当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた前年度に比べ、ワクチンの普及に伴う行動規制緩和等から経済活動が拡大し、各主要国の実質GDPも回復基調となりました。
しかしながら、部品調達難や物流の混乱などの供給制約に加え、期後半には地政学リスクが高まり、エネルギー・資源価格の上昇によるインフレ加速、それに対する金融政策から急激な円安が進行し、不透明感が高まりました。
当社の関連するエレクトロニクス市場においても、携帯機器市場では中国市場において生産調整が生じたほか、自動車市場では半導体不足やサプライチェーン寸断による減産の影響を受けたものの、経済回復やデジタル化の進展を背景に需要の拡大基調が続きました。さらに、産業機器市場では国内外の設備投資回復を背景に需要が拡大しました。
このような状況のもと当社グループは、主力のコネクタ事業を中心に積極的なグローバルマーケティングと新製品開発活動のスピードアップによる受注・売上の拡大を図るとともに、内製化の更なる強化によるコストダウン、設備効率化及び諸費用抑制など経営全般にわたる効率化を推進し業績向上に努めました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、2,250億79百万円(前連結会計年度比107%)、利益面においては、売上増加に加え、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた前年から操業度が回復したことから、営業利益180億49百万円(前連結会計年度比207%)、経常利益185億94百万円(前連結会計年度比236%)、親会社株主に帰属する当期純利益143億25百万円(前連結会計年度比252%)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① コネクタ事業
携帯機器分野においては、中国スマートフォン顧客向け需要が増加しましたが、外部調達品を多く含む特定製品の需要が減少しました。自動車分野においては、一部で半導体供給不足等による減産の影響を受けたものの、堅調な需要が継続しました。加えて産機・インフラ分野においても設備投資需要の拡大を捉えて好調に推移したことから、当連結会計年度の売上高は1,982億61百万円(前連結会計年度比107%)、セグメント利益は203億92百万円(前連結会計年度比168%)となりました。
② インターフェース・ソリューション事業
自動車分野において半導体供給不足等による減産影響から需要が減少しましたが、産機分野における工作機械や産業用ロボット向け操作パネルの需要が増加したことから、当連結会計年度の売上高は107億55百万円(前連結会計年度比107%)、セグメント利益は4億9百万円(前連結会計年度比270%)となりました。
③ 航機事業
半導体製造装置向け製品の需要が増加したことに加え、原油価格の上昇に伴い、油田掘削向け製品の需要が回復したことから、当連結会計年度の売上高は152億51百万円(前連結会計年度比115%)、セグメント利益は16億28百万円(前連結会計年度比560%)となりました。
財政状態の状況は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、物流費抑制のための船便化の推進及び収益認識に関する会計基準等の適用による有償支給取引の計上に伴う棚卸資産の増加により、前連結会計年度末に比べ52億77百万円増加の2,253億43百万円となりました。
負債は、未払法人税等が増加したほか、有償支給取引に係る負債の計上がありましたが、借入金の約定返済及び仕入債務の減少により、前連結会計年度末に比べ105億50百万円減少の674億55百万円となりました。
純資産は、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び円安による為替換算調整勘定の増加により、前連結会計年度末に比べ158億28百万円増加の1,578億87百万円となり、自己資本比率は、70.0%となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加や仕入債務の減少に加え、法人税等の支払いによるマイナス要因はありましたが、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上により、244億32百万円のプラス(前連結会計年度は291億14百万円のプラス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主として新製品生産用設備を中心とする有形固定資産取得による支出などから、202億85百万円のマイナス(前連結会計年度は188億2百万円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済及び株主配当金の支払いにより、99億85百万円のマイナス(前連結会計年度は154億54百万円のプラス)となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ45億27百万円減少の655億59百万円となりました。
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績、受注実績及び販売実績は、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価額によっております。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
「(経営成績等の状況の概要) (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
「(経営成績等の状況の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社の運転資金需要の主な内訳は、当社グループ製品の新製品開発及び製造のための材料及び部品の購入のほか、労務費、製造経費、販売費及び一般管理費等であります。また、設備資金需要の主な内訳は、新製品開発、製造及び生産性向上、品質向上のための設備投資と当社グループの永続的な発展のための投資であります。
こうした資金需要に対し当社グループは、グローバルマーケティングの強化及び技術開発力の強化による受注・売上の拡大と環境・品質を重視した競合に負けない物づくりを積極的に推進し、営業キャッシュ・フローの創出に努めております。
更に、財務対策として売上債権の流動化等、資金調達の多様化並びに資産の効率化を推進しているほか、グループ資金調達リスクの回避及び資金コストの低減を図るため、コミットメントライン契約による資金調達枠の確保、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)導入によるグループ内資金の効率化など様々な対策を講じております。
当社グループは、2025年度を最終年度とする5ヵ年中期経営計画を策定し、売上高3,000億円、経常利益300億円の経営目標を掲げております。
中期経営計画の1年目となる当連結会計年度において、目標値に対する実績値は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度は、「(経営成績等の状況の概要) (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおり、主力のコネクタ事業において、自動車分野及び産機・インフラ分野の堅調な需要を背景に進捗したことから、当連結会計年度の目標を上回る結果となりました。
中期経営計画の2年目となる翌連結会計年度は、売上高2,450億円、経常利益190億円を目標値として設定し、売上高において携帯機器分野で現状を維持するとともに、自動車分野及び産機・インフラ分野において二けた成長を目指してまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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