(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の波が断続的に訪れ、経済活動はいまだに制限された状況が続いているものの、ワクチン接種の進捗などに伴い、政府による感染対策と経済活動の両立が図られ、持ち直しの動きがみられてきております。一方で半導体を中心とした部品不足、物流遅延による世界的なサプライチェーンの混乱は継続・長期化しております。加えて、中国でのゼロコロナ政策によるロックダウンやロシアのウクライナ侵攻により、今後もサプライチェーンの混乱は収束しないリスクが高まり、先行きが依然不透明な状況が続いております。
このような状況の下、当社グループはアジア市場、米国市場及びオーストラリア市場を中心に事業展開を進めました。
アジア市場は、前連結会計年度に比べ増収となりました。これは、韓国の大手放送局2社向けネットワークの更新案件の売上を計上したことによるものです。日本市場においても大手通信事業者向けの設備更新案件の売上を計上した影響で増収となりました。
北米市場は、前連結会計年度に比べて減収となりました。これは、前連結会計年度のような主要顧客向けの大型設備投資案件がなかったことによります。
オーストラリア市場は、前連結会計年度に比べて増収となりました。これは、メンテナンスサポート契約はほぼ横ばいで推移しましたが、主要顧客でのネットワーク投資があり、売上が増加しました。 EMEA市場は、前年同期と比べ減収となりました。これは、新型コロナウィルスの感染拡大、地政学的問題の影響で、EMEA市場での案件が凍結された影響によるものです。
この結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、2,496百万円(前連結会計年度比0.5%増)となりました。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べ1,003百万円減少し、2,275百万円となりました。
当連結会計年度末における負債は前連結会計年度末に比べ393百万円減少し、1,467百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べ610百万円減少し、808百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は、2,496百万円(前連結会計年度比0.5%増)、営業損失は661百万円(前連結会計年度は営業損失238百万円)、経常損失は726百万円(前連結会計年度は経常損失190百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は、758百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失219百万円)となりました。
当社グループは、映像通信機器のメーカーとして事業を行っており、当該事業以外に事業の種類がないため、セグメント別に事業を分類していません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ619百万円減少し、319百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は315百万円(前連結会計年度は611百万円の減少)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純損失745百万円の計上、棚卸資産の増加57百万円、売上債権の減少521百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は34百万円(前連結会計年度は20百万円の減少)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出18百万円、定期預金の預入による支出9百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は320百万円(前連結会計年度は409百万円の減少)となりました。その主な要因は、短期借入金の減少110百万円、長期借入金の返済による支出222百万円によるものです。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
製品種類の名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
ハードウエア製品 |
1,728,823 |
△23.3% |
合計 |
1,728,823 |
△23.3% |
(注)1 金額は、期中平均販売価格によっております。
2 上記の金額には、他勘定振替分及び他勘定受入分は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
製品種類の名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
ハードウエア製品 |
1,885,489 |
0.31 |
80,416 |
1,072.5 |
メンテナンス・サポート |
689,237 |
29.8 |
425,207 |
79.4 |
その他 |
153,348 |
25.7 |
1,866 |
△94.1 |
合計 |
2,728,075 |
7.7 |
507,489 |
84.3 |
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
製品種類の名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
ハードウエア製品 |
1,811,848 |
△3.9 |
メンテナンス・サポート |
501,049 |
11.1 |
その他 |
183,025 |
24.6 |
合計 |
2,495,921 |
0.5 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
|
前連結会計年度 自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
AT&T Corporation |
1,242,032 |
50.0 |
675,220 |
27.1 |
Telstra Corporation Limited |
225,516 |
9.1 |
362,029 |
14.5 |
IISN SYSTEMS CO., LTD. |
1,460 |
0.1 |
304,653 |
12.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べ1,003百万円減少し、2,275百万円となりました。主な変動要因は、現金及び預金の減少610百万円、受取手形及び売掛金の減少483百万円、原材料及び貯蔵品の減少34百万円、商品及び製品の増加118百万円によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債は前連結会計年度末に比べ393百万円減少し、1,467百万円となりました。主な変動要因は、短期借入金の減少110百万円、買掛金の減少99百万円、長期借入金の減少51百万円によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べ610百万円減少し、808百万円となりました。主な変動要因は、親会社株主に帰属する当期純損失758百万円の計上による利益剰余金の減少によるものです。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の当社グループの売上高は、2,496百万円(前連結会計年度比0.5%増)となりました。製品グループ別内訳では、ハードウエア製品が1,812百万円(同3.9%減)、その他が684百万円(同14.4%増)となりました。海外売上高比率は、前期の70.3%から70.6%へと増加しました。
(売上総利益)
当連結会計年度における、売上総利益率は53.5%となり、売上総利益は1,336百万円(同14.1%減)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,997百万円(同11.3%増)となりました。また研究開発費は758百万円(同21.4%増)となりました。これは、新製品の研究開発費の増加によるものです。
(営業利益)
当連結会計年度における、営業損失は661百万円(前連結会計年度は営業損失238百万円)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常損失は726百万円(前連結会計年度は経常損失190百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、758百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失219百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループのキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な資金を確保するとともに、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持することを基本方針としております。
主な資金需要は、製品製造のための材料及び外注加工費の支払のほか、製品開発のための研究開発費であります。
資金需要には、内部資金、金融機関の借入及び第三者割当による新株予約権の発行により対応しております。短期及び長期借入の他、運転資金の効率的かつ安定的な調達のため、取引銀行1行と当座貸越契約を締結しております。また、その一部はグループ内資金の効率化を目的としグループ間で融資を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたり、見積りが必要な事項については、合理的な基準に基づき実施しております。
詳細につきましては、「第一部 企業情報、第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、注記事項、(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成の状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループの競争力の一つとして世界トップクラスの技術力があります。その競争力を維持し続けるためには、継続的に研究開発費を投入する必要があります。研究開発費を確保するためには比較的高い売上総利益率が必要になります。当連結会計年度におきましては、売上総利益率は前連結会計年度の62.6%に比べ9.1ポイント減少し、53.5%となりました。
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