業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1)経営成績

当期における世界経済は、各国の大規模な財政出動の効果及び新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展により緩やかな回復が持続しました。一方、資源価格及び物流費の高騰、半導体の供給不足、並びに東南アジアにおける新型コロナウイルスの感染再拡大により、経済活動の停滞が見られました。米国経済は、部材供給不足の長期化が企業活動の制約となった一方で、ワクチン接種の進展及び潤沢な家計貯蓄が個人消費を下支えし堅調に推移しました。欧州経済は、各国の都市封鎖をはじめとする感染予防対策の緩和により経済活動の正常化が進展し、景気の回復が持続しました。我が国経済は、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う経済活動の停滞により、景気回復のペースは鈍いものとなりました。新興国経済は、東南アジアでは新型コロナウイルスの感染再拡大による経済活動の停滞の影響があったものの、中国経済が輸出の拡大及び電力不足の緩和等を背景に成長を維持し、全体として堅調に推移しました。

当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、各地域市場の回復が持続し、下期に世界的な半導体の供給不足等による生産調整の影響はあったものの、通期では大幅に増加しました。民生・業務機器市場は、各地域市場における需要が持続し、大幅に増加しました。

このような景況下、当社グループは、「パワーウインドウ用モーター事業のシェア拡大」、「中・小型電装用モーターの拡販・新用途拡大」、「民生・業務機器用分野における新用途拡販」、「グローバル拠点戦略の推進」、「新たな働き方及び人材戦略の推進」を課題に掲げ、取り組んでまいりました。具体的には、「パワーウインドウ用において北米大手自動車メーカー3社目となるお客様からの認証取得」、「パワーシート用において日系大手のお客様より受注獲得」、「EV化に伴い活性化した新用途市場に対して、新製品及び既存製品による対応が進展」、「移動体及び協調ロボット用ブラシレスモーターのラインナップ拡充による受注獲得、並びにマブチモーターエレクトロマグによる医療用モーター分野への本格参入の実現」、「メキシコマブチにて小型電装用モーターの、ポーランドマブチにてパワーウインドウ用モーターの量産・販売をそれぞれ開始、グローバルレベルでの地産地消が進捗」等、売上とシェアの拡大、新市場の開拓及び高品質・高効率化の更なる進展に向けた諸施策を積極的に導入・実現し、将来の事業成長につながる成果を上げることができました。

 

(売上高)

 当期の連結売上高は1,345億9千5百万円(前期比15.6%増)となりました。その大半を占めるモーター売上高は1,345億4千4百万円(前期比15.6%増)であります。

① 自動車電装機器市場

 売上高は982億4千6百万円(前期比16.0%増)と増加しました。パワ-ウインドウ、パワーシート及びパーキングブレーキ用等の中型電装、並びにドアロック、ミラー及びエアコンダンパー用等の小型電装ともに、下期において、世界的な半導体の供給不足及び物流の混乱等による生産調整の影響があったものの、自動車需要の回復を背景として堅調に推移し増加しました。

② 民生・業務機器市場

 売上高は362億9千7百万円(前期比14.5%増)と増加しました。健康・医療用は、歯ブラシ用の中高級セグメントが堅調に推移しました。家電・工具・住設及び事務機器用は、在宅勤務及び巣ごもり需要を背景として堅調に推移し増加しました。

 

(営業利益)

 市況品価格の上昇といった減益要因はあったものの、販売数量の増加、売価・プロダクトミックスの改善といった増益要因により、138億円(前期比7.0%増)となりました。

 

(営業外収支)

 営業外収支は、前連結会計年度の2億2千4百万円の損失(純額)から、当連結会計年度は57億7千万円の収益(純額)となりました。前連結会計年度は為替差損が13億7千1百万円発生していましたが、当連結会計年度は為替差益が28億8千万円となったこと、ならびにスクラップ材料売却収入が9億3千9百万円増加したことなどによるものであります。

 

(特別損益)

 特別損益は、前連結会計年度の12億2千5百万円の収益(純額)から、当連結会計年度は5億3千1百万円の収益(純額)となりました。投資有価証券売却益が14億8百万円減少した一方、生産子会社閉鎖損失が4億4千9百万円減少したことなどによるものであります。

 

(法人税等及び法人税等調整額)

 法人税等及び法人税等調整額の税金等調整前当期純利益に対する比率(税効果会計適用後の法人税率等の負担率)は、前連結会計年度の35.3%に対し、当連結会計年度は29.1%となりました。前連結会計年度は、在外子会社における外貨建て資産および負債から生じる、未実現の為替差損が税金計算に反映されないことなどの影響により大幅に上昇しておりましたが、当期はこのような要因が無く、比率が低下しました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は142億5千1百万円(前期比58.6%増)と前期比で52億6千4百万円の増加となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の135.64円に対し216.75円となりました。

 

(セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容)

 セグメント別の売上高は、「日本」セグメントは128億5千5百万円(前期比11.5%増)、「アジア」セグメントは687億7千万円(前期比16.7%増)、「アメリカ」セグメントは243億2千7百万円(前期比21.9%増)、「ヨーロッパ」セグメントは286億4千1百万円(前期比10.1%増)であります。

 セグメント別の利益又は損失は、「日本」セグメントは55億3千9百万円の利益(前期比31.7%増)、「アジア」セグメントは95億9千7百万円の利益(前期比32.5%増)、「アメリカ」セグメントは6億1千7百万円の利益(前期比42.2%減)、「ヨーロッパ」セグメントは8億7千2百万円の損失(前期は2億4千8百万円の損失)、セグメント間取引消去による調整額は10億8千1百万円(前期は6億3千万円)であります。

 

なお、当連結会計年度の円の平均為替レートは、1US$に対し109.80円であり、前連結会計年度に比べ2.98円の円安となりました。

 

(生産、受注及び販売の実績)

 a.生産実績

小型モーターの生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。  (千個未満の端数切捨て)

 

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

    至 2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

    至 2021年12月31日)

比較増減

(△は減)

 

数  量

構成比率

数  量

構成比率

数  量

 

 アジア

千個

1,184,596

99.2

千個

1,422,455

98.7

千個

237,858

 アメリカ

9,374

0.8

15,233

1.0

5,859

 ヨーロッパ

120

0.0

3,825

0.3

3,705

合  計

1,194,091

100.0

1,441,514

100.0

247,422

(注)当社グループの生産・販売品目は小型モーター単品であり、価格差も僅少であることから、数量表示のみで記載しております。

 

 b.受注状況

当社グループは、主として需要予測に基づく見込生産方式をとっておりますので記載を省略しております。

 

 c.販売実績

小型モーターの販売実績を用途市場別に示すと、次のとおりであります。  (百万円未満の端数切捨て)

 

前連結会計年度

 (自 2020年1月1日

     至 2020年12月31日)

当連結会計年度

 (自 2021年1月1日

     至 2021年12月31日)

比較増減

(△は減)

 

金  額

構成比率

金  額

構成比率

金  額

 

 自動車電装機器

百万円

84,718

72.8

百万円

98,246

73.0

百万円

13,528

 民生・業務機器

31,692

27.2

36,297

27.0

4,605

合  計

116,411

100.0

134,544

100.0

18,133

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める顧客がないため、記載を省略しております。

 

(2)財政状態

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に対して231億4千5百万円増加し、2,857億4百万円となりました。変動の大きかった主なものは、安定供給をみすえたたな卸資産の増加184億円、設備投資等に伴う有形固定資産の増加67億4千6百万円、マブチモーターエレクトロマグエスエー買収に伴う無形固定資産の増加44億3千1百万円、現金及び預金の減少60億1千7百万円等であります。

負債合計は、前連結会計年度末に対して23億3千8百万円増加し、257億9千4百万円となりました。変動の大きかった主なものは、未払法人税等の増加10億9千9百万円、支払手形及び買掛金の増加9億5千5百万円、その他流動負債の増加8億2千9百万円等であります。

純資産合計は、前連結会計年度末に対して208億6百万円増加し、2,599億9百万円となりました。為替換算調整勘定が172億1千4百万円増加、利益剰余金が28億4千3百万円増加しました。

 自己資本比率は、前連結会計年度末の91.0%から、当連結会計年度末は90.9%となっております。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期末から66億5千1百万円減少し、1,035億3千9百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは87億4千3百万円の収入となり、前期に対し99億9千7百万円の減少となりました。税金等調整前当期純利益が62億円増加、売上債権の減少により53億5千6百万円増加したものの、たな卸資産の増加により148億3千7百万円減少、為替差益により68億2千1百万円減少等の要因によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは129億7千万円の支出となり、前期に対し76億6千5百万円の支出増加となりました。固定資産の取得による支出が18億8千6百万円増加したことに加え、マブチモーターエレクトロマグエスエーの株式取得(子会社化)に伴う子会社株式の取得による支出40億8千万円等によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは112億8千5百万円の支出となり、前期に対し3億3千2百万円の支出増加となりました。自己株式の取得による支出が10億8千1百万円増加したことなどによるものです。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入費、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要につきましては、当社グループ製品製造のための生産設備購入や工場建設費用等があります。

 なお、当社グループの運転資金及び設備投資資金は自己資金から賄っており、外部調達はありません。

 

(5)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 連結財務諸表を作成するにあたり重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 また連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える仮定、見積り及び判断を必要としており、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りの仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 しかしながら、これらの仮定、見積り及び判断については不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 なお、会計上の見積もりにあたっての新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

(6)経営成績に重要な影響を与える要因

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載しております。

 

(7)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

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