(1) 経営方針
当社グループは、薄膜・加工の技術とビジネスを極めるプロ集団として、お客様へ価値ある薄膜・加工技術を提供し、ものづくりとテクノロジーのさらなる発展に寄与することで自らの企業価値を高めてまいります。
現在、当社グループが提供する薄膜技術は、タッチパネルやディスプレイのみならず、様々な製品において、調光・調温性、導電性、装飾性などの機能付加、高い品質と精度、カスタマイズ性などで、多くの産業、お客様から支持をいただいております。
当社グループは、今後とも真空薄膜技術によるソリューション・カンパニーとして豊かな社会と未来の創造の実現に貢献し、株主の皆様やお客様から高い信頼と評価を得られるよう、企業価値の最大化を図ることを経営の基本方針としております。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループの主力製品が関連するスマートフォン市場において、製品のライフサイクル長期化に伴い市場全体として需要が鈍化していることや、搭載されるディスプレイパネルにおいて有機ELパネルの搭載比率が増加していることにより、当社グループの主力製品である液晶パネル関連製品の需要は低迷しております。また、このような構造的な環境変化に加え、米中関係悪化による中国スマートフォン自体の生産減少や世界的な半導体不足の影響、さらにはロシアによるウクライナ侵攻や円安の進行によるエネルギーや原材料価格の高騰、サプライチェーンの混乱など経営環境はより一層厳しさを増している状況にあります。
このような環境のもと、当社グループが認識している対処すべき課題及び対応策は次のとおりであります。
① 成膜加工QCDT(Quality、Cost、Delivery、Technology)の更なる強化
当社グループの基幹事業における有望市場の変遷やサプライチェーンの統合・再編による競合環境に加え、昨今のパンデミック・地政学的影響による環境変化にも対応すべく、成膜専業メーカーとしてのQCDT強化を図ってまいります。
・モノづくり戦略見直しの一環として、各製造拠点での製造品目特性に即した品質ロスコストの低減と歩留り改善、自動化及びIT化による工程作業効率や装置設備の使用効率改善によって、品質と生産性の更なる向上を継続して進めております。
・急激な市況変化やサプライチェーンの混乱による需給変動にも柔軟に対応すべく、顧客との先行情報共有や自社内プロセスの短縮に加えて、調達や加工工程の複線化にも取り組んでおります。
・商材カテゴリー毎に細分化した職能横断的なタスクフォースを展開し、個々の商材ニーズの発掘や創出と、ニーズに即した競争力の向上に取り組んでおります。
② 特定市場への過度な依存からの脱皮
従来の当社主要市場であるスマートフォン用中小型FPD市場では、液晶パネル関連需要の減速と有機ELパネルへの移行が加速しているため、特定市場への過度な依存から脱皮し、成長分野へと事業領域拡張を進めております。
・成長性を見込む対象市場を、ディスプレイ・モビリティ・半導体及び電子部品関連の3分野に設定して分野別対応策や体制再編を段階的に実行することにより、事業及び商材ポートフォリオの転換に取り組んでおります。
・研究開発部門では先行技術の開発に、製造技術部門では既存技術の応用や製法の多角化に各々注力すると同時に、相互連携を強化して成長を支えるコア技術の創出に取り組んでおります。
・これまでの部分工程受託で培った、技術や製造ノウハウ・装置調整や工程及び設備設計といった「匠」のコンサルティングも事業商材と位置付け、協業も積極的に活用することで新たなビジネスモデルの拡張に取り組んでおります。
③ 経営体質の更なる強化
上述のような、既存分野と新規分野における事業成長の直接的な取り組みと同時に、経営体質の強化も進めております。
・働き方の見直しによる管理間接費のムダ取りと回収進捗の可視化による投資効果の見極めにより、経営効果に直結する支出管理の徹底に取り組んでおります。
・「2025年の崖」リスクの回避に向け、基幹ITシステムの置換と併せ各種データのデジタル化及び共有活用とBI化といったDXを進めると同時に、関連業務自体の見直しで経営の効率化に取り組んでおります。
・また、前述の全ての対策効果を最大化するために、現場での意識改革を主眼とする全従業員参加型の企業風土改革プロジェクトを並行して推進しております。
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