課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「人や社会をベストな未来に導くために、心の通うメディアとコミュニケーションの場を創造」することをグループ経営理念としており、グループ全体でその使命を全うするため、プロモーション支援、採用支援、教育機関支援を事業セグメントとして専門特化し、広告広報を含めた総合支援業務案件の受注を推進しております。

事業の展開にあたっての基本方針は、以下の通りです。

・クライアントのために、専門力と創造力を発揮し、広範な視野で最適なソリューションを提供する。

・ユーザーのために、一人ひとりのライフスタイルに寄り添い、「必要なときに価値ある情報が届く」仕組みを

提供する。

 ・社員のために、社員の資質と挑戦心、創意工夫を発揮できる働きがいと活力に満ちた職場環境を提供する。

  ・株主の皆さまと社会のために、倫理観を持って信頼を醸成し、永続的な成長と社会的責任を全うする。

 

(2) 経営環境

当連結会計年度における我が国では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止による行動制限が段階的に緩和され、停滞していた業種の本格的な経済活動の再開が進みました。一方、世界各国の根強いインフレや政策金利の利上げ、急激な円安の進行に加え、ロシアのウクライナ侵攻の長期化による資源高や穀物高が続き、輸入品を中心に物価が上昇していることから、景気の先行きに不透明感が広がっています。

当社グループを取り巻く各市場においては、プロモーション市場では広告・販促の市場規模は、(マスメディア4媒体広告を除く)は前年同期比約103.5%となり、復調傾向にあります。媒体別ではダイレクトメール等のアナログ系媒体が同約99.2%と横ばいとなったものの、SP・PR・催事企画が111.5%となり、コロナ禍で落ち込んだ前年同期から回復しています。インターネット広告も同約109.5%と引き続き伸長し、広告分野は全体的に伸長しています(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」より当社グループ調べ)。採用市場では、有効求人倍率が1.32倍(2022年8月)となり、安定的に推移しています。教育機関市場では、大学・短大への進学率が58.9%と過去最高水準にある状況となっています(2021年度「学校基本調査」)。また、外国人留学生分野においては、2022年より日本でも入国制限が緩和されたことにより、本格的な復調が見込まれます。

このような状況の下、当社グループは、各企業や学校法人等におけるリアルイベント等は一定の復調を見込むものの、回復は限定的であるとの判断から、自社イベントスペース「アクセスフォーラム」の合理化を進めてまいりました。一方、デジタル領域を中心とした商材サービスを開拓し、その商材の提案から運用面まで支援する業務代行機能の拡充を進めました。今後も、プロモーション支援事業、採用支援事業、教育機関支援領域全てにおいて、業務代行のニーズは、選択する手法が多様化すると同時に複雑化すると考えており、これらを外注する引き合いは増加すると見込んでいます。業務代行に関する市場は、2021年において8,856億円であり、今後も年3%程度の安定的な成長になると示されています。(IDC Japan「国内ビジネスプロセスアウトソーシングサービス市場予測、2022年~2026年」

 

(3) 経営戦略及び優先的に対処すべき課題等

 当新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって変化した経営環境を踏まえ、当社グループでは、以下の経営戦略で事業を展開しています。

① 連合企画・個別案件の複合的アプローチによるクライアントの開拓

② アナログ・デジタル・モノを融合したフレキシブルな提案力の拡大

③ 多様化したニーズに応える業務代行・事務局機能の強化

④ 外国人留学生分野等、教育機関のニーズを広範に捉えたビジネスの拡大

 

今後もこれらの基本となる戦略は踏襲してまいりますが、現在の経済環境及び当社グループの業績の状況を踏まえ、業績を回復基調に乗せ、さらに事業を拡大するため、グループ全体として以下の課題に優先的に取り組んでまいります。
 
① 業務代行・事務局機能の効率化と拡大

プロモーション支援事業を営む株式会社アクセスプログレスが保有する業務推進センターでは、広告広報に関連する印刷、発送代行、テレマセンター、データ管理、保管業務等の各種業務代行を請け負っております。近年、キャンペーン事務局運営代行業務を始めとして、業務推進センターが提供する機能を複合的に組み合わせた総合的支援案件の受託機会が拡大しています。また、採用支援事業においても、売り手市場による応募数減少に加え、多様化する募集手法の選定やその運用工数の増加などにより、採用業務代行の引き合いが増加しています。これに対応するため、デジタルツールの積極的な導入による作業の効率化をはじめ、社員の適正な配置を進めることにより、受託体制を強化し、業務代行案件の拡大を図ってまいります。

 

②  大学との取引深化による進学・就職領域の事業拡大

 当社グループは、教育機関支援事業において大学の入試広報部門との取引を拡大してきただけでなく、採用支援事業において大学キャリアセンター(就職部門)や国際部門とも取引や連携を重ねてまいりました。長年の実績により、大学から継続取引をいただいており、DXによる入試面接サポートや父母会の運営効率化、寄付金募集活動の活性化に向けた同窓会組織のPRやスポーツ振興領域など、多岐にわたる相談も寄せられ、実績にもとづいた引き合いも増加しています。今後も、大学を中心とした取引基盤を活かし、教育機関支援・採用支援の両面で事業の拡大を進めてまいります。

 

③ 業務提携による新規・既存事業の拡大

 当社が積極的に他社との業務提携の可能性を模索し、当社グループと他社の事業とのシナジーを創出することで、新規事業の開始や既存事業の拡大を図ってまいります。

 営業機会拡大と相互支援を目的とした協業は多岐に及んでおり、プロモーション支援事業ではレンタル事業やデジタル広告分野に本格的に参入しています。採用支援事業では複数のダイレクトリクルーティングサービス会社と連携した営業展開を行っているほか、若手のアスリート人材、DX人材を紹介するための提携を行っています。

その他、外国人留学生・外国人材分野でも複数社と連携して協業を実施しています。当社グループが過去に培ったノウハウと他社の事業を組み合わせることで、当社グループの収益基盤安定化とブランド力の強化を図ってまいります。

 

④ 公的施策や官公庁・自治体取引拡大への対応

 当社は、これまでの自社企画や公的機関案件等を通じて、イベント準備や運営、業務代行等のノウハウを有しており、これをさらに強化して、継続して複合的な案件の獲得を目指します。

採用支援事業と教育機関支援事業では、以前より官公庁や外郭団体からの受託実績がありましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機に、ワクチン接種会場の準備と運営代行、PCR検査会場運営代行などを受託し、自治体やその関連企業との取引が増加いたしました。現在はその実績を足掛かりにして、他の公的施策関連の取引が増加かつ大口化しており、今後も公的案件の取引の拡大を図ってまいります。

 

⑤ 財務面の強化と企業価値の向上

 当社は、金融機関からの当座貸越枠の確保により、十分な安全余裕資産を保有しておりますが、今後新たな事業投資やM&Aを行う場面が生じた場合は、資本政策も見据えながら、必要に応じて財務面の強化を検討してまいります。

 また、当社では時価総額を含めた企業価値の向上を、重要な経営課題と位置付けております。企業価値の拡大に向けて、①既存事業の着実な回復による利益の確保、②M&Aも含めた新たな事業分野への投資の検討と実行、③効果的なIRの実施に取り組んでまいります。


 
 

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