当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当社は当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期との比較分析は行っておりません。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
① 財政状態の状況
資産の部
当連結会計年度末における流動資産は2,330,478千円となり、主な内訳は現金及び預金1,657,625千円、売掛金518,337千円であります。また、固定資産は1,501,248千円となり、内訳は有形固定資産60,420千円、無形固定資産1,333,409千円、投資その他の資産107,417千円であります。以上により、資産合計は3,831,726千円となりました。
負債の部
当連結会計年度末における負債合計は1,480,463千円となり、流動負債の主な内訳は買掛金197,579千円、短期借入金300,000千円、1年内返済予定の長期借入金144,000千円であります。また、固定負債は541,003千円となり、主な内訳は長期借入金540,000千円であります。
純資産の部
当連結会計年度末における純資産合計は2,351,263千円となりました。主な内訳は資本金547,367千円、資本剰余金584,031千円、利益剰余金705,351千円、非支配株主持分514,137千円であります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響によるインバウンド需要が依然として停滞していることから、マルチリンガルCRM事業における多言語分野に係る業務の受注はコロナ禍以前の水準には至っておらず、不透明な状況が続いております。一方、コロナ禍による生活様式の変化に伴い、ワクチン接種受付業務や国内サービスにおけるカスタマーサポート業務などが増加傾向にあり、事業全体を見ると安定した推移となりました。
セールスアウトソーシング事業においては、主力業務である訪問による東京電力グループへの電力切替勧奨業務について、2021年7月に東京都に発出された緊急事態宣言が9月に解除されたことによって、同月以降においては営業活動に制限が無くなったものの、営業人員の再確保及び再教育などにより、従前の操業度まで回復するには至りませんでした。また、前期より開始している新規の営業獲得案件については期間を通じて堅調に推移しましたが、売上及び利益への貢献については途上状態となっております。
その他、同年11月1日付にて株式会社OmniGridを株式取得により子会社化しておりますが、損益については第4四半期連結会計期間が連結対象となるため、当期における当社グループへの貢献については限定的であります。
その結果、当期の売上高は2,769,910千円、営業利益は291,338千円、経常利益は288,806千円、親会社株主に帰属する当期純利益は182,879千円となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。また、各事業分野のセグメント利益は、全社管理部門費用336,950千円を含まない額であります。
(マルチリンガルCRM事業)
マルチリンガルCRM事業におきましては、日本語を含む12カ国語を活用し、外国人と日本人のコミュニケーション問題を解決する多言語・通訳ソリューションを24時間365日体制で提供しております。
新型コロナウイルス禍発生前においては、訪日外国人観光客の増加に伴い、今まで日本語のみで顧客対応をしていた企業の多言語化対応によって、当社の多言語化サポートを導入する取引先が拡大を続けてまいりましたが、当連結会計年度については、訪日外国人観光客の減少によって多言語によるサポートニーズは低迷する結果となりました。しかしながら、企業のテレワーク推進による一次受付需要の発生や新型コロナウイルス関連サポート業務、生活様式の変化に伴う通販需要増におけるサポート業務の受託など新たなニーズの発生から、日本語を中心とした案件の引き合いが増加したことで、売上・利益確保に至っております。
その他、当連結会計年度において岩手県花巻市・盛岡市の2拠点にてコンタクトセンター事業を営む株式会社シー・ワイ・サポートに加え、また、音声予約・通話システムの開発及び運用並びにレンタルサーバー事業を営む株式会社OmniGridを子会社化しております。両社はいずれも主としてカスタマー向けのサービス提供を行う業態であることから、マルチリンガルCRM事業として報告セグメントに区分しております。
以上の結果、マルチリンガルCRM事業全体では、売上高は1,884,219千円、セグメント利益は456,590千円となりました。
(セールスアウトソーシング事業)
セールスアウトソーシング事業では、主に当社がクライアント企業に代わって見込みユーザーに対してインサイドセールス等を行っております。当連結会計年度については、主力業務であります東京電力グループへの電力切替勧奨業務が緊急事態宣言の発出により2021年4月から9月まで断続的に休業を余儀なくされました。9月以降は稼働再開に至っておりますが、通期業績予想にて計画していた想定獲得量を下回る着地となりました。しかしながら、新規案件開始及び外注費用のコントロール等によって利益を確保する体制が維持できたことから、利益の確保に至っております。
以上の結果、セールスアウトソーシング事業全体では、売上高は885,691千円、セグメント利益は171,698千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は1,657,625千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益288,806千円、減価償却費28,759千円、のれん償却額27,995千円、売上債権の増加158,946千円、仕入債務の増加72,583千円、未払金の増加75,349千円などから234,182千円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に無形固定資産の取得による支出48,213千円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出943,725千円などから1,016,303千円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増額180,000千円、長期借入れによる収入720,000千円、長期借入金の返済による支出46,800千円などから872,271千円の収入となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社の提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
マルチリンガルCRM事業 |
1,884,219 |
- |
セールスアウトソーシング事業 |
885,691 |
- |
合計 |
2,769,910 |
- |
(注)当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社エヌ・ティ・ティ マーケティングアクト(現 株式会社NTTマーケティングアクトProCX) |
399,702 |
14.4 |
東京電力エナジーパートナー株式会社 |
397,366 |
14.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性のため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、2,769,910千円となりました。これは主にセールスアウトソーシング事業における東京電力グループの訪問営業案件が新型コロナウイルス禍に伴う緊急事態宣言の発出によって活動が大きく制限された一方、マルチリンガルCRM事業については新型コロナワクチン接種サポート業務などのスポット業務が伸長したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、2,100,756千円となりました。これは主にセールスアウトソーシング事業における東京電力グループの訪問営業案件が新型コロナウイルス禍に伴う緊急事態宣言の発出によって活動が大きく制限されたことによって外注費が大きく抑制された一方、大阪コンタクトセンター立ち上げに伴う人員の急増によって人件費が増加したことなどによるものです。その結果、売上総利益は、669,154千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、売上高営業利益率)
販売費及び一般管理費は377,815千円となりました。これは主に子会社取得によるのれん及び無形資産の償却費用の発生並びに監査工数の増加に伴う監査費用の増加に加え、人件費、地代家賃等の計上によるものであります。この結果、営業利益は291,338千円となりました。また、売上高営業利益率は10.5%となっております。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は主に利息の受取により63千円、営業外費用は主に借入金の利息支払いにより2,595千円となり、この結果、経常利益は288,806千円となりました。
(特別利益、特別損失及び当期純利益)
特別利益及び特別損失の計上はなく、税金等調整前当期純利益は288,806千円となりました。また、法人税等合計が100,689千円、非支配株主に帰属する当期純利益5,237千円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は182,879千円となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載の通りであります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フロー234,182千円、投資活動によるキャッシュ・フロー△1,016,303千円、財務活動によるキャッシュ・フロー872,271千円により、当連結会計年度末では前連結会計年度と比較して90,149千円の資金の増加となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社の資金需要の主なものは、運転資金、法人税等の支払、借入金の返済等であり、その資金の源泉といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの長期及び当座貸越による短期借入により、必要とする資金を調達しております。これらの資金需要に対し、現状は自己資金の範囲内で賄えており、当連結会計年度末における現金及び預金残高は1,657,625千円であり、現状の当社グループの資金需要に対して十分な流動性を確保しております。今後は当社サービスの認知度向上のための広告宣伝費及び事業拡大にかかる人材採用費並びに人件費に加え、さらにシステム開発等の投資を実施していく方針であります。これらの資金需要につきましては、自己資金、金融機関からの借入及び新株発行等により資金調達していくことを基本方針としておりますが、財政状態を勘案しつつ、資金使途及び需要額に応じて柔軟に検討を行う予定であります。
⑤ 目標とする経営指標
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。当連結会計年度における分析につきましては「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績の分析」に記載の通りであります。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの事業に関係が深いインバウンド環境の現状については、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大によって先行き不透明感が続いておりますが、当社グループは多言語関連事業については在留外国人向けのサービスを主力としているため、当社グループの事業に対する影響は、短期的には限定的なものとなっております。また、中長期的にみれば、訪日外国人旅行者の回復に伴って更なる市場拡大が予想され、それに伴う企業の取り組みが拡大及び深化するものと見込まれます。特に、民泊関連やホテルなどからの受注が見込まれていることから、当社グループとしては、積極的に同業種への拡販に努めてまいります。
このような環境の中、当社グループは引き続き幅広い業種のクライアントに満足頂けるソリューションの提供に努め、質の高いサービスを提供し、継続的な取引をして頂くことで、売上及び利益の最大化を図ってまいります。
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