当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当連結会計年度における日本経済は、前半においては経済活動に回復が見られたものの、半導体や部材の不足、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大等によるサプライチェーンの混乱等が深刻化したことから、後半においては回復のペースが鈍化しました。先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動を継続していく中で、景気を持ち直していくことが期待されます。
当社グループに関連する家電業界においては、一般社団法人日本電機工業会(JEMA)によると、2021年における民生用電気機器の国内出荷金額は2兆5,215億円(前年同期比99.4%)となりました。6月以降は2020年の需要増加の反動を受けたものの、過去10年平均の2兆3,303億円は大幅に上回っており、高い水準を維持しました。
このような環境下にあって当社グループは、新製品の発売によってラインナップを拡充するとともに、ブランド力の強化及び更なる認知度向上のため、メディア露出、デジタル広告等によって事業拡大を図りました。結果として、「BALMUDA The Toaster(スチームトースター)」の累計販売台数が150万台を突破するなど、売上高は過去最高を更新しました。また、世界的なサプライチェーンの混乱や円安の影響が避けられないなか、適切なコストコントロールによって利益計画を上回りました。
このほか、新たな挑戦として、①IT機器やAV機器等、技術集積度の高い製品を扱う新ブランド「BALMUDA Technologies」を立ち上げ、②バルミューダの世界観の中で製品を体験することができる、当社グループ初となる旗艦店「BALMUDA The Store Aoyama」をオープンしました。
これらの結果、当連結会計年度における業績は、以下のとおりとなりました。
(売上高)
国内販売については、年後半は巣ごもり需要や2020年の特別定額給付金による需要の一巡に伴い、落ち着きが見られたものの、「BALMUDA The Toaster(スチームトースター)」や「BALMUDA The Range(オーブンレンジ)」を中心に堅調に推移しました。加えて、10月に発売した「BALMUDA The Brew(オープンドリップ式コーヒーメーカー)」の好調や、新たな製品カテゴリー(携帯端末関連)の製品として11月に「BALMUDA Phone(4.9インチ 5Gスマートフォン)」を発売したこともあり、売上高は前期比40.8%増となりました。
海外販売については、2020年後半から復調してきた韓国に対する輸出環境が以前の状態に戻りつつあることや、製品ラインナップの拡充、北米市場での販売拡大等により、売上高を伸ばしました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、世界的なサプライチェーンの混乱や円安等の影響もあり、11,059百万円(前期比3,924百万円増)となりました。この結果、売上総利益は7,320百万円(前期比1,867百万円増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、新製品開発のための研究開発費、開発者増員等による人件費及びブランド確立のための広告宣伝費等の増加により、5,802百万円(前期比1,666百万円増)となりました。この結果、営業利益は1,518百万円(前期比200百万円増)となりました。
(経常利益)
営業利益を1,518百万円、為替差損を29百万円等を計上した結果、経常利益は1,462百万円(前期比209百万円増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
経常利益を1,462百万円計上し、法人税等を445百万円(前期比12百万円増)計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,015百万円(前期比181百万円増)となりました。
なお、当社グループは家電事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として掲げている、売上高及び営業利益率は以下のとおりです。企業価値向上のため、引続き新製品の発売、ブランドや認知度向上を図るための各種コミュニケーション施策の実施等を通じて、収益力の向上及び堅実な経営基盤の構築に努めていきます。
生産、受注及び販売の実績は、以下のとおりです。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績は以下のとおりです。なお、当社グループは、家電事業の単一セグメントであるため、製品カテゴリー別に記載しています。
(注)1.金額は、総製造費用によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
② 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績は以下のとおりです。なお、当社グループは、家電事業の単一セグメントであるため、製品カテゴリー別に記載しています。
(注)1.金額は、仕入価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
③ 受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しています。
④ 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、上記(売上高)の製品カテゴリー別売上高をご確認ください。
なお、主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下のとおりです。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は10,881百万円となり、前連結会計年度末と比べて1,767百万円増加しました。流動資産は9,424百万円(前連結会計年度末比1,122百万円増)となり、これは主に現金及び預金が3,452百万円減少した一方で、期末にかけての売上増加により売掛金が3,043百万円、商品及び製品が1,270百万円増加したことなどによるものです。固定資産は1,457百万円(前連結会計年度末比645百万円増)となり、これは主に基幹システム及び新製品開発等によりソフトウエアが251百万円、製品に係る金型の取得により工具、器具及び備品が151百万円、旗艦店オープンに伴い建物附属設備が116百万円増加したことなどによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は4,589百万円となり、前連結会計年度末と比べて235百万円増加しました。流動負債は4,440百万円(前連結会計年度末比566百万円増)となり、これは主に短期借入金が500百万円増加したことなどによるものです。固定負債は148百万円(前連結会計年度末比330百万円減)となり、これは長期借入金が減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は6,292百万円となり、前連結会計年度末と比べて1,532百万円増加しました。これは主に利益剰余金が1,015百万円、オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資による新株式発行等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ258百万円増加したことなどによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,000百万円となり、前連結会計年度末と比べて3,452百万円減少しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は3,238百万円(前連結会計年度は1,582百万円の獲得)となりました。主な使用要因は売上債権の増加3,043百万円、税金等調整前当期純利益の計上1,461百万円、たな卸資産の増加1,290百万円、法人税等の支払額626百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は964百万円(前連結会計年度は421百万円の使用)となりました。主な使用要因は有形固定資産の取得による支出570百万円、無形固定資産の取得による支出311百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は738百万円(前連結会計年度は2,046百万円の獲得)となりました。主な獲得要因は短期借入金による収入2,000百万円、短期借入金の返済による支出1,500百万円です。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社の資金需要の主なものは、運転資金、金型等の設備投資、法人税等の支払、借入金の返済等であり、その資金の源泉としては、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、新株発行等により、必要とする資金を調達することとしています。また、不測の事態に備えて、金融機関とコミットメントライン契約を締結し、必要な資金を適時に確保する体制を整えています。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。また、連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されています。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断していますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があります。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業運営体制等、様々なリスク要因が挙げられ、当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しています。
そのため当社グループは、常に市場動向に留意しつつ、優秀な人材を確保し、顧客のニーズに合った製品・サービスを提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行っています。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが今後の業容を拡大し、顧客満足度の高い製品・サービスを継続的に提供するためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しています。それらの課題に対応するために、経営者は、常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針です。
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