課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは「全てがWINの世界を創る」を経営理念とし、以下を「Win-Winの5つの約束」として掲げております。

①クライアントのために、お互いの利益増幅を最適化

②サービスとエンドユーザーのWinな関係

③組織の中のWinな関係

④会社と社員が相互Happyな関係

⑤自己と周りの相互Winな関係

 

 この経営理念のもと、「Smart Marketing for Your Life」をビジョンとし、テクノロジーによる最適化だけでなく、人々の生活をいかに豊かに幸せにできるかを考え、人に寄り添う「マーケティングイノベーション」を起こすことで、「すべての人に価値ある体験を創りつづける」というミッションを達成してまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、主要財務指標として、全社の売上収益、営業利益、営業利益率を重視しており、その向上を図る経営に努めてまいります。

 中期経営計画(2020年1月~2022年12月)の2年目である2021年12月期の目標値は当初計画で売上高182億円、営業利益7億円、営業利益率3.9%、2022年12月期の目標値は売上高235億円以上、営業利益12億円、営業利益率5.1%としておりましたが、進捗に鑑み中期経営計画の見直しを実施し、2022年12月期の目標値を売上高131億円、営業利益0.7億円、営業利益率0.5%としております。

 

(3)経営環境及び中長期的な経営戦略

 当社グループは、主要な事業領域をヘルスケア&ビューティ及び食品市場とし、ECにおけるマーケティング支援を提供してまいりました。ヘルスケア&ビューティ及び食品市場は、景気の影響を受けにくく、加えてシニア人口の増加に伴う、セルフメディケーション(ヘルスケア)、アンチエイジングといった健康・美容志向の高まりなどを受け、拡大傾向にあります。国内EC市場規模は2020年20兆円から2026年には29兆円に拡大(「ITナビゲーター2021年版」発表データ)、世界の越境EC市場規模は2020年0.9兆ドルから2027年には4.8兆ドルに拡大することが予想(「ZION Market Research」発表データ)され、必然的にマーケティングコストの拡充も見込まれるため、当社グループは当市場を主要な事業領域と設定しておりました。

 しかし、昨今、ヘルスケア&ビューティ及び食品市場の広告は、効果効能を誇大に表現したものや消費者に誤解を与えるような表現を用いたブラック広告が蔓延したことにより、景表法・薬機法の規制が強化され、各大手ネットワークの自主審査基準も法令以上に厳しさを増しました。

 当社グループは、800社以上のマーケティングデータが蓄積されたDMPとAIを連携させ、クライアントの商材と類似する複数のマーケティング事例をもとに、マーケティングの最適化を図り、クライアントのKPIを保証する「KPI保証サービス」を中心にサービスを展開してまいりました。KPI保証サービスでは、過去のマーケティングデータを活用することで、クライアントの商品をヒット商品に育成し、クライアントと当社グループの成長を同時に目指すことで、Win-Winの関係を構築してまいりました。

 しかし、前述の規制強化をはじめとした市場環境の変化により、広告のクリエイティブが大きく変化し、過去データを活用したマーケティングの効果が薄れたことにより、クライアントの商品を大きくヒットさせることが困難な状況が続いております。

 この状況を受け、当社では成長戦略として「通販DXサービス」「異業種展開(マーケティングDXサービス)」「新規事業」の3軸に注力し、安定成長を目指します。

 

①通販DXサービス

 当社グループでは、法令に則った安全性の高い広告を提供してきたため、クライアントからの引き合いは増加したものの、以前のようなヒット商品を創出するには至らず、クライアントと当社グループを再び成長軌道にのせるため、「通販DXサービス」の提供を開始しました。「通販DXサービス」では、ブランディング広告やTVCM等にも事業領域を拡大し、TVCM効果を可視化するサービス「CM-UP」や、オフライン広告とWebを連動するサービス「オフラインDX」、ミドルファネル施策、インフルエンサー施策、LINEマーケティング施策、公式SNSアカウント運用、インフォマーシャル等のサービスの提供を開始しております。また、これらのデータを一気通貫で可視化・分析し、マーケティングの最適化を図り、Webを中心としたKPI保証の新規顧客の獲得や既存顧客の育成の効率を向上させることも可能です。Web中心の施策だけでなく、幅広い施策を展開することで、消費者の商品への理解・関心を促進し、クライアントと当社グループの成長及び消費者への価値ある体験の提供を目指します。

 

②異業種展開(マーケティングDXサービス)

 「通販DXサービス」は、サービス毎に提供・分析が可能であることから、「マーケティングDXサービス」として、異業種への展開を推進してまいります。ヘルスケア&ビューティ及び食品市場から異業種に展開することで、市場環境の変化に影響されないビジネスモデルを構築してまいります。

 また、ヘルスケア&ビューティ及び食品市場のマーケティングは異業種と比較し高速PDCAが実施されており、そのスピード感が優位性となります。加えて当社グループが今まで培ってきたダイレクトマーケティングのノウハウ、高い分析力を強みとして、異業種に展開し、当社グループの2つ目の軸として安定成長を目指します。

 

③新規事業

 新規事業として立ち上げた、エンタメDX事業をはじめとした、新規分野にも積極投資することで、新たな収益源の確保を目指します。当社のノウハウや知見を活かすことのできる分野を常に模索し、粗利率の高いビジネスモデルを確立することで、収益性の向上を目指します。

 

以上の3軸に注力することで、再成長を目指してまいります。

 

 経営者の問題認識につきましては、「(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループにおきましては、以下の点を主な経営課題と認識しております。

 

①グループシナジーの更なる追求

 ヘルスケア&ビューティ及び食品市場と、その事業領域におけるマーケティングに関連するテクノロジー市場は、環境変化の激しい状況が続くと見込んでおります。当社グループはアジアにおけるEC支援を行う比智(杭州)商貿有限公司、主に「RESULTシリーズ」の開発保守を行うPIATEC(Thailand) Co., Ltd.、主にコールセンター業務を行う株式会社PIALab.、主に越境EC事業に伴う輸入請負販売代行、物流支援、貿易業務、広告業務を行う台灣比智商貿股份有限公司、CHANNEL J (THAILAND)Co., Ltd.、PG-Trading(Vietnam)Co., Ltd.、ファンドを運営し、同領域のD2C企業や通販企業を対象に投資を行う株式会社ピアラベンチャーズ、投資業務を行うピアラベンチャーズ1号投資事業有限責任組合の子会社8社により構成されております。 当社グループは、グループ各社が自律的な意思決定を行うことで、スピード感のある事業運営を実現しております。併せて、同領域において、データを中心としたEC向けマーケティングテックにおける競争力の強化を主軸に、アジア市場に向けてのEC支援事業の展開及びマーケティングテックの開発にあたり、更なるシナジーを創出し、当社グループのもつ経営資源の効率的な活用を推進してまいります。

 

②既存事業の安定成長

 当社グループは独自のEC向けマーケティングテックとデータを活用したEC支援事業を「KPI保証」型にて提供し、収益を創出してまいりました。ノウハウが確立されてきたことで、クライアントごとの成果向上にもつながっておりましたが、昨今の景表法・薬機法の規制により、売上・収益を大きく牽引するような大ヒット商品が発生しにくくなっております。今後も引き続きAIを中心としたテクノロジーを導入し、EC向けマーケティングテックの開発やプライベートDMPの強化を推進し、ビジネスの基盤を拡充することで、新規ヒット率の向上及び既存顧客の販売高引上げに注力する一方で、取引社数を増加させることで、大ヒット商品に依存しない事業体制を構築し、安定収益を創出してまいります。

 

③事業領域の拡大

 当社グループは新規顧客獲得や既存顧客の育成の成果を保証するマーケティング支援「KPI保証サービス」を中心に、成長してまいりました。KPI保証サービスでは、商品の購入を促す刈り取り施策を中心に提供してまいりましたが、今後は消費者が対象商品に対して、認知から興味・関心を喚起し理解を深めていただくことで購入につなげるマーケティングソリューションとして「通販DXサービス」を提供してまいります。具体的には、運用型TVCMやミドルファネル施策、インフルエンサー施策、オフラインDX、LINEマーケティングDX、企業の公式SNSアカウント運用等を提供及び分析・最適化をするシステムを提供しております。今後、通販DXサービスの提供に新たな収益源の確保だけでなく、既存事業の成長も促進してまいります。

 

④異業種への展開

 当社グループは、ヘルスケア&ビューティ及び食品市場を中心にサービスを提供してまいりましたが、通販DXサービスは、サービス毎に提供・分析が可能であることから、「マーケティングDX」サービスとして、異業種への展開を推進してまいります。ヘルスケア&ビューティ及び食品市場のマーケティングは異業種と比較し高速PDCAが実施されており、そのスピード感が優位性となります。また、当社グループが今まで培ってきたダイレクトマーケティングのノウハウ、高い分析力は異業種においても強みとなることが見えてまいりました。今後は、積極的に異業種に展開しながら、データを蓄積し「KPI保証サービス」の提供も検討してまいります。

 

⑤新規事業投資

 当社グループは、さらなる成長を目指すため新規事業に積極的に投資してまいります。新規事業として立ち上げたエンタメDX事業をはじめとした、成長性があり当社グループの知見が活用できる分野に投資することで、収益の確保を目指します。

 

⑥収益性の更なる向上

 当社グループは、「KPI保証サービス」を中心に成長してまいりましたが、今後は、事業領域を拡大する「通販DXサービス」、異業種への展開を推進する「マーケティングDX」、「新規事業」を注力分野とし、この3軸で成長を目指します。既存事業である「KPI保証サービス」で安定収益を確保し、高粗利率である3軸の注力分野で収益性を向上させ、持続可能な成長を目指します。

 

⑦優秀な人材の確保

 当社グループは、更なる事業拡大を実現していく上で、優秀な人材の確保が必要不可欠であると認識しております。このため、即戦力となる人材確保を目的とした中途採用及び将来を担う社員の育成と組織の活性化を目的とした新卒採用を積極的に行ってまいります。

 新卒採用に関しては、オンラインにて就労体験が可能な「クラウドインターン」制を導入し、学年や居住地を問わず学生達との接点を拡充し、その採用活動の強化を図ってまいります。

 また、事業状況に合わせ、年齢や国籍等に制限なく、高いスキルや潜在的な能力を持つ人材を積極的に登用してまいります。

 

⑧情報セキュリティ体制の更なる整備

 当社グループは、顧客と取引を行うにあたり、顧客情報、個人情報及び営業機密等の機密情報を取り扱うことがあります。

 情報セキュリティ体制の整備を引き続き推進していくとともに、情報の取り扱いに関する社内規程の適切な運用、役職員の機密情報リテラシーの向上、役職員による機密情報の取り扱いに関する内部監査等を通じ、情報セキュリティ体制の強化を図ってまいります。

 

⑨内部管理体制の強化

 当社グループは、急速な事業環境の変化に適応し、継続的な成長を維持していくために、内部管理体制の強化が重要であると認識しております。このため、事業規模や成長ステージに合わせバックオフィス機能を拡充していくとともに、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。具体的には、事業運営上のリスク管理や定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、社外役員の登用・監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実及び経営管理のDX化を進めることで迅速かつ適切な経営判断を行ってまいります。

 

⑩システムの安定性の確保

 当社グループは、インターネット上で顧客にサービスを提供しており、安定した事業運営を行うにあたり、国内外での市場シェア拡大や新規プロダクトの提供、新規海外拠点の設立等を念頭に置いた、サーバー設備の増強や負荷分散システムの導入等が必要不可欠であると認識しております。今後も、中長期的な視点から設備投資を行い、システムの安定稼働及びセキュリティ管理体制の維持構築に取り組んでまいります。

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