(1)経営成績等の状況と概要
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、以下のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2021年1月1日~12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大がワクチン接種の進展により落ち着きを見せる中、10月より緊急事態宣言が解除され社会経済活動への制約が徐々に緩和され、回復の兆しが見え始めているものの景気回復への影響は限定的であります。また、世界的な半導体不足の影響によりICT関連機器の納期が長期化するなどレンタル資産の調達に影響がでるなど依然先行き不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社グループ(当社及び連結子会社)では、中期経営計画「Next Value23」に基づき事業の拡大と企業価値向上に向けて積極的に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度における売上高は23,994百万円(前期比11.3%増)、営業利益は2,522百万円(前期比82.4%増)、経常利益は2,519百万円(前期比84.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,533百万円(前期比75.1%増)となりました。
セグメント別の概要は次のとおりであります。
(レンタル関連事業)
レンタル関連事業におきましては、建設現場向け市場において、国内建設投資額が前年比2.9%増加を見通す中(国土交通省「令和3年度(2021年度)建設投資見通し 概要」より)、従来から提供しているFF&E※レンタルに加え、ICT機器及びKIYОSUMIテクニカルセンターを活用したキッティングサービスなど包括的な提案を行ってまいりました。また、土木案件を中心にソーラーパネルを活用した商品の拡販にも注力し受注確保に努めてまいりました。イベント向け市場においては、緊急事態宣言が解除された10月以降人数制限など制約がある中、順次イベントが再開されると共に、ワクチン接種パッケージ制度などにより市場全体に回復の兆しが見られます。しかし、新たな変異株の流行の懸念もあり先行きは不透明な状況が続いております。一方、オフィス向け市場においては、前期に受注した政府主導の経済対策やワクチン接種に関連するBPО案件が継続するなど売上が安定的に推移すると共に、PCをはじめとしたICT機器の受注が拡大しました。また、株式会社メディエイター社とPCに関する包括的な業務提携により商品の収益率を高めると共に、拡大するレンタル需要に対して東京オリンピック・パラリンピック競技大会で調達したレンタル資産を効率的に稼働させたことにより、売上増加と利益率の向上が図られ、大幅な増益となりました。
この結果、当事業セグメントの売上高は17,203百万円(前期比16.4%増)となりました。また、セグメント利益は2,375百万円(前期比98.0%増)となりました。
※FF&EとはFurniture(家具)、Fixture(什器)&Equipment(備品)の略称。
(スペースデザイン事業)
スペースデザイン事業におきましては、首都圏分譲マンション市場における2021年の供給戸数が33,636戸(㈱不動産経済研究所調べ)と前年同期と比較して23.5%増加し、2年ぶりの3万戸台を回復するなど市場環境はコロナ前の水準まで回復傾向にあります。このような市場環境の中、首都圏地区を中心に各デベロッパーの販売活動や新規案件が順次再開し、ビルダー業務※を中心としたワンストップサービスの受注が拡大いたしました。しかし、緊急事態宣言の長期化によりマンション入居者向けの家具等販売業務においては、個人の消費マインド低下の影響から受注が伸び悩み、厳しい環境が継続しています。ホテル市場においては、緊急事態宣言が解除された10月以降ビジネスやレジャー需要が若干の回復は見せたものの、コロナ前までの回復には程遠く、ホテル事業者の投資意欲減退によりホテル向けPS業務※は低調に推移し利益を確保することができませんでした。
この結果、当事業セグメントの売上高は4,174百万円(前期比2.2%増)となりました。また、セグメント利益は40百万円(前期比57.4%減)となりました。
※ビルダー業務:プレハブなどで建築するマンション販売センターの設計・デザイン・建設業務
※PS業務:パーチェシングサービス。ホテルなどの開業や改装にあわせてFF&Eの選定、購買代行、スケジュール管理、納品・設置などを請け負う業務
(物販事業)
物販事業におきましては、主要販売先となる官公庁、郵政関連施設におけるFF&E需要が減少傾向となるなど厳しい市場環境となる中、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に伴う関連施設向け案件の受注に加え、関西地区における空港審査施設整備や公共施設新設に伴うFF&E案件の受注により収益を確保しました。また、民間企業におけるテレワーク促進を背景に需要が拡大するサテライトオフィスを中心に、利益率の高い抗菌・抗ウイルスコーティングサービスの継続的な受注により利益を確保することができました。さらに、同サービスの新規顧客獲得に向けてwebマーケティングを強化すると共に、展示会への出展による販売促進活動を推進してまいりました。
この結果、当事業セグメントの売上高は2,616百万円(前期比2.7%減)となりました。また、セグメント利益は106百万円(前期比21.0%増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産の部)
当連結会計年度末における当社グループの総資産は、前連結会計年度末に比べ1,349百万円増加の15,345百万円となりました。
(流動資産)
流動資産は前連結会計年度末に比べ711百万円増加の6,882百万円となりました。主な内訳は、受取手形及び売掛金が329百万円、未収入金が149百万円、電子記録債権が105百万円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
固定資産は前連結会計年度末に比べ637百万円増加の8,463百万円となりました。
主な内訳は、投資有価証券が559百万円増加したこと等によるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ43百万円減少の8,126百万円となりました。
(流動負債)
流動負債は前連結会計年度末に比べ399百万円増加の7,219百万円となりました。主な内訳は、電子記録債務が289百万円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
固定負債は前連結会計年度末に比べ442百万円減少の906百万円となりました。主な内訳は、長期借入金が175百万円、リース債務が296百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産の部)
純資産は前連結会計年度末に比べ1,393百万円増加の7,219百万円となりました。主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が1,381百万円増加したこと等によるものであります。また、自己資本比率は47.0%、自己資本当期純利益率(ROE)は23.5%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2百万円減少の2,111百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は3,257百万円(前連結会計年度は1,711百万円の獲得)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益2,453百万円、減価償却費1,533百万円等の資金の増加がありましたが、売上債権の増加435百万円、未払金の減少142百万円等の資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は1,986百万円(前連結会計年度は1,354百万円の使用)となりました。主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出1,386百万円、投資有価証券の取得による支出556百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は1,273百万円(前連結会計年度は158百万円の使用)となりました。主な内訳は、長期借入金の返済による支出765百万円、リース債務の返済による支出366百万円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
b. 受注実績
受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
レンタル関連事業 |
17,203,836 |
116.4 |
スペースデザイン事業 |
4,174,838 |
102.2 |
物販事業 |
2,616,120 |
97.3 |
合計 |
23,994,795 |
111.3 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合総販売実績に対する割合が10%を超える相手先がないため、記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま
す。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、連結決算日における財政状態及び会計期間における経営成績に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、この見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであり、新型コロナウイルス感染症の拡大が会計上の見積りに与える影響については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
経営成績の分析については、3「経営者による財政状態、経営成績等及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
b.財政状態の分析
財政状態の分析については、3「経営者による財政状態、経営成績等及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、3「経営者による財政状態、経営成績等及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
③ 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、成長力向上を図るため売上高営業利益率とEBITDAを目標指標として採用しており、また、株主資本を効果的に運用するために自己資本当期純利益率(ROE)も目標指標として採用しております。 2023年度には「売上高営業利益率7.8%」、「EBITDA29億5千万円」、「ROE12%以上の確保」を目標値として設定しております。当連結会計年度における売上高営業利益率は10.5%、EBITDAは40億5千万円、ROEは23.5%となりました。引き続き企業価値を高め、持続的な成長を図ります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループでは、資金の流動性確保の目的から貸出コミットメントライン契約を締結しております。当連結会計年度末における貸出コミットメントラインの総額は2,800百万円、その内1,100百万円は借入未実行残高であります。これを含め資金の流動性として、現金及び現金同等物の残高2,111百万円と合わせて3,211百万円を確保しております。
当社グループは、経常的にレンタル資産の調達や売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用に係る資金需要があり、引き続き効率的な資金運用と、安定的な資金調達手段の確保に努めてまいります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化や、人材の確保と育成等に力を入れ、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切な対応に努めてまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社が今後の事業を拡大し、継続的な成長を実現するため、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題について適切に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するための経営者の方針として、外部企業とのアライアンスを積極的に推進し、スピーディーなリソース確保及び事業補完を目指して取り組んでまいります。また必要な人材を安定的に確保するため企業のブランド力の強化を図ると共に、管理職への女性登用や海外人材の受け入れなどのダイバーシティ経営の促進等、次世代を担う経営幹部の育成のために人材基盤の強化を推進してまいります。
一方、レンタル業の事業特性として、購入した商品は原価費用が一定期間発生するために購入資金を回収するまでに一定期間を要します。安定的な企業活動を行うため、適切な運転資金の確保と過度に有利子負債に依存しない健全な財務体質にすべくバランスシートをマネジメントしてまいります。
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