(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,937百万円増加し、18,851百万円となりました。
これは主に、流動資産では受取手形及び売掛金が1,455百万円増加し、固定資産では機械装置及び運搬具が884百万円増加したことなどによるものであります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,932百万円増加し、8,452百万円となりました。これは主に、流動負債の支払手形及び買掛金が2,107百万円、設備関係支払手形が451百万円それぞれ増加したことなどによるものであります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ5百万円増加し、10,398百万円となりました。これは主に、利益剰余金が80百万円減少したものの、その他の包括利益累計額が85百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は55.2%、1株当たり純資産額は1,314円56銭となりました。
b.経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和され持ち直しの動きが見られたものの、年度後半にかけて新型コロナウイルス変異株(オミクロン株)が世界的に感染拡大したことや、直近においてはロシアによるウクライナ侵攻を起因とする原材料価格の高騰やサプライチェーンの混乱、また、円安が急激に進行するなど、先行きは依然不透明な状況が続いております。
このような環境の中、当社グループを取り巻く事業環境は、当社の主力製品が関連するスマートフォンや自動車市場において半導体供給不足の影響により取引先毎で生産動向には強弱があり、中国子会社がその影響を大きく受けた一方、国内においてはその影響は軽微であったことから概ね堅調に推移いたしました。
この結果、売上高は6,259百万円(前期比0.7%減)となりました。損益につきましては、経費削減などの収益改善対策に取り組みましたが、中国子会社が引き続き厳しい業況で推移したことや、当第4四半期連結会計期間において、保有する成膜材料在庫について売上構成の変化や今後の使用見込みなどを考慮し評価損を計上したほか、減価償却費や一時的な費用の増加があったことなどから、営業損失は119百万円(前期は89百万円の営業損失)となりました。経常損失は、為替差益90百万円と投資事業組合運用益26百万円を営業外収益に計上したことなどから、1百万円(前期は17百万円の経常損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、中国子会社の固定資産について減損損失50百万円を計上したこと、また、2022年3月16日に福島県沖で発生した地震による被害額20百万円を特別損失に計上したことから、80百万円(前期は701百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
品目別の状況は次のとおりであります。なお、当社グループは、成膜加工関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。また、当連結会計年度より品目区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいて記載しております。
(ディスプレイ)
液晶パネル用帯電防止膜やタッチパネル用透明導電膜は、自動車向けメーターパネルやその他表示器機向けが堅調に推移いたしましたが、スマートフォン向けは需要減速の影響から引き続き厳しい状況で推移いたしました。
この結果、売上高は2,805百万円(前期比9.3%減)となりました。
(モビリティ)
モビリティ向け薄膜製品は、カバーパネル用反射防止・防汚膜やg.moth®フィルムが引き続き堅調に推移いたしました。
この結果、売上高は1,810百万円(前期比29.7%増)となりました。
(半導体・電子部品)
半導体・電子部品向け薄膜製品は、エネルギーデバイス、電子部品、光学デバイス、半導体向け部品が引き続き堅調に推移いたしました。
この結果、売上高は1,047百万円(前期比17.3%増)となりました。
(その他)
その他につきましては、成膜関連の商品販売において、半導体供給不足による生産調整の影響から成膜加工部材の販売額が大幅に減少いたしました。また、表面加工ソリューション取引の販売も減少いたしました。
この結果、売上高は596百万円(前期比35.6%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ115百万円減少し、6,012百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は289百万円(前期は537百万円の使用)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純損失が66百万円と大幅に改善したことや減価償却費が230百万円に増加したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は847百万円(前期比51.1%減)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出837百万円があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は362百万円(前期比23.8%減)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入1,000百万円と長期借入金の返済による支出636百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、成膜加工関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別の名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
ディスプレイ |
2,809,722 |
90.7 |
モビリティ |
1,821,423 |
128.3 |
半導体・電子部品 |
1,046,673 |
116.4 |
その他 |
468,913 |
101.9 |
合計 |
6,146,732 |
104.6 |
(注)金額は販売価額によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別の名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
ディスプレイ |
2,763,966 |
88.1 |
213,109 |
83.5 |
モビリティ |
1,863,453 |
136.0 |
231,705 |
129.9 |
半導体・電子部品 |
1,039,843 |
113.6 |
114,699 |
93.9 |
その他 |
669,947 |
74.1 |
125,885 |
242.4 |
合計 |
6,337,211 |
100.2 |
685,400 |
112.8 |
(注)金額は販売価額によっております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別の名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
ディスプレイ |
2,805,949 |
90.7 |
モビリティ |
1,810,085 |
129.7 |
半導体・電子部品 |
1,047,347 |
117.3 |
その他 |
596,001 |
64.4 |
合計 |
6,259,383 |
99.3 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
シャープディスプレイテクノロジー㈱ |
433,052 |
6.9 |
896,446 |
14.3 |
シャープ㈱ |
353,242 |
5.6 |
- |
- |
㈱ジャパンディスプレイ |
822,220 |
13.0 |
783,844 |
12.5 |
㈱ミクロ技術研究所 |
291,839 |
4.6 |
673,276 |
10.8 |
2.シャープディスプレイテクノロジー㈱は、2020年10月1日にシャープ㈱のディスプレイデバイス事業の分社化により設立された会社であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の状況につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ47百万円減少し、6,259百万円(前期比0.7%減)となりました。ディスプレイ向け売上高のうち、従来の当社主要市場であるスマートフォン用中小型FPD市場は引き続き厳しい状況で推移したものの、モビリティ、半導体・電子部品向けの売上が大幅に増加し好調であったことから概ね前期並みの売上高となりました。
しかしながら、地域別では国内が概ね堅調であったのに対し、中国子会社においては、半導体供給不足の影響を強く受けたことから売上が大幅に減少いたしました。
(営業損失)
当連結会計年度の営業損失は、119百万円(前期は89百万円の営業損失)となりました。
売上構成の変化などを考慮し保有する成膜材料在庫について評価損を計上したことやモビリティ関連への増産投資による減価償却費の増加などがあったものの、単体ベースの営業損益は国内の堅調な売り上げを反映し黒字化いたしました。しかしながら、引き続き厳しい状況で推移する中国子会社の赤字をカバーするには至らず、連結ベースの営業損失は拡大いたしました。
(経常損失)
当連結会計年度の経常損失は、1百万円(前期は17百万円の経常損失)となりました。
為替相場が前連結会計年度末と比較し円安に推移したことから為替差益が90百万円発生したことに加え、投資事業組合運用益26百万円を計上したことなどから、営業外収支は118百万円のプラスとなり前連結会計年度に比べ経常損失は縮小いたしました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、80百万円(前期は701百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
中国子会社の厳しい事業環境を踏まえ固定資産の減損損失50百万円を計上したことや、2022年3月16日に福島県沖で発生した地震による被害額20百万円の計上などがありましたが、前期の減損損失が683百万円であったことから、親会社株主に帰属する当期純損失は大幅に縮小いたしました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要の主なものは、製品製造のための原材料等の購入費、製造経費、販売費及び一般管理費等の運転資金需要と生産効率及び品質向上、生産能力増強を目的とした設備投資等の長期資金需要であります。
当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを基本方針としております。運転資金需要には自己資金及び金融機関からの短期借入により、また、設備投資などの長期資金需要に対しては、主に金融機関からの長期借入を基本としております。
当面の設備投資資金につきましては、可能な範囲で金融機関からの長期借入により調達することとし、手元流動性は経営環境の変化に備えて十分確保するとともに、当社グループの新たな収益源への投資を引き続き検討してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載したとおりであります。
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