(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)における当社グループを取り巻く事業環境において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行下、世界経済は各国でのワクチン接種の進捗や政策支援の有効性の違いなどにより回復の格差が見られました。そして、米国など幾つかの先進国での景気回復が急速に進んだ一方で、インフレ圧力の上昇と財政支援の縮小、さらにウイルスの変異株台頭による感染の再拡大、加えて当第4四半期連結会計期間(2022年1~3月期)に入り、ロシア・ウクライナ情勢に起因した地政学的緊張の高まりとエネルギーや食料価格の高騰も見られたことから、経済成長の減速リスクを伴った不透明な状況が続きました。このような情勢下、IT市場では、世界各地での移動や渡航制限によりモバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルネットワークの重要性が高まり、それらに関連した技術革新や利便性向上などが見られました。また、インターネット上の仮想空間で実社会に近い活動が行われるメタバースとその親和性が高いブロックチェーン技術を用いて、デジタル作品を流通させる新たな仕組みなどの開発も進みました。なお、同期間の主要通貨に対する円相場は、各国の景気や金融・貿易政策等に対する見方を反映し、前年同期の平均レートと比較すると対ドル及び対ユーロでは小幅に円安、対中国元でも円安となりました(為替変動による連結業績への影響は、売上高を約64億円押し上げ、営業利益を約15億円押し上げたと試算)。
このような事業環境の下、当社グループは、2021年5月12日に発表した2025年3月期を最終年度とする中期経営方針「Wacom Chapter3」に則って、引き続きペンやインクのデジタル技術で常に市場の主導権を握り、「意味深い成長(財務的な成長だけではなく、私たちのお客様が製品・サービスのユーザー体験を通じて感じる成長であり、私たちが日々の暮らしを営む社会やコミュニティ全体が新たな学びを積み重ねていくことであり、一人一人の自己実現を通じた成長で構成される多面的な意味を持つ成長)」を目指して事業運営にあたりました。当連結会計年度では、VR(仮想現実)/MR(複合現実)、AI(人工知能)、セキュリティ(安全性)、教育といった成長分野において、事業モデルを一段と進化させるための戦略を協業パートナーとともに推し進めるとともに、生産性やコスト構造の改善にも全社的に努め、経営判断の質の向上を通して経営課題に取り組みました。
ブランド製品事業については、創造性発揮のための最高体験をお客様にお届けするため、技術革新に取り組むとともに、顧客サービスの向上に努めました。当連結会計年度では、主力のクリエイティブソリューションにおいてプロ向けディスプレイ製品を中心に販売を伸ばしましたが、ペンタブレット製品の中価格帯モデルの販売が減少したことなどから、ブランド製品事業全体としての売上高は、前年同期を下回りました。
テクノロジーソリューション事業については、デジタルペン技術(アクティブES:Active Electrostatic、EMR:Electro Magnetic Resonance)の事実上の標準化に取り組むとともに、タブレット・ノートPC市場での利用拡大や教育市場での事業機会の拡大に努めました。当連結会計年度では、AESテクノロジーソリューション及びEMRテクノロジーソリューション他ともに売上高が前年同期を上回ったことから、テクノロジーソリューション事業全体としての売上高は、前年同期を上回りました。
中期経営方針の戦略軸に沿った全社的な取り組みとしては、成長の促進を図るため、投資効率を意識しつつ、新たなコア技術やビジネスモデルの開発への積極的な投資を行いました。そして、2021年11月には、人間の創造性の源に思いを馳せ、アート、教育、テクノロジーなど多様な領域のパートナーと共創する「創造的混沌」をテーマとしたコミュニティイベント「Connected Ink(コネクテッド・インク)2021」を開催し、最新のデジタルトランスフォーメーションの動向を踏まえて、インク・テクノロジーを駆使した多様なパートナーとの取り組みを発表しました。また、新たに社外女性取締役が2021年6月に着任し、多様で専門的な視点を有する取締役会による本質的な議論をさらに活発化させ、経営の質を高めることに努めました。
当社は、2020年3月期からブランド製品事業の一部製品ラインの主要生産工程を中国以外に移管するなどの対応を行い、一部対米輸出モデルにおいて米国税関国境取締局から、対中追加関税措置を適用されないことが認められました。その措置に基づき、関税対応を見直し売上原価に与える影響を低減(売上原価を約9億円押し下げ)させるに至りました。
(注)当社グループの事業活動への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行下における影響及び取り組み、並びにロシア・ウクライナ情勢による影響及び取り組みについては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 <新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行下における事業活動への影響及び取り組み>、<ロシア・ウクライナ情勢による事業活動への影響及び取り組み>」をご覧ください。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末における資産の残高は、73,332,474千円となり、前連結会計年度末に比べ2,151,140千円増加しました。これは主に、原材料及び貯蔵品が3,434,387千円、売掛金が3,212,564千円、商品及び製品が2,478,629千円及び流動資産のその他が2,146,507千円増加し、現金及び預金が10,253,742千円減少したことによります。
負債の残高は、29,829,422千円となり、前連結会計年度末に比べ3,663,095千円減少しました。これは主に、買掛金が2,231,265千円及び流動負債のその他が1,725,997千円増加し、1年内返済予定の長期借入金が4,000,000千円、賞与引当金が2,689,716千円及び未払法人税等が1,521,627千円減少したことによります。
純資産の残高は、43,503,052千円となり、前連結会計年度末に比べ5,814,235千円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益で10,954,987千円増加し、剰余金の配当で3,086,536千円、自己株式の増加により2,980,796千円減少したことによります。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ6.4ポイント増加し、59.3%となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度における売上高は108,789,859千円(前年同期比0.2%増)となり、営業利益は13,023,871千円(同2.9%減)、経常利益は14,351,004千円(同1.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,954,987千円(同7.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、10,253,742千円減少(前年同期は10,501,136千円増加)し、当連結会計年度末には21,788,861千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの内訳は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、235,526千円(前年同期は14,578,204千円の収入)となりました。これは、当連結会計年度において法人税等の支払額6,263,280千円、棚卸資産の増加額5,347,475千円、売上債権の増加額2,898,176千円及び賞与引当金の減少額2,793,355千円などの支出要因が、税金等調整前当期純利益14,560,678千円などの収入要因を上回ったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,372,479千円(前年同期は1,381,960千円の使用)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,331,469千円、無形固定資産の取得による支出196,834千円及び投資有価証券の売却による収入287,860千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、10,516,084千円(前年同期は4,053,092千円の使用)となりました。主な内訳は、長期借入金の返済による支出4,000,000千円、配当金の支払額3,079,406千円及び自己株式の取得による支出3,005,964千円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
ブランド製品事業(千円) |
29,068,074 |
90.3 |
テクノロジーソリューション事業(千円) |
36,139,262 |
105.0 |
合計(千円) |
65,207,336 |
97.9 |
(注)上記の金額には、製品仕入実績を含んでおります。
b. 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
ブランド製品事業(千円) |
52,640,939 |
92.9 |
テクノロジーソリューション事業(千円) |
56,148,920 |
108.3 |
合計(千円) |
108,789,859 |
100.2 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
サムスングループ |
23,326,545 |
21.5 |
23,721,973 |
21.8 |
2.サムスングループには、主に、Samsung Electronics Japan Co., Ltd.、Samsung Electronics Co., Ltd.が含まれております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
当社グループのセグメントごとの業績に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
◎ ブランド製品事業
<クリエイティブソリューション>
クリエイティブソリューションは、プロ向けのディスプレイ製品を中心に販売を伸ばしましたが、ペンタブレット製品の販売が減少したことなどから、小幅に減収となりました。また、2021年3月期より引き続き、一部製品において、アンドロイドOSやクロームOSへの対応を進めました。
○ ディスプレイ製品
「Wacom Cintiq Pro(ワコム シンティック プロ)」は、営業活動を活発に行い、前年同期の売上高を大幅に上回りました。2021年10月には、クリエイターのために使いやすさを追求した新しい「Wacom Cintiq Pro 16」を発表しました。「Wacom Cintiq(ワコム シンティック)」については、前年同期の売上高を小幅に下回りました。2020年3月期に発表した「Wacom One(ワコム ワン)液晶ペンタブレット13」は、前年同期の売上高を下回りました。これらの結果、ディスプレイ製品全体の売上高は、前年同期を僅かに上回りました。
○ ペンタブレット製品
「Wacom Intuos Pro(ワコム インテュオス プロ)」は、経年等の影響がある中、営業活動を活発に行い、前年同期の売上高を僅かに上回りました。「Wacom Intuos(ワコム インテュオス)」は、経年に加え、需要に落ち着きが見られたこと等の影響により、前年同期の売上高を大幅に下回りました。「One by Wacom(ワン バイ ワコム)」は、前年同期の売上高を下回りました。これらの結果、ペンタブレット製品全体の売上高は、前年同期を下回りました。
○ モバイル製品他
デジタルペン搭載タブレット市場が拡大し競争環境が大きく変化するなか、Windows 10搭載クリエイティブタブレット「Wacom MobileStudio Pro(ワコム モバイルスタジオ プロ)」の寄与により、モバイル製品の売上高は、前年同期を上回りました。また、モバイル製品以外のスタイラスペン製品を中心とした売上高は、前年同期を大幅に下回りました。これらの結果、モバイル製品他全体の売上高は、前年同期を小幅に下回りました。
<ビジネスソリューション>
液晶ペンタブレットの売上高は、営業活動を活発に行い、前年同期を大幅に上回りました。この結果、ビジネスソリューション全体の売上高は、前年同期を上回りました。
これらの結果、ブランド製品事業の売上高は52,640,939千円(前年同期比7.1%減)、セグメント利益は8,712,098千円(同4.2%減)となりました。また、部材調達リスクに備えた在庫水準の上昇等により、セグメント資産は前連結会計年度末に比べ3,215,280千円増加の18,863,366千円となりました。
◎ テクノロジーソリューション事業
<AESテクノロジーソリューション>
生産サプライチェーンオペレーションの制限があった中、AESテクノロジーソリューション全体の売上高は、前年同期を上回りました。アクティブES方式デジタルペン製品については、OEM提供先のメーカー各社から引き続き高い評価を得ております。
<EMRテクノロジーソリューション他>
OEM提供先の製品ポートフォリオの変化や生産サプライチェーンオペレーションの制限を受けたものの、OEM提供先のメーカー向けの売上高は増加しました。この結果、EMRテクノロジーソリューション他全体の売上高は、前年同期を僅かに上回りました。
これらの結果、テクノロジーソリューション事業の売上高は56,148,920千円(前年同期比8.3%増)、セグメント利益は8,888,420千円(同4.0%減)となりました。また、部材調達リスクに備えた在庫水準の上昇や売上高の増加に伴う売掛金の増加等により、セグメント資産は前連結会計年度末に比べ7,461,374千円増加の22,080,662千円となりました。
<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行下における事業活動への影響及び取り組み>
当連結会計年度での当社グループの事業活動への影響及び取り組みについては、以下のとおりであります。
ブランド製品事業では、当連結会計年度において、各国間で状況に差はあるものの概ね経済活動が再開されたことに伴い営業活動を活発に行いました。その結果、主にクリエイティブソリューションのプロ向けのディスプレイ製品及びペンタブレット製品、ビジネスソリューションの販売に回復が見られました。一方で、前年同期と比べて落ち着きが見られた需要が、クリエイティブソリューションのペンタブレット製品の中価格帯モデルの販売に影響を及ぼしました。
テクノロジーソリューション事業では、当連結会計年度において、東南アジアでの感染再拡大や中国でのゼロコロナ政策の徹底、世界的な半導体不足を受けて、生産サプライチェーンオペレーションが制限されたことなどから、AESテクノロジーソリューション及びEMRテクノロジーソリューション他の業績に影響を及ぼしました。
全社的な取り組みとしては、全世界的に、テレワークの実施等柔軟な勤務体制を継続することで、コロナ禍後の新しい働き方の在り方を検討するとともに、従業員の安全確保、感染拡大防止に向けた社会的責任の遂行を図りました。
<ロシア・ウクライナ情勢による事業活動への影響及び取り組み>
当連結会計年度での当社グループの事業活動への影響及び取り組みについては、以下のとおりであります。
当社グループは、ロシア及びウクライナに事業拠点を有しておらず、また、当連結会計年度における両国の売上高は、2022年3月期連結売上高の約1%(前年同期での同売上高は2021年3月期連結売上高の約1%)であり、影響は軽微でありました。
なお、金融や物流等の困難な状況を鑑み、同地域への直接的な出荷を停止しました。また、ウクライナにおける人道的危機への支援として、2022年3月に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通して30百万円の寄付を実施し、さらに、地域ごとにきめ細かなサポート活動を実施できるよう「Stand Together基金」という呼称で2023年3月期における20百万円の予算枠を設けることも決議しました。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社グループは、これらのリスクに対して、継続的にモニタリングを行って現状把握に努めるとともに、低減・回避等の対応に努めております。なお、当連結会計年度末現在において、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載されたリスクに関する重要な事象等は存在しておりません。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、VR(仮想現実)/MR(複合現実)、AI(人工知能)、セキュリティ(安全性)、教育といった成長分野に対応した新製品や次世代デジタルペン技術にかかる研究開発費、量産出荷のための金型設備投資、管理部門等における業務効率向上のためのITシステム投資であります。なお、設備もしくはシステムとして資産計上される資本的支出の規模は、毎期20億円~25億円程度を目安としております。当連結会計年度においては、製品量産用金型や自動組立機への投資などがあるものの、投資計画そのもののキャンセルや投資時期の見直しがあり、総額約17億円となりました。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金調達、資金運用等に関する取り組み方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)」に記載のとおりであります。なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は、約29億円(借入金20億円、リース負債約9億円)であります。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、約218億円であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り項目特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、会計上の見積りを行うに際して使用した重要な仮定は、合理的であると判断しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大及びロシア・ウクライナ情勢が会計上の見積りに与える影響については、将来の業績の不確実性の程度が会計上の見積りに与える感応度は低い状況であると判断し、評価時点において入手可能な情報に基づく最善の見積りを行っております。
④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2019年3月期からスタートした『Wacom Chapter2』において、お客様が生涯を通じてデジタルインクの創造する価値を体験できる「Life-long Ink」のビジョンを掲げ、最高のデジタルインク体験をお届けすべく、各種施策に取り組んでまいりました。その取り組みをさらに発展、進化させるべく新たに『Wacom Chapter3』(対象期間:2022年3月期~2025年3月期)を策定し、以下の経営指標を達成することを目標としております。
a. 事業活動の効率性
新たな指標としてROIC(投下資本利益率)25~30%程度を目安として事業を運営してまいります。
b. 資本の効率性
ROE(自己資本利益率)20%程度を想定しております。
c. 株主還元
配当方針については、適正な財務の健全性を確保することを念頭に、連結ベースの配当性向の目安を30%程度としたうえで、1株当たり配当の中長期的な増加を通じた利益還元に努めてまいります。自己株式取得については、投資機会や財務状況などを考慮のうえ、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策として遂行してまいります。
当連結会計年度における各経営指標の状況は次のとおりであります。また、2021年5月13日から2025年3月31日までの期間に、総額100億円を上限とする自己株式の取得を実施する方針を策定しており、当連結会計年度において累計30億円(累計3,515,500株)の自己株式の取得を実施しました。
|
前連結会計年度 (2021年3月期 実績) |
当連結会計年度 (2022年3月期 実績) |
2022年3月期~ 2025年3月期 目標 |
ROIC(投下資本利益率)(%) |
39.4 |
29.7 |
25~30%程度 |
ROE(自己資本利益率)(%) |
31.3 |
27.0 |
20%程度 |
配当性向(%) |
30.2 |
29.4 |
30%程度 |
ROIC=税引後営業利益 / (正味運転資本の期首期末平均+事業用資産の期首期末平均)
事業用資産:有形固定資産+無形固定資産+他資産(うち事業用と定義するもの)
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