当社グループの基本方針は粗利益率及び在庫回転率の最大化を目的とし、市場環境に応じて適正在庫を管理し、適正価格で販売する事により限界収益の極大化を図ることにあります。その中にあって、中古ブランド品の流通は越境ECを始め全世界的規模で拡大し、当社グループが展望していた通り、中古ブランド品事業の物品はその物流がグローバルに展開しております。
かかる状況下、当社グループのビジネスモデルはCtoBの商品買取を基本とし、更にBtoCの商品販売を展開する事により、一般顧客より高く買取り、その都度市場状況を判断し、在庫リスクを極小化しつつ、在庫回転率を最大化する事で商品リスクを回避して顧客に商品を提供してきております。更に不況期に強い安定的な収入が期待できる質屋業を併営しており、コロナ下で厳しい小売業界にあって古物売買のみでは店舗の損益分岐点が低いため、併設している質料収入及び上記適正在庫管理、収益管理により、コロナ下における影響を最小限に留めております。
一方、当連結会計年度に転じますと、国内でのCOVID-19拡大による影響が長期化する中、インバウンド需要の低迷、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発令された事による個人行動規制や営業規制の強化の影響もあり、依然として厳しい状況が続いております。世界経済においては、ワクチン接種が進んでいる欧米諸国が牽引する形で各種経済政策が進められ一定の回復は見せつつも、ウクライナ情勢の緊迫化や中国における上海を中心に爆発的に広まったCOVID-19拡大によるロックダウン等の影響から景気動向の先行きは極めて不透明な状況で推移しております。
このような環境の中、今後の当社グループの連結収益の改善並びに経営基盤の強化を図るために対処すべき課題とその対処方針は以下のとおりであります。
①オンライン買取販売事業の強化
新たな成長戦略の一環として、オンライン事業拡大方針の下、強化してきましたEC事業は、当連結会計年度において、当社グループのネット店舗商品売上高は2,203百万円(前期比28.8%増)となりました。コロナ禍にあって外出自粛やリモートワーク等の影響でEC利用の需要が拡大している中で、当社がグループをあげて継続的且つ積極的に取り組んでおります、(a)顧客にわかりやすいECサイトの開発、(b)EC掲載商品点数の向上、(c)EC広告の効率改善活動を一層進めて参ります。当社グループでは、ECにおける買取販売事業を更に強化するため、システムにより情報を一元管理する事により店舗及びEC上の顧客を一元管理する事により顧客ニーズにあった商品やサービスの提供及び業務効率化のシステムを再構築するため令和2年11月にECサイトを一新しました。今後は同社のシステムをベースとした、グローバル化の一環として英語及び中国語による買取販売を更に強化して参ります。
また、買取販売事業の業務効率化及び顧客利便性向上のため、AIを駆使したデータベース分析に基づき、オンラインによる(a)グローバルでの中古ブランド品価格の適正化、(b)商品区分の整理の自動化による消費者の当社サイトへの商品掲載の容易化、(c)真贋鑑定の強化を推し進めて参ります。
②新たな事業の展開強化
令和3年5月14日に公表しました大黒屋における新たな事業(a)オンラインオークション事業(b)ブランドバッグ・時計等のシェアリング事業の開始に向けては、コロナロスにより遅れてはいますが当社グループの多様な人材を再配置しシステム構築を図って参ります。
③質屋事業の強化
令和2年4月に発せられた第1回目の緊急事態宣言時に庶民金融である質屋業が個人の逼迫した資金ニーズを賄うものとして改めて再認識されました。かかる状況下大黒屋では創業以来75年で培った「質の大黒屋」としてのノウハウを活用して、顧客ニーズに応えるべく値付・真贋のできる店舗スタッフを育成・強化するとともに、来店出来ない顧客には訪問質預りで対応する等顧客の要望に応えて参りました。質屋業界最大手として今後も更に一層庶民金融の一翼を担って参ります。
④中国事業の強化
当社グループは、現在アリババグループから戦略的パートナーとして認定されており同グループが運営するオンラインプラットフォームTmallでの当社100%子会社上海黛庫を上海に設立した事でブランディング及びマーケティング戦略の一貫した活動を行うことが可能となり、越境EC、そして、積極的に同国での買取販売事業を強化していきます。その一環として、上海黛庫では昨年12月下旬にアリババグループの盒馬鮮生内に買取の第1号店として大黒屋高青路店を開設しました。その後中国国内ではコロナ禍におけるロックダウンで人流が止まる等の影響はあるものの現地スタッフ等の在宅ワークにより各種イベント向けてのネット販売買取は大幅に増加しており、更にネット売買と共にアフターコロナを見据え店舗網を拡大していく見込みです。
⑤相場変動への適時対応、適正価格での在庫保有
COVID-19による各国の渡航制限・活動自粛等の影響により、令和2年前半にかけて落ち込んでいたブランド品相場はその後いち早く経済回復した中国の影響や、昨今の金利格差に基づく円安の影響を受け高止まり状態が依然として続いております。かかる状況下、大黒屋ではブランド品相場の上昇の兆候のあった令和2年後半より商品の早期販売を需要の多い中国に定め、収益の拡大を果たすと共にリアルからネット化、グローバル化への展開をしてきました。CtoBの商品買取を基本とし、更にBtoCの商品販売を展開する際に、相場変動への適時対応やシステム内に構築された価格データを駆使して一般顧客より高く買取り、他の顧客に安く販売するというビジネスモデルを展開しております。特にバックにおいては在庫回転期間が30日以内で推移しています。かかる状況を踏まえ、引き続き、相場の状況を注視しながら余剰在庫を削減し、適正価格による在庫の確保を進めて参ります。
⑥電機事業の事業構造改革の実施
電機事業については、生産体制の更なる効率化や製品の統廃合や在庫管理の強化により製造原価の逓減を進め、結果として利益率が向上して参りました。今後も引き続きお取引先に理解を得ながら不採算製品の削減や在庫圧縮を徹底するとともに製造間接費の更なる削減を実施して参ります。
⑦キャッシュ・フロー重視の経営と経営基盤の拡充
質屋、古物売買業の強化、電機事業の抜本的な事業構造改革及び本社経費の削減等により、営業利益拡大を図るとともに事業リスクを逓減させ投資の回収を図り、キャッシュ・フローを重視した経営を進めて参ります。
⑧異業種との業務提携
大黒屋が1947年の創業以来75年で培った正確な真贋鑑定能力、過去の知見に起因するデータの蓄積及びそのDX化の結果として、当社グループが構築した真贋鑑定システム、買取システム、Dynamic Pricing システム及びキュレーションシステム等の展開を更に推し進め当社グループと異業種との業務提携等を含め国内外のプラットフォーマーやブランド品関連企業へ提供していきます。
その第1弾として大黒屋では令和4年4月20日に株式会社JTBと業務提携を開始しております。
⑨次期の見通し
当社グループの基本方針は粗利益率及び在庫回転率の最大化を目的とし、市場環境に応じて適正在庫を管理し、適正価格で販売する事により限界収益の極大化を図ることにあります。その中にあって、中古ブランド品の流通は越境ECを始め全世界的規模で拡大し、当社グループが展望していた通り、中古ブランド品事業の物品はその物流がグローバルに展開しております。当社グループではオフライン・オンライン及び国内外を一元として捉え、グループ全体での在庫回転率、粗利益及び交差比率を最大化するビジネスモデルを基本として的確且つ最適なタイミングでグローバル化、オンライン・オフラインでの店頭やネットでの需要に対し当社グループ販売員が夫々の顧客のニーズを把握し、買取状況を踏まえ、重畳的に店舗網を結びつけると共に中国現地に於いて展開している当社グループの強みを最大限に活用し、在庫回転率極大化、粗利益極大化していくと同時にエンドユーザーの状況を的確に把握し、在庫調整により商品リスクを回避しつつ利益の極大化を図って参ります。
一方大黒屋では同業他社と違い、質屋業という庶民金融を提供している事により、不況下、コロナ禍にあっても安定的な質料収益を確保出来る事により小売り店舗の収益のボラティリティーを補完し、コロナ禍においても店舗及びオペレーションの期待収益率を抑え、安定的な経営基盤を有している事から、かかるコロナ下でも業界同業他社と比較して影響を最小限に留めて参りました。
今後の見通しにつきましては、欧米各国でワクチン接種の効果によりコロナ感染率が低下すると思料される一方、当社グループの今後の主力市場である中国ではコロナ感染によるロックダウンで人流が止まる等の影響があるものの、在宅に伴う各種イベントによるネット販売は大幅に増加しております。しかしながら、わが国においては、年初から緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発令され、更にその期限も延長される等、当業界においても、国内外の感染症拡大の動向や世界経済の変動の影響は依然として大きく、先行きについては当面予断を許さない状況が続くとものと思料され、ウイズコロナ・アフターコロナ時代を見据えた持続可能な事業展開の確立が急務であると予想されます。
係る状況にあって当社グループでは、既にオフライン・オンラインでの買取販売のプラットフォームを構築しており、更に顧客ニーズに沿った買取販売システムを強化するため、当社グループの買取人及び販売員の“One to One CRMマーケッティング”を強化していきます。
更に次期は、本年度より始まった「5カ年事業計画」に基づき、従来の大黒屋の強みである、顧客ニーズ及び質屋業で培ったKYC管理能力を強化し、同社独自のサブスクリプションビジネスモデルを提示いたします。同ビジネスは現況国内外で伸長しており、今後とも成長が期待出来る分野であると考えております。
また、従来より同業他社が展開しているにも関わらず、大黒屋が展開して来なかったBtoBオンラインオークション事業を新たに展開していきます。同社は業者間市場において売り買いの最大手であり、同社内に市場を構築する事で同社のビジネスの基本である、在庫回転率最小化による、中古ブランド品のマーケットメーキング業務を強化し、同社の強みである値付力・真贋力を更に強化出来るものと考えております。以上の通り、当社グループでは事業強化の為に①オンライン買取販売事業の拡大②訪問買取・訪問質預り事業による新たな顧客の発掘③庶民金融としての質屋事業の強化④上海黛庫商業有限公司による中国におけるアリババグループを始め、TikTokやREDでの現地マーケッティング強化により、中古ブランド品越境EC販売、中国国内での買取販売事業を強化、を掲げ事業展開を行っており、次期においてもこの四本柱を強化拡大する事で新たな収益機会を見出します。更に、大黒屋の新たな事業として掲げるもコロナロスにより遅れている⑤高級バックのシェアリングサービス事業⑥BtoBオンラインオークション事業の実現に加え⑦大黒屋創業来75年で培った正確な真贋鑑定能力、過去の知見に起因するデータの蓄積及びそのDX化の結果として、当グループが構築した真贋鑑定システム、買取システム、Dynamic Pricing システム及びキュレーションシステム等の展開を奇貨として異業種との業務提携等を含め国内外のプラットフォーマーやブランド品関連企業へ提供していきます。
これらにより、増収・増益につなげて参ります。
以上の状況を踏まえ、次期の令和5年3月期(令和4年4月1日~令和5年3月31日)は次の通り見込んでおります。
令和5年3月期連結業績見通し(令和4年4月1日~令和5年3月31日)
〔連結〕 (単位:百万円)
|
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属する当期(四半期)純損益 |
第2四半期 |
9,550 |
217 |
169 |
△3 |
通期 |
19,780 |
801 |
705 |
237 |
本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
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