業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然厳しい状況にある中、ワクチン接種率上昇などにより一時は新規感染者数が急速に減少し、景気は持ち直す傾向がみられましたが、感染力の強い変異株の発生により感染の再拡大が深刻化するなど、依然として先行きが不透明な状況が続いております。当社を取り巻く環境として、「従業員を結果で管理する」、「ルールに基づく組織運営により働く場所に関係なく結果を出す」といった組織の生産性向上を図ることに対する市場ニーズは強く、当社サービスの需要は引き続き高い状況が続いております。

このような経営環境の中、当社グループは「識学を広める事で人々の持つ可能性を最大化する」という企業理念のもと、組織コンサルティング事業においては、積極的な講師人材の採用及び育成、講師の品質管理を徹底的に行いながら、「識学」が顧客の組織に浸透する状態を実現するべくサービス提供を行ってまいりました。スポーツエンタテインメント事業においては、Bリーグの2021-22シーズンが開幕し、B1昇格を目標にチーム強化への積極的な投資を行いながら、地域密着型クラブとして認知度向上に向けたマーケティング活動やスポンサー獲得のための積極的な営業活動を行ってまいりました。VCファンド事業においては、識学1号投資事業有限責任組合(以下、「識学1号ファンド」)の出資先である株式会社アイドマ・ホールディングスが東証マザーズに上場し、組成から1年半でIPOを達成した銘柄が2件となりました。これにより「識学」及び識学1号ファンドのソーシング活動に独自性があること、また、識学の組織コンサルティング手法が上場に向けた組織運営と親和性があることを証する1つの実績であると認識しております。

その結果、当連結会計年度の売上高は3,823,773千円(前年同期比52.6%増)、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費+敷金償却費)は429,927千円(前年同期比115.9%増)、営業利益は359,917千円(前年同期比161.8%増)、経常利益は346,988千円(前年同期比74.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は224,911千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失41,581千円)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

なお、従来「VCファンド事業」を「組織コンサルティング事業」に含めておりましたが、主要な事業として運営する体制の整備と売却実績が伴ったことを契機として、今後の投資案件の増加による投資有価証券の売却が事業的な規模として見込まれることから、第2四半期連結会計期間より「VCファンド事業」を主たる事業として独立区分し報告セグメントといたしました。また、新生識学成長支援1号投資事業有限責任組合への出資に伴い「ハンズオン支援ファンド事業」を新たに報告セグメントに追加しております。

 

(組織コンサルティング事業)

①マネジメントコンサルティングサービス

当連結会計年度においては、講師の積極的な採用と顧客基盤拡大のための積極的なマーケティング活動による投資を継続してまいりました。その結果、講師数は前連結会計年度末から19名増加し73名となりました。

この結果、当連結会計年度末時点の累計契約社数は2,873社(前連結会計年度末は2,187社)となりました。当連結会計年度のマネジメントコンサルティングサービス売上高は2,165,318千円(前年同期比22.5%増)となりました。

②プラットフォームサービス

当連結会計年度においては、「識学」に基づく組織運営が“定着”するまで継続的に運用支援を行う「識学 基本サービス」の拡販に注力してまいりました。

「識学 基本サービス」には、「識学」が組織に徹底できている状態を5つの軸と6段階のフェーズに分類し、フェーズの診断を実施することで顧客が解決すべき組織課題を明確にする機能があります。この機能により明確になった組織課題に対して講師とカスタマーサポート担当で構成する担当チームが課題解決に向けたサポートを実施することによって「識学 基本サービス」に対する顧客満足度の向上に取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度末における識学基本サービスの契約社数は524社(前連結会計年度末は167社)、識学クラウド契約社数は115社(前連結会計年度末は229社)、識学会員の会員数は248社(前連結会計年度末は479社)となりました。

また、当連結会計年度のプラットフォームサービス売上高は1,156,809千円(前年同期比155.1%増)となりました。

上記の結果、当連結会計年度の組織コンサルティング事業における売上高は3,322,127千円(前年同期比49.5%増)、営業利益は565,373千円(前年同期比147.1%増)となりました。

 

(スポーツエンタテインメント事業)

当連結会計年度においては、B1リーグへの昇格を目指してチームの強化を行いながら「地域密着型クラブ」として地域スポーツ振興を普及することを目的とした取組みを行ってまいりました。当連結会計年度においては、2021-22シーズンのスポンサー獲得に向けた営業活動及び営業人員の採用、新たな収益基盤である企業版ふるさと納税のさらなる拡充に向けた地方公共団体との連携強化に努めてまいりました。2021-22シーズンに向けたスポンサーの受注は155,915千円(前年同期比63.4%増)と順調に推移したものの、チーム強化に向けたチーム運営費への継続的な投資を行ったことによりコストが先行することとなりました。

しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、既存顧客であるスポンサー企業の撤退等によるスポンサー収入の減少によって、当連結会計年度におけるスポーツエンタテインメント事業の売上高は285,637千円、営業損失は126,919千円となりました。

 

(受託開発事業)

当連結会計年度においては、保有する多種多様な開発案件実績に基づくノウハウと潤沢なエンジニアリソースを活かし、当社グループのプラットフォームサービスの開発業務や資格取得講座のe-ラーニングシステムの受託開発等を行ってまいりました。2021年3月にはオンラインで入社体験ができ、登録されている企業の仕事内容の理解促進や、その企業とのマッチング度を計測できる新感覚採用マッチングサービスである「入社体感DX」をリリースし、2021年10月には会社説明のデジタル化サービス「デジタル面談」の販売を開始するなど、さらなる事業拡大に向けた収益基盤を構築するための新サービス開発を行ってまいりました。

この結果、当連結会計年度における受託開発事業の売上高は216,009千円、営業損失は13,090千円となりました。

 

(VCファンド事業)

当連結会計年度においては、「組織力」や「成長する組織への転換」に着目した投資を行い、投資先企業への「識学」導入による組織改善によって成長を支援するベンチャーキャピタルファンドを運営してまいりました。2021年6月には識学2号投資事業有限責任組合を組成し、子会社化したことにより、当該会社を連結の範囲に含めております。また、2021年10月に識学1号投資事業有限責任組合で保有している株式を一部売却し、217百万円の投資有価証券売却益を計上いたしました。なお、2021年6月29日以前に実行した投資による売却益であるため、特別利益として計上しております。

この結果、当連結会計年度におけるVCファンド事業の営業損失は47,091千円となりました。

 

 (ハンズオン支援ファンド事業)

当連結会計年度においては、投資先のEXIT(IPO/M&A等)によるキャピタルゲインを収益源とする「組織改善支援×金融・ファイナンス支援」という独自性を持ったハンズオン支援ファンドを運営してまいりました。2021年6月に「成長が見込まれる企業に対して投資を行い、ハンズオンにより投資先企業の業績改善・成長を支援し、その後の売却を通じ投資資本を増加させること」を目的とした新生識学成長支援1号投資事業有限責任組合を組成し、持分法適用関連会社といたしました。

この結果、当連結会計年度におけるハンズオン支援ファンド事業の営業損失は4,476千円となりました。

 

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は4,089,513千円となり、前連結会計年度末と比較して1,697,110千円の増加となりました。

 (流動資産)

当連結会計年度末の流動資産合計は3,246,158千円となり、前連結会計年度末と比較して1,578,563千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金の増加1,382,448千円によるものであります。

 (固定資産)

当連結会計年度末の固定資産合計は843,355千円となり、前連結会計年度末と比較して118,547千円の増加となりました。これは主に、投資有価証券の増加33,749千円によるものであります。

   (流動負債)

当連結会計年度末の流動負債合計は1,112,126千円となり、前連結会計年度末と比較して243,351千円の増加となりました。これは主に、未払法人税等の増加113,634千円及び前受金の増加63,211千円によるものであります。

   (固定負債)

当連結会計年度末の固定負債合計は245,432千円となり、前連結会計年度末と比較して139,401千円の減少となりました。これは主に、長期借入金の減少146,484千円によるものであります。

   (純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、2,731,954千円となり、前連結会計年度末と比較して1,593,161千円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加224,911千円、新株予約権の行使等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ598,306千円増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,625,498千円(前連結会計年度末比1,382,448千円増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、469,562千円(前連結会計年度は181,224千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益550,526千円、前受金の増加63,211千円により資金が増加した一方で、法人税等の支払額73,990千円により資金が減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動により支出した資金は、69,877千円(前連結会計年度は297,546千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入286,588千円により資金が増加した一方で、投資有価証券の取得による支出174,193千円、有形固定資産の取得による支出38,157千円、無形固定資産の取得による支出95,821千円により資金が減少したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、982,763千円(前連結会計年度は315,483千円の獲得)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,186,447千円、非支配株主からの払込みによる収入333,700千円により資金が増加した一方で、非支配株主への配当金の支払額297,861千円により資金が減少したことによるものであります。

 

(2)生産、受注及び販売の状況

 ① 生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

 ② 受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

 ③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

組織コンサルティング事業

3,322,127

149.5%

スポーツエンタテインメント事業

285,637

148.7%

受託開発事業

216,009

234.0%

VCファンド事業

ハンズオン支援ファンド事業

合計

3,823,773

152.6%

 

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度において、「VCファンド事業」及び「ハンズオン支援ファンド事業」を新たな報告セグメントとして追加しております。なお、前連結会計年度には、当報告セグメントに区分すべきサービスが存在しなかったため、前年同期比につきましては記載しておりません。

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」に記載しております。

 

  ② 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、3,823,773千円(前連結会計年度比52.6%増)となりました。その主な内訳は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度における売上原価は、1,058,091千円(前連結会計年度比65.5%増)となりました。これは主に、事業規模拡大に伴う人員増加により講師の人件費が増加したことによるものであります。

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、2,405,764千円と(前連結会計年度比39.1%増)なりました。これは主に、事業規模拡大に伴う人員増加により人件費及び採用教育費が増加したことと、積極的なマーケティング活動による広告宣伝費が増加したことによるものであります

これらの結果、営業利益は359,917千円(前連結会計年度比161.8%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、18,472千円(前連結会計年度比76.9%減)となりました。これは主に、投資有価証券売却益が前事業年度比71,502千円減少したことによるものであります。営業外費用は、31,401千円(前連結会計年度比73.5%増)となりました。これは主に、持分法による投資損失21,246千円によるものであります。

これらの結果、経常利益は346,988千円(前連結会計年度比74.0%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別損失は、22,704千円となりました。これは、当社の連結子会社である福島スポーツエンタテインメント株式会社が保有する固定資産について、将来の回収可能性を検討した結果、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づいて減損損失6,993千円を計上したこと及び当社の連結子会社である株式会社シキラボが株式会社MAGES.Labを連結子会社とした際に発生したのれんについて全額減損処理を行い、特別損失15,711千円を計上したことによるものであります。

また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額含む)は178,406千円となりました。

これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は224,911千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失41,581千円)となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、講師人材等の人件費、広告宣伝費をはじめとする事業運営のための営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資及びM&A投資等によるものであります。

当社グループは、必要な運転資金及び設備投資資金について、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とした自己資金を中心に、多額の設備投資資金が必要となった場合は、必要資金の性格に応じて金融機関からの借入及び資本市場からの資金調達などにより必要資金を確保する方針であります。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、講師一人当たり売上高及び講師数を重要な指標として位置付けております。

講師一人当たり売上高については、講師数の増加を図りつつ、講師一人当たり売上高は400万円/月を維持することを客観的な指標として設定しております。

講師数については2023年2月期までに講師120名体制を構築することを目標として設定しております。当連結会計年度末の講師数は73名(前年比19名増)となっております。今後につきましても、講師数の増加に向けた積極的な採用活動及び講師の品質管理活動の徹底を行う事で講師120名体制を早期に構築し、組織コンサルティング事業のさらなる成長を実現する方針であります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(6) 経営者の問題意識と今後の方針について

当社グループが今後も持続的に成長していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題等に対応していくことが必要であると認識しております。これらの課題等に対応するために、経営者は常に外部環境の構造や変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。

  

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