課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、人々の豊かな生活を支える小型モーターのリーディングカンパニーであり続けるために、新たな成長段階に向けた創造活動を続けております。

 経営理念:「国際社会への貢献とその継続的拡大」は、当社の遺伝子であり、創業当時から未来永劫受け継がれて行く当社経営の根幹をなす考え方であります。この「経営理念」の実現に至る道筋を「マブチの経営ビジョン」としてまとめ、グループ全体で共有しております。

 経営ビジョンは、「経営理念」に基づく貢献をどのように捉え、いかに具現化するかを「経営基軸」で明確にするとともに、企業活動を遂行する際の行動指針を「経営指針」として明示しております。

 

経営基軸

経営上の意思決定を行ううえでの「規範」となる考え方で、次のとおりであります。

① より良い製品をより安く供給することにより、豊かな社会と人々の快適な生活の実現に寄与する

② 広く諸外国において雇用機会の提供と技術移転を行い、それらの国の経済発展と国際的な経済格差の平準化に貢献する

③ 人を最も重要な経営資源と位置付け、仕事を通じて人を活かし、社会に役立つ人を育てる

④ 地球環境と人々の健康を犠牲にすることのない企業活動を行う

 

経営指針

 経営指針は、「小型モーターの専門メーカーとしてその社会的ニーズを的確に把握し、それに即した製品をより早く、より安く、安定的に供給する」ための当社の企業活動を方向付けるとともに、企業としてどのような行動をとるべきかを示すものであります。

 また、海外拠点経営指針は、当社と進出国との共存共栄をベースとした、海外拠点経営の基本的な考え方を明示したものであります。

 

経営指針

 ① 汎用性を重視した製品を開発し、その最適生産条件を整備する

 ② 価値分析に徹した製品の開発改良と部品・材料共通化を徹底する

 ③ 高度加工技術とムダの極小化によるコストダウンを追求する

 ④ 新市場を開拓し、適正占有率を確保する

 ⑤ 適材適所による人材の活用と業務を通じた人材育成を行う

 ⑥ 環境負荷の極小化と安全の追求を基本とした企業活動を推進する

 ⑦ 長期安定的視点に立つ経営施策を推進する

 

海外拠点経営指針

 ① 長期的な視点に立ち、進出国との共存共栄を図る

 ② 各拠点の強みを活かした国際分業体制を確立し、国際競争力を維持・拡大する

 ③ 社会への貢献を重視するマブチの企業文化の浸透と知識・技術の移転を推進する

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2021年度から2023年度の3ヶ年を計画年度とする中期経営計画において、以下の経営数値目標を掲げております。

 

指標

2021-2023年度 目標

2021年度 実績(前期比)

売上高(年平均成長率)

8%~10%

15.6%

売上高営業利益率

15%以上

10.3%

ROIC(注)

12%以上

6.1%

 

(注)ROIC=(営業利益×(1-実効税率))÷(売掛金+棚卸資産+固定資産(投資有価証券を除く)-買掛金)

 

 

 

(3)会社の経営環境及び対処すべき課題

 次期の見通しにつきましては、世界経済は、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う移動制限の再強化、資源価格及び物流費の高騰、半導体をはじめとする部品の供給不足等の懸念があり、依然として先行きに不透明感があります。米国経済は、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響及びインフレへの懸念はあるものの、堅調な個人消費を背景として、成長の持続が見込まれます。欧州経済は、新型コロナウイルスの感染再拡大やエネルギー価格の高騰に伴い、成長ペースが鈍化する見込みです。我が国経済は、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響により回復ペースは緩やかなものに留まる見込みです。新興国経済は、中国は外需により輸出が堅調に推移するものと予想されますが、その他の新興国は新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念され、全体として成長ペースは緩やかなものに留まる見通しです。

 当社グループの関連市場におきましては、自動車電装機器市場は、世界の自動車需要の回復を背景に堅調に推移するものと見込まれますが、半導体をはじめとする部品の供給不足及び物流の混乱の影響により不透明感があります。民生・業務機器市場は、各地域市場において需要の増加が見込まれ、全体として回復が予想されます。

 このような経営環境下、当社グループは、次に述べます課題に取り組んでまいります。

 

① パワーウインドウ用モーター事業のシェア拡大

パワーウインドウ用モーターにつきましては、北米自動車メーカー3社のうち2社において既に当社製品を採用いただいておりますが、2021年1月に残る3社目より認証を取得し、ビジネス獲得に向けた取り組みが進捗しました。引き続き、販売拠点のアメリカマブチと生産拠点のメキシコマブチが一体となった拡販活動に取り組み、北米自動車メーカー3社すべてにおける搭載車種拡大を目指してまいります。

また、日系自動車メーカーについては、既に3社に当社製品を採用いただいておりますが、2021年には新たに日系自動車メーカー2社から受注を獲得いたしました。これら4社目、5社目の日系自動車メーカーにおける受注拡大を目指すとともに、既に採用いただいている日系自動車メーカー3社においても、他社からの切り替え及び新型車への搭載によるシェアアップを実現すべく引き続き販売活動を展開してまいります。2021年下期には、ポーランドマブチにて欧州高級自動車向けの量産・販売を開始いたしました。この実績を足掛かりとして、欧州自動車メーカーにおける搭載車種の拡大に向けた取り組みを一層強化してまいります。

パワーウインドウ用モーター市場においては、競争力のある新製品開発への取り組みが、今後のビジネス拡大に大きく影響することから、最新技術を投入した新世代製品を開発し、販売活動に一層注力することでデファクトスタンダードを確立し、更なるシェア拡大を目指してまいります。

 

② 中・小型電装用モーターの拡販・新用途拡大

パワーシート、パーキングブレーキ及びドアクローザー用等の中型電装用モーターについては、標準化戦略に基づき多用途への展開が可能な標準モーターの開発及び販売活動に取り組んでおります。2021年に日系大手のお客様より受注を獲得したパワーシート用においては、リクライナー、ハイト及びチルトアジャスターなどの様々な機構に使用可能な新製品を投入することで、既存のお客様におけるシェアアップと新たなお客様の開拓に取り組んでまいります。

昨今、自動車市場ではEV化への流れが加速しておりますが、このような潮流は、当社の小型・軽量・高効率で静音性に優れた製品ラインナップを高くご評価いただける好機と捉えています。ブラシ付モーターとブラシレスモーターの双方をラインナップしている当社の強みを生かし、お客様の要望に応じたソリューションを提供することで、中型電装用モーターの拡販を図ってまいります。

③ 民生・業務機器用分野における新用途拡販

民生・業務機器用分野において協調ロボット及び移動体用市場は、今後、大きな伸びが期待できる成長市場であり、当社製品の採用実績も増加してきております。当社では、これらの成長市場向けの製品ラインナップの拡充に取り組んでおり、新たな中空構造のブラシレスモーターにて協調ロボット用の受注を獲得いたしました。移動体用ブラシレスモーターにおいても、AGV(自動搬送車)、小型モビリティ及び階段昇降機等の様々な用途にて受注を獲得しております。引き続き、新たなお客様・用途を開拓し、拡販に取り組んでまいります。

また、医療用モーター分野への本格参入を図るべく2021年7月に子会社化した、スイスのマブチモーターエレクトロマグによる高付加価値製品の拡販を通じて、民生・業務機器用モーター事業の成長軌道への回帰を確かなものにしてまいります。

 

④ マブチグローバル経営の推進

当社は、各海外拠点の自主・自立性を向上させ地産地消を推進する「世界5極事業体制」に、拠点間の人材の繋がり及び多様な価値観を活用する「ダイバーシティ」を加えた、「マブチグローバル経営」の推進に取り組んでおります。本社・各拠点間の人材交流を促すための基盤となる人事制度の整備及び各種情報共有や拠点をまたぐ会議体の設定等を通じてグループレベルで相互理解と協力を促進し、グループ各拠点の横の繋がりを強化することに加えて、各拠点内における縦の繋がりを強化するための方針展開施策、教育及び階層を超えたコミュニケーション施策等により会社方針や価値観の理解・共有を図っております。各拠点において強固な開発・生産・販売体制を構築し、高品質な製品をリーズナブルな価格でグローバルに安定的に供給してまいります。

 

⑤ サステナビリティへの取り組み

当社では、SDGs(持続可能な開発目標)を、人を大切にしながら経済的にも成長できる目標と捉えております。事業を通じた社会貢献への取り組みを更に加速するため、2020年7月にサステナビリティ推進委員会を設立しました。委員会では重要課題(マテリアリティ)の特定と当社の強みを活かしたサステナビリティ目標を設定し、取り組みの進捗をモニタリングします。委員長は社長が務め、委員は執行役員及び事業部・本部の組織長より構成され、サステナビリティ課題を横断的に検討・議論していく体制を整えております。2021年には当委員会を5回開催し、気候変動に関する取り組みとしてTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)への賛同表明や太陽光パネルの設置計画、インターナル・カーボン・プライシングの導入等、具体的な施策に関する意思決定を行いました。また、委員会での協議内容について取締役会に2回報告を行いました。

当社は、お客様とのパートナーシップを通じた、安全運転及び交通事故防止機能を搭載した自動車の普及への取り組みをはじめ、事業活動を通じた地球環境や社会課題の解決を重要課題と認識し、その解決に向け、積極的な取り組みを継続してまいります。国際社会が直面している課題の解決にモーター事業を通じて貢献することにより、経営理念「国際社会への貢献とその継続的拡大」の実現を目指し、グループの総力を挙げて取り組んでまいります。

 

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