業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、設備投資の増加や雇用環境の改善などにより、緩やかな回復基調で推移したものの、年明けからの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、外出自粛や店舗の閉鎖が行われ、原材料の調達や製造物流等が滞り、企業の事業活動に大きな影響を受けました。

 また世界経済では、この新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、各国で出入国規制や外出制限、店舗の閉鎖等が行われ、消費が減退するなど、世界経済に大きな影を落とし、その先行きに不透明感が増している状況にあります。

 このような状況下、当社グループは、システム事業と事務機器事業をメインに不動産事業を加え、3事業を柱に、事業の効率化、利益体質への改善に努めてまいりました。

 その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、事務機器事業及び不動産事業の連結売上高が前期比で若干の減収となったものの、システム事業が増収となったことから、連結売上高は、3,153百万円(前期比4.9%増)となりました。

 利益面につきましても、システム事業においては、産業用ロボット関連及び医療系装置関連の組込みシステム開発に注力してきたことに加え、IoT関連、ビッグデータ関連やAI関連の受注が堅調に推移したことにより連結営業利益は393百万円(前期比11.4%増)、連結経常利益は395百万円(前期比12.6%増)となりました。

 また、特別利益として、9百万円の投資有価証券売却益を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は257百万円(前期比29.8%増)となりました。

 

 セグメント別の業績は、以下のとおりであります。

(イ)システム事業

 システム事業は、産業用ロボット関連及び医療系装置関連の組込みシステム開発に注力するとともに、ⅠTインフラとしてクラウド関連、特にAWS案件を中心にⅠT基盤設計・構築を拡大しております。

また、IoT関連、ビッグデータ関連やAI関連の受注が堅調に推移したことにより、IT基盤の設計・構築サービス、組込み及び業務系アプリケーション開発のそれぞれの分野で売上が拡大いたしました。

 これにより、システム事業の連結売上高は2,249百万円(前期比9.5%増)となりました。セグメント利益(連結経常利益)につきましても、注力顧客や成長分野でのリソースの選択と集中に力を入れて取り組んだことにより、281百万円(前期比13.1%増)となりました。

 

(ロ)事務機器事業

 事務機器事業は、子会社のニッポー㈱が、「NIPPO」ブランドのオフィス用事務機器を製造、販売しております。例年は、第4四半期に業績を大きく伸ばしておりましたが、今期は、第4四半期に新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、これにより事務機器事業の連結売上高は、772百万円(前期比5.0 減)と低迷しました。

 しかし、ここ数年実施してまいりました構造改革や原価の低減等により、事務機器事業の収益は大きく改善され、セグメント利益(連結経常利益)は、64百万円(前期比48.3 増)となりました。

 

(ハ)不動産事業

 不動産事業は、所有賃貸不動産の稼働率維持に努めてまいりましたが、一部不動産の契約満了により不動産事業の連結売上高は130百万円(前期比5.5 減)となりました。

 また、セグメント利益(連結経常利益)は、49百万円(前期比16.1%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ477百万円増加し、1,325百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(イ)営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動の結果得られた資金は291百万円(前連結会計年度は436百万円の収入)となりました。増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益403百万円、減価償却費31百万円、売上債権の減少額17百万円等であり、減少の主な内訳は、法人税等の支払額110百万円等であります。

 

(ロ)投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動の結果得られた資金は81百万円(前連結会計年度は15百万円の収入)となりました。収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入111百万円等であり、支出の主な内訳は、敷金及び保証金の差入による支出16百万円等であります。

 

(ハ)財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動の結果得られた資金は104百万円(前連結会計年度は187百万円の支出)となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入300百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出153百万円、配当金の支払額41百万円等であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(イ)生産実績

 事務機器事業につきましては、親会社の子会社である北部通信工業㈱にて製造委託を行なっており、生産実績について特記すべき事項はありません。

 システム事業につきましては、技術支援によるものであるため、生産実績において特記すべき事項はありません。

 

(ロ)受注実績

 事務機器事業につきましては、受注見込みに基づく生産計画により親会社の子会社である北部通信工業㈱にて製造委託を行っており、受注実績について特記すべき事項はありません。

 システム事業につきましては、技術支援によるものであるため、受注実績において特記すべき事項はありません。

 

(ハ)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

システム事業(千円)

2,249,600

9.5

事務機器事業(千円)

772,815

△5.0

不動産事業(千円)

130,638

△5.5

合計(千円)

3,153,054

4.9

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

当連結会計年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社シーイーシー

278,340

9.3

324,543

10.3

株式会社日立情報通信エンジニアリング

183,418

6.1

354,430

11.2

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループ(当社及び連結会社)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の結果と異なる場合があります。

 当社グループの当連結会計年度は、事務機器事業において新型コロナウイルス感染症の影響により第4四半期に連結売上高が低迷しました。また、2020年度においては、事務機器事業だけでなくシステム事業においても影響を受ける可能性があり、すでにシステム事業では2020年4月から開発案件の中止や延期が発生し、売上が減少するなどの影響が出ております。

 2021年3月までの一定期間これらの影響があると想定しておりますが、今後さらに新型コロナウイルス感染症が拡大して、事態が深刻化、長期化することも考えられ、想定を超える規模になった場合は、当社グループの事業活動の継続にも影響を与える可能性があります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

・財政状態の分析

(資産)

 総資産は、前連結会計年度に比べ10.1%増加し、4,275百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ35.9%増加し、1,947百万円となりました。これは主に、現金及び預金が増加したこと等によるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ4.9%減少し、2,327百万円となりました。これは主に、投資有価証券が減少したこと等によるものであります。

 

(負債)

 負債は、前連結会計年度に比べ18.0%増加し、1,306百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ20.3%増加し、520百万円となりました。これは主に、 1年内返済予定の長期借入金 や未払法人税等が増加したこと等によるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ16.6%増加し、786百万円となりました。これは主に、長期借入金が増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末に比べ7.0%増加し、2,968百万円となりました。これは主に、利益剰余金が増加したこと等によるものであります。

 

・経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

 当連結会計年度は、当社グループの持つリソースを最大限に生かし、安定的に収益を生み出せる企業体質を維持、強化するとともに、新たな成長分野への取り組みを積極的に進め、株主の皆様への利益還元を課題とし、以下の3項目について、挑戦してまいりました。

(イ)市場や顧客ニーズにマッチした商品・技術・サービスの提供による競争力の強化

 システム事業では、グループ各社が得意とする事業領域をもち、専門性を高めた技術者集団として、顧客への最適なシステム・ソリューションを提供してまいりました。また事務機器事業でも新商材の投入により商品ラインナップを強化するほか、3Dプリンタの分野では、ハードだけでなく、ソフトウエアや多様な素材をユーザーに提供することにより、差別化を図ってまいりました。

 

(ロ)積極的な採用による人材の確保、育成と組織力の強化

 システム事業では、積極的な採用活動による優秀なエンジニアの確保と、その教育・育成に努めてまいりました。事務機器事業でも、技術部門の拡充による商品開発力及び営業力の強化に取り組んでまいりました。

 

(ハ)徹底した合理化と付加価値の追求等による利益の確保

 システム事業では、高採算案件へのシフトなどエンジニア一人一人の付加価値を高めるとともに、グループ各社間の連携による効率的な事業運営を行ってまいりました。

 

(売上高)

 当社グループの連結売上高は、前連結会計年度に比べ146百万円増の3,153百万円(前期比4.9%増)となりました。

 セグメント別の売上高の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)

 売上原価は、当社グループの重要課題である事業拡大のための優秀な人材確保及び育成を実施した結果、労務費が増加し、また外注エンジニアの単価水準の高騰により外注費が増加した為、前連結会計年度に比べ91百万円増加し,2,244百万円(前期比4.3%増)となりました。販売費及び一般管理費は、採用費及び人材育成のための教育研修費や不動産の修繕費の増加などにより、前連結会計年度に比べ14百万円増の514百万円(前期比2.9%増)となりました。この結果、連結営業利益は、前連結会計年度に比べ40百万円増加の393百万円(前期比11.4%増)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 営業外収益は、前連結会計年度と比べ4百万円増加し8百万円(前期比89.5%増)となりました。これは、保有する投資有価証券の配当金や台風被害の建物損壊に対する保険料を受け取ったことによります。営業外費用は、前連結会計年度に比べ大きな変動はなく6百万円(前期比2.2%増)となりました。以上の結果、連結経常利益は、前連結会計年度に比べ44百万円増加の395百万円(前期比12.6%増)となりました。

 

(特別損益、税金等調整前当期純利益)

 特別利益は、前連結会計年度に比べ投資有価証券売却益が9百万円増加し、特別損失は、18百万円減少し1百万円となりました。これは、前連結会計年度に計上した保有投資有価証券の減損が当連結会計年度は発生しなかったことと、売却損が大きく減少したためです。以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ71百万円増加の403百万円(前期比21.7%増)となりました。

 

・経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当連結会計年度の各指標の達成状況は以下のとおりであります。

 売上高は、計画比146百万円減(4.5%減)となりました。これは、事務機器事業で例年は第4四半期連結会計期間に売上を伸ばしておりますが、当連結会計年度は同時期に新型コロナウイルス感染症の影響を受け主力製品の販売が低迷したことと、システム事業で成長分野へのシフトを主眼においた案件参画をおこない、社員の教育体制を強化するため、稼働を抑えたことによるものです。経常利益は、不動産事業で一部不動産では契約終了により減少しましたが、事務機器事業では製造原価削減、及びシステム事業での高単価案件へのシフト実施により増加したため、計画比16百万円増(4.5%増)となりました。

 売上高経常利益率は、以上のような要因により、売上高が計画目標未達であった一方、経常利益は計画目標を達成したため、計画比1.1ポイント増の12.6%となりました。

 

経営指標

2020年3月期(計画)

2020年3月期(実績)

2020年3月期

(計画比)

売上高

3,300

百万円

3,153

百万円

△146

百万円

(△4.5%)

経常利益

379

百万円

395

百万円

16

百万円

(4.5%)

売上高経常利益率

11.5

12.6

1.1

ポイント

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性

・キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 なお、キャッシュ・フロー等に関する主要指標は下記のとおりであります。

 

キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

自己資本比率

54.5

57.5

63.2

66.6

69.4

時価ベースの自己資本比率

54.5

58.4

63.2

60.3

41.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

356.8

305.1

283.4

109.8

214.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ

22.4

51.4

59.7

124.1

100.8

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(※1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

(※2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

(※3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

(※4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

(※5)「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2019年3月期の期首から適用しており、2018年3月期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。

 

・資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、労務費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等であります。

 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金、親会社及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、親会社及び金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債の残高は、625百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,325百万円となっております。

 

③  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績及び現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(追加情報)」に記載のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響等の不確実性が大きく将来の見込数値に反映させることが困難でありますが、新型コロナウイルス感染症の影響が今後2021年3月期の一定期間にわたり続くものと想定し、期末時点で入手可能な情報を基に見積りを行っております。特に以下の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。

 

(固定資産の減損損失)

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握にあたっては慎重に検討しておりますが、今後、減収・減益等、新型コロナウイルス感染症の影響を含め将来の当該資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

(繰延税金資産)

 当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって、今後、 新型コロナウイルス感染症の影響等により、 その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 

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