業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、当社グループの事業展開、経営管理体制の実態等の観点から、事業セグメントの区分方法を見直し、「その他」に含まれていたゲームコンテンツ事業を「エンターテインメント関連事業」に含めております。前年同期の比較は、変更後の報告セグメントに基づき組替えを行い比較しております。

また、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご確認ください。

 

① 財政状態及び経営成績

連結売上高につきましては、前期と比較してモバイルデータソリューション事業において受注が堅調に推移したことにより、全体の売上高は、372億5百万円(前期比39.5%増)となりました。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましても、上記増収の影響もあり、263億37百万円(前期比39.9%増)となり、売上総利益率は70.8%(前期比0.2pt増)となりました。

連結の営業利益は、13億60百万円(前年同期は6億87百万円の利益)となり、増益となりました。これは主に、モバイルデータソリューション事業において受注が堅調に推移したことによるものです。

連結の経常利益は、96億73百万円(前期は8億81百万円の利益)となり、増益となりました。これは営業損益の改善、為替差益34億35百万円及びデリバティブ評価益47億30百万円を計上したこと等が主たる要因です。また親会社株主に帰属する当期純利益は、28億18百万円(前期は47百万円の利益)となりました。これは、同じく損益の改善等が主たる要因です。

 

a.モバイルデータソリューション事業

 

前連結会計年度

当連結会計年度

対前期増減額

対前期増減率

 

百万円

百万円

百万円

売上高

20,413

29,323

8,909

43.6

セグメント利益

913

1,547

633

69.4

 

売上高は、モバイルフォレンジック機器及びその関連サービスの受注が堅調に推移し、デジタルフォレンジック製品の販売が前期に比べ大幅に増加したことにより、43.6%の増収となりました。セグメント利益は、連結子会社であるCellebrite社の上場に伴うアドバイザリー費用等の諸経費を約13億円計上したものの、売上高が堅調に推移したことにより、6億33百万円の増益となりました。

b.エンターテインメント関連事業

 

前連結会計年度

当連結会計年度

対前期増減額

対前期増減率

 

百万円

百万円

百万円

売上高

4,523

5,669

1,146

25.3

セグメント利益

542

916

373

68.8

 

遊技機関連事業につきましては、売上高は、新機種の販売が好調であったこと、制御基板及び受託開発の生産性向上に取り組んだことにより、増収増益となりました。ゲームコンテンツ事業につきましては、「上海」、「懸賞アプリ」等の新たな取り組みに注力し、収益を向上させたことにより、増収増益となりました。

この結果、セグメント全体では、3億73百万円の増益となりました。

 

c.新規IT関連事業

 

前連結会計年度

当連結会計年度

対前期増減額

対前期増減率

 

百万円

百万円

百万円

売上高

1,746

2,239

493

28.2

セグメント利益

98

183

84

85.7

 

M2M事業につきましては、売上高は、自販機向け等のM2M通信機器の販売が堅調に推移したことにより、増収増益となりました。AR事業につきましては、ソフトウエアベースの販売が中心となりましたが、マーケティング等の費用の増加に伴い、損失となりました。

この結果、セグメント全体では、売上高は前期を上回り、84百万円の増益となりました。

(財政状態) 

 

資 産

負 債

純資産

自己資本比率

2022年3月

   82,088

55,047

27,040

29.7%

2021年3月

  49,785

28,964

20,820

28.9%

増 減

32,303

26,083

6,219

0.8ポイント

 

(資産)

総資産は820億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ323億3百万円の増加となりました。

流動資産は724億65百万円となり、前連結会計年度末に比べ288億16百万円の増加となりました。主な増加要因としては、主に当社が保有するCellebrite株式の売却による未収入金256億61百万円の増加であります。

固定資産は96億23百万円となり、前連結会計年度末に比べ34億86百万円の増加となりました。主な増加要因としては、主にDigital Clues社からの事業譲受に伴うのれん18億90百万円及び無形固定資産その他6億45百万円の増加であります。

(負債)

負債は550億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ260億83百万円の増加となりました。

流動負債は389億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ110億76百万円の増加となりました。主な増加要因としては、主にCellebrite株式の売却及び資本剰余金配当に伴う未払法人税等78億4百万円及び契約負債185億83百万円の増加であります。一方、主な減少要因としては、前受収益144億65百万円の減少であります。

固定負債は160億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ150億7百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、TWC Tech Holdings II Corp.及びCellebrite社において認識されるデリバティブ債務(詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」をご確認ください。)143億88百万円の増加であります。

(純資産)

純資産は270億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ62億19百万円の増加となりました。主な増加要因としては、資本剰余金70億9百万円、利益剰余金20億21百万円及び為替換算調整勘定9億84百万円の増加であります。一方、主な減少要因としては、非支配株主持分43億77百万円の減少であります。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ63億25百万円増加の274億38百万円(前期末残高211億13百万円)となりました。当連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の収入は、前年同期に比べ24億77百万円減少の36億32百万円となりました。主な減少要因としては、売上債権の増加が前年同期に比べて21億67百万円減少しているものの、契約負債(前期は前受収益)の増加が28億68百万円減少、棚卸資産が1億10百万円の減少から9億57百万円の増加となったこと等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は、前年同期は9億10百万円の支出に対して、40億20百万円の収入となりました。主な資金の増加要因としては、Digital Clues社からの事業譲受による支出22億79百万円があったものの、定期預金の減少が前年同期に比べ68億86百万円増加の84億32百万円となったこと等であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は、前年同期は35億98百万円の収入に対して、30億36百万円の支出となりました。主な資金の減少要因としては、Cellebrite社の資本再構築に伴う受入金33億69百万円があったものの、短期借入金が19億66百万円の増加から26億46百万円の減少となったこと、非支配株主への配当金の支払額が前年同期に比べ30億28百万円増加して33億23百万円となったこと等であります。

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

モバイルデータソリューション事業

30,905,959

141.4

エンターテインメント関連事業

3,810,721

138.7

合計

34,716,681

141.1

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

b. 受注状況

当社グループは、エンターテインメント関連事業の一部において受注生産を行っております。当連結会計年度における受注状況を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

エンターテインメント関連事業

6,629,928

216.4

2,253,103

245.4

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

モバイルデータソリューション事業

29,323,238

143.6

エンターテインメント関連事業

5,642,817

125.3

新規IT関連事業

2,239,379

128.2

合計

37,205,435

139.5

 

(注) 1 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社藤商事

3,311,910

12.4

4,682,236

12.6

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。本項における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

①重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成は経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積り及び予測を必要とします。経営者は、これらの見積りや予測について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実績はこれらと異なる可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や主要顧客の情勢等、先行きを予想することは極めて困難でありますが、入手可能な外部の情報等を踏まえ、当連結会計年度末時点で合理的であると思われる様々な要因を勘案した上で、2022年3月期中に概ね収束すると仮定のもと会計上の見積りを行っております。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 5.会計方針に関する事項」に記載のとおりです。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

=外部環境について=

モバイルデータソリューション事業が属するデジタルインテリジェンス市場につきましては、法執行機関の業務におけるデジタル化が世界的に進んでいる事に加え、主に米国、西欧等の世界各国において、パンデミック特別予算が法執行機関に割り当てが行われているため、引き続き市場は堅調に推移すると見込んでおります。当連結会計年度においては、西欧の一国の警察庁との150万ドルにのぼる3年間のサブスクリプション契約、アジア太平洋に拠点を持つ政府機関との1,100万ドルを超える取引規模への拡大及びアメリカの州政府機関の麻薬捜査班による当社グループの高度ソリューションの採用等があり、引き続き堅調に推移しております。

次に、エンターテインメント関連事業のうち、パチンコ市場につきましては、2022年1月末に旧規則機撤去期限を迎え、遊技機の一時的な入替え需要が発生した一方、コロナ禍や継続する世界的な半導体不足による供給難や原価高騰、パチンコホールの減少等、将来的な不透明感が依然として存在しております。

ゲームコンテンツ市場につきましては、コロナ禍において在宅で楽しめるエンターテインメントとしての地位を確立しており、今後も拡大傾向が続いていくと思われます。また、技術の進歩によりゲーム開発はパソコン一台、一人からできる時代となり、各プラットフォームでリリースされるゲームの数も拡大傾向にあるため、競争が激化している状態にあります。

上記のように、市場環境が不透明な主力事業も存在する中、当社グループの更なる業績向上を図るため、IoT、AR、AI等の最新技術を活用していく社会的な流れを汲み、新たな主力製品・サービスの構築に取り組んでおります。

新規IT関連事業のうち、M2M、IoT市場につきましては、各通信キャリアが2026年3月までに3G回線を順次停波するため、3GからLTE(4G)へのマイグレーションが本格的に進んでおります。産業機器などに遠隔地からアクセスし監視/制御システムの需要は増加している一方、多くの企業が市場に参入しているため、市場自体は拡大しつつも競争環境は厳しくなっております。また、コロナ禍や継続する世界的な半導体不足による供給難や原価高騰等により、当社製品の供給に影響が出る可能性はあるものの、現時点では不透明な状況にあります。

スマートグラスを利用するAR関連市場につきましては、ARを業務に利用するような需要については、まだ市場が本格的に立ち上がっている状況ではないものの、コロナ禍によるオンライン業務や、人手不足による企業の遠隔支援に関する需要は、高まってきております。

 

=競争優位性=

モバイルデータソリューション事業につきましては、当社の連結子会社であるCellebrite社が、高度アクセス技術を用いた次世代ソリューション、民間向けの新しい遠隔モバイル収集システム、新しいSaaSベースの証拠管理ソリューション等の開発により、新技術、生産性、効率性における競争力を高水準で維持しております。また、2021年11月にオープンソースインテリジェンス事業を営む会社であるDigital Clues AG(以下、「Digital Clues社」という。)の事業を買収し、デジタルインテリジェンスプラットフォームにおける更なる競争力の強化を図っております。

エンターテインメント関連事業のうち、遊技機関連事業につきましては、業界及び顧客を特化することで、強力な信頼関係の構築及び特定分野における表現力・技術力の蓄積をし、高い商品力を有したコンテンツ開発や高品質の制御基板開発を実現することで、競争優位性を図っております。

ゲームコンテンツ事業につきましては、知名度の高い「上海」ブランドを使ったモバイルゲームを社内で開発から運営まで完結し、長期にわたりコスト効率良く収益を維持することが可能となっております。また、当社が多くのIPを保有する「レトロゲーム」ジャンルは、欧米市場を中心に人気が再来しており、その有効活用により更なる収益の拡大が見込める状況にあります。

新規IT関連事業につきましては、各通信キャリア、パートナーと強力な信頼関係を構築しつつ、長年培ってきた技術をベースに3G回線からLTE(4G)回線へのマイグレーションに関連した特許を取得し、技術的競争優位性を維持しつつ、5GやエッジAIをキーワードに製品開発を進め更なる競争力強化を図っております。また、マルチスマートグラスデバイスに対応した遠隔支援に特化した「AceReal Assist」の複数同時接続バージョンを2021年9月にリリースし、他社製スマートグラスに順次対応しております。今後は、M2M事業で培ったモバイル通信機器とのシナジーを図り、遠隔支援の視野を広げ、AR、AI技術をベースにDXを推進するすべての企業へ新たなソリューションを提供いたします。

 

=経営施策=

モバイルデータソリューション事業につきましては、2020年1月にPCフォレンジックに特徴を持つBlackBag Technologies Inc.(以下、「BlackBag社」という。)を買収し、データ分析分野を中心とした事業拡大を図っております。また、資金調達を通じた更なる事業拡大を図るため、Cellebrite社は、2021年8月に米国ナスダック市場に上場いたしました。更に、2021年11月に、Digital Clues社の事業を買収する等、オープンソースインテリジェンス領域の強化を図るとともに、ビジネス形式を、無期限ライセンス型からサブスクリプション型への移行を推進しております。また、Cellebrite社が2021年9月に立ち上げた倫理公正委員会により、企業倫理に則した顧客選定を実施しております。

エンターテインメント関連事業のうち、遊技機関連事業につきましては、業界環境が厳しくなる中、開発・製造両面での業務効率化を徹底し、その経営資源を受託開発案件での商品力強化及び技術力を活かした新商品企画に注力することで、顧客とともに業界でのシェア拡大を目指してまいります。

ゲームコンテンツ事業につきましては、既存のモバイルタイトル、ライセンス事業を収益基盤としつつ、新たな収益の柱として当社レトロゲームIPを活用した、新規タイトルの開発に着手しております。

新規IT関連事業につきましては、「おくだけセンサー」等戦略商品について、マーケティングを行いながら、機能開発、新規顧客の開拓に努めております。飲料自販機は日本国内で約228万台設置されており、その多くが在庫管理等に3G回線を使用しています。M2M事業では、3GからLTE(4G)へマイグレーションするための戦略製品である「A330」、「A900」を開発、販売開始しており、在庫管理システムを展開している大手通信キャリア、パートナーと連携をしながら、複数の大手飲料オペレータに採用され、順調に事業が拡大しております。また、今後デバイスマネジメント「SunDMS」の機能強化をすることにより付加価値を高め、ストックビジネスの拡大を図っております。また、遠隔支援の機能にフォーカスをして、ソリューションビジネスを中心に、事業展開を進めております。大手通信キャリアとは5Gをキーワードに戦略的パートナーシップを形成しており、今後も「AceReal Assist」の機能を生かし、多様なソリューション案件で更なる拡販を図っております。

 

=商品・サービスの概況=

モバイルデータソリューション事業につきましては、2021年7月に次世代ソリューションである「Premium Enterprise」(各端末へ広がる高度アクセス技術により、遠隔からのUFEDへの接続が可能となりました。)を発表、2021年9月には、民間向けの新しい遠隔モバイル収集システムを発表しました。これは各前線部隊からの迅速な情報収集が必要となる企業捜査、電子情報開示、サイバー不正対応において非常に有効なサービスとなります。更に、2021年10月には新しいSaaSベースの証拠管理ソリューションである「Guardian」(情報や証拠の管理、保管、共有、報告まで全てをクラウド上で完結させる事ができます。)を発表しました。今後はDigital Clues社の事業買収に伴い、Cellebrite社のソリューションポートフォリオの拡充を図ってまいります。

エンターテインメント関連事業のうち、遊技機関連事業につきましては、パチンコ・パチスロの企画から設計、映像制作、プログラムまでのトータルのコンテンツ開発と、制御基板の設計から製造までを一貫して受託しております。また、コンテンツ開発のノウハウを活かし、スマートフォン向けのパチンコ・パチスロの実機シミュレーションアプリを展開しており、実機の市場での稼働貢献、コンテンツの知名度向上を図っております。

ゲームコンテンツ事業につきましては、「上海」を中心とする既存サービスで安定した収益を維持しつつ、グローバルマーケットでの販売強化のため、モバイル分野ではハイパーカジュアルゲームに注力し、PC/コンソール分野においては有望な海外インディーズゲームとの協業によるゲーム配信を進めております。

新規IT関連事業につきましては、飲料自販機向けLTE(4G)マイグレーション戦略製品「A330」、「A900」が複数の大手飲料オペレータに採用され、既に導入開始しております。Rooster等のルータ・ゲートウェイ製品においてはデバイスマネジメントサービス「SunDMS」との連携で他社との差別化を打ち出し、売上高も堅調に推移しており、5G、エッジAIの開発を進め更なる事業拡大を進めております。また、センサーデバイス「おくだけセンサー」については実証実験から本格導入フェーズとなりました。更なる強化のため自社製センサーに限らず、他社製センサーも容易に対応可能なマルチセンサーソリューション開発を進めております。また、遠隔支援に特化した新サービス「AceReal Assist」は、クラウド型であることから、複数メーカーの最新スマートグラスに迅速に対応することができます。簡易な操作で遠隔支援が開始できるため、すぐに円滑な双方向のコミュニケーションが実現できます。今後、この「AceReal Assist」を手始めに、お客様のDXを解決すべく、新たなARソリューションを広く展開していきます。

 

=損益計算書(連結)について=

連結売上高につきましては、前期と比較してモバイルデータソリューション事業において受注が堅調に推移したことにより、全体の売上高は、372億5百万円(前期比39.5%増)となりました。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましても、上記増収の影響もあり、263億37百万円(前期比39.9%増)となり、売上総利益率は70.8%(前期比0.2pt増)となりました。

 

=販売費及び一般管理費について=

連結の販売費及び一般管理費は、249億76百万円(前期比37.7%増)となりました。主な要因は、連結子会社であるCellebrite社の上場に伴うアドバイザリー費用等の諸経費を約13億円計上したこと等によります。

当社グループでは、将来成長に向けた先行投資としての研究開発活動を重視しており、成長しているモバイルデータソリューション事業を中心に研究開発を積極的に行っております。

モバイルデータソリューション事業につきましては、継続的に新規機種・アプリ等に対応するための研究開発活動のほかに、分析システムの機能追加・改善等を重点的に取り組んでおります。またBlackBag社のPCフォレンジックとの連携等も注力しております。

エンターテインメント関連事業につきましては、厳しい業界環境を踏まえ、研究開発活動については、収益性を確認したうえで研究開発対象を厳選し、映像研究やハード開発を行っております。

新規IT関連事業につきましては、次世代通信機器の開発や「おくだけセンサー」の特定用途向けのカスタマイズ開発等を進めております。

 

=営業利益について=

連結の営業利益は、13億60百万円(前年同期は6億87百万円の利益)となり、増益となりました。これは主に、モバイルデータソリューション事業において受注が堅調に推移したことによるものです。

 

=経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益について=

連結の経常利益は、96億73百万円(前期は8億81百万円の利益)となり、増益となりました。これは営業損益の改善、為替差益34億35百万円及びデリバティブ評価益47億30百万円を計上したこと等が主たる要因です。また親会社株主に帰属する当期純利益は、28億18百万円(前期は47百万円の利益)となりました。これは、同じく損益の改善等が主たる要因です。

 

=キャッシュ・フローについて=

キャッシュ・フローの成長性につきましては、特にフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)を重視しており、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは76億53百万円の増加となりました。今後も、安全性を高められるようにビジネスモデル等も活かしながら、フリー・キャッシュ・フローの増大に取組んでまいります。

 

 

当社グループの経営陣は、事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営計画及び経営戦略を立案するように努めております。

当社グループの情報通信事業を取り巻く環境は、技術進化の著しい分野であり、市場の変化や多様化が大きく、予断を許さない状況ではありますが、高付加価値製品やソリューションをいち早く投入し、従来のフロー型ビジネスに加え、ストック型ビジネスの展開を加速していきます。更なる成長を目指し、グローバルな事業展開を図るとともに、情報通信市場へ経営資源を集中し、高い収益力を確保する企業体質の確立を図っていきます。

当社グループのエンターテインメント関連事業を取り巻く環境は、市場環境の低迷、顧客ニーズの変化が大きく、製品の優劣も大きいため、先行きは不透明な状況が続くと予想されますが、エンターテインメント性を追求した製品創りと、ノウハウを持つ通信ネットワーク技術を活かした新たな事業展開も推進していきます。

また、新市場の開拓及び新規事業の育成にも注力し、シナジー効果が見込まれるビジネスパートナーとの提携を積極的に行う等、将来の成長に向けたチャレンジを継続します。

 

(資本の財源及び資金の流動性についての分析)

a.資金需要

当社グループの運転資金需要のうち、主なものは、販売及び一般管理活動、研究開発活動のための人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。当社は特に大きく設備投資を必要とするビジネスモデルではありませんが、一方で技術変化の早い事業分野に属しており最新技術の研究開発や複数年度にまたがる受託開発、ソフトウエアの更新等のための研究開発活動に係る資金需要が生じております。

b.財務政策

当社グループは、運転資金につきましては、内部資金、短期借入金により調達することとしております。また内部資金の一部には、複数年度にわたってソフトウエアを更新するための研究開発活動のために事前に受け取る前受収益が含まれております。流動資産から流動負債を控除した運転資本につきましては、当連結会計年度の末日も含め、以前から流動資産が上回っております。

また、新型コロナウイルス感染症が一定の収束を迎えるまでの間は、手元資金残高を平常時より増やすことや資金調達時期を前倒す等により調達リスクの低減を図っていきます。それに加え今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。

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