業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社、連結子会社及び持分法適用会社(以下、「当社グループ」という。)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスのワクチン普及に伴う経済再開や政府の景気刺激策等により、欧米を中心に回復基調となりました。

 当社グループの属する電子部品業界におきましては、EUが2035年にガソリン車を販売禁止とするなど、環境規制によるEV等環境対応車への全面移行が早まる可能性があり、自動車向け市場の拡大が見込まれます。当期においては、欧米を中心とした経済再開により大幅に需要が回復いたしました。

 このような環境のもと、当社グループは品質・信頼性を重視する市場を中心に、高機能製品の拡販等の活動を進めるとともに、緊急費用削減施策による固定費の抑制等に努めてまいりました。

 この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高64,955百万円(前年同期比14,576百万円増、28.9%増)、営業利益5,721百万円(前年同期比3,404百万円増、146.9%増)、経常利益6,859百万円(前年同期比3,919百万円増、133.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,771百万円(前年同期比2,737百万円増、134.6%増)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は5百万円増加し、営業利益、経常利益はそれぞれ1百万円増加しております。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 セグメントの経営成績は、日本においては売上高55,383百万円(前年同期比13,136百万円増)、セグメント利益4,503百万円(前年同期比3,897百万円増)、アジアにおいては売上高33,369百万円(前年同期比8,252百万円増)、セグメント利益1,288百万円(前年同期比237百万円増)、アメリカにおいては売上高10,395百万円(前年同期比2,649百万円増)、セグメント利益517百万円(前年同期比247百万円増)、ヨーロッパにおいては売上高8,904百万円(前年同期比1,773百万円増)、セグメント利益385百万円(前年同期比89百万円増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,195百万円増加し、当連結会計年度末には20,341百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動により増加した資金は5,971百万円(前連結会計年度は5,294百万円の増加)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益6,535百万円の計上、減価償却費3,525百万円の非資金項目の調整等によるものです。主な減少要因は、棚卸資産の増加2,456百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動により減少した資金は5,920百万円(前連結会計年度は2,699百万円の減少)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出4,637百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動により増加した資金は1,247百万円(前連結会計年度は410百万円の増加)となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入2,510百万円等によるものです。主な減少要因は、配当金の支出額930百万円等によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

50,454

133.1

アジア

17,271

134.9

アメリカ

213

117.3

ヨーロッパ

合計

67,939

133.5

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、商品仕入を含んでおります。

b. 受注実績

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

29,539

135.9

11,211

195.8

アジア

25,335

139.4

8,601

175.9

アメリカ

11,785

128.5

4,176

151.0

ヨーロッパ

9,147

124.5

858

139.6

合計

75,808

134.3

24,847

177.5

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

24,054

125.4

アジア

21,622

132.4

アメリカ

10,374

134.1

ヨーロッパ

8,904

124.9

合計

64,955

128.9

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の当社グループの資産は、現金及び預金、受取手形及び売掛金、有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末と比べて13,648百万円増加し、当連結会計年度末は94,989百万円となりました。

 当連結会計年度の負債は、未払金等の増加により、前連結会計年度末と比べて8,080百万円増加し、当連結会計年度末は27,885百万円となりました。

 当連結会計年度の純資産は、利益剰余金等の増加により、前連結会計年度末と比べて5,567百万円増加し、当連結会計年度末は67,103百万円となりました。

 売上高は、64,955百万円(前年同期比14,576百万円増、28.9%増)となりましたが、この要因としましては、日本においては、自動車、産業機器、医療機器向けをはじめとして全ての用途が堅調に推移したこと、アジアにおいては、自動車、電源、コンピュータ向け等が堅調に推移したこと、アメリカにおいては、代理店や自動車向け需要が大きく増加したこと、ヨーロッパにおいても、自動車や代理店向け等が引き続き堅調に推移したこと等によるものと分析しております。

 利益面におきましては、営業利益は5,721百万円(前年同期比3,404百万円増、146.9%増)となりましたが、この要因は、原材料に含まれる希少金属の相場上昇による変動費増加により限界利益率が悪化し、人件費を中心とした固定費も増加しましたが、USドル為替レートの円安影響に加えて各地域の各用途向けの需要が大きく増加したこと等によるものと分析しています。経常利益は、6,859百万円(前年同期比3,919百万円増、133.4%増)となりましたが、この要因は前述の営業利益の増加に加え、為替差益等が増加したことによるものと分析しています。親会社株主に帰属する当期純利益は、4,771百万円(前年同期比2,737百万円増、134.6%増)となりましたが、この要因は、支払保証金205百万円、操業休止関連費用116百万円、法人税等1,766百万円を計上したことによるものと分析しています。

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、当社グループは、ROE(自己資本利益率)8%を目標値とした2022年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定しておりました。品質・信頼性を重視する市場を中心に、高機能製品を提供し継続的に競争力を高めるとともに、イノベーションの動向を予測し、そこで必要とされる技術や製品開発に経営資源を投入し、お客様と共に新たな価値を創造する活動を進めております。当連結会計年度におけるROEは7.4%(前年同期比4.0ポイント改善)となりました。前連結会計年度と同様に目標値と比較してROEが低い水準であった要因としましては、COVID-19による市況悪化からは回復傾向にあったものの、原材料価格や物流コストの高騰等により営業利益の成長が十分に高い水準ではなかったことによるものと分析しています。引き続き品質・信頼性を重視する市場を中心に、高機能製品の拡販等の活動を進めるとともに、お客様の成長を支えるための供給体制の構築を加速させ、当該指標の改善を目指してまいります。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として次のものがあります。売上高におきましては、景気動向に伴う電子部品需要の変動が重要な影響を与える要因になりますが、今後の経済見通しにつきましては、引き続き景気の先行きは不透明感の強い状況にあります。当社グループの主要な販売先である自動車業界の需要見通しも楽観視できない状況にあります。利益面におきましては、金属材料相場の上昇による材料コスト増加や、海外売上比率及び日本での生産比率が高いことから円高ドル安等の為替変動により利益が減少する要因となりますが、一部の希少金属の相場が高止まりしている状況にあります。

 

② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。当社グループの研究開発費は営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が主要な部分を占めています。研究開発費については、前連結会計年度の2,328百万円と比較し269百万円(11.5%)増加し、2,597百万円となりました。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、注力する製品の生産能力拡大、新製品の開発、国内外の製造拠点での品質や生産性向上等のための設備投資です。当連結会計年度の設備投資額は、前連結会計年度の2,352百万円と比較し、2,399百万円(102.0%)増加し、4,751百万円となりました。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。このため、当社グループの運転資金及び設備投資資金は、主として自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入れによる資金調達を実施することとしています。当社連結子会社における富山県での工場新設の資金に充てるために当連結会計年度において複数の金融機関からの借入れを実施しました。これらの借入金について、営業活動から得られるキャッシュ・フローによって十分に完済できるとともに、引き続き今後の成長に必要となる資金を適切に調達することが可能であると考えています。また主要な取引金融機関とは良好な取引関係を維持しており、安定的な資金調達が適時実施可能と認識しています。なお、当社は資金調達の機動性を高めるため、複数の金融機関との間に2,000百万円の借入枠(コミットメントライン)を設定しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

a. 貸倒引当金

 当社グループは、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については過年度実績率を基礎とした将来の貸倒予測率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。

 

b. 退職給付債務の算定

当社グループは確定給付制度を採用しております。退職給付債務及び勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、期待運用収益率等の様々な計算基礎があり、当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

c. 繰延税金資産

 繰延税金資産については、将来の課税所得等を検討し、回収可能な範囲において資産計上しております。しかしながら、将来の課税所得等を検討し、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断し法人税率が引き下げられた場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

d. 投資有価証券の減損処理

 当社グループでは投資有価証券を保有しており、評価方法は市場価格のない株式等以外のものについては時価法を、市場価格のない株式等については原価法を採用しております。保有する有価証券につき、市場価格のない株式以外のものは株式市場の価格変動リスクを負っていること、市場価格のない株式等は投資先の業績状況等が悪化する可能性があること等から、合理的な基準に基づいて投資有価証券の減損処理を行っております。

 当社グループでは投資有価証券について必要な減損処理をこれまでに行ってきておりますが、この基準に伴い、将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現状の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生し、減損処理が必要となる可能性があります。

 

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