(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の影響が依然として続く中ではあるものの、徐々に社会経済活動が正常化へ向かい、景気の持ち直しに対する期待感も高まりつつ推移しました。一方で、地政学リスクや為替リスク、原材料価格や物価高の上昇などの変動要因による影響も顕在化し、先行きの不透明な状況が続いております。
医療業界においては、医療財政のひっ迫や高齢化社会の進行などの長期的な課題に加えて、新型コロナの感染拡大時における医療施設の受け入れ態勢など、新型コロナ以後に浮き彫りとなった喫緊の課題も含めて、多様な課題解決への取り組みが求められております。
このような経営環境の中で当社は、医療施設の効率化や安定稼働に寄与する採血管準備装置および関連システム、検体検査装置導入の提案を続けるとともに、これらに用いられる消耗品の安定供給に引き続き注力してまいりました。
この結果、当事業年度の売上高は9,699,077千円(前期比7.3%増加)となりました。主に国内市場において、採血管準備装置および関連システム、消耗品の販売に復調が見られたことにより、前期を上回る結果となりました。なお、総売上高に対する海外売上高の占める割合は、前期比0.3ポイント減少し10.7%となりました。
利益面に関しては、売上高の増加に伴い売上総利益が4,817,281千円(前期比8.1%増加)となりました。販売費及び一般管理費は2,955,413千円(前期比3.8%増加)となり、営業利益は1,861,868千円(前期比15.8%増加)、経常利益は1,851,058千円(前期比13.6%増加)、当期純利益は1,281,384千円(前期比11.1%増加)となりました。
なお、当社は医療機器及び、これら装置で使用する消耗品の製造、販売を主たる事業とする単一セグメントでありますが、事業の傾向を示すため品目別に業績を記載いたします。
<採血管準備装置・システム>
当事業年度における採血管準備装置・システムの売上高は3,791,965千円(前期比14.8%増加)となりました。
前期には大型案件の更新需要が谷間の時期を迎えておりましたが、今期はこれらの更新需要が復調したことに加えて、中小型機種の販売が好調であったことから、国内市場の売上高は3,520,069千円(前期比17.1%増加)となりました。一方、海外市場の売上高は、各国における競争の激化や、案件の遅延により販売台数が伸び悩み、271,896千円(前期比8.9%減少)となりました。
<検体検査装置>
当事業年度における検体検査装置の売上高は561,456千円(前期比24.1%減少)となりました。
前期には、新型コロナ対応も含めた緊急時の検査に用いられる血液ガス分析装置の大幅な需要増がありましたが、今年度には国内外ともにこれらの需要が平常化し、国内市場における売上高は351,175千円(前期比28.5%減少)、海外市場における売上高は210,280千円(前期比15.5%減少)となりました。
<消耗品等>
当事業年度における消耗品等の売上高は5,345,655千円(前期比7.0%増加)となりました。
前期には、新型コロナの影響による来院者数の減少により、日常的な検査に用いる当社製品の使用頻度が減少しておりましたが、徐々に正常化へ向かう中で、国内市場における売上高は4,792,318千円(前期比5.4%増加)、海外市場の売上高は、検体検査装置の稼働数の増加に伴って消耗品の販売が伸びたこと等により553,337千円(前期比23.1%増加)となりました。
②キャッシュ・フロー
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、11,523,507千円(前期比3,953,479千円増加)となりました。なお、当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、営業活動により得られた資金は2,062,978千円(前期比1,237,565千円増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益が1,851,058千円、棚卸資産の減少額が416,728千円、仕入債務の増加額が147,717千円であった一方、法人税等の支払額が630,173千円であったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、投資活動により得られた資金は2,489,140千円(前期は153,677千円の支出)となりました。これは主に、定期預金の払戻しによる収入が2,568,592千円であった一方、有形固定資産の取得による支出65,740千円、無形固定資産の取得による支出14,431千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、財務活動により支出した資金は598,638千円(前期比183,301千円増加)となりました。これは、配当金の支払額434,240千円、自己株式の取得による支出164,398千円があったことによるものであります。
③生産実績
当事業年度の生産実績を単一セグメント内の品目別に示すと、次のとおりであります。
単一セグメント内品目別 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
採血管準備装置・システム(千円) |
2,805,625 |
70.0 |
検体検査装置(千円) |
702,978 |
135.3 |
消耗品等(千円) |
5,386,264 |
106.2 |
合計(千円) |
8,894,868 |
92.7 |
(注)金額は販売価格によっております。
④受注実績
見込生産をおこなっておりますので、該当事項はありません。
⑤販売実績
当事業年度の販売実績を単一セグメント内の品目別に示すと、次のとおりであります。
単一セグメント内品目別 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
採血管準備装置・システム(千円) |
3,791,965 |
114.8 |
検体検査装置(千円) |
561,456 |
75.9 |
消耗品等(千円) |
5,345,655 |
107.0 |
合計(千円) |
9,699,077 |
107.3 |
⑥財政状態
(資産の部)
当事業年度末の総資産の残高は18,508,245千円となり、前事業年度末比953,803千円増加しました。これは主に、現金及び預金が1,384,887千円増加、電子記録債権が107,090千円増加した一方、商品及び製品が520,830千円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当事業年度末の負債の残高は2,858,160千円となり、前事業年度末比263,869千円増加しました。これは主に、買掛金が147,717千円増加、前受金が81,162千円増加、未払消費税等が78,830千円増加した一方、未払金が29,405千円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末の純資産の残高は15,650,085千円となり、前事業年度末比689,934千円増加しました。これは、利益剰余金が844,808千円増加したことと、自己株式の増加154,874千円があったことによるものであります。なお、自己資本比率は84.6%となり、前事業年度末比0.6ポイント減少しました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において判断したものであります。
①経営成績等
当事業年度の経営成績は、売上高9,699,077千円(前期比7.3%増加)、営業利益1,861,868千円(前期比15.8%増加)、経常利益1,851,058千円(前期比13.6%増加)、当期純利益1,281,384千円(前期比11.1%増加)となりました。採血管準備装置および関連システム、消耗品の販売に復調が見られたことにより、増収増益となりました。
売上高に関しては、採血管準備装置・システム関連では、国内市場における大型更新需要の復調などにより、前期比14.8%の増加となりました。検体検査装置関連では、医療施設での緊急検査に用いられる血液ガス分析装置の需要が一巡したことなどから、前期比24.1%の減少となりました。消耗品等では、新型コロナの影響が徐々に緩和する中、医療施設でおこなわれる日常的な検査の頻度が増加し、当社製品の使用頻度が増えたことなどにより、前期比7.0%の増加となりました。
売上総利益及び営業利益につきましては、売上高の増加に伴い、売上総利益は4,817,281千円(前期比8.1%増加)となり、販売費及び一般管理費は2,955,413千円(前期比3.8%増加)となった結果、営業利益は1,861,868千円(前期比15.8%増加)となりました。
②財政状態および経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度における我が国経済は、新型コロナの影響が継続し、景気の先行きは依然として予断を許さない状況が続きました。医療機器業界においても、新型コロナの感染拡大に伴って一般診療体制への影響が続く困難な状況となっています。
このような経営環境の中で当社は引き続き、お客様および従業員の健康と安全の確保を最優先に、新型コロナの感染拡大防止に取り組みつつ、医療機器メーカーとしての可能な限りのサービス提供、消耗品の安定供給の維持に努めてまいりました。この結果、当事業年度における経営成績は、前期比において増収増益となりました。
また当社は、2020年度(2021年3月期)からの新3ヶ年中期経営計画を策定いたしました。2022年3月期の実績は、売上高9,699,077千円、営業利益1,861,868千円と、計画線上で推移いたしました。引き続き、3ヶ年累計中期経営計画として、売上高29,200,000千円、営業利益3,500,000千円(ともに3ヶ年累計)の目標達成へ向けて邁進してまいります。
経営指標 |
2022年3月期 中期経営計画 |
2022年3月期 実績 |
差異 |
売上高(千円) |
9,500,000 |
9,699,077 |
199,077 |
営業利益(千円) |
1,000,000 |
1,861,868 |
861,868 |
売上高営業利益率(%) |
10.5 |
19.2 |
8.7 |
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローにつきましては、(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローに記載のとおりであります。なお、当社のキャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。
|
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
自己資本比率(%) |
85.39 |
85.22 |
84.56 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
111.18 |
82.54 |
71.02 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
- |
- |
- |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
- |
- |
- |
(注)1. 各指標の算式は以下の算式を使用しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
2. 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3. キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4. 有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としています。
当社の主な資金需要は、研究開発型企業として発展し続けるための研究開発資金や、生産活動に必要な運転資金、生産設備や研究設備を増設するための設備投資資金等であり、これらは主に自己資金によって賄っております。
④重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
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