当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(自 2021年7月1日 至 2022年6月30日、以下「当期」という。)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染者数が増減を繰り返しており、加えてウクライナ情勢を背景とした資源価格の上昇や金融情勢の混乱などがあり、見通しは不透明となっています。
当社グループの事業を取り巻く環境は、未来志向のデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、国、地方公共団体及び民間ではシステム更新や新サービス創出のための基盤構築などの取り組みが進められ、2021年9月にはデジタル庁が開設されるなどの動きもありました。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機としてテレワークが進み、教育分野などでのICTの活用機会も増え、ネットワーク保守やデータ流通における安全性の確保、サイバーセキュリティ強化の重要性が増しております。事業環境は比較的堅調ではあるものの、半導体関連部品の納期遅延によりサーバー等ハード類の納期が不安定となっておりプロジェクト全体に影響が発生する可能性がある他、IT関連投資は景気の見通しに影響を受けやすく、今後の動向は注視する必要があります。
当社グループは、2025年6月期までに取り組むべき事業の方向性を示す「長期ビジョン2025」を2016年に制定しております。当期を含む「中期経営計画Ⅱ(2019/07-2022/06)」では、テーマ「発展」を掲げ、専門分野を深耕し、新サービスでお客様を獲得する個性豊かなグッドカンパニーを目指すとともに、次の「中期経営計画Ⅲ(2022/07-2025/06)」のテーマ「進化」に繋がる体制を整備してまいりました。また、当社グループを取り巻く経営環境の変化を踏まえ、「社是」(「挑戦する心」)、「企業理念」及び「アクモスフィロソフィー」から構成される企業理念体系を新たに制定いたしました。新しい当社グループ理念体系は2022年7月1日から適用を開始しております。
当期は、M&Aにより当社グループに連結子会社が1社加わりました。お互いの事業の強みを生かし、特に首都圏地区でのネットワークの保守・構築関連業務の成長を目的として、2022年6月30日付で第三者保守サービスを営む株式会社フィールドワンを連結子会社といたしました。第三者保守サービスではメーカーの保守が終了したサーバー、ネットワーク機器の継続保守サービスを提供しております。また、SI・ソフトウェア開発分野の事業基盤の強化を目的として、2022年3月に連結子会社ACMOSソーシングサービス株式会社(2022年7月1日に社名を「アクモスメディカルズ株式会社」へ変更しております。)のシステムソリューション事業部の事業を、2022年7月1日付でアクモス株式会社へ譲渡する決定を行っております。
新型コロナウイルス感染症拡大防止への対策については、感染の状況に合わせ、感染者や濃厚接触者が出た場合の対応方針を適宜更新しつつ、引き続き社員へのマスク着用やうがい・手洗いの徹底、テレワークの活用、会議や研修等でのリモート対応などの取り組みを継続しております。また、研修の参加者や遠隔地への出張者には、独自にPCR検査を実施し、お客様や社員の感染リスクを低減するよう努めております。
当期の売上高は4,614百万円(前連結会計年度(自 2020年7月1日 至 2021年6月30日、以下「前期」という。)は4,526百万円、前期比2.0%増)、営業利益は472百万円(前期は500百万円、前期比5.5%減)、経常利益474百万円(前期は502百万円、前期比5.6%減)となりました。株式会社フィールドワンの取得に伴い発生した仲介手数料等43百万円については、個別では子会社株式として計上しておりますが、連結上は費用計上されることから、当該費用を除いた実績では前期営業利益を上回る結果となっております。特別損益項目では、当社が保有していた投資有価証券の一部を売却したことによる投資有価証券売却益45百万円(特別利益)を計上しております。このほか、本社事務所フロアの移転による事務所移転費用3百万円、ASロカス株式会社が補助金を受けて開発した林業向けIoTシステムについて社外調達品の不具合解消の目処が立たないため、返金予定の補助金について助成金返還引当金繰入額3百万円、ソフトウェアとハードウェアの未償却残高について減損損失3百万円をそれぞれ特別損失として計上しております。また、上記の仲介手数料等の費用については税効果を認識しておらず税金費用が増加したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は303百万円(前期は358百万円、前期比15.4%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)を当期首から適用しており、比較対象となる前期については収益の会計処理が異なっております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご覧下さい。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
1)SI・ソフトウェア開発分野では、主にシステムエンジニアリングサービス(SES)、消防防災システムや業務管理システムなど官公庁や民間企業のシステム開発請負、地理情報システム(GIS)を活用したシステム提供サービスなどを行っております。2022年3月に富士通株式会社より戦略パートナーの認定を受け、富士通グループとのデジタル領域での連携強化を図っております。また当期はGISを活用したシステムなどの分野において前期中の新型コロナウイルス感染症の影響による営業活動の制限により期首仕掛案件が少なかったことや、消防や宇宙関連の案件が少ない年度に当たるため、営業展開や収益性の向上に取り組みました。2022年4月には連結子会社のASロカス株式会社が川崎市のGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)測量による大規模盛土造成地の経過観察に係る共同研究において共同研究者の一員として契約を締結いたしました。
当期のSI・ソフトウェア開発分野の売上高は3,009百万円(前期比1.6%増)、営業利益285百万円となりました。
2)IT基盤・ネットワーク構築分野では、主に既存のお客様のネットワーク運用保守をはじめ、首都圏のネットワーク・セキュリティ関連業務や、自社開発サービスの標的型攻撃メール対応訓練ソリューション製品である、SYMPROBUS Targeted Mail Training(略称「TMT」)とSYMPROBUS CoTra Enterprise(略称「CoTra-Ent」)の営業開拓、医療系システム関連での運用業務を行っております。当期は地方自治体のGIGAスクール運営支援センター等官公庁のネットワーク関連を中心に受注が伸びた他、TMTやCoTra-Entの当期末の累計ライセンス数は21万件を超え、ネットワークなどの運用保守も堅調に推移しております。また新サービスである添付ファイル分離メールゲートウェイソリューション「SYMPROBUS File Atcala(シンプロバスファイルアトカラ)」を2022年6月にリリースし、新たな自社製品の提供を開始いたしました。2022年6月にはGoogle Cloud Platform Sellパートナー認定を取得し、お客様のニーズに合わせたサービス提供ができる体制を強化いたしました。当期のIT基盤・ネットワーク構築分野の売上高は1,280百万円(前期比1.8%増)、営業利益は229百万円となりました。
以上の結果、当期のITソリューション事業全体の売上高は4,289百万円(前期は4,218百万円、前期比1.7%増)、営業利益514百万円(前期は営業利益511百万円)となりました。
ITサービス事業では、新型コロナウイルス感染症の影響を注視する必要はあるものの、既存のお客様への深掘り営業活動により売上高が増加いたしました。アンケート調査の紙からWEB化の提案をすすめるなどコロナ禍での環境変化に合わせた営業活動に加え、WEBセミナーの開催やオンライン展示会への出展を積極的に行いました。また人財配置の適正化や効率化による資材経費の削減を行ったことで利益率が改善しております。
以上の結果、当期のITサービス事業の売上高は342百万円(前期は320百万円、前期比6.8%増)、営業利益37百万円(前期は営業利益26百万円)となりました。
財政状態の状況は次のとおりです。
2022年6月30日付で株式会社フィールドワンを連結子会社としたため、資産及び負債の項目が増加しております。
Ⅰ.資産
当期末の総資産は前期末から1,095百万円増加し、4,593百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加479百万円、受取手形及び売掛金の増加145百万円、商品の増加342百万円、前払費用の増加36百万円、保険積立金の増加35百万円、保証金及び敷金の増加42百万円、繰延税金資産の増加41百万円の一方、投資有価証券の減少40百万円があったことによるものです。
なお、増加した商品は主に株式会社フィールドワンの第三者保守事業においてお客様から契約頂いた機器の保守用部品として用意しているのものであります。
Ⅱ.負債
当期末の負債は前期末から739百万円増加し1,796百万円となりました。これは主に、買掛金の増加73百万円、短期借入金の増加20百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)の増加491百万円、前受金の増加76百万円、未払法人税等の増加35百万円があったことによるものです。
Ⅲ.純資産
当期末の純資産は前期末から355百万円増加し2,796百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益303百万円、その他有価証券評価差額金の減少28百万円、配当金の支払い107百万円、株式会社フィールドワンを連結子会社としたことによる非支配株主持分の増加178百万円によるものです。
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は2,720百万円となり、前期末より419百万円増加しました。
各キャッシュフローの区分の状況とその要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは358百万円の収入(前期は290百万円の収入)となりました。これは主に、法人税等の支払額171百万円があった一方、税金等調整前当期純利益508百万円、仕入債務の増加17百万円、非資金項目である減価償却費42百万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは341百万円の支出(前期は26百万円の支出)となりました。これは主に、子会社株式の取得による支出376百万円、投資有価証券の売却による収入69百万円、無形固定資産の取得による支出23百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは402百万円の収入(前期は203百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増額20百万円、長期借入金の純増額491百万円、配当金の支払額106百万円があったことによるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであり
ます。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載のとおりであり、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。
また、これらの連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の数値及び偶発債務の開示並びに当該会計年度の収益・費用の数値に影響を与える見積りを必要とする場合があります。見積りによる算定を採用する場合において、当社グループの経営陣は、貸倒債権、棚卸資産、投資、アフターサービス、偶発事象、訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っています。経営陣によるこれらの判断・評価は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる要因に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なることがあります。
a. 経営成績の分析
(売上高)
当期の売上高は、前期に比べて88百万円(2.0%)増加し4,614百万円となりました。これをセグメント毎に分析すると、ITソリューション事業の売上高は70百万円(1.7%)増加し4,289百万円、ITサービス事業の売上高は21百万円(6.8%)増加し342百万円となっております。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、前期に比べて97百万円(5.9%)増加し、1,757百万円となりました。当連結会計年度の売上総利益率は38.1%(前期は36.7%)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前期に比べて125百万円(10.8%)増加し1,284百万円で、販売費及び一般管理費の当連結会計年度の売上高に対する割合は27.8%(前期は25.6%)となりました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費の増加に伴い営業利益は、前期に比べて27百万円(5.5%)減少し472百万円となりました。
(経常利益)
受取利息及び配当金1百万円など3百万円を営業外収益として計上し、支払利息1百万円など1百万円を営業外費用として計上しており、これらの結果、経常利益は前期に比べて27百万円(5.6%)減少し474百万円となっております。
(税金等調整前当期純利益)
税金等調整前当期純利益は前期に比べて6百万円(1.2%)増加し508百万円となっております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
以上の結果、法人税等201百万円などを控除した後の当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べて55百万円(15.4%)減少し303百万円となっております。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
c. 財政状態の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
d. 資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの事業運営上必要な運転資金及び設備資金については、自己資金又は借入金により調達することとしております。当連結会計年度末における有利子負債の残高は635百万円、現金及び現金同等物の残高は2,720百万円であります。なお、現時点において特記すべき重要な資本的支出の予定はありません。
(参考) キャッシュ・フローの関連指標の推移
(注) 自己資本比率:期末自己資本/期末資産の部合計×100
※自己資本=純資産合計-(新株予約権+非支配株主持分)
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出
※営業キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象
※インタレスト・カバレッジ・レシオの計算における利払いは、連結損益計算書に計上されている支払利息を対象
e. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、企業価値の向上と継続的な成長のため、財務基盤の強化と収益力の向上に重点を置いております。中期経営計画の目標にも掲げましたとおり、ROE(株主資本利益率)及び営業利益率を重要な経営目標としており、その進捗状況については以下のとおりであります。
当連結会計年度では目標としておりました営業利益率10%以上は達成したものの、ROE13%以上、時間当たり付加価値の目標3,800円(実績3,738円)は未達となりました。「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、今後も中期経営計画に基づき、企業価値を高め、より一層株主価値の向上に努めてまいります。
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