当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、前第2四半期以降回復基調が続いておりましたが、依然として新型コロナウイルス感染症の変異株による感染再拡大や半導体を始めとした原材料不足の影響により、生産活動が制限され当第3四半期以降景気回復のペースは減速しました。国内経済も当第3四半期までは回復基調ではありましたが、新型コロナウイルス感染症の変異株の感染再拡大による生産活動の制限や個人消費の落ち込みなど後半は回復が減速しました。
企業を取り巻く環境は、原材料不足の解消や新型コロナウイルス感染症の終息の目途も立っておらず、加えてロシアのウクライナ侵攻等先行きは依然として不透明な状況となっております。
このような状況のなか、当社グループにおいては新型コロナウイルス感染症予防に取り組みつつ、中期経営計画(Sense the Dynamics)達成に向けて取り組みました。製造面では、IT技術を活用した製造設備の研究・開発や継続的な改善活動など品質・生産性向上への取り組みを行った結果、売上原価率低減の要因となりました。その反面、原材料価格高騰による売上原価率上昇の要因もありましたが、売上が増加したこともあり、最終的な売上原価率は低減しております。原材料仕入価格高騰については、入手が困難な原材料の互換品選定などを行いコストを抑え安定的に供給出来る体制づくりを進めており、状況は改善しつつあります。販売面では、ホームアプライアンスでは省エネ製品の需要の高まりから、エアコン向け温度センサが好調だったほか、家電製品では電子レンジ向けや炊飯器向け、コーヒーメーカー向けなどの調理用家電の売上が大きく伸びました。住宅設備関連では、ヒートポンプ給湯器向けなどの売上が伸びました。オートモーティブではハイブリッド車や電気自動車などの環境対応車の世界的な増加から、ハイブリッド車、電気自動車の駆動用モーター向け温度センサの売上が大きく伸びました。また、当社独自の技術である高温用素子も好調でした。インダストリアルでは企業の設備投資の回復などを背景に、ロボット向けや汎用インバーター向け、工作機械向けなどが好調でした。
また、当期より新人事制度を導入し、働き方の多様化への対応や人財育成、指名委員会、報酬委員会設置によるガバナンス強化、サステナビリティ委員会の設置やTCFD、国連グローバル・コンパクトへの賛同等、二酸化炭素排出量削減などのESGへの取り組みも積極的に行いました。
各事業分野の売上高は、ホームアプライアンスは148億3千7百万円(前期比17.6%増)、オートモーティブは94億8千3百万円(前期比20.5%増)、インダストリアルは39億2千7百万円(前期比26.1%増)、その他は23億6千4百万円(前期比50.2%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は前期比21.6%増の306億1千2百万円となりました。損益面におきましては、営業利益は55億7千2百万円(前期比77.7%増)、経常利益は56億3千3百万円(前期比78.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は36億5千4百万円(前期比63.6%増)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、従来の方法に比べて売上高は8百万円減少し、営業利益、経常利益はそれぞれ2百万円減少しております。
■ホームアプライアンス ■オートモーティブ
■インダストリアル
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
①日本
売上高はオートモーティブを始めとした全ての事業分野の需要が増加したことにより、248億5百万円(前期比20.0%増)となりました。営業利益も売上高の増加により、48億6千4百万円(前期比66.5%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1千4百万円減少し、営業利益は4百万円減少しております。
売上高はホームアプライアンスを始めとした全ての事業分野の需要が増加したことにより、186億9千4百万円(前期比31.2%増)となりました。営業利益は売上高の増加により、15億9千万円(前期比67.3%増)となりました。
売上高はオートモーティブを始めとした事業分野の需要が増加したことにより、13億6千1百万円(前期比35.2%増)となりました。営業利益は売上高の増加により、1億4千8百万円(前期比59.1%増)となりました。
売上高はオートモーティブを始めとした全ての事業分野の需要が増加したことにより、5億9千2百万円(前期比35.3%増)となりました。営業利益は売上高の増加により、1千9百万円(前期比41.8%増)となりました。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比33億3千4百万円(8.9%)増加し、405億9千9百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末比38億1千9百万円(14.3%)増加の304億7千6百万円、固定資産は前連結会計年度末比4億8千4百万円(4.6%)減少の101億2千3百万円となりました。
流動資産増加の主な要因は、商品及び製品を始めとした棚卸資産で20億8千7百万円増加したこと及び増益に伴う営業活動によるキャッシュ・フロー増加による現金預金が9億円増加したこと等によるものであります。
固定資産減少の主な要因は、減価償却が進んだこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末比9千1百万円(0.8%)増加の118億8千8百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末比13億1千1百万円(16.0%)増加の95億1百万円、固定負債は、前連結会計年度末比12億2千万円(33.8%)減少の23億8千7百万円となりました。
流動負債増加の主な要因は、未払法人税等が6億5千2百万円増加したこと及び売上の増加に伴い、買掛金が5億1千5百万円増加したこと等によるものであります。
固定負債減少の主な要因は、長期借入金の返済等によるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末比32億4千3百万円(12.7%)増加し、287億1千万円となりました。
純資産増加の主な要因は、利益剰余金の増加であります。なお、収益認識会計基準等の適用により利益剰余金の期首残高に与える影響はありません。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の68.2%から70.6%となりました。期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の3,295円67銭から3,729円28銭となりました。
セグメントごとの財政状態は、次のとおりであります。
流動資産は、151億3千6百万円(前期比9.8%増)となりました。固定資産は、81億9千5百万円(前期比2.8%減)となりました。流動負債は、89億7千万円(前期比8.4%増)となりました。固定負債は、22億6千1百万円(前期比34.9%減)となりました。純資産は、219億2千1百万円(前期比13.6%増)となりました。
流動資産は、89億7千5百万円(前期比18.7%増)となりました。固定資産は、36億5千万円(前期比8.8%減)となりました。流動負債は、33億5千5百万円(前期比16.4%増)となりました。固定負債は、1億2千5百万円(前期比54.9%減)となりました。純資産は、91億4千5百万円(前期比8.8%増)となりました。
流動資産は、4億1千4百万円(前期比10.5%増)となりました。固定資産は、1百万円(前期比3.7%減)となりました。流動負債は、1億9千8百万円(前期比0.6%減)となりました。純資産は、2億1千7百万円(前期比22.9%増)となりました。
流動資産は、1億6千1百万円(前期比0.2%増)となりました。流動負債は、8千4百万円(前期比11.3%減)となりました。純資産は、7千8百万円(前期比16.8%増)となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、123億1千1百万円となり、前連結会計年度末比7億7千1百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、35億2千1百万円(前期39億6千9百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益53億4千6百万円、減価償却費15億6千3百万円等の資金の増加が、棚卸資産の増加額19億9千5百万円及び法人税等の支払額11億1千1百万円等の資金の減少を大幅に上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、7億9千6百万円(前期5億5千2百万円)となりました。これは主に、㈱福島芝浦電子のサーミスタ素子生産能力増強のための機械導入等を始めとした、有形固定資産の取得による支出6億8千3百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、21億3千9百万円(前期13億1千5百万円の調達)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出13億3千8百万円及び配当金の支払5億8千2百万円等の資金の減少によるものであります。
(4) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金は、主に製品製造に使用する原材料の調達に費やされており、製造費用や販売費及び一般管理費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は工場建設・生産設備取得等生産体制の構築及び情報システムの整備構築等に支出されております。これらの必要資金は、利益及び減価償却費等により計上される内部資金により賄うことを基本としておりますが、機動的な投資に備えるため、必要に応じ金融機関から借入を行い手元流動資金の確保を行っております。
当連結会計年度におきましては、有形固定資産及び無形固定資産に総額6億9千4百万円の設備投資を行いました。主なものは㈱福島芝浦電子のサーミスタ素子生産能力増強のための機械導入及びタイ シバウラデンシ カンパニー リミテッドのサーミスタセンサ生産能力増強のための機械導入等であります。これらに要した資金は自己資金によるものであり、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は123億1千1百万円となり前期末比7億7千1百万円増加しました。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
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