課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針、経営戦略等

当社グループは、「革新」により社業の発展を図り、「信頼」により顧客との共存を維持し、「創造」により社会に貢献し続ける存在でありたいという経営理念のもと、日本初のシステムLSIのファブレスメーカーとして1990年に創業いたしました。

これまで、ファブレスメーカーとしての利点を活かし、経営資源を研究開発に集中することで独自技術を磨くとともに、顧客の製品やサービスなどのアプリケーションに関する知識とLSIの知識を融合させることで、顧客の課題解決と競争力向上に貢献するシステムLSIを企画・開発してまいりました。また、生産を外部に委託するファブレスメーカーでありながら、厳格な品質保証体制を構築することで、信頼性の高いシステムLSIを供給しており、システムLSIの企画・開発から供給まで、一貫して顧客サポートができる体制を実現し、顧客と共に成長してまいりました。

今後も当社グループは、経営理念の基本的考えのもと、「システム(機器)のソリューションを提供し、顧客と共に発展する」ことをミッションとして掲げ、新たな価値創造に挑戦し、独創性のある幅広いソリューションを顧客に提供することで、より豊かで安心な持続可能な社会の実現に貢献していく考えであります。

また、株主の皆様への適切な利益還元を重要な経営課題のひとつとして位置付けております。中長期の成長に向けた資金を確保し、経営環境の変化にも耐えうる健全な財務体質を維持しながら積極的な利益還元に努めてまいります。

 


 

 

(2) 経営戦略(ビジョン)

これからの社会環境においては、通信ネットワークの超高速、低遅延、大容量、高機能化がさらに進展し、高度なネットワーク社会の到来により、人々のライフスタイルに大きな変化をもたらすことが容易に想像されます。さらには、低炭素、循環型、自然共生が統合的に達成された持続可能な社会の実現を目指し、社会全体で様々な取り組みが強化されています。

当社グループが属するエレクトロニクス産業においては、あらゆるものがネットワークに繋がり、あらゆるものにAI技術が搭載される極めて高度なネットワーク社会の実現に向けて、様々な機器に搭載される電子部品の高性能化・多機能化が進み、今後の産業発展を支えるものとしてその重要性が高まってきております。

このような環境の中、当社グループが産業発展の一翼を担い、LSI分野においてその役割を果たしていくために、主力事業であるアミューズメント分野向けを中心とするASIC事業の事業基盤を強化しつつ、成長市場である産業機器分野、通信分野、AI分野、エネルギー制御分野、ロボット分野等の新規分野をターゲットに経営資源を集中的に投下し、新たな分野での事業拡大と長期における事業構造転換を推進してまいります。あわせて、事業環境の変化に耐え長期の成長を支えるため、財務体質の強化も推進してまいります。

 


 

また、持続可能な社会の実現を目指し、社会全体でその取り組みが強化されておりますが、当社グループにおいてもサステナビリティを巡る課題への対応を経営戦略の重要課題として位置づけ、企業活動や事業を通じてサステナビリティに関する取り組みを推進し、ステークホルダーとの協働により企業価値のさらなる向上を目指してまいります。

 

〔サステナブルな社会の実現に向けて〕

メガチップスグループは、「革新」により社業の発展を図り、「信頼」により顧客との共存を維持し、「創造」により社会に貢献し続ける存在でありたいという経営理念のもと、企業活動や事業を通じて社会課題の解決に取り組み、「社会・環境・人にやさしい会社」として、より豊かで安心な持続可能な社会の実現に貢献します。

① 法令・社会的規範等の遵守

あらゆる法令や国際社会のルールを遵守し、会社の規程・標準に基づき、社会的規範にもとることのない公正で健全な企業活動を行います。社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力には断固とした姿勢で対応し、企業としての社会的責任を果たします。また、リスクマネジメントに継続して取り組み、様々なリスクの予防・低減に努めます。

 

② 優れた製品の提供を通じた社会貢献

市場や顧客のニーズを迅速に取り込み、独自の技術力をベースにシステム(機器)のソリューションを提供することを通じて顧客の信頼に応え社会に貢献します。製品の企画力や開発力の向上に最大限努め、新たな価値創造に挑戦します。

③ 人権の尊重と働きやすい職場環境づくり

職場の安全と全ての社員の健康を守るとともに、人権・プライバシーを尊重し、多様な人材が能力を発揮することのできる職場環境の整備と多様な働き方を推進します。また、人格や個性を尊重しつつ、社員一人一人が主体性と創造力を発揮できる企業風土を醸成し、専門性と創造性に富む個性豊かな人材を育成します。

④ 取引先・サプライヤーとの公正な取引の推進

サプライヤーをはじめとする取引先と健全な関係を構築し、各国の法令の遵守と国際的なルール・慣行に配慮し、自由な競争のもと公正な取引を行うとともに、取引先との間における強要や贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗防止を徹底します。また、サプライチェーンにおける人権侵害をはじめとする様々な課題の把握に努め、持続可能なサプライチェーンの構築を推進します。

⑤ ステークホルダーの尊重

全てのステークホルダーの立場を尊重するとともに、積極的な情報開示とコミュニケーションにより信頼関係を築き、ステークホルダーとの協働により社会課題の解決に取り組みます。また、地域社会の伝統・文化を尊重して人々との信頼関係を築き、地域社会の発展に貢献します。

⑥ 地球環境の保全、豊かな社会づくりへの貢献

より安全な未来社会を実現するために環境保全を推進することが必要不可欠であるとの考えのもと、「環境と経営の共生」を実現することで、持続可能な地球環境の実現に貢献します。環境に配慮した製品づくり、製造における資源利用の効率化や化学物質の削減、輸送時のエネルギー削減など、事業活動に伴う環境負荷の削減に継続的に取り組みます。

 


 

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社がターゲットとする通信分野では、通信速度の向上、タイムラグの減少、多くの機器が同時に接続できる多接続が実現するなど、IoT時代に対応する通信インフラの開発が進展しております。産業機器分野では、物流、製造オートメーションや電力スマートグリッドなど様々な分野でIoTの活用が進んでおり、IoTが産業界の変革に貢献するものと期待されております。またAI分野では、AI技術が自動運転やロボットに搭載されるなど急速に普及が進んでおり、今後も技術の発展に伴い、製造、流通、医療、農業、自動車といった様々な産業でより多くのアプリケーションに採用され、社会に変革をもたらすものと期待されております。

このように、様々な分野で我々を取り巻く機器に使用される電子部品の高性能化や多機能化などのニーズが高まることによって、高精度・多機能・小型・低消費電力などに貢献するキーデバイスとして、LSI製品の需要拡大が期待される状況となってまいりました。

このような状況の下、当社グループは次の基本方針を掲げ、アミューズメント分野を中心とするASIC事業の事業基盤を強化しつつ、今後の成長が見込まれる産業機器分野、通信分野、AI分野、エネルギー制御分野、ロボット分野、車載分野等へ経営資源を集中的に投下し、収益基盤を強化することで中長期の成長を加速させる考えです。

また、サステナビリティに関する取り組みとして、地球環境に配慮した事業活動、持続可能なサプライチェーンの構築、エレクトロニクス分野における独自の社会貢献活動、ダイバーシティの推進と職場環境の整備などに重点的に取り組み、持続的成長の基盤づくりを進めてまいります。

 

① 主力事業分野における事業基盤の強化

主力事業であるASIC事業においては、顧客密着・提案型営業を積極的に推進することで営業力を強化し、新規技術の開発と品質向上に取り組むこと、またサプライチェーンの一翼を担うという責任を果たすための情報連携や生産体制の確保などに注力し、安定した製品の供給と顧客のニーズに最適なソリューションを提供することで、事業基盤の強化を図ります。

② 新たな事業分野の育成強化

急速に市場拡大が見込まれる産業機器分野、通信分野、AI分野、エネルギー制御分野、ロボット分野、車載分野等をターゲットとして経営資源を集中的に投下し、国内外において競争力に優れた製品を積極的に市場に投入し、新たな事業分野の育成による持続的成長を推進します。

③ 将来に向けた新たな事業創出への取り組み

長期的な成長を見据えた新たな事業の創出のため、当社グループの北米拠点の体制を強化し、米国の大学との最先端技術の共同研究開発を推進すること、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンドによる米国を中心とした最先端の技術やアイデアを持つスタートアップ企業との戦略的提携や事業投資を行うことで新規事業の創出を推進します。

④ 中長期の成長を支える財務体質の強化

事業構造転換や新規事業育成による中長期的な成長を支えるため、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に適応できるよう健全で強靭な財務体質の維持・強化を図ります。安全性に関する指標として、自己資本比率の向上を図ります。

⑤ 地球環境の保全とサプライチェーンにおける課題への取り組み

地球環境保全のため、地球温暖化対策や環境負荷の低減に配慮した事業活動を行います。自社製品の生産委託先企業に対しては、有害化学物質の使用に関する指針の順守、CO2・有害物質の排出基準の順守の徹底を要請するなど、持続可能なサプライチェーンの構築に継続して取り組むとともに、オフィスのエネルギー消費や廃棄物の削減などのエコオフィス活動にも取り組んでまいります。また、TCFDの枠組みに沿って気候変動に係るリスク及び機会等が自社の事業活動や収益に与える影響について、その分析・検討を進め、情報開示に向けて取り組んでまいります。

 

⑥ エレクトロニクス分野における技術者の育成

日本の国力の基礎となる若者の支援として、国内の大学への寄付や共同研究・委託研究といった交流を通して、日本のエレクトロニクス分野で次世代を担う優秀な人材育成に取り組むとともに、研究活動を通じて革新的技術の創出を促進いたします。また、将来の優秀な女性技術者を育成するための女子大学への支援にも積極的に取り組み、エレクトロニクス分野における技術者のダイバーシティを推進いたします。

⑦ 多様性に富んだ組織づくりと職場環境の整備

社員はもとより中核人材のダイバーシティを促進するために、多様な人材が能力を発揮できる、実力主義・成果主義を支える公平公正な人事評価を実施すること、在宅勤務制度や育児休業制度など多様な働き方ができる労働環境を整備すること、各専門分野の講師による教育プログラムや語学研修・職位階層別教育を実施することなど、全ての社員にとって働きやすい環境づくりと人材育成の推進に取り組みます。

 

(3) 新型コロナウイルス感染拡大による影響について

新型コロナウイルス感染拡大による次期業績への影響については、2022年度中に感染が収束に向かうことを前提として、限定的な範囲に留まると考えております。しかしながら、当社グループの製品が使用される最終製品の需要に対する影響について予測することは極めて困難であり、今後の動向によって業績に与える影響が変動する可能性があります。引き続き、今後の影響について情報収集と分析を進めてまいります。

 

(4) 経営指標

具体的な目標数値は設定しておりませんが、収益力・資本効率に関する経営指標として自己資本当期純利益率、売上高営業利益率を向上させていくこと、原価率の低減や業務の効率化を進め社員一人当たりの営業利益率を高めることが重要であると考えております。

 

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