研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社企業グループは、独自のエレクトロニクス技術とシステム技術をもとに、新しい価値を創造することを目指し、先端技術分野での基礎研究、応用研究をはじめとして、事業運営に直結した新技術、新製品の開発を行っております。

 現在の研究開発活動は主に情報システム及び電子機器の技術部門により進めております。

 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、425百万円であり、主な研究内容は以下のとおりであります。

 

(1)空中物件等を検知するための画像処理技術の研究

 本研究は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト(DRESSプロジェクト)」における研究開発項目「無人航空機の運航管理システム及び衝突回避技術の開発」/(2)無人航空機の衝突回避技術の開発/3)衝突回避システムの小型化・低消費電力化」の一環として実施しているものです。当社企業グループは、光波センサ(可視カメラ)を用いて、相対する飛行物体の検知・識別を担当しております。

 ドローンをはじめとする無人航空機の活用は爆発的に拡大しており、その有用性については十分に証明されつつあります。無人航空機は飛行時間や搭載機器が限られており、大型で高価な衝突回避システムでは本来の性能を制約してしまうため、より小型で安価な衝突回避システムのニーズが顕著になることが予想されます。

 このことから、2017年度から2019年度に実施した「非協調式SAA電波・光波センサ統合技術の開発」で得られた成果を基に小型無人航空機に搭載可能な小型化、軽量化、低消費電力化した光波センサの開発を行っております。

 本研究では、有人航空機(ヘリコプター)や小型無人航空機を使用した試験を福島県南相馬市及び愛知県豊川市で実施し、相対200km/hで接近する有人航空機及び相対100km/hで接近する小型無人機を、当社企業グループが担当した光波センサを含む衝突回避システムによって、衝突を回避することに成功しました。事前の試験では、空中の対象物体以外の検知も確認されたため、検知する物体の特徴を把握させることによって、物体の抽出精度を向上することができました。

 今回開発した光波センサにおいては、実運用のモードの他、試験で取得した映像データを基にシミュレーションを実施するためのモードを設け、課題解決に向けた検証を効率的に進めることが可能となりました。昨年度に取得した基礎データや実証試験で取得した映像を基にシミュレーションによる検証と試験による実証を繰り返すことによって改善を重ね、脅威物体の検知精度向上に繋げることができました。

 

(2)小型高性能溶接ヘッドの開発

 近年、自動車の電動化等が進み、市場が拡大している車載モータや電池、精密部品等の溶接において、小型・高性能の溶接ヘッドが求められており、それらのニーズに応えるため新型溶接ヘッドを開発しました。

 このたび開発した溶接ヘッドは、加圧ユニットや駆動ユニット、電極ホルダ等の構成ユニットを選択して、顧客の要望に合わせて構成を変えることが可能で、自動機搭載にも容易に対応できます。その他にも下記の機能や特徴を有しております。

 ①業界最小クラスの加圧ユニットで、装置搭載時の配置の自由度及び顧客の使い易さが向上し、更に装置自体を省スペース化できます。

 ②生産品の品種変更時のコスト低減のため、多品種生産時に電極サイズや電極ホルダを交換するだけで、溶接方法に最適な溶接ヘッドに変更が可能です。

 ③加圧構造を変更したことにより、高い加圧精度と追従性、機差が少なく撓みの小さな溶接ヘッドを実現し、製造工程での溶接品質向上に貢献します。

 ④電極交換時の位置再現性を向上させることで使い易さを向上し、日々の点検作業を容易にします。

 ⑤ロードセルや変位センサを取付けることで溶接時の加圧や変位量を計測可能とし、生産品のトレーサビリティが求められる自動車、電池市場のニーズに対応します。

 以上の特徴により、様々な顧客ニーズ(品質・生産性向上)に対応することで、顧客価値を高めると同時にこれまで以上に社会課題解決に貢献できる製品となっております。

 

(3)赤外線サーモグラフィカメラの組込用モジュール「C50シリーズ」の開発

 昨今の急速に進む技術革新やデジタル化、少子高齢化・人口減少など国内産業における課題解決に対し、インフラ点検・プラント事故防止等の産業保安の現場や、各種製品の生産工場で、「スマート化」が推進されています。当社企業グループでは、これらのシステムインテグレータ向けに赤外線サーモグラフィカメラの組込用モジュール「C50シリーズ」を開発いたしました。

 使用される現場から、カメラに求められる要件として、小型、長距離伝送、PoE動作、複数台接続等があり、従来の当社企業グループ製品は、USBデバイスを用いるため、対応が困難な部分がありました。そこで、USBデバイスをLANに変換し、仮想USBデバイスとして通信する技術を搭載した「インターフェース中継ボックス」を開発し、既存の小型カメラとインターフェース中継ボックスを組み合わせることにより、長距離伝送を可能としました。さらに、複数台に同時接続するロジックを搭載したソフトウェアを開発することで、最大16までの同時接続を実現いたしました。

 本製品の特徴を活かし、半導体・自動車部品等のプロセスコントロールの自動化、生産工程における品質管理、生産設備の状態監視など「スマートファクトリ」や「産業保安」市場の開拓が可能となります。また、防災監視・セキュリティ監視システムにも搭載可能で、様々な場面で、安心・安全に貢献できる製品となっております。

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