文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、以下の基本理念と行動指針からなる企業理念に沿って経営を行ってまいります。
基本理念
私たち古河電池は、常に挑戦者であり続けることをスローガンとし、公正と誠実をモットーに、株主、従業員、お客様、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーの期待に応えるため、永年にわたり培って来た技術力を核にして、絶え間ない革新を図り、持続的な成長と中長期的企業価値の向上を目指し、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。
行動指針
私たちは挑戦者である。
・常に高い倫理観をもち、公正、誠実に行動します。
・あらゆる業務において革新、改革、改善に挑戦します。
・現場・現物・現実を直視し、ものごとの本質を捉えます。
・主体的に考え、互いに協力して迅速に行動し、粘り強くやり遂げます。
・組織を超えて対話を重ね、高い目標に向けて相互研鑽に努めます。
(2)目標とする経営指標
新たに策定した2022年度から2025年度の中期経営計画では、以下の経営指標を目標として掲げています。
指標 |
2021年度連結業績 |
2022年度連結業績予想 |
2025年度連結業績目標 |
|
売上高 |
(百万円) |
62,785 |
70,000 |
83,000 |
営業利益 |
(百万円) |
3,212 |
2,400 |
5,500 |
営業利益率 |
(%) |
5.1 |
3.4 |
6.6 |
ROIC |
(%) |
6.4 |
4.5 |
8.0 |
上記経営指標は以下の前提条件に基づいております。
|
2021年度連結業績 |
2022年度連結業績予想 |
2025年度連結業績目標 |
|
鉛LME価格 |
(US$/t) |
2,205 |
2,300 |
2,100 |
鉛建値 |
(千円/t) |
317 |
336 |
291 |
為替 |
(円/US$) |
113 |
120 |
110 |
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
1.中長期的な会社の経営戦略について
当社は中長期的にサステナブル視点で事業を強化・拡大し、お客様や社会から期待に応えられる会社となるべく、(1) SDGsの目標達成に貢献するグローバル戦略の推進、(2) 基幹事業である鉛電池での収益向上、(3) 次世代電池を含む新製品開発と新しいソリューションビジネスの立上げ、(4) サステナブル経営のための人材育成による革新力の蓄積、を基本方針と定めております。
具体的な施策として、バイポーラ型鉛蓄電池やソリューションビジネスであるESS(Energy Storage System)事業など新製品の開発・新規事業の立上げや、海外パートナーシップの拡大による事業展開に注力してまいります。
詳細は、2022年5月12日発表の「2022~2025年度 中期経営計画の策定に関するお知らせ」をご確認ください。
2.対処すべき課題について
今後の見通しについては、短期的には新型コロナウイルスの影響に加え、足元の原材料やエネルギー関連のコスト上昇、為替変動や半導体不足といった様々な要素が事業にネガティブな影響を及ぼす可能性があるとみられ、当社グループを取り巻く環境は厳しい状況が続くと予想されます。また長期的には鉛蓄電池などの既存事業においては国内市場の成長率が鈍化中で競争が激化するとともに、海外の新興国市場の重要性がより高まってくると予想されます。このような状況下、海外事業の拡大並びに研究開発のための人材育成を重要な課題ととらえ、様々な施策を行ってまいります。
事業別の対処すべき課題は、次のとおりであります。
自動車事業については、新興国市場においてモータリゼーションが進む一方、日本をはじめとする先進国市場においては電動化・自動化・サービス化といった業界の構造変化が進むと予想されます。このような状況下、新興国・先進国それぞれの市場において競争力のある品質やコスト、あるいは機能を実現した製品を新たに開発すること、並びに市場で拡大させるためのマーケティング力の強化を課題ととらえ、実現してまいります。
産業事業については、再生可能エネルギー関連市場やデータセンター、スマートグリッド向けなどの需要が拡大する一方、価格競争がより一層激化すると予想されます。このような状況下、バイポーラ型蓄電池などの競争力のある鉛蓄電池並びに次世代蓄電池の開発・事業化を進めることや、ソリューションビジネスとなるESS(Energy Storage System)事業の立上げを進めることを課題ととらえ、実現してまいります。
これらの取り組みを通して、古河電池グループが持てる力を最大化し、既存製品の枠を超えて事業領域を拡大させていくとともに、パートナーシップを通じて包括的で安全かつ強靭で持続可能な人々の暮らしを支えてまいります。そして、より一層必要とされ、親しまれる企業を目指してまいります。
3.気候変動への取り組みとTCFDへの対応
当社は、事業活動におけるCO2排出量の削減活動を進めておりますが、気候変動に関するリスク・機会が経営上の重要課題であることも認識し、TCFD提言に賛同しました。今後も蓄電池や電源製品の製造・販売、更にESS事業も新たな取組みとして加え、真に豊かで持続可能な社会の実現に向け、TCFDを活用した気候変動対策を通して地球環境の保護に努めると共に、ステークホルダーの皆様との信頼関係を強化して企業価値の向上につなげてまいります。
①ガバナンス
当社は、気候変動に関する問題を重要課題の一つとして位置づけています。代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ及びマテリアリティに関する重要事項を審議しています。そして、審議した内容を取締役会に定期的に報告しています。
なお、サステナビリティ委員会のもとにはTCFDに関するワーキンググループを設置し、気候変動に関する取組みを管理・推進しています。
②戦略
当社は、気候変動に関するリスクと機会を「移行リスク」「物理リスク」「機会」の区分でシナリオ特定と評価を実施し、IPCC/RCP8.5(平均気温4℃以上上昇)とIPCC/SR1.5(平均気温上昇1.5℃以内)のシナリオとその他の社内外情報を基に事業影響や顕在可能性等を評価検討しました。
区分 |
分類 |
時期 |
事業への影響 |
対応 |
顕在可能性と 影響 |
移行 リスク |
規制 |
短期 |
カーボンプライシングの導入・拡大による事業収益への影響 |
・太陽光発電設備を増設し使用電力の一部をグリーン電力(再生可能エネルギー)に変更することによる、CO2排出量の抑制 |
1.5℃シナリオ 顕在可能性:高 影響:大
4℃シナリオ 顕在可能性:低 影響:小 |
テクノ ロジー ・市場 |
中期 |
サステナブル対応のための設備導入コストの増加による事業収益への影響 |
・中長期的に収益へと繋がる設備の導入、並びに工場の再構築 ・電池製品の長寿命化、並びにバイポーラ型蓄電池(ESS含む)の提供 |
||
物理 リスク |
慢性 |
長期 |
平均気温上昇に伴う職場環境悪化による、職場環境の維持のためのエネルギーコストの増加 |
・グリーン電力や低炭素設備を使用することによる、気温上昇に対応した職場環境への改善 |
1.5℃シナリオ 顕在可能性:中 影響:小
4℃シナリオ 顕在可能性:高 影響:大 |
急性 |
気候変動により異常気象が増加し、被害甚大化で調達先サプライチェーン寸断等に起因する生産停止による損失の拡大 |
・調達先サプライチェーン寸断対策のための調達先の複数化 ・海外拠点のサプライチェーンにおいては、国外からの調達先確保の検討 |
|||
機会 |
製品と サービス |
中期 |
再生可能エネルギー普及拡大による、電力安定供給に貢献できる高効率な蓄電池や蓄電システムの需要増加 |
・蓄電システムの外注生産検討も含めた生産性の向上 ・バイポーラ型鉛蓄電池及び汎用性の高いESS製品の事業化 |
1.5℃シナリオ 顕在可能性:高 影響:大
4℃シナリオ 顕在可能性:低 影響:小 |
③リスク管理
当社は、リスクを「当社グループの事業目的の達成に重要な影響を与え得る損失の危険を伴う不確定要素」と定義しています。気候変動に関する事業活動におけるリスクをTCFD推進ワーキンググループで検討し、サステナビリティ委員会での審議、取締役会での承認を経て、リスクマネジメント委員会と連携してリスクを管理しています。
④指標と目標
当社は、気候変動に関する指標を温室効果ガス排出量※と定め「2030年における国内事業場のGHG排出量の削減目標を2017年度比46%減」に目標設定しました。
脱炭素社会実現へ貢献するため、CO2削減の中期計画を策定し、グリーン電力導入や低炭素設備導入などの取組みを実施し、2030年度におけるGHG排出量削減目標の達成に向け、排出量削減を含む省エネ活動を推進してまいります。
※事業活動における温室効果ガス排出量(Scope1,2)
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