,003千円となり、前連結会計年度末に比べ274,559千円増加いたしました。これは主に、短期借入金が250,000千円、未払法人税等が35,122千円増加した一方、未払金が20,631千円、未払消費税等が8,563千円減少したことによるものであります。固定負債は596,302千円となり、前連結会計年度末に比べ61,420千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が54,732千円、社債が20,000千円減少した一方、役員退職慰労引当金が15,305千円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は、1,414,305千円となり、前連結会計年度末に比べ213,138千円増加いたしました。

 

(純資産合計)

当連結会計年度末における純資産合計は1,067,598千円となり、前連結会計年度末に比べ123,013千円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失106,401千円の発生によるものであります。

この結果、自己資本比率は42.5%(前連結会計年度末は49.6%)となりました。

 

 

b.経営成績

(売上高)

当連結会計年度における当社グループの売上高は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う、企業研修の延期やキャンセル、採用活動の中断や延期、新規顧客獲得のための営業活動の制限等の影響により151,598千円減収の2,492,319 千円 (前年同期比5.7 %減)となりました。

各セグメント別の売上高及びセグメント利益の概況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(売上原価及び売上総利益)

売上原価は前連結会計年度比49,154千円減の502,456千円となり、売上原価率は前連結会計年度から0.7ポイント低下して20.2%となりました。これは主に、売上高減少によるものであります。

売上総利益は、売上高減少の影響により 前連結会計年度比102,44 4 千円減の1,989,862千円 となりました。

 

(営業損失及び経常損失)

販売費及び一般管理費は前連結会計年度と比べ、新型コロナウイルス感染症に伴う在宅勤務の拡大、活動自粛による各種費用(旅費交通費、会議費、交際費費等)の減少等により、 23,082 千円減の2,049,207千円 となったものの、売上高減少の影響により、売上高販管費比率は3.8ポイント上昇して82.2%となりました。

以上の結果、営業損失は 59,345千円( 前連結会計年度は営業利益20,017千円)となりました。

営業外収益は、助成金収入の影響等により、前連結会計年度比 24,633 千円増の26,368千円 となりました。営業外費用は、持分法による投資損失の影響等により、前連結会計年度比 16,995 千円増の19,864千円 となりました。

この結果、経常損失は52,840千円(前連結会計年度は経常利益18,883 千円) となりました。

 

親会社株主に帰属する当期純損失)

減損損失により、特別損失1,717千円の計上があったため、税金等調整前当期純損失は54,558千円となり、法人税等合計51,842千円の計上により、親会社株主に帰属する当期純損失は106,401千円 (前連結会計年度は25,273 千円 となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況)

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「 (1)経営成績等の状況の概要  ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

当社グループの所要資金は、経常の運転資金となっております。経常運転資金については、適宜、自己資金及び金融機関からの借入により対応しております。また、資金調達の機動性及び安全性の確保を目的として、取引金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、必要に応じて借入を実施しております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により先行きが不透明な状況を踏まえ、2020年4月以降、新たに複数の取引金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、本書提出日現在、当社グループでは必要な事業資金は十分に確保されていると認識しております。

今後につきましても、事業拡大に伴い人件費や情報化投資の増加が見込まれることなどを考慮して、充分な流動性を維持していく考えであります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての会計基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1 )連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、「メンタルヘルスケア事業」、「人材紹介事業」及び「人材育成事業」における各種サービスを多くの方に提供し、かつ、長期にわたって提供することを基本方針とし、事業規模の拡大と収益性の向上が当面の重要な課題と認識しております。従いまして、連結売上高と連結営業利益及び当該成長率が結果的に「株主資本利益率(ROE)」及び「総資産経常利益率(ROA)」を向上させる重要な経営指標になると認識し、これを最も重要な指標として位置づけており、各指標等の状況は次のとおりであります。

経営指標

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

売上高

1,883,153千円

2,643,917千円

2,492,319千円

営業利益又は営業損失(△)

147,517千円

20,017千円

△59,345千円

自己資本利益率(ROE)

21.1%

-%

総資産経常利益率(ROA)

10.7%

0.9%

(注)1.2020年3月期及び2021年3月期の自己資本利益率(ROE)については、親会社株主に帰属する当期純損失であるため記載しておりません。

2.2021年3月期の総資産経常利益率(ROA)については、経常損失であるため記載しておりません。

 

⑤経営者の問題認識と今後の方針

経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

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