(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態および経営成績の状況
a.経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に発出され、個人消費の落ち込みが見られました。また半導体不足等による影響も企業収益を悪化させ、経済活動の停滞が懸念され先行きの不透明感が継続しております。
このような環境の下で、当社グループは前期より開始した2022年を目標年次とする中期経営戦略「5G&Beyond」を進めております。5GおよびBeyond5Gも視野においた戦略5ゴールを設定し、それらを通じた成長ユースケースで生み出す粗利金額の倍増を目標とし、また更に戦略5ゴール目標を超えた長期成長に向けたスマート・コネクティビティによるソリューションの提供に取り組んでおります。
当連結会計年度の売上高は、LSI事業では主に国内および中国市場を中心とした海外市場向けにおいて急速な回復と成長を実現し、前期比111.6%の増加(新型コロナウイルス感染症拡大の影響以前の前々期比とほぼ同水準)となりました。一方、AIOT事業では一部顧客向けの製品出荷の後倒しや計画の見直し等の影響により当初の見込みを下回って推移しました。これらの結果、当連結会計年度の売上高は、44億41百万円(前期比54.2%増)となり、売上総利益は25億49百万円(前期比74.6%増)となりました。
セグメント別の状況
当社グループは、LSI事業とAIOT事業を事業セグメント区分としております。
なお、セグメント間の取引を相殺消去後の金額で記載しております。
(単位:百万円)
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2021年12月期 |
2020年12月期 |
増減率(%) |
LSI事業 |
売上高 |
3,419 |
1,616 |
111.6 |
営業利益 |
566 |
△682 |
- |
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AIOT事業 |
売上高 |
1,021 |
1,263 |
△19.1 |
営業損失(△) |
△80 |
△25 |
- |
|
のれん償却前 営業利益 |
49 |
105 |
△53.0 |
|
合計 |
売上高 |
4,441 |
2,879 |
54.2 |
営業利益 |
485 |
△707 |
- |
(LSI事業)
当連結会計年度のLSI事業の売上高は、厳しい環境下ながらも営業と生産を一体とした事業運営の下、前期の落ち込みから急速に回復し、計画を上回る成長を実現しました。成長トレンドにある産業機器市場および車載市場での成長もあり、半導体製造が過去に例を見ないほど逼迫する状況においても新型コロナウイルス感染症拡大以前の2019年(前々期)とほぼ同水準まで回復することができました。
産業機器市場向けビジネスは、前期苦戦したOA機器向けおよびアミューズメント機器向けの製品出荷が厳しい環境下ながらも大幅に改善しました。また、海外市場向けにおける産業機器市場のトレンドを捉え、中国・台湾・韓国等のアジア市場および北米市場向けの出荷が好調な伸展となった他、グローバルECサイトを活用した小型4Kカメラ等のキット製品(新規設計不要で直ちに使用可能な製品)を販売しました。これらの結果、同市場向けの売上高は、LSI事業の売上全体の65%を占め、前期比では128%増と大幅に増加しました。
車載機器市場向けビジネスは、LSI事業の売上全体の24%を占めております。国内市場およびEV化が進む中国市場を中心とした海外市場向けの車載純正品市場およびアフター市場向けともに当社の高速情報伝送用LSI製品の出荷が増加し、前期比91%増の大幅な増加となりました。
民生機器市場向けビジネスは、LSI事業の売上全体の11%を占めております。主にアジア市場向けの製品出荷が堅調に推移したことに加え、中国の高精細テレビ市場向けに当社独自技術V-by-One®HS技術のライセンス料収入を得ることができたこと等により前期比66%増となりました。
これらの結果、LSI事業全体の売上高は34億19百万円(前期比111.6%増)、売上総利益は21億47百万円(前期比113.8%増)となりました。
当連結会計年度においては、前期より引き続き新しい市場ニーズに対応した研究開発を積極的に実施しました。車載カメラ、医療用カメラ、AI用カメラ等のニーズに対応するための高速インターフェースV-by-One®HS新製品ラインアップや同技術を活用した画像処理ソリューションの開発、5Gを遥かに超える次世代高速無線通信技術の開発等を行い、研究開発費7億33百万円を計上しました。
これらの結果、LSI事業の当連結会計年度における営業利益は5億66百万円(前期は営業損失6億82百万円)となりました。
(AIOT事業)
当連結会計年度のAIOT事業の売上高は、一部の顧客向けの製品出荷の後倒しや計画見直し等により通信モジュール製品の出荷が計画を下回って推移した一方、昨年より継続してゲート型やサイネージ型の非接触型AI顔認証検温システムを販売し、新たに新型コロナワクチン対応のIoT温度監視システムの販売を開始しました。これらの結果、AIOT事業の売上高は10億21百万円(前期比19.1%減)、売上総利益は4億1百万円(前期比12.0%減)となりました。
当連結会計年度においては、AI・IoTを活用する新ニーズの拡大や第5世代移動通信(5G)による新しいアプリケーション市場の拡大を見据えたAI・IoTソリューションの開発に取り組み、エッジAI処理用モジュール製品の開発、新型コロナワクチン対応IoT温度監視システム開発や通信型ドライブレコーダなどに向けた研究開発を行い、全体として研究開発費68百万円を計上いたしました。また、同事業のM&A取得に伴うのれんの償却額として1億30百万円等を計上しました。
これらの結果、AIOT事業の当連結会計年度における営業損失は80百万円(前期は営業損失25百万円)となりました。なお、前述ののれん償却前の営業利益は49百万円(前期はのれん償却前営業利益1億5百万円)となります。
※「V-by-One」はザインエレクトロニクス株式会社の登録商標です。
b.財政状態
当連結会計年度における資産合計は、現金及び預金、売掛金、棚卸資産および繰延税金資産が増加した一方、投資有価証券の減少およびのれんの償却等により、前連結会計年度末と比較して10億80百万円の増加となりました。また、負債合計は、買掛金および未払法人税等の増加等により3億23百万円の増加となりました。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上および配当金の支払い等により7億57百万円の増加となりました。
これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、89.4%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益を7億34百万円計上した一方、売上債権が2億72百万円増加したことおよび棚卸資産が2億37百万円増加したこと等により、3億57百万円のプラスとなりました。(前期は5億20百万円のマイナス)
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、投資有価証券の売却による収入等により5億13百万円のプラスとなりました。(前期は21億7百万円のプラス)
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、配当金の支払い等により89百万円のマイナスとなりました。(前期は97百万円のマイナス)
これらの結果により、現金及び現金同等物は全体として10億11百万円増加して、当連結会計年度末残高は77億43百万円となりました。当社グループとしては、機動的な研究開発リソースの確保やM&Aの機会に迅速に対応できるよう内部留保を厚くする方針であり、資金運用に関しても流動性を重視した運用を行うこととしております。
③生産、受注および販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前期比(%) |
LSI事業(千円) |
963,905 |
225.1 |
AIOT事業(千円) |
- |
- |
合計 |
963,905 |
225.1 |
(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 金額は、製造原価によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前期比(%) |
LSI事業(千円) |
308,023 |
151.9 |
AIOT事業(千円) |
689,609 |
83.3 |
合計 |
997,633 |
96.8 |
(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当社グループは、一部、受注生産を行っておりますが、基本的には販売先から入手するフォーキャストに基づく見込生産を行っておりますので、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前期比(%) |
LSI事業(千円) |
3,419,929 |
211.6 |
AIOT事業(千円) |
1,021,815 |
80.9 |
合計 |
4,441,745 |
154.2 |
(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間の取引については相殺消去しております。
3 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社マクニカ |
753,045 |
26.2 |
1,361,011 |
30.6 |
加賀電子株式会社 |
- |
- |
544,091 |
12.2 |
マイクロサミット株式会社 |
349,745 |
12.1 |
- |
- |
(注)1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 前連結会計年度の加賀電子株式会社の販売実績および総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満ですので、記載を省略しております。
3 当連結会計年度のマイクロサミット株式会社の販売実績および総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満ですので、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および会計上の見積りと当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを実施しております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針および会計上の見積りと当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)および注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績等に関する分析
イ.経営成績
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績」に記載のとおりであります。
ロ.財政状態
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態」に記載のとおりであります。
ハ.キャッシュ・フローの状況
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは半導体業界の常に新しい技術が創出され技術の陳腐化の早い環境下にあり、この環境の変化に対応するため、機動的な研究開発リソースの確保やM&Aの機会に迅速に対応できるよう内部留保を厚くし、資金の流動性を高く維持する方針としております。
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