文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、在宅医療をサポートする企業として、マッサージ直営事業を主たる事業として展開しております。
現在の我が国は、国民の4人に1人以上が65歳以上の高齢者(出所:内閣府「平成30年版高齢社会白書」)という世界保健機関(World Health Organization:WHO)が定義する「超高齢社会」を迎えております。これに伴い医療費のうち入院費を含む診療費は、年間30兆円を超える規模にまで膨らみ(出所:厚生労働省「平成29年度 医療費の動向」)、我が国は、社会保障費等の増加による財政の悪化に直面しております。
このような状況下、入院費の削減を目的とした医療機関の病床数の削減が政府目標として掲げられるとともに、在宅医療と在宅介護の充実化により医療機関における診療から在宅医療への転換を図る地域医療構想(「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療介護総合確保推進法)」及び「医療法」第30条の4第2項)が政府の方針として打ち出されております。
また、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に達する2025年頃には、国民の3人に1人が65歳以上の高齢者、5人に1人が75歳以上の後期高齢者になるといういわゆる「2025年問題」が到来し(出所:厚生労働省 広報誌「厚生労働」2017年2月号)、多くの医療難民、介護難民の発生への対応が社会問題となることを見込んでおります。
このような経営環境下、当社グループは「人と人とのふれあいを大切にし社会貢献すると共に、社員の物心の幸せを追求する」という会社理念のもと、「全国津々浦々に一人でも多くの方に速やかにフレアスのサービスを提供し、日本の在宅事情を明るくする。」という経営ビジョンを掲げ、事業を通じて「超高齢社会」における社会問題の解決に資する企業となることを目指しております。
なお、新型コロナウイルス感染拡大による影響について、一部の介護施設では感染拡大防止を目的として外部者の施設への立ち入りを一時的に禁止しており、これにより当社の業績に関して減収影響が生じております。一方で、当社における保険適用マッサージサービスは、医業類似行為として、利用者における筋麻痺や関節拘縮といった症状に対して必要なサービスであり、2020年4月7日付で発出された緊急事態宣言の期間中に東京都が公表した休止要請の対象施設一覧におきましても、「社会生活を維持するうえで必要な施設」として鍼灸・マッサージは休止要請対象外とされました。このことから、当社のサービスは、将来的な社会問題の解決に資するサービスであることを再認識したため、上記の経営方針・経営戦略等を継続していくものと判断しております。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①人材の定着と採用の強化について
当社グループは、さらなる事業の拡大を図っていくためには、あん摩マッサージ指圧師及び看護師等の専門職をはじめとした人材の定着と採用の強化が重要であると認識しております。
そのため、当社グループでは、待遇の改善、労務に焦点をあてたコンプライアンス委員会の開催、全事業所規模での安全衛生委員会の開催、メンタル面での悩み相談が可能な外部相談窓口の設置、定期的に実施される従業員満足度調査に基づく会社に対する満足度の把握及び従業員等が共感できる会社理念や経営ビジョンの策定と共有化等を通じて、離職率の低下等、人材の定着に向けた全社的な取り組みを実施しております。また、人材採用の専門部署の設置、あん摩マッサージ指圧師を育成する専門学校における定期的な会社説明会の実施等を通じて、採用の強化を図っております。
今後もこれらの施策等を継続的に実施し、人的経営資源の維持と確保に努めてまいります。
②人材の育成について
当社グループは、適切な事業の遂行と事業の持続的な成長を実現していくためには、人材の育成が重要であると認識しております。
当社グループの主力事業であるマッサージ直営事業においては、利用者の療養生活に資する高品質なサービス提供を継続的に実施していくことこそが、事業の発展につながるものと考えております。また、あん摩マッサージ指圧師は、独立開業が可能な有資格者となります。そのため、優秀な人材を確保し続けていくためには、成長実感を得られるような職場環境の提供により当社グループでの就労意欲を高めていくことが必要となります。
これらの観点から、当社グループは、より高度で充実した教育研修体制の構築を図り、人材の育成に一層、注力していくことが重要であると認識しております。当社グループは、サービス品質の維持及び向上を図る専門部署を設置するとともに、年間70万件を超えるサービス提供実績に基づく症例データを蓄積し、これらのノウハウを教育研修に活用しておりますが、今後につきましても、品質管理体制の向上と教育研修制度の充実に積極的に取り組んでまいります。
③安定的な事業基盤の確立について
当社グループは、国民健康保険法及び健康保険法に定められた医療保険制度並びに介護保険法等に定められた介護保険制度を利用した事業を展開しており、利用者の多くは高齢者であるとともに、利用者からの収入の多くは、保険制度に基づく収入となっております。そのため、永続的に事業を通じた社会的な使命を果たしていくためには、特定の制度や利用者層に過度に依存することを回避することが重要であると考えております。
当社グループは、保険制度に基づく収入だけではなく、フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入をはじめとした収益構造の多様化や、保険適用外サービスの展開による利用者層の拡充等を通じて、安定的な事業基盤の確立に努めてまいります。
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