業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの新規感染者の大幅な減少と、ワクチン接種率の上昇により、一度は落ち着きを取り戻したものの、新たな変異株の出現により、依然として先行き不透明な状況にありました。

 世界経済に目を向けると、世界的な半導体不足に端を発したサプライチェーンの乱れ、コンテナ不足やロックダウンに伴う労働力不足に起因する海上運賃の高騰、原油価格をはじめとした資源価格高騰など、市場環境はめまぐるしく変化しております。また、米ドル建てでの仕入が多い弊社にとっては、米ドルの為替変動の影響も拡大しております。

 このような環境の中、当社グループは、「“ライフスタイル・イノベーション”-ビジネスライフやホームライフにおいて、より快適で豊かな新しい価値を創造し、お客様に喜びを届ける」というスローガンを掲げ、パソコン・デジタル関連製品をテレワーク、巣ごもり需要、抗菌・抗ウイルスなどをキーワードに調理家電やアウトドアといった新たな分野にも新製品を投入し、積極的な需要の喚起を図るとともに、販売チャンネルの特性に合わせた商品調達・販売戦略の推進に取り組みました。

 これらの結果、売上高は107,358百万円(前連結会計年度比0.1%増)となり、12期連続で過去最高売上高を更新しました。また利益面においては、営業利益は13,945百万円(前連結会計年度比7.9%減)、経常利益は14,398百万円(前連結会計年度比5.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,398百万円(前連結会計年度比3.3%減)となり、各段階利益ともに過去最高利益だった前連結会計年度を下回りました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、対前期増減率は前連結会計年度に当該会計基準等を遡って適用した数値に基づいて算定しております。

 

 品目別の概況は、次のとおりであります。なお、当社グループはパソコン及びデジタル機器関連製品の開発・製造・販売の単一セグメントであるため、商品区分である品目別で概況を記載しております。

 

(パソコン関連)

 テレワークの環境改善に向けた新商品やGIGAスクール構想に伴うパソコン需要が拡大した学校向けのアクセサリの拡充を行いましたが、想定していた需要が継続しなかったことから、パソコン関連に係る当連結会計年度の売上高は、30,952百万円(前連結会計年度比7.5%減)となりました。

 

(スマートフォン・タブレット関連)

 スマートフォン向けの急速充電器やタッチペン、Apple Watch関連製品等、戦略的に投入した商品が好調であり、スマートフォン・タブレット関連に係る当連結会計年度の売上高は、19,263百万円(前連結会計年度比9.1%増)となりました。

 

(TV・AV関連)

 住宅着工件数が昨年に対して回復したことに伴い、連結子会社であるDXアンテナ株式会社の受信機器関連の売上は堅調に推移したものの、AV関連の需要が一服した影響が大きく、TV・AV関連に係る当連結会計年度の売上高は、19,259百万円(前連結会計年度比10.0%減)となりました。

 

(周辺機器)

 SSDやHDDが好調に推移したこと及び株式会社フォースメディアのグループ化や連結子会社であるハギワラソリューションズ株式会社の受注がコロナ禍からの回復に伴い、周辺機器に係る当連結会計年度の売上高は、30,266百万円(前連結会計年度比16.5%増)となりました。

 

(その他)

 連結子会社であるロジテックINAソリューションズ株式会社のカスタムPCや堅牢タブレットなどの需要が回復傾向にあった一方で、GIGAスクールの保管庫の需要減及びヘルスケア関連の需要が一服した影響により、その他に係る当連結会計年度の売上高は、7,615百万円(前連結会計年度比12.6%減)となりました。

 

b.財政状態

 当期末の資産の部は、兵庫の新物流センターやロジテックINAソリューションズ株式会社の工場への投資や自社株購入にかかる預け金などの影響で4,612百万円増加して110,621百万円となりました。

 また、負債の部は、未払法人税等が減少した一方で、物流センターの投資に係る設備関係未払金が増加し、前期末に比べ24百万円増加して29,220百万円になりました。

 純資産の部は親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことにより、前期末に比べ4,588百万円増加して81,401百万円となりました。

 以上により、自己資本比率は前連結会計年度末の72.2%から73.4%となり、強固な財務基盤が維持されています。

 当期末現在の手元現預金は42,082百万円を保有しており、高い手元流動性を確保しております。また、新型コロナウイルス感染症及び不安定な国際情勢による不透明な事業環境下においても、事業の継続性を第一義とし、引き続きM&Aや物流機能強化など弊社の成長に繋がる投資を行ってまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」という)は、営業活動の結果増加した資金が9,665百万円、投資活動の結果減少した資金が5,664百万円、財務活動の結果減少した資金が14,127百万円あったこと等により、前連結会計年度末に比べ9,790百万円減少し42,082百万円となりました。

当連結会計年度中における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果増加した資金は9,665百万円(前連結会計年度は14,797百万円の資金の増加)となりました。主な要因は、法人税等の支払額4,012百万円、棚卸資産の増加額1,535百万円があった一方で、税金等調整前当期純利益を14,030百万円計上し、売上債権の減少額2,054百万円、減価償却費2,001百万円があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果減少した資金は5,664百万円(前連結会計年度は5,107百万円の資金の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出2,935百万円、有価証券の取得による支出2,849百万円があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果減少した資金は14,127百万円(前連結会計年度は4,731百万円の資金の増加)となりました。主な要因は、自己株式の取得のための預け金の増加額5,240百万円、自己株式の取得による支出4,760百万円、配当金の支払額3,370百万円があったことによるものです。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

パソコン関連         (百万円)

747

3.9

スマートフォン・タブレット関連(百万円)

1,095

△27.7

TV・AV関連        (百万円)

2,793

△13.1

周辺機器           (百万円)

8,290

30.6

その他            (百万円)

3,670

27.1

合 計            (百万円)

16,598

13.1

 

b.製品・商品仕入実績

 当連結会計年度の製品・商品仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

パソコン関連         (百万円)

17,926

△9.4

スマートフォン・タブレット関連(百万円)

10,740

20.4

TV・AV関連        (百万円)

7,993

△0.8

周辺機器           (百万円)

13,915

3.1

その他            (百万円)

1,602

△45.4

合 計            (百万円)

52,178

△1.9

 

c.受注実績

 当社グループは、見込生産・仕入を主体としており、総販売高に占める受注生産・仕入の割合は極めて僅少のため、受注実績の記載を省略しております。

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

パソコン関連         (百万円)

30,952

△7.5

スマートフォン・タブレット関連(百万円)

19,263

9.1

TV・AV関連        (百万円)

19,259

△10.0

周辺機器           (百万円)

30,266

16.5

その他            (百万円)

7,615

△12.6

合 計            (百万円)

107,358

0.1

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱ヤマダデンキ

13,761

12.7

13,259

12.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①経営成績等の状況に関する認識及び検討内容

 当社グループはパソコン及びデジタル機器関連製品を事業領域としておりますが、これら製品に関わる分野は技術革新の進歩が早く、商品サイクルが非常に短い傾向にあります。また、競合他社との競争環境も厳しく、原材料価格の高騰等により仕入価格が上昇した場合であっても、販売価格に転嫁することが困難な可能性があります。当社グループは継続的な新製品開発と調達コストの削減に取組んでおりますが、関連分野製品の新製品開発の遅れ、為替相場の変動、原油価格や原材料価格の動向等による売上原価の上昇が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響や、半導体不足によるコスト増加、商品仕入環境の悪化、世界的な海上運賃の値上げ、国際情勢の変動に伴う急激な円安は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、基幹事業分野の開発人材の採用による開発力の強化及び継続的な調達コストの削減ならびに調達先の多様化等に取り組み、当社グループの永続的な発展を図ってまいります。

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

(棚卸資産評価損)

 棚卸資産評価損については第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

(返金負債に含まれる売上値引見込相当額)

 主要な販売先である家電量販店や代理店に対して支払うリベートや値引等について、期末時点において支払が確定していないものについて、顧客に返金すると見込んでいる対価を収益から控除して返金負債として計上しております。当該返金負債の見積りにあたっては、契約条件や過去の実績に基づく最頻値法を用いております。

 

③経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比0.1%増の107,358百万円となりました。これは主にスマートフォン・タブレット関連や周辺機器の販売を伸ばしたことによるものです。

(売上原価)

 当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度比1.8%増の67,652百万円となりました。これは主に国際的な半導体不足や資源高騰、前連結会計年度に対して円安になったことによる仕入コスト上昇によるものです。

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比0.5%増の25,761百万円となりました。これは主に展示会などの再開に伴う販売費の増加によるものです。

(営業外収益)

 当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度比286.3%増の478百万円となりました。これは主に為替差益が364百万円増加したことによるものです。

(営業外費用)

 当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度比55.6%減の25百万円となりました。これは主に前連結会計年度は株式交付費29百万円及び為替差損を15百万円計上しておりましたが、当期は発生しなかったことによるものです。

(特別利益)

 当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度比2,306.1%増の15百万円となりました。これは主に固定資産売却益を13百万円計上したことによるものです。

(特別損失)

 当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度比741.6%増の383百万円となりました。これは主に減損損失229百万円及び関係会社株式売却損116百万円を計上したことによるものです。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 前述の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比3.3%減の10,398百万円となりました。

④ 財政状態の分析

 財政状態の分析に関する情報については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態」に記載のとおりです。

⑤ キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析に関する情報については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

⑥ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの事業活動における運転資金の主なものはパソコン及びデジタル機器関連製品に関わる仕入代金及び販売費及び一般管理費があります。また、設備投資需要としては新製品の金型投資や情報処理のための無形固定資産投資等があります。

 当社グループはそれらの資金需要に対応するため、内部留保を蓄積することで流動性を確保することとしております。また、重要な資本的支出やM&A等により多額の資金需要が生じた場合の財源としては、金融機関からの借入や新株及び社債の発行等により資金の調達を行うこととしております。

 

⑦ 新型コロナウイルス感染症の影響についての分析

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大があったもののテレワーク需要の拡大などがあり、当社グループに与える影響は限定的なものとなりました。また、新型コロナウイルスの新規感染者の大幅な減少と、ワクチン接種率の上昇により、経済活動の再開が徐々に進み、当社グループの業績は堅調に推移するものと予測され、その前提に基づき会計上の見積り(主として、繰延税金資産の回収可能性等)を実施しております。

 

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