文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「プロの厳しい基準にかなう高い専門性を追求し、徹底した市場細分化と創造的な商品開発により、人間社会の《音によるコミュニケーション》に貢献する国際企業をめざす」という企業目的のもとで、
・顧客が安心して使用できる商品をつくる。
・取引先が安心して取引きできるようにする。
・従業員が安心して働けるようにする。
の「三つの安心」を経営基本方針として、創業以来一貫して、事業を進めてまいりました。また、当社グループは社会の公器として、顧客・株主・取引先・従業員など、全てのステークホルダーの信頼と期待にお応えできるよう日々、経営を行っております。
2023年3月期の連結業績目標として、売上高44,000百万円、営業利益2,900百万円、経常利益3,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,250百万円を経営指標に設定しております。
また、2026年3月期を最終年度とした中期経営基本計画の連結業績目標として、連結売上高52,000百万円、連結営業利益4,500百万円、ROIC(投下資本利益率)6~7%を経営指標に設定しております。
当社グループでは、企業価値を「Smiles for the Public -人々が笑顔になれる社会をつくる-」と定め、人々の集まりである「Public(社会)」に対し、「安心・信頼・感動」という価値を提供することで、人々の「Smiles(笑顔)」を実現することを目指しております。
その実現に向け当社グループは、お客さまに選ばれる良い音体験の継続的提供を通じ、社会課題の特定、解決、改善の一連のサイクルをお客さまと共に実現してゆく頼れるパートナーとして2030年を見据えた経営ビジョン「Dr. Sound -社会の音を良くするプロフェッショナル集団- になる」(以下、経営ビジョン2030)を掲げております。
当社グループの企業価値を将来に渡り実現していくにあたっては、「Public(社会)」において今後も当社グループの強みである「音の報せる力」の果たすべき役割・責任は大きいものと認識しております。また、今後においては、これまで当社グループが提供してきた屋内外の各種環境や人々の多様性に応じた「聴こえる音、聴き取り易い音」に加え、私たちを取り巻くパブリック空間の音=「社会の音」がもたらす人々の「安心・信頼・感動」の体験そのものの創出に、よりアプローチできる価値の実現・提供が重要になると考えています。
具体的には、今後より多様化・複合化が進むパブリック空間において、日々刻々と変化する用途・目的に応じた 最適な音環境をタイムリーに提供するために、人々を見守る目としてのカメラ端末のエッジセンシングや各種官民データの活用のもと、当社グループが培ってきたエンジニアリング・ノウハウとAI技術を組み合わせることで、最適なソリューションやコンテンツの提供の自動化・自律化を進めてまいります。
加えて、将来的にはパブリック空間の音とその音が人々にもたらす様々な効果との相関についても実証を重ねることでノウハウを蓄積し、人々の体験がより良いものへと常に進化していくことができるプラットフォームとして「つながるビジネス」を進化させてまいります。
こうした取組みは、これまで当社グループが培ってきた音の明瞭化技術や音と映像の遠隔伝送・制御技術、さらに各現場環境に応じこれら技術をお客さまの体験として最適化するエンジニアリング・ノウハウが基盤となることに加え、その展開において各地域・マーケットに根差した活動を進めてきた当社グループだからこそ実現できるものと考えます。
同時にこの様な活動を進めて行く上では、パブリック空間の形成に関わる各関与者と一体となってお客さまの体験向上に努めていくことが重要と考えており、これまで以上に産学官との共創や連携を深めてまいります。
一方で、こうした成長を着実に遂げていくためには、その成長の原資となる収益を持続的かつ安定的に創出していく必要があり、そのベースとなる商品の収益力向上に向け、これまで培ってきたグローバルで地域に密着したマーケティング力のもと、本社、生産事業場、各地域事業部連携による開発体制を強化させ、商品の企画開発の推進およびグローバル全体での商品ラインナップの最適化に取組んでまいります。
経営ビジョン2030実現に向け、その中間地点となる2026年3月期を最終年度とした中期経営基本計画を策定いたしました。
中期経営基本計画のうち前半の2022年3月期から2023年3月期を加速する環境変化のスピードに適応できる組織に変革し収益力と競争力を高め、新たな成長基盤の足掛かりを築くためのフェーズと位置づけ、体質強化と成長分野となる新たな音の価値の探索と創造を推進しております。
具体的には、様々なフィールドにおける実証実験を通じ、“音の報せる力”の効果検証、価値向上にも取組んでまいりました。青森県深浦町において防災用屋外放送の長期観測を開始し、地形や気象など、様々な環境条件下でも最適な防災用屋外放送を実現する手法を探索するほか、KOBEモビリティフィールドにおいて、今まで蓄積した屋内・屋外空間でのノウハウを活かし、国産ドローンを活用した新たな情報発信の検討を行うなど、新たな音の価値探索につとめてまいりました。
後半の2024年3月期から2026年3月期においては、これらの取組みの成果を最大限に発揮することで、付加価値をより拡大させ、強いマーケット基盤を構築し収益力を高めるとともに、次期中期経営基本計画以降の成長エンジンとなる新たな音の価値への投資を継続し、それらを提供するマーケットの創造を開始している姿を目指します。
また、中期経営基本計画において一連の取組みをより効率的に、着実に推進するため、ビジネスのデジタルシフト推進と人材育成に注力してまいります。
人材育成においては、積極的な対話を通じた信頼関係の醸成、多様性を活かすための人材配置や仕組みづくり、安心して働ける環境の整備を進めるとともに、デジタル技術を有効に活用できる人材の育成により付加価値向上および生産性向上を実現してまいります。
さらに、サステナビリティへの取組みにおいては、SDGsをはじめ、全世界が持続可能な社会へ向けて取組みを加速させる中、当社グループの果たすべき役割・責任は更に大きくなるものと認識しております。中期経営基本計画においても、これまでの取組みを進化させながら、社会課題解決に向けた新たな価値をお客さまと共に生み出し続け、「社会の音を良くする」活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
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