(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、長引く新型コロナウイルス感染症蔓延の直接的、間接的な影響により、企業収益及び個人消費は停滞しております。さらには2021年11月に入りオミクロン株の世界的な流行により、依然として経済状況は不透明な状態が続いております。
また、「2021年人口動態統計速報」によれば、2021年(1月~12月)の出生数は約84万人に対し、死亡数は約145万人と自然減が続き、「内閣府2021年版高齢社会白書(全体版)」によると、2065年にはわが国の人口は約8,808万人、65歳以上の人口比率が約38.4%と、総人口の減少及び一層の少子・高齢化が予測されております。
経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によりますと、結婚式場業の2021年の取扱件数は前年比92.0%増の62,897件、売上高は前年比94.9%増の183,179百万円となっております。一方、葬祭業の2021年の取扱件数は前年比6.4%増の470,464件、売上高は前年比6.1%増の527,633百万円となっております。
このような状況下、当連結会計年度売上高は11,055百万円(前期比7.1%増)、営業利益は354百万円(前期比559.4%増)、経常利益は454百万円(前期比85.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は406百万円(前期比200.2%増)となりました。
当社グループにおけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
ホテル事業(ホテル・ブライダル事業)
ホテル事業では緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の発令、オミクロン株の世界的流行の影響を受け、予定しておりましたご婚礼、ご宴会、ご宿泊、レストラン、イベントの多くが中止もしくは延期となりました。引き続き飲食を伴うご宴席や集会の機会が自粛される情勢の中でありますが、感染防止対策を取りながらご婚礼、ご宴会の施行の推進、お弁当販売、クリスマスケーキやおせち販売など、ご来場者以外の販売への取り組みをさせていただいたこともあり、売上高は前期比47.3%増の700百万円、営業損失は232百万円(前期は405百万円の営業損失)となりました。
式典事業(葬祭・法要事業)
式典事業では、競合環境の激化、新型コロナウイルス感染症の影響による儀式儀礼の小規模化の流れの中、お客様からご用命いただけるよう事業基盤を構築していくことが求められております。更なるご用命機会の拡大のために、2021年4月には一般葬、家族葬対応施設「サン・ライフ 小田急相模原駅前ファミリーホール」(神奈川県相模原市南区)、2021年12月には家族葬対応施設「ファミリーホール日野」(東京都日野市)を開設し、ご葬儀件数は増加しました。
また、お客様とのご相談機会を増やすため、イベント活用、広告による認知度向上策、ご相談体制の強化、人材教育を強化してまいりました。霊園事業については、東京霊園を運営管理する高尾山観光開発㈱での墓所の販売が好調に推移いたしました。
これらの結果、売上高は前期比4.9%増の7,948百万円、営業利益は前期比10.6%増の1,658百万円となりました。
介護事業
介護事業では、介護サービスご利用者の増加とサービス向上に努めてまいりました。2022年2月から3月にかけてエミーズ東間門(静岡県沼津市)とエミーズ鴨宮(神奈川県小田原市)において新型コロナウイルス感染者の発生と営業休止の措置が取られたものの、売上高は前期比0.8%増の1,901百万円となりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛によるサービス利用の減少や新規入居制限などもあり、営業損失は55百万円(前期は32百万円の営業損失)となりました。
その他の事業
その他の事業では、各種手数料・管理収入、少額短期保険収入やハウスクリーニング事業等の増加があり、売上高は前期比32.8%増の505百万円となりましたが、当社事業用不動産の保守・管理コストの負担により営業利益は前期比5.5%減の14百万円となりました。
財政状態については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①イ.:財政状態の認識及び分析」に記載しております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は前連結会計年度末に比べ57百万円減少し、8,934百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は928百万円となりました。主な収入要因として、税金等調整前当期純利益359百万円、減価償却費580百万円、減損損失108百万円、のれん償却費173百万円があった一方、主な支出要因として法人税等の支払額256百万円、前払式特定取引前受金の減少228百万円等があったことが主たる要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は945百万円となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出556百万円、定期預金の預入による支出150百万円、投資有価証券の取得による支出1,002百万円があった一方、投資有価証券の償還による収入800百万円があったことが主たる要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は45百万円となりました。これは、配当金の支払額195百万円があった一方、短期借入金の収入150百万円があったことが要因であります。
当連結会計年度における売上実績を、セグメントごとに示すと次のとおりです。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する分析・検討内容
イ. 財政状態の認識及び分析
資産合計は35,287百万円(前連結会計年度比1.0%増)となりました。
流動資産は10,652百万円(前連結会計年度比2.1%増)となりました。これは、現金及び預金の増加(93百万円)、その他流動資産の増加等(95百万円)が主たる要因であります。
固定資産は24,634百万円(前連結会計年度比0.6%増)となりました。これは、土地及び建物の取得による増加があった一方、減損損失の計上等による有形固定資産の減少(44百万円)、のれんの減損損失計上による減少等による無形固定資産の減少(288百万円)、投資有価証券の取得による増加、繰延税金資産の増加等による投資その他の資産の増加(479百万円)等が主たる要因であります。
(負債)
負債合計は30,391百万円(前連結会計年度比0.6%増)となりました。
流動負債は2,105百万円(前連結会計年度比23.6%増)となりました。これは、買掛金の増加(30百万円)、未払金の増加(42百万円)、その他流動負債の増加(283百万円)等が主たる要因であります。なお、その他流動負債の増加のうち300百万円は、グループ会社(株式会社サン・ライフサービス)における外部金融機関からの短期借入金であり、同社がグループ間金融に頼ることなく、独立採算で事業展開を行う目的で敢えてグループ外部から資金調達を行ったものであります。
固定負債は28,286百万円(前連結会計年度比0.8%減)となりました。これは、前払式特定取引前受金の減少(228百万円)が主たる要因であります。
(純資産)
純資産合計は4,895百万円(前連結会計年度比3.7%増)となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益406百万円の計上及び配当金の支払195百万円等により、利益剰余金が増加(192百万円)したこと、その他有価証券評価差額金の減少16百万円等が主たる要因であります。
ロ. 経営成績の認識及び分析
(売上高)
売上高は11,055百万円(前連結会計年度比7.1%増)となりました。
売上高増加の主な要因としては、ホテル事業(ホテル・ブライダル事業)では、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の発令、オミクロン株の世界的流行の影響を受け、予定していたご婚礼、ご宴会、ご宿泊等の多くが中止もしくは延期となりましたが、引き続き飲食を伴うご宴席や集会等の機会が自粛される情勢の中でも、感染防止対策を十分に取りながら、ご婚礼、ご宴会の施行等を推進した結果、売上高は前期と比較し増加しました。
また、式典事業(葬祭・法要事業)では、競合環境の激化、新型コロナウィルス感染症の影響による小規模化の流れの中ではありましたが、新規に2施設を開設し、ご葬儀件数が大幅に増加したことにより、売上高は前期と比較し増加しました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は8,557百万円(前連結会計年度比4.3%増)となりました。これは、ホテル事業及び式典事業の売上高増加に伴う変動費の増加等が主たる要因です。
この結果、売上総利益は2,497百万円(前連結会計年度比18.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は2,142百万円(前連結会計年度比4.0%増)となりました。これはWeb広告の積極的な推進に伴う広告宣伝費の増加、新入社員及び障害者雇用の人員増に伴う人件費の増加に加え、業績回復に伴う賞与見込額(引当金)の増加等が主な要因です。
この結果、営業利益は354百万円(前連結会計年度比559.4%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外損益は、前連結会計年度は191百万円の利益(純額)に対して、当連結会計年度は99百万円の利益(純額)となりました。これは主に、預り金取崩益87百万円の減少によるものです。
この結果、経常利益は454百万円(前連結会計年度比85.4%増)となりました。
(特別損益)
特別損益は、前連結会計年度は2百万円の損失(純額)に対して、当連結会計年度は94百万円の損失(純額)となりました。これは主に、当期に減損損失108百万円を計上したことによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等合計は、△47百万円(前連結会計年度は法人税等合計107百万円)となりました。これは主に、当期に繰延税金資産を追加計上(法人税等調整額は利益)したことによるものです。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は406百万円(前連結会計年度比200.2%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループは、主に営業活動により獲得したキャッシュ・フローを原資として投資活動を行っております。
ロ. 資本の財源及び資金の流動性について
当社の運転資金需要のうち主なものは、冠婚葬祭、介護サービスを提供するための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに、当社グループの施設の新設、改修等に係る投資であります。運転資金及び投資資金については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金を基本としております。また将来、当社グループの新たな収益源となり、企業価値向上に貢献するという判断により、成長分野におけるM&Aを含めた投資の検討を行ってまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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