業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

また、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。

 

(経営成績等の状況の概要)

(1) 経営成績

当連結会計年度における売上高は2,523億円(前期比10.9%増)、営業利益については220億円(前期比43.2%増)、売上高営業利益率は前期比1.9ポイント増の8.7%となりました。また経常利益は221億円(前期比35.9%増)となりました。

税金等調整前当期純利益は229億円(前期比27.9%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は158億円(前期比32.3%増)、1株当たり当期純利益は65円53銭(前期比16円1銭増)となりました。

 

  セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(時計) 当セグメントの売上高は、前期比16.0%増の1,522億円、営業利益は前期比20.5%増の278億円となりました。

(コンシューマ) 当セグメントの売上高は、前期比11.7%増の811億円、営業利益は前期比9.4%増の59億円となりました。

(システム) 当セグメントの売上高は、前期比28.8%減の133億円、営業利益は22億円の赤字(前期48億円の赤字)となりました。

(その他) 当セグメントの売上高は、前期比16.7%増の55億円、営業利益は前期比27.4%増の3億円となりました。

 

  生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

当連結会計年度において、生産及び販売の実績に著しい変動がありました。その内容については、「(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容) (1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ① 経営成績」に記載のとおりであります。

 

① 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

時計

148,259

30.0

コンシューマ

78,863

11.5

システム

9,734

△23.8

その他

3,784

31.4

合計

240,640

20.0

 

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

② 受注実績

当グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

時計

152,278

16.0

コンシューマ

81,186

11.7

システム

13,307

△28.8

その他

5,551

16.7

合計

252,322

10.9

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前期比52億円増の3,372億円となりました。流動資産は、棚卸資産の増加などにより前期比65億円増の2,307億円となりました。固定資産は、投資有価証券の減少などにより前期比12億円減の1,065億円となりました。

 

  セグメントごとの資産は、次のとおりであります。

(時計) 当セグメントの資産は、前期比208億円増の1,243億円となりました。

(コンシューマ) 当セグメントの資産は、前期比19億円減の811億円となりました。

(システム) 当セグメントの資産は、前期比58億円減の199億円となりました。

(その他) 当セグメントの資産は、前期比15億円減の124億円となりました。

 

当連結会計年度末の負債合計は、長期借入金(1年内返済予定含む。)の減少などにより前期比17億円減の1,183億円となりました。流動負債は、1年内返済予定の長期借入金の長期借入金からの振替及び返済による純増加などにより前期比64億円増の716億円となりました。固定負債は、長期借入金の1年内返済予定の長期借入金への振替による減少などにより前期比81億円減の467億円となりました。

当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金の増加などにより前期比70億円増の2,188億円となりました。

当グループは、財務安全性を確保しながら成長分野への投資を促進することで、中長期的な成長とROEの持続的な向上を図ってまいります。また、資本コストを意識した事業活動を推進し、資本効率の最適化やフリー・キャッシュ・フローの創造に努めることで、引き続き企業価値の向上を目指してまいります。

 

(3) キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比81億円減の164億円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益229億円(前期179億円)、減価償却費113億円(前期110億円)、投資有価証券売却益15億円(前期62億円)、運転資金(売上債権、棚卸資産、仕入債務)の増加額85億円(前期は減少額73億円)、法人税等の支払額56億円(前期46億円)であります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前期と比べて29億円支出が増加し、60億円の支出となりました。主な内訳は、固定資産の取得による支出109億円(前期83億円)、投資有価証券の取得及び売却・償還による純収入48億円(前期は純収入46億円)であります。

これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、前期比111億円減の103億円の収入となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前期と比べて39億円支出が減少し、190億円の支出となりました。主な内訳は、長短借入れ及び返済による純支出37億円(前期は純支出100億円)、自己株式の取得による支出24億円(前期7百万円)、配当金の支払額109億円(前期109億円)であります。

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比31億円減の1,339億円となり、十分な流動性資金を確保しております。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 

(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 経営成績

当連結会計年度における内外経済は、新型コロナウイルス感染症による影響からの回復傾向が見られた一方、半導体を中心とした部品不足や、原材料・エネルギー価格の高騰が長期化することによるサプライチェーンの混乱が続きました。加えて、年度後半におけるウクライナ情勢の悪化や中国のゼロコロナ政策による世界経済への影響などにより、先行きの不透明感が一層強まる状況となりました。

このような環境のもと、当グループは、前連結会計年度の「新時代を見据えた準備の1年」からステップアップし、当連結会計年度を「新しいカシオのスタート」と位置づけ、全社最適を実現するためのマトリクス型経営体制の導入、デジタルマーケティングの本格稼働などの取り組みを実施いたしました。

当連結会計年度の当グループ業績は、第3四半期までは、時計・教育・楽器のコア事業を中心に業績は堅調に推移いたしました。第4四半期において世界経済、外部環境の急激な変動による影響を受けたものの、通期では、増収増益となりました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は2,523億円(前期比10.9%増)、営業利益は220億円(前期比43.2%増)、経常利益は221億円(前期比35.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は158億円(前期比32.3%増)、1株当たり当期純利益(EPS)は65円53銭(前期比16円1銭増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(時計)

東南アジアにおける部材メーカー稼働制限に伴う生産影響、中国の新型コロナウイルス感染症拡大影響などを受けましたが、北米を中心に需要は回復傾向にあり、増収となりました。

「G-SHOCK」は『2100』シリーズがグローバルに人気を博し、『MRG-B5000』や『GMW-B5000D』など高価格帯の製品の販売も好調に推移しました。

当セグメントの売上高は、1,522億円(前期比16.0%増)、営業利益は278億円(前期比20.5%増)となりました。

 

(コンシューマ)

教育は、中南米を中心に休校や在宅授業が続きましたが、インドや中近東で対面授業が一部再開したことによる需要を取り込むなど、電卓、辞書ともに増収となりました。

楽器は「Slim&Smart」モデルが好調に推移し増収となりました。

当セグメントの売上高は、811億円(前期比11.7%増)、営業利益は59億円(前期比9.4%増)となりました。

 

(システム)

主な市場である国内において、新型コロナウイルス感染症の影響による商談の延期などを受け、減収となりました。

当セグメントの売上高は、133億円(前期比28.8%減)、営業利益は22億円の赤字(前期48億円の赤字)となりました。

 

(その他)

当セグメントは、成形部品、金型などグループ会社の独自事業等であり、その売上高は、55億円(前期比16.7%増)、営業利益は3億円(前期比27.4%増)となりました。

 

② 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前期比52億円増の3,372億円となりました。流動資産は、棚卸資産の増加などにより前期比65億円増の2,307億円となりました。固定資産は、投資有価証券の減少などにより前期比12億円減の1,065億円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、長期借入金(1年内返済予定含む。)の減少などにより前期比17億円減の1,183億円となりました。流動負債は、1年内返済予定の長期借入金の長期借入金からの振替及び返済による純増加などにより前期比64億円増の716億円となりました。固定負債は、長期借入金の1年内返済予定の長期借入金への振替による減少などにより前期比81億円減の467億円となりました。

当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金の増加などにより前期比70億円増の2,188億円となりました。この結果、自己資本比率は、前期比1.1ポイント増の64.9%、ROEは、前期比1.6ポイント増の7.4%となりました。

 

③ キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が増加したものの運転資金の増加などにより前期比81億円の減少となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出の増加などにより前期比29億円の支出増加となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出が増加したものの長短借入れ及び返済による純支出の減少などにより前期比39億円の支出減少となりました。

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比31億円減の1,339億円となりました。

資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりです。

当グループは、財務体質強化のため、有利子負債の圧縮に取り組んでおり、当連結会計年度は38億円を返済した結果、当連結会計年度末有利子負債残高は497億円となりました。

当グループの資金需要の主なものは、製品製造のための材料の購入費等の製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用に係わる運転資金及び設備投資資金です。なお、営業費用の主なものは、人件費、研究開発費、広告宣伝費であります。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(2) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標として、売上高・営業利益・営業利益率について、目標を定めており、2023年3月期の計画は、売上高2,700億円、営業利益270億円、営業利益率10.0%としております。

当連結会計年度においては、計画が、売上高2,650億円、営業利益265億円、営業利益率10.0%に対し、実績は売上高2,523億円、営業利益220億円、営業利益率8.7%となりました。

 

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