当企業集団における研究開発活動は、連結財務諸表を作成する当社(日本セグメント)及びIcom America Inc.(北米セグメント)が行っています。当連結会計年度の研究開発費は、
・既存無線通信機器
一昨年の旭化成社工場の火災に伴う主要部品の終息への対応として、主力既存製品の部品代替え検討に合わせ、各種機能の向上に取り組みました。
発売後、市場より寄せられた製品への要望等の取り込みに加え、設計変更に伴うコストダウンなど売れ筋機種を中心に製品のバージョンアップに注力しました。
・陸上業務用無線通信機器
近年高まってきたIP無線機への需要をさらに獲得するために、ハイブリッドトランシーバーIP700の海外展開や無線LANネットワーク上で動作する無線LANトランシーバーIP110Hの開発及び発売をしました。
IP110Hは、電話のように双方向で話ができる同時通話に対応しています。IPネットワーク上の無線LANアクセスポイントを経由して通信します。無線LANアクセスポイントを増設することで手軽にトランシーバーの通信範囲を拡張でき、入り組んだ建物内や、高層階と低層階、地下など、従来のトランシーバーでは電波が届きにくく、通話しにくい場所での通信にも最適です。また、VPN回線を利用した離れた拠点との通信や、VE-PG4(別売)などの通信拡張ユニットを使用した、従来の無線機やIP電話(内線/外線)との連携も可能、Bluetooth® 機能を利用することにより、ヘッドセットとトランシーバー間をワイヤレスで通信でき、より高い機動性とスタイリッシュな運用を実現します。さらに、重要な連絡や情報を再確認できる「録音再生機能」、緊急状況の伝達に役立つ「Lone Worker」、「マンダウン機能」を搭載し、業務に役立つ機能が充実しています。
・アマチュア用無線通信機器
「ICOM SHF Project ~SHF帯への挑戦~」をテーマに掲げ、2.4GHz、5.6GHz帯に対応するアマチュア無線機の開発に着手しました。
多大なケーブル損失、求められる高次元の周波数安定度など、SHF帯ゆえの数々の難題に、アイコムの技術者が一致団結し、研究、開発に取り組んでいます。そして、最終的には製品として市場への投入を目指しています。これまでは機材、技術的にハードルが高かったSHF帯を、誰もが気軽に運用できるバンドにするために、そしてアマチュア無線の新しい楽しみと可能性を示すために、アイコムは誰も想像しなかったSHF帯への対応という画期的なアマチュア無線機の開発を進めています。
・海上用無線通信機器
スマートフォンから操作が可能な国際VHFトランシーバー IC-M510の開発及び発売をしました。
本機の最大の特長は、スマートフォンに対応アプリ(iOS®/Android®)をインストールすることで、スマートフォンから本機の操作や通話ができることです。本機1台につき、最大3台までのスマートフォンを無線LANで接続することができ、本機を設置したコックピットからだけではなく、船のフロントデッキやベッドルーム、フライブリッジなどから他船と通話することができます。さらに、スマートフォンと本機間でインターカムとして通話することも可能です。また、AIS(船舶自動識別装置)受信機能や簡易ナビゲーション機能を搭載したほか、見やすいカラーディスプレイや騒音下でも安心の大音量スピーカー、防塵・防水性能(IP68)など、基本性能も充実し、手元で多彩な操作が可能なスピーカーマイク(コマンドマイク®)にも対応しています。
外部機器との連携でも、無線LAN機能が活躍。NMEA2000™対応の外部機器や外付けスピーカーが接続されたインターフェースボックスCT-M500(オプション)と本機を無線LAN接続できるので、機器を設置する場所の自由度も高まります。
※世界3大デザイン賞のひとつとされ国際的に権威のある「iFデザインアワード2022」を「プロダクト」分野で受賞しました。
https://ifdesign.com/en/winner-ranking/project/icm510/332858
・航空用無線通信機器
国内で一般競争入札にて落札した防衛省向け無線通信機器の開発をしました。
本機は、航空自衛隊の各基地に設置され、地上局(車両や管制塔など)と航空機間の相互通信を行う為の無線機器です。従来、自社で保有していた航空用無線通信機器のノウハウに加え、自衛隊で使用するための高い品質基準を満たした製品です。
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