業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 

 (1)財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループの連結業績は、売上高は37億44百万円と前年同期と比べ60百万円(1.6%)の増収、営業利益は2億76百万円と前年同期と比べ84百万円(43.9%)の増益、経常利益は3億77百万円と前年同期と比べ2億21百万円(142.4%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は2億18百万円と前年同期と比べ1億58百万円(262.1%)の増益となりました。新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け製品販売が低調に推移した前期との比較では増収増益となりました。

 

当社グループの各事業の取り組みは、以下のとおりです。

   (CAD/CAMシステム等事業)

当連結会計年度における金型関連業界は、設備投資の先行指標となる工作機械受注統計によれば、自動車生産の回復および半導体関連の投資等により生産設備の需要が増加、内需・外需ともに前年同期実績を上回る状況で推移しました。しかしながら長期化する新型コロナウイルス感染症の影響に加え、半導体不足および原材料高騰等の影響が懸念され、先行き不透明な状況が継続しました。 このような状況下、CAD/CAMシステム等事業においては、「基幹収益源(金型向けCAD/CAMシステム事業)の拡張」「OEM事業の推進」「CAD/CAMシステムの適応領域の拡大および新規事業開拓」「新たな製品付加価値の創出」の4つの方向性に基づいた中長期事業方針を推進しました。

 

  ① 基幹収益源(金型向けCAD/CAMシステム事業)の拡張

イ.国内市場のシェア確保および海外展開

当社では、主力製品である金型向けCAD/CAMシステムを国内および海外日系企業を中心に販売展開しております。当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の状況に応じた対策を柔軟に講じながら営業活動を行いました。

国内市場においては、上期には新型コロナウイルス感染症の影響により長期間抑制されていた製造業の設備投資が持ち直し、製品販売が堅調に推移しましたが、下期には回復傾向に一服感が見られました。

また海外市場に対しては、すでに展開を進めている日系企業に加え、金型生産拠点として今後伸長していくと見込まれるローカル企業に対しての拡販を目指しました。海外との往来が難しい状況が継続する中、2021年度もオンラインツールを活用した現地販売代理店との協力関係の構築およびSNSによる製品認知度向上に努めました。

 

ロ. マルチプラットフォーム戦略

大手~中堅部品サプライヤー向け展開としては、金型内製化および製品設計から金型設計製造までのプラットフォーム統一化に向けたマルチプラットフォーム戦略を推進しています。当社では2011年に販売を開始した3次元CAD「SOLIDWORKS」に金型設計・加工機能をアドインしたCAD/CAMシステム「CGシリーズ」に加え、2020年にはシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア社製3次元CAD/CAM/CAEシステム「NX」に対応した「CAM-TOOL for NX」を市場投入、2021年もさらなる機能強化に取り組みました。

 

ハ.保守収益の維持・拡張

安定した収益の確保として、保守収益の維持・拡張に取り組みました。製品バージョンアップ、ユーザーへの技術サポート提供を定期的に行うことで顧客満足度向上に努め、2021年度も保守更新率90%以上を維持することができました。CAD/CAMシステム等事業における保守サービスによる売上の割合は68.1%と高い割合を占めており、今後も当社グループにとって重要な経営基盤として位置づけていく考えです。

 

 

  ② OEM事業の推進

当社では工作機械メーカー、工具メーカー等の生産財メーカーおよび同業他社に向け、金型向けCAD/CAMシステム開発で培ってきたCAD/CAMエンジンをOEM製品として提供しており、主力製品販売と同様、CAD/CAMシステム市場での当社のシェア拡大に向けて取り組みました。2021年度は新たなOEM先開拓の他、既存OEM先でのライセンス販売強化に向けた生産財メーカーとの協力を継続しました。

 

  ③ CAD/CAMシステムの適応領域の拡大および新規事業開拓

イ.部品加工向けCAD/CAMシステム

当社ではさらなる市場拡大を目的に、当社が得意とする金型分野に加え、長年にわたり金型設計・製造分野で培ったCAD/CAM資産を活用した部品加工市場向け製品「Parts CAM」を開発し、2020年より販売を開始しました。2021年度は操作性向上のため機能強化に取り組んだほか市場認知度の強化を図りました。

 

ロ.金型・部品製造向け工程管理システム

IoT分野等への市場拡大として、「現場主導のIT活用」を新コンセプトとした金型・部品製造向け工程管理システム「AIQ」の販売強化を図りました。販売体制の確立を図るとともに、金型製造業以外への市場拡大を視野に、工程管理から生産管理システムへと発展させるべく機能を強化しました。

 

ハ.積層造形対応複合CAMシステム

当社は、3D積層造形関連事業の育成として以前より積層造形技術に当社の5軸切削加工技術を組み合わせた「AM-CAM(AM=Additive Manufacturing:付加製造)」の研究開発を行っており、その成果を「CAM-TOOL AM」としてパッケージ化し2019年に販売開始しました。積層造形市場はハードウェア・ソフトウェアともに研究段階ではありますが、今後の市場拡大に向けAM複合加工機メーカーとの協力体制の構築を図るとともに引き続きAM啓蒙活動を推進していきます

 

  ④ 新たな製品付加価値の創出

当社では研究開発強化を目的に、2021年1月1日より研究開発部門を開設し、当社の事業領域に関連する先端技術の研究を推進しました。昨今、製造現場では少子高齢化による労働者人口の減少への対策、労働生産性の向上等のための省力化対応が強く求められていますが、当社ではAI、自動化および形状処理等の技術を用いCAD/CAMシステムに搭載可能な高付加価値機能を開発することで、これらの課題に対応していきます。

 

上記のような取り組みの結果、当連結会計年度におけるCAD/CAMシステム等事業のセグメント売上は32億19百万円と前年同期と比べ91百万円(2.9%)の増収、セグメント利益は2億43百万円と前年同期と比べ1億6百万円(78.2%)の増収となりました。海外では新型コロナウイルス感染症の影響を受け自動車関連業の稼働率低下等により需要が回復しない地域も多く見られたものの、国内では上期に設備投資が持ち直し需要に回復傾向が見られたことなどから製品販売が堅調に推移、通期では前期実績との比較で微増となりました。一方利益面につきましては年間を通して販管費抑制効果が継続したことなどから増益となりました。

 

   (金型製造事業)

当社の金型製造子会社が拠点を置く北米の自動車業界は、新型コロナウイルス感染症の影響に加え半導体不足による生産の停止等、一部不安定要素が見られるなど先行き不透明な状況が継続しました。

そのような状況下、金型製造事業では、オンラインツールを活用し来期以降の売上につなげるための受注活動に注力しました。当連結会計年度は、上期については2020年下期の受注が低調に推移したことから大幅な減収減益となりました。下期については、上期の受注環境が良好であったことから売上高は堅調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症の影響による物流の混乱が金型輸送コスト上昇等に繋がり利益面に大きく影響しました。

これらの結果、当連結会計年度はセグメント売上は5億25百万円と前年同期と比べ31百万円(5.7%)の減収、セグメント利益は32百万円と前年同期と比べ22百万円(40.6%)の減収と前期との比較では減収減益となりました。

 

 

  (2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前年同期と比べ2億52百万円(10.2%)増加し、27億20百万円となりました。

当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益等により3億39百万円の収入となり、前年同期と比べ1億52百万円(31.0%)の収入の減少となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得および無形固定資産の取得等により52百万円の支出となり、前年同期と比べ41百万円(360.9%)の支出の増加となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により62百万円の支出となり、前年同期と比べ1億46百万円(70.0%)の支出の減少となりました。

 

  (3)生産、受注及び販売の実績

  ① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

 

品目

CAD/CAMシステム等

 

 

 

CAD/CAM製品

905,158

+11.2

 

保守契約・技術サービス

2,191,258

△0.2

 

開発サービス

130,712

+2.7

 

3,227,129

+2.9

金型製造

493,517

△4.0

 

合計

3,720,647

+1.9

 

(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

  ② 受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高
(千円)

前期比
(%)

受注残高
(千円)

前期比
(%)

 

品目

CAD/CAMシステム等

 

 

 

 

 

CAD/CAM製品

887,661

+0.6

81,051

△8.9

 

保守契約・技術サービス

2,199,013

△0.0

801,805

 +1.0

 

開発サービス

140,611

+8.0

36,755

+28.5

 

3,227,286

+0.5

919,611

+0.9

金型製造

665,459

+56.6

322,524

+76.6

 

合計

3,892,745

+7.0

1,242,136

+13.5

 

(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

  ③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

 

品目

CAD/CAMシステム等

 

 

 

CAD/CAM製品

895,567

+10.0

 

保守契約・技術サービス

2,191,258

△0.2

 

開発サービス

132,458

+11.9

 

3,219,284

+2.9

金型製造

525,557

△5.7

 

合計

3,744,841

+1.6

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
 

 

 (4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

  ① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りとは異なる場合があります。

当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

当社グループを取り巻く事業環境は、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響により依然として先行き不透明な状況で推移するものと予測しております。

このような環境の下、当社グループのCAD/CAMシステム等事業においては、中長期事業方針に沿って収益拡大に取り組み、持続的な成長を目指します。既存顧客に対するサポート体制を強化することにより高い保守更新率を維持・向上しつつ安定した収益を確保しながら、金型隣接市場およびアセアンを中心とした海外市場への販売領域拡大、ならびに新規事業創出および付加価値創出のための研究開発を推進していきます。

また金型製造事業においては2022年度においても新型コロナウイルス感染症の影響による物流コスト上昇が見込まれますが、新規顧客開拓による収益拡大および外注先との連携強化による生産性の改善に努めます。

以上のような状況から、次期の連結業績は売上高39億49百万円(前期比5.5%増)、営業利益2億98百万円(前期比8.0%増)、経常利益3億27百万円(前期比13.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2億19百万円(前期比0.1%増)を見込んでおります。

なお、上記の試算および一定の仮定に大幅な変更が生じた場合には、翌連結会計年度の財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

  ② 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して3億93百万円(7.9%)増加し、53億65百万円となりました。主な増加要因は現金及び預金2億51百万円、電子記録債権57百万円および投資有価証券51百万円、主な減少要因は受取手形及び売掛金32百万円であります。

(負債)

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比較して1億51百万円(6.5%)増加し、25億3百万円となりました。主な増加要因は買掛金38百万円、未払法人税等59百万円および退職給付に係る負債49百万円、主な減少要因は短期借入金12百万円であります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して2億41百万円(9.2%)増加し、28億61百万円となりました。主な増加要因は親会社株主に帰属する当期純利益2億18百万円、有価証券評価差額金48百万円および非支配株主持分21百万円、主な減少要因は配当による利益剰余金の減少67百万円であります。

 

  ③ 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、37億44百万円となり、前連結会計年度に比べ60百万円の増加(前期比1.6%)となりました。報告セグメントごとの売上高については、CAD/CAMシステム等事業は32億19百万円(前期比2.9%)、金型製造事業は5億25百万円(前期比△5.7%)となりました。

 

(営業利益)

当連結会計年度の営業利益は、2億76百万円となり、前連結会計年度に比べ84百万円の増加(前期比43.9%)となりました。また、売上高営業利益率は前連結会計年度より2.2ポイント上昇し7.4%となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度の経常利益は、3億77百万円となり、前連結会計年度に比べ2億21百万円の増加(前期比142.4%)となりました。また、売上高経常利益率は前連結会計年度より5.9ポイント上昇し10.1%となりました。

主な営業外収益としましては不動産賃借料94百万円(前連結会計年度93百万円)および債務免除益32百万円、主な営業外費用としましては不動産賃貸費用68百万円(前連結会計年度69百万円)が挙げられます。

 

(親会社株主に帰属する利益)

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、3億77百万円となり、前連結会計年度に比べ2億21百万円の増加(前期比142.4%)となりました。

また、当連結会計年度の法人税等は1億27百万円となり、前連結会計年度に比べ54百万円の増加(前期比76.0%)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は2億18百万円となり、前連結会計年度に比べ1億58百万円の増加(前期比262.1%)となりました。

 

  ④ キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 

  ⑤ 資本の財源および資金の流動性

当社グループの資本の財源は、自己資金とすることを基本としておりますが、必要に応じて多様な調達手段を検討し財源の確保を図っております。

資金の流動性は、営業活動によるキャッシュ・フローを確実に獲得することを基本に、適正な投資活動と財務活動を組み合わせることで十分な流動性の確保と財務体質の健全性を維持するよう努めております。

資金需要の主な要因は、研究開発資金、当社ブランドの認知度および価値向上のための資金、国内外の事業加速のための運転資金、人材投資資金であります。これらに対応する目的も含め、取引金融機関との連携を強化するとともに、一定の流動性預金の確保を図っております。

 

  ⑥ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、長期的・継続的な企業価値の向上および株主資本の効率的活用が重要であると認識しており、売上高年平均成長率、売上高経常利益率並びにROEを主要な経営指標として位置づけております。現在当社グループでは、2025年までを目途に、「2018年から2025年の売上高年平均成長率5%」、「2025年経常利益率20%」、「2025年ROE15%以上」という中期の事業方針を掲げております。

当社グループは、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の施策を継続的に進めていくことが経営指標の持続的向上に寄与すると判断しており、今後も引き続きこれらの指標を向上させるべく努めてまいります。

 

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