文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における当社グループの判断に基づいております。
(1)経営方針
当社グループは2019年に、真のグローバル企業となり、100周年に向けて持続した成長を続けることができるよう、新たな理念として『The IDEC Way』を制定いたしました。『The IDEC Way』は、Vision、Mission、Core Valuesの3つの要素で構成しており、その最も重要な基盤として、創業の理念「人間性尊重経営」を位置づけ、継承しております。
世界では依然として新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、これまでにも増して、人々の働き方やライフスタイルの変化のスピードは加速しております。またサステナビリティの観点では、地球規模での気候変動への対応も進んでおり、事業活動を通じた社会課題の解決が重要な経営課題となっております。
人と機械の最適環境を創造し、世界中の人々の安全・安心・ウェルビーイングを実現すること。これは創業以来変わることのない、私たちの想いです。当社グループは、誰もが健康で、幸せに、生き生きと暮らすことのできる社会を実現するための取り組みを推進しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、目標とする主たる経営指標としてROE及びROICの向上を掲げており、さらには1株当たり当期純利益(EPS)を重視した経営計画を策定しております。ROE及びROICについては10%以上を確保することを目標としており、営業利益率の向上とEPSとあわせて、常に高い目標に挑戦してまいります。
なお、上記の数値目標は当社グループが現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、将来様々な要因によって目標を達成できない可能性があります。
(3)投資単位の引下げに関する考え方及び方針等
当社は、株式の流動性を高め、個人株主の増加を図ることを資本政策上の重要課題と認識しております。そのため、利益還元の充実に加え、個人株主の皆さまにわかりやすい株主通信の作成やホームページの拡充などの対応を進めております。
(4)中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは、2023年3月期に売上高1,000億円、営業利益15%を目指す中期経営計画を、2017年に公表いたしました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大などの影響により事業環境が大きく変化したため、現在のメガトレンドや社会課題などを踏まえて計画の見直しを行い、2025年3月期を最終年度とする新中期経営計画を2022年5月に発表いたしました。
『The IDEC Way』を踏まえて、新たなスローガン「Passion For Your Success ~世界中の人々の安全・安心・ウェルビーイング向上を目指して~」を制定し、長年培ってきた制御技術をベースに、自動化・無人化・省力化需要や、安全・安心・ウェルビーイング意識の向上をはじめとする、注力分野に対応した取り組みを推進することで、社会課題の解決に貢献し、持続的な成長の実現を目指しております。
新中期経営計画では、会社設立80周年を迎える2027年3月期に営業利益率20%を実現するため、2025年3月期に売上高800億円以上、営業利益130億円以上、営業利益率16%以上の達成を目指しております。
当社は創業当時から、人と機械をつなぐHMI(Human-Machine Interface)のリーディングカンパニーとして、グローバルに事業を拡大してきました。しかし時代の変化に伴い、ものづくりの現場や生活のさまざまなシーンにおいて、制御用操作スイッチやプログラマブル表示器をはじめとする、人と機械の接点となる「Interface」だけでなく、IoTの進展などにより、人と機械、機械と機械などが相互にネットワークでつながる「Interaction」へと事業領域が広がってきました。そして今後は、ネットワークでつながった機械装置に加え、人と機械が共存する空間も含めた、環境を最適化(Optimal Environment)することで、人々の安全・安心・ウェルビーイングを実現するための需要が高まってくるものと考えられます。こういった背景を踏まえて、これまで培ってきた安全DNAを活かし、今までのHMIの考え方をさらに進化させた、人を中心とするHMI-X[Transformation]を当社グループの新たなコンセプトとして推進してまいります。
HMI-X[Transformation]をグローバルで積極的に推進し、4つの基本戦略に基づく活動を行っていくことで、当社グループのパーパスである「人と機械の最適環境を創造し、世界中の人々の安全・安心・ウェルビーイングを実現」し、持続的な成長を目指していきます。
(目標達成に向けた4つの基本戦略)
①成長戦略の推進
技術的な課題解決に基づく販売の強化
地域・業界ニーズに基づいた製品開発・販売の加速
中国、インド、その他重点市場における、M&A、業務提携を含む事業の拡大
②収益性の向上
コスト・在庫削減及びリードタイム短縮に向けた生産体制・プロセスの最適化
販売管理費の見直し・最適化
不採算製品・事業の選択と集中
③経営基盤の強化
ディーセント・ワークの推進
PMIと各種プロジェクト推進による事業体制の強化
グローバルでのデジタルマーケティング推進
④ESGの取り組み強化
環境: 環境負荷低減に向けた取り組み推進
社会:ダイバーシティの促進
ガバナンス:経営の透明性・効率性の向上
安全:安全・安心技術によるウェルビーイング創出
品質:高い製品品質・ものづくり能力の向上
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