経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境を振り返りますと、国内においては8カ月弱が新型コロナ
ウィルス感染症拡大を受けた緊急事態宣言下という厳しい状況のなか、景気は落ち込みと持ち直しの動きを繰り
返しました。米国ではワクチン接種の進展により大規模な行動制限は実施されず、個人消費と設備投資を中心と
した堅調な内需により成長ペースが加速しました。中国経済は新型コロナウィルス感染症封じ込めに向けた経済
活動の制限強化等により夏場にかけて減速したものの、その後活動制限が緩和されたこともあり景気は持ち直し
の動きとなりました。一方で、年度当初に顕在化した世界的な半導体不足は未だ解消されておらず、半導体以外
においても様々な部品・部材の供給逼迫が続いています。
このような経営環境下、当連結会計年度の経営成績は下記のとおりとなりました。
①経営成績
当連結会計年度の売上高は29,858百万円(前年同期比6.6%増)、営業利益は196百万円(前年同期比4.4%減)、経常
利益は275百万円(前年同期比33.8%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は90百万円(前年同期は306百万円の利益
計上)となりました。
②財政状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,392百万円増加し、21,050百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,058百万円増加し、17,422百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ333百万円増加し、3,628百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末比438百万円減少し、1,240
百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果使用した資金は184百万円となりました。これは主に、売上債権の減少2,083百万円及び減価償却
費473百万円があった一方、棚卸資産の増加2,636百万円及び仕入債務の減少246百万円があったことによるもので
す。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は476百万円となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入33百万円が
あった一方で、有形固定資産の取得による支出465百万円があったことによるものであります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果獲得した資金は186百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出2,123百万円が
あった一方で、長期借入れによる収入1,760百万円及び短期借入金の純増加額768百万円があったことによるもので
あります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
日本 |
13,361,141 |
118.4 |
アジア |
16,790,978 |
102.1 |
その他 |
25,443 |
171.3 |
合計 |
30,177,564 |
108.8 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
日本 |
14,176,592 |
121.8 |
3,779,840 |
136.0 |
アジア |
17,353,432 |
108.5 |
4,687,776 |
117.4 |
その他 |
19,743 |
82.8 |
3,300 |
36.7 |
合計 |
31,549,768 |
114.0 |
8,470,917 |
124.9 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
日本 |
13,175,233 |
117.3 |
アジア |
16,658,081 |
99.4 |
その他 |
25,443 |
171.3 |
合計 |
29,858,758 |
106.6 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
連結損益計算書の売上高の10%以上を占める特定の顧客への売上高がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1.総資産
当連結会計年度末における総資産は、21,050百万円(前期末比1,392百万円増)となりました。流動資産は、受取手形及び売掛金、現金及び預金が減少した一方、原材料及び貯蔵品、電子記録債権、商品及び製品が増加したこと等により、15,450百万円(前期末比1,140百万円増)となりました。固定資産は、建物及び構築物、投資有価証券が増加したこと等により、5,600百万円(前期末比251百万円増)となりました。
2.負債
当連結会計年度末における負債合計は、17,422百万円(前期末比1,058百万円増)となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金、1年内返済予定の長期借入金、リース債務が減少した一方、短期借入金、電子記録債務、早期退職費用引当金が増加したこと等により、11,366百万円(前期末比1,017百万円増)となりました。固定負債は、リース債務が減少した一方、長期借入金が増加したこと等により、6,056百万円(前期末比40百万円増)となりました。
3.純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、3,628百万円(前期末比333百万円増)となりました。これは利益剰余金が減少した一方、為替換算調整勘定、その他有価証券評価差額金、非支配株主持分が増加したこと等によるものであります。
4.売上高
日本では、産業機器用は、半導体メモリーに対する世界的な需要増加を受け半導体製造装置の売上が増加し、また新機種立上に伴いカメラ用交換レンズの受注が増加したこと等により増収となりました。医療機器用は大型精密検査機器用を中心に受注が伸び増収となりました。社会生活機器用は、個人消費は回復傾向にあるものの受注先における内製化の動き等により減収となりました。車載機器用は、昨年量産を開始した九州工場の量産が順調に推移したこと等により増収となりました。オフィス・ビジネス機器用(OBU)用は、在宅ニーズを含め需要は増加傾向に在る一方、一部製品が海外生産へ移管となった影響等により減収となりました。遊技機器用は受注が増加傾向である一方、電子部品供給逼迫の影響を受け生産が後ろ倒しになったこと等により減収となりました。また業務請負・人材派遣子会社は、製造業における人手不足等を背景に増収となりました。オフィス・ビジネス機器販売子会社は企業のDX化に対応した営業展開及び複合機入替えニーズの増加等により増収となりました。基板製造子会社は、遊技機関連の受注が増加したこと、また親会社と連携した営業活動等により増収となりました。部品加工事業子会社は、主力の次世代自動車向け部品受注が堅調に推移し増収となりました。この結果、日本の売上高は13,175百万円(前年同期比17.3%増)となりました。
アジアでは、香港子会社においては、グループ外への部品販売が伸びたものの、中国・深圳子会社ではセットメーカーにおける中国華南地区から他のアジア諸国への生産移管の動き等により減収となりました。中国・無錫子会社では、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により生産調整を余儀なくされた前年の反動、および日系メーカー向けの車載機器用受注が増加したこと等により増収となりました。一方、タイ子会社では半導体を中心とした電子部品の供給逼迫を受け、主力製品の生産が制限されたこと等により減収となりました。この結果、アジアの売上高は16,658百万円(前年同期比0.6%減)となりました。
以上の結果、連結売上高は29,858百万円(前年同期比6.6%増)となりました。
5.営業利益
営業利益は、日本では親会社が増収及び生産効率改善等により増益となったほか、基板製造子会社では新たな製造ラインがフル稼働し生産性が大きく向上したこと等により、前年の営業損失から転じて営業利益を確保しました。業務請負・人材派遣子会社及びオフィス・ビジネス機器販売子会社は売上増加が寄与し増益となりました。また、部品加工事業子会社は次世代自動車などの高付加価値試作品売上が利益に貢献しました。以上より国内部門は増益となりました。一方、アジアでは香港子会社が売上増加により増益となりましたが、深圳子会社及びタイ子会社では売上減少分を生産効率改善等でカバー出来ず減益となりました。また無錫子会社は、部品供給逼迫に伴い生産効率が低下したこと等により減益となりました。以上より連結営業利益は196百万円(前年同期比4.4%減)となりました。
6.経常利益
営業外損益は、消耗品等売却益、海外子会社における為替差益等が増益要因となったものの、持分法による投資損失、固定資産圧縮損等が減益要因となり、連結経常利益は275百万円(前年同期比33.8%減)となりました。
7.親会社株主に帰属する当期純損失
上記に加えて、固定資産売却益等の特別利益、中国深圳子会社における生産終了に伴う費用として従業員に対する早期退職費用引当金繰入額の計上及び固定資産除却損等の特別損失、また、法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を加減した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は90百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
1.キャッシュ・フロー
2021年12月期の各キャッシュ・フローの状況とその増減については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載しております。
2.資金需要と財政政策
当社グループの資金需要は、当社グループの生産に関わる人件費、外注費、新規設備導入に伴う購入費用・リース
料、工場増設に係る取得費用、並びに営業・管理に係る人件費等と、生産のための部材購入費用とに大別され、国内及び海外各子会社は所在する国・地域の通貨及び外国通貨で支払を実施しております。
なお、これらに必要な資金については銀行借入等にて充当しておりますが、2021年12月期末での連結自己資本比率は16.2%であることにより、今後は海外子会社も含めて安定的に利益を確保する体制を再構築するとともに、製品・仕掛品・原材料の適正在庫水準維持に注力することによって、銀行借入残高の低減に努めてまいります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成してお
ります。経営者は、この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告に影響を及ぼす見
積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来減算一時差異の解消時期をスケジューリングし、繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたって、資産のグルーピングを行い、収益性が
著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失と
して計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたって、慎重に検討を行って
おりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場
合、減損処理が必要となる可能性があります。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の収束時期を含む仮定に関する情報は、「第5
経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
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