課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてロームグループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

ロームグループは、永続的かつ総合的な企業価値の創造と向上を図るにあたって、事業活動の中で革新的な商品開発や質の高いモノづくりを進めることが、お客様満足度を向上させるとともに社会への貢献につながると考えております。そして、そのことが、社員の自信と誇りを高め、新たな挑戦を生み出すと信じております。また、これら事業活動によって生み出される付加価値が、競争力を強化する事業投資のための内部留保と、株主・従業員・地域社会などのステークホルダーの皆様に適切に配分、または還元されることが必要であり、そのことについて全てのステークホルダーの皆様のご理解とご協力を得ることが肝要と考えております。ロームグループでは、こうした活動の循環をCSV(共通価値の創造)活動と位置付け、真摯に取り組むことで、ロームグループをステークホルダーの皆様にとって魅力溢れるものにすることを、経営上の重要な命題のひとつとして位置付けております。

このような観点のもと、ロームグループは、世界市場をリードする商品の開発を進めるとともに、独自の生産技術を駆使することによりコスト競争力のある高品質な商品を永続かつ大量に供給し、世界の半導体・電子部品市場のリーダーシップをとっていくことを基本方針としております。

 

(2)目標とする経営指標

ロームグループでは、営業利益率やEBITDA(※)などの利益に関する指標や、ROEといった資本効率を示す指標を重視しております。

 

※ EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization の略)

税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて求めたもの。グローバルに企業の収益力を比較する際によく使用される指標。ロームグループでは簡易的に営業利益に減価償却費を加えて算出しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

ロームグループは、グローバルに進化を続ける市場に対応し、摺り合わせ技術・垂直統合・商品の総合力・顧客志向を強みに中長期の成長を目指してまいります。また、地球環境問題の解決に向けた取り組みを推進してまいります。具体的な戦略は以下の通りです。

 

<1>市場戦略

①自動車・産業機器関連市場

電動化と省エネルギー化の流れの中で自動車関連市場、産業機器関連市場は、ロームグループが得意とする高品質、高信頼性、安定的な供給が求められる市場です。成長を続ける自動車関連市場や産業機器関連市場におきましては、SiCをはじめ、IGBT、MOSFETなどのパワーデバイスや絶縁ゲートドライバIC、電源ICなどを電動車やサーバー向けに拡充し、売上を伸ばしてまいります。また、電動車向けのSiCパワーモジュールや基地局・データセンター向けに先進の技術を搭載したLSIなどの新商品を開発し、中長期での新しい需要を獲得いたします。

 

②民生機器関連市場

省エネ家電やデータストレージ向けなど小型化や高効率化が要求される分野については、LSIやパワーデバイスなどで高付加価値化を追求しシェアを拡大する一方、汎用デバイスについては高シェアを維持し、継続して高収益を獲得してまいります。

 

<2>営業・開発・モノづくり戦略

①営業戦略

SSE(System Solution Engineering)本部が個別の商品に加え、顧客視点でのソリューション提案を行うと共に、技術サポート力の強化を図り、国内営業本部と海外営業本部が全拠点で一体となり、全社戦略に沿った拡販体制に取り組みます。

 

②開発戦略

顧客志向を重視するため、先端技術とマーケット情報に精通したPME(※)を海外に配置し、商品企画力を強化することで、顧客の課題に配慮した強い商品を効率的に開発してまいります。

 

※ PME(Product Marketing Engineer)

高度な技術バックボーンを持ち、商品のマーケティング・企画を行うエンジニア

 

③モノづくり戦略

中長期的に安定した成長を続けるため、グローバルに安定した商品供給ができる生産体制の強化を進めます。具体的には、既存の同一品種・大量生産に適した生産ラインの生産性向上の推進に加えて多品種・少量生産に適した自動化されたフレキシブルラインの拡充を図り、BCPを強化してまいります。

 

<3>地球環境への貢献

サステナブル社会の実現に向けて、ロームグループでは、環境問題の解決に向けた取り組みを推進しております。「気候変動」「資源循環」「自然共生」の3つのテーマを柱にした「ロームグループ環境ビジョン2050」では、カーボンゼロ(CO排出量実質ゼロ)及びゼロエミッションを目指すとともに、生物多様性の保護に向けて自然サイクルと調和した事業活動をより一層推進することとしております。

「脱炭素」社会の実現に向けて、ロームの主力製品である半導体の役割は、ますます大きくなっています。なかでも、全世界の電力消費量の大半を占めると言われる「モーター」や「電源」の効率改善に向けて、様々な省エネルギーデバイスの開発を進め、商品を通じた環境負荷削減への取り組みを進めてまいります。

加えて、生産工程など事業活動全般における環境負荷軽減についても重視し、国内主要事業所(京都駅前ビル、新横浜駅前ビル)やタイ工場などを再生可能エネルギー100%としたほか、SiCウエハ製造の主要な生産工程についても再生可能エネルギー100%を導入するなど、環境配慮型の事業体制構築にも取り組みます。

 

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(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

世界のエレクトロニクス市場におきましては、省エネルギー化のニーズ拡大や自動車の電動化などにより中長期的な成長が続くものと考えられますが、技術競争はより激化してきており、グローバル市場に対応した新商品・新技術の開発を進めるとともに、コストダウンにも取り組み、国際的に競争力の高い商品を世界中に供給していく必要性がますます高まると考えられます。

このような状況のもと、ロームグループにおきましては、自動車関連市場、産業機器関連市場に重点を置くとともに、白物家電や情報通信関連などの幅広い市場において、継続して業界のニーズを先取りする高付加価値商品の開発に努め、さらに、持続可能な社会の実現に貢献するためのCSV活動や、事業継続のためのリスク管理体制も継続して強化してまいります。

 

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