(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、当連結会計年度の損益及び利益剰余金の期首残高に与える影響はありません。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の当社が属するプリント配線板業界は、新型コロナウイルス感染症の影響長期化や半導体不足、主材料等の価格高騰など、先行き不透明な状況が続きましたが、国内外共に経済活動の再開等により需要が回復し、総じて好調に推移しました。
このような環境の中、当社グループの国内の状況は、プリント配線板事業において、LED照明等の家電製品や自動車関連分野の受注が回復し、第4四半期に入り足踏みしたものの、前年同期比増収となりました。
実装関連事業は、主力の航空機や産業機器向けの受注は回復傾向にあるものの、上期の受注低迷の影響が残りました。これらの結果、国内の売上高は、プリント配線板事業の好調により、前年同期を上回りました。
海外においても、需要の回復が続き、中国では自動車関連、家電製品、事務機分野の受注が、インドネシアでは自動車関連、オーディオ等の音響機器分野の受注が好調に推移し、海外の売上高は前年同期を大きく上回り、コロナ禍以前の水準まで回復しました。また、今期からベトナムでは自動車関連分野を中心に売上を計上しております。これらの結果、連結売上高は21,337百万円(前年同期比23.1%増 4,002百万円の増収)となりました。
利益面は、主材料等の価格高騰やベトナム子会社の生産開始に伴う減価償却費等の固定費が増えたものの、大幅な増収と前期より推進している生産性向上策や業務効率化等の経営体質強化の結果、営業利益は478百万円(前年同期比385.0%増 380百万円の増益)、経常利益は513百万円(前年同期比221.4%増 353百万円の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は289百万円(前年同期比 424百万円の増益)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(日本)
プリント配線板事業は、LED照明等の家電製品や自動車関連分野の受注が回復し、前年同期比増収となりました。実装関連事業は、主力の航空機や産業機器向けの受注は回復が見られたものの、これまでの受注低迷の影響が残りました。これらの結果、プリント配線板事業の好調により、売上高は9,647百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比6.7%増 605百万円の増収)、セグメント利益(営業利益)は増収及び生産性向上策や業務効率化による経費削減の結果、239百万円(前年同期比 298百万円の増益)となりました。
(中国)
プリント配線板事業は、自動車関連、家電製品、事務機分野の受注回復により、売上高は11,403百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比32.9%増 2,821百万円の増収)、セグメント利益(営業利益)は大幅な増収及び生産性向上等の業務効率化の結果、644百万円(前年同期比36.1%増 170百万円の増益)となりました。
(インドネシア)
プリント配線板事業は、自動車関連やオーディオ等の音響機器分野の受注が回復したことにより、売上高は2,034百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比38.1%増 561百万円の増収)、セグメント利益(営業利益)は増収の結果、14百万円(前年同期比 95百万円の増益)となりました。
(メキシコ)
プリント配線板事業の受注回復と搬送用治具事業が堅調に推移したことにより、売上高は85百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比29.2%増 19百万円の増収)、セグメント利益(営業利益)は増収の結果、5百万円(前年同期比 16百万円の増益)となりました。
(ベトナム)
プリント配線板事業は、今期より販売を開始し、自動車関連分野を中心とした受注により、売上高は588百万円(セグメント間の内部取引高を含む、前年同期比 588百万円の増収)、セグメント損失(営業損失)は生産開始に伴う減価償却費等の費用増加により422百万円(前年同期比 177百万円の減益)となりました。
また、財政状態につきましては、当期連結会計年度末の総資産は20,894百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,008百万円増加しました。当連結会計年度末の負債合計は13,499百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,047百万円増加しました。当連結会計年度末の純資産合計は7,395百万円となり、前連結会計年度末に比べ961百万円増加しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度より197百万円減少し、3,161百万円となりました。各活動別のキャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少額は、1,018百万円(前年同期は291百万円の増加)となりました。これは主に棚卸資産の増加1,778百万円、減価償却費850百万円、仕入債務の減少173百万円、売上債権の増加103百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少額は、698百万円(前年同期は2,218百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出593百万円、投資有価証券の取得による支出110百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加額は、1,338百万円(前年同期は524百万円の増加)となりました。これは主に短期借入金の純増加1,437百万円、長期借入金の返済による支出315百万円、長期借入れによる収入274百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。
(注) 1. 上記金額は、販売価格で表示しております。
2. 上記金額は、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。
(注) 1. 上記金額は、販売価格で表示しております。
2. 上記金額は、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。
(注) 上記金額は、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、2022年3月期を初年度とする5か年の中期経営計画を策定し、中期経営ビジョンの実現のため、基本戦略と6つの重点戦略の推進により、最終年度の2026年3月期に売上高300億円、営業利益16億円、営業利益率5.3%、ROE(自己資本利益率)10%の達成を目標としております。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、プリント配線板事業において、国内外とも経済活動の再開等により需要が回復、主力の自動車関連や家電製品分野の受注が大幅に増加しコロナ禍以前の水準まで回復しました。実装関連事業においては、主力の航空機や産業機器向けの受注は上期低迷の影響が残りました。結果、21,337百万円(前年同期比23.1%増 4,002百万円の増収)となりました。
なお、セグメント別の売上高につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(営業利益及び営業利益率)
当連結会計年度における営業利益は、大幅な増収と前期より推進している生産性向上策や業務効率化等の経営体質強化の結果、営業利益は478百万円(前年同期比385.0%増 380百万円の増益)、営業利益率は2.2%(前年同期比1.6%増)となりました。
(ROE(自己資本利益率))
当連結会計年度におけるROEは、増益のため4.3%(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失のためマイナス値)となりました。
引き続き経営目標達成に向け、各経営指標の向上に取り組んでまいります。
財政状態の分析
(総資産)
当連結会計期間末における流動資産は、受取手形及び売掛金の増加492百万円、物流の混乱に伴い安定供給のための製品の増加1,242百万円、同じく安定調達のための原材料及び貯蔵品の増加634百万円等を主因に2,620百万円増加し、13,715百万円(前連結会計年度末は11,094百万円)となりました。
当連結会計年度末における固定資産は、有形固定資産の増加414百万円等を主因に387百万円増加し、7,178百万円(前連結会計年度末は6,790百万円)となりました。
(負債)
当連結会計期間末における流動負債は、短期借入金の増加1,856百万円等を主因に2,139百万円増加し、9,675百万円(前連結会計年度末は7,536百万円)となりました。
当連結会計年度末における固定負債は、長期借入金の減少125百万円等を主因に91百万円減少し、3,824百万円(前連結会計年度末は3,915百万円)となりました。
(純資産)
当連結会計期間末における純資産は、主に利益剰余金の増加289百万円、為替換算調整勘定の増加659百万円等により、7,395百万円(前連結会計年度末は6,433百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
(財務戦略の基本方針)
当社グループの財務戦略の基本方針は、「持続的成長に向けた集中と選択による投資」、「自己資本の強化」、「持続的、積極的な株主還元」としており、成長の実現と資金効率のバランスを考慮したうえで、企業価値の向上に努めております。
特に、将来の成長事業であるベトナムへの優先投資を進め、早期収益化による投資回収と事業間の効率的な資源配分により、成長実現に向けたキャッシュ・フロー経営を推進いたします。
(資金需要)
当社グループは、財務戦略の基本方針に則り、直接金融又は間接金融の多様な手段の中から、財務体質や金融市場の状況を踏まえた適切な手段により資金調達を行っております。
主な短期的資金需要は営業活動上の運転資金であり、長期的資金需要は将来の成長事業であるベトナムへの設備投資を継続して見込んでおります。
また、複数の取引銀行とのコミットメントライン契約を更新し、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴う経済環境の悪化など不測に備えておりますが、当該契約に基づく借入実績はありません。
資金運用につきましては、短期的な預金等に限定しており、内部留保金につきましても中長期的な経営戦略を推進するため、既存事業の充実と強化を目的とした投資とともに、新規事業の発掘や育成を行うための投資に活用してまいります。
当連結会計年度におきましては、営業活動として、物流の混乱に伴い安定供給のための製品の増加、同じく安定調達のための原材料及び貯蔵品の増加が生じた結果、棚卸資産の増加によるキャッシュ・フローの支出は1,778百万円、投資活動として、主にベトナム子会社の増産を目的とした設備投資を行った結果、有形固定資産の取得によるキャッシュ・フローの支出は593百万円、財務活動として、短期借入金の純増は1,437百万円、長期借入れによる収入は274百万円、長期借入金の返済によるキャッシュ・フローの支出は315百万円となりました。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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