(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、人の暮らしと住まい作りに役立つ工具(充電式を中心とした電動工具・園芸用機器、エア工具など)のグローバルサプライヤーとして持続可能な社会の実現に貢献し、業界において確固たる地位を確保することを目指しております。これを実現するための経営姿勢/品質方針として「社会と共に生きる経営」、「お客さまを大切にする経営」、「堅実かつ積極的な経営」、「質実剛健の社風を大切にし、一人一人の能力を活かす経営」を掲げ、健全な収益体制により株主、ユーザー、地域社会、従業員などと共に永続的発展を図ることを経営方針としております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、連結経営の持続的な発展を達成し高収益体制を確立することにより企業価値を向上させることができると考えております。具体的な数値目標としましては、連結売上収益営業利益率10%以上を安定的に維持することを掲げております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
バッテリ充放電技術とモータ技術を基盤としたプロユーザー満足度の高い新製品開発と豊富な製品ラインアップ、高品質とコスト競争力を両立させたグローバルな生産体制、国内及び海外各地域における業界No.1の販売・サービス体制が当社グループの強みです。中でも、きめ細かく自社の販売・サービス拠点をもつ当社は各国・各地域で製品・補修部品の在庫を豊富に持つことで、販売だけでなく迅速な修理・物流といったサービスの提供が可能となっており、顧客との信頼関係構築につなげています。これらを維持・強化することにより、他社の追随を許さない高いブランド力を構築し「Strong Company」の実現、すなわち世界各地域におけるプロ用電動工具をはじめ、園芸用機器、エア工具など工具のグローバルサプライヤーとしてトップシェアの維持・獲得を目指しております。
この経営戦略を実行するために、為替リスクやカントリーリスクをはじめ予期せぬ経営環境の変化に耐えうる強固な財務体質を維持するとともに、プロ用工具分野を中心に経営資源を集中しております。
(4)会社の対処すべき課題と対応
世界経済の先行きの不透明な状況が続く一方で、頻発する自然災害や地球温暖化などの環境問題、人手不足といった社会課題の解決に貢献する、作業効率が高く、かつ人と地球環境に優しい工具に対する需要は先進国・新興国を問わず益々高まっていくものと思われます。
こうした経営環境を前提に、当社グループは、
・ 市場のコードレス化をリードするため、バッテリの充放電技術とモータ技術を中心とした研究開発力・製品開発力を高める。
・ 充電式の園芸用機器を電動工具に次ぐ将来の事業の柱と位置付け、市場の深耕・開拓を推進することにより脱炭素社会の実現に貢献する。
・ 清掃、アウトドア、防災など、新たな分野での新製品開発・拡販を強化し、「充電製品の総合サプライヤー」への進化に取り組む。
・ グローバルな生産体制を更に充実させるとともに、生産・調達・物流機能の強化・効率化を図る。
・ 世界の各地域と顧客に密着するきめ細かな営業、アフターサービス体制の構築を更に進め、マキタブランドの向上に努める。
などの施策を推し進めることにより、人の暮らしと住まい作りに役立つ工具のグローバルサプライヤーとして持続可能な社会の実現に貢献し、業界での確固たる地位の確保に努めてまいります。
(TCFD提言への取り組み)
頻発する風水害など気候変動が社会に及ぼす影響が甚大になる中で、脱炭素社会の実現に向けて企業が果たすべき役割はより重要なものとなっており、当社グループは気候変動問題を重要な経営課題として捉えております。
そのため、当社グループは現在使用時に排ガスを出さない充電式の園芸用機器に注力するとともに、自社の事業活動での温室効果ガス(GHG)排出量を2040年度までに実質ゼロにする目標を掲げ、GHG排出量の削減に積極的に取り組んでいます。
これらの取り組みを含め、気候関連リスク・機会が当社グループの事業活動等に与える影響について、ステークホルダーの皆さまと対話していくことが重要との認識の下、当社グループは2021年に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」の提言に賛同しました。TCFD提言に基づく開示の詳細は、当社ホームページをご覧ください。(https://www.makita.co.jp/company/sustainability/environment)
<ガバナンス>
当社は、事業活動を通じたサステナビリティ課題への取り組みを全社的に推進することを目的とし、2021年に取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」(2021年度には3回開催)を立ち上げました。
同委員会は、サステナビリティ課題の中でも特に気候変動を重要視し、GHG排出量削減の方針、施策、計画などについて審議しています。
サステナビリティ委員会は重要な事項について取締役会に報告、付議し、取締役会は当該事項について審議を行うことで、当社グループの気候関連リスク・機会に関する監視・監督と意思決定を行っています。
<戦略>
当社グループの事業に影響を及ぼす気候関連リスク・機会の特定にあたり、IEA(国際エネルギー機関)、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)などの気候変動シナリオを参考にして、①脱炭素化が進展する1.5~2℃の世界観、②成り行きで温暖化が進行した3~4℃の世界観を整理しました。
これらの世界観をもとに、当社グループの気候関連リスク・機会を抽出し、それらの性質を定性的に評価した結果が以下の通りです。シナリオ分析結果、今後の方針・取り組み及び脱炭素社会への移行計画など詳細は、当社ホームページをご覧ください。
リスク
リスク発現時期の尺度 短期:~3年以内、中期:3年超10年以内、長期:10年超
機会
機会実現時期の尺度 短期:~3年以内、中期:3年超10年以内、長期:10年超
※1 Net Zero Energy Building ※2 Net Zero Energy House
<リスク管理>
当社は、事業活動におけるリスクの抽出・精査を行う開示委員会を毎年開催し、その中で気候変動に関わるリスクについて評価・管理しています。気候変動のリスク・機会の詳細については、サステナビリティ委員会の下で評価・管理しております。
取締役会では、気候変動が重要な外部環境リスクの一つであるとの認識の下、気候変動が経営に及ぼす影響について議論し、脱炭素社会の実現に貢献する経営戦略、施策を決定しています。
このような気候関連のリスク管理の体制・運用を強固にし、気候変動対応をより一層強化していきます。
<指標と目標>
当社グループでは、自社の事業活動でのGHG排出量(Scope1、2)を2040年度までに、サプライチェーン全体でのGHG排出量(Scope3)を2050年度までに、それぞれ実質ゼロにすることを目標として設定しました。また、Scope1、2については、2030年度までに2020年度比で半減することを中期目標とします。GHG排出量の実績値及びその他指標など詳細は当社ホームページをご覧ください。
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