課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営方針

 当社グループは、「三方よしの精神」“売り手よし 買い手よし 世間よし”を基本理念とし、「レンティアグループは 顧客を創造し 社業発展 進歩を図り 社会に貢献する」ことを企業理念としております。その上で「レンタル事業を核として 顧客のニーズにこたえ 環境負荷低減に努め 未来との共生を図る」という環境ポリシーのもと、FF&Eの総合レンタルサービスを軸に、社会から必要とされる企業グループとして循環型社会や持続可能な社会の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、成長力向上を図るため売上高営業利益率とEBITDAを目標指標として採用しており、「売上高営業利益率7.8%」、「EBITDA29億5千万円」の達成を目標値として設定しております。また、株主資本を効果的に運用するために自己資本当期純利益率(ROE)も目標指標として採用し、「ROE12%以上の確保」を目標値として設定しております。

 

(3) 経営環境

 市場別の経営環境をみると、建設市場においては2021年度の国内建設投資額を前年比2.9%増加(国土交通省「令和3年度(2021年度)建設投見通し 概要」より)するなど回復傾向がみられます。また、主に大都市圏において多くの大型プロジェクトの着手が計画されており、市況は回復するものと想定しております。一方で建設業就業者の55歳以上が占める割合は約34%と高齢化が進行し、2025年までに建設業就業者の内、技能労働者の78万人が引退すると予測されております。(出典:国土交通省「建設業を取り巻く情勢・変化 参考資料」平成28年3月2日付資料)このような中、技術の平準化を図るため施工や施工管理におけるICT化を推進すると共に、就業者の確保のため、魅力ある建設業を目指し処遇改善や生産性向上を図るだけではなく、女性活用も積極的に推進されるなど人材確保に向けた取り組みが業界として行われております。

 イベント市場においては新型コロナウイルス感染症拡大抑制のため、スポーツイベントや興行イベントを中心に全国で開催自粛や規模の縮小など厳しい市場環境となっております。この度の新型コロナウイルス感染症はイベントの在り方を変えインターネットなどを活用したバーチャルイベントのニーズが高まっております。反面、実際に足を運ぶフェスティバルや興行イベントなど参加型イベントの重要性も再認識されております。特にスポーツ分野においてはスポーツツーリズムなど参加型スポーツの推進を政府は計画しており、中でも近年ICTを軸とした新しいスポーツの形であるe-sports(イースポーツ)と呼ばれるコンピュータゲームの競技大会が日本でも数多く開催され、e-sports市場が大いに盛り上がりを見せており、今後も底堅い需要を見込んでおります。

 マンション市場においては、首都圏分譲マンション市場における2022年の供給戸数は前年比4.6%増加の3.4万戸(㈱不動産経済研究所調べ)と予測されており堅調に推移するものと想定しております。中古マンション市場では専業企業の台頭により中古マンションをリノベーションし活用するニーズが高まり、成約件数は上昇傾向にあります。首都圏の2021年1月~12月期においての成約件数は、前年比11.1%増の3.9万件(公益財団法人東日本不動産流通機構調べ)となり過去最高となりました。長期的には人口減少と少子高齢化が着工戸数に影響を与えるものとして、今後の動向を注視する必要があります。
 一方、市場を問わず新型コロナウイルス感染症拡大抑制に加え政府の進める働き方改革、女性活躍推進に伴い、個人のライフスタイルに合わせたニューノーマルと呼ばれる多様な働き方をバックアップする対応が企業に求められており、そのような中、コワーキング(注1)スペース、シェアオフィス、テレワークなどICT技術を活用した様々なサービスが提供されております。既存オフィススペースで働く従業員に対しても、生産性向上や健康促進をキーワードに、快適な職場環境を提供するべく様々な取り組みが実施されており、オフィス環境のあり方に企業マインドの変化がみられます。またインターネットを活用したシェアリングエコノミー(注2)の台頭を背景に、主にICT企業や製造・販売業等の異業種によるレンタル事業への参入やサブスクリプション方式(注3)による定額サービスなど、当社グループを取り巻く経営環境変化にもあわせて注視しております。

(注)1.コワーキング・・・事務所スペース、会議室、打ち合わせスペースなどを共有しながら独立した仕事を行う共働ワークスタイル。

2.シェアリングエコノミー・・・十分に使われていないモノ、空間、知識・知恵、技能等の遊休資産をICTの活用によって共有する幅広いビジネス。

3.サブスクリプション方式・・・ビジネスモデルの1つ。利用者はモノを買い取るのではなく、モノの利用権を借りて利用した期間に応じて料金を支払う方式。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①提供サービス、商品ラインナップの拡充

 当社グループが安定的な営業収益を確保するためには、変化する各マーケットにおけるニーズを捉えた商品やソリューションサービスを顧客に提供することが求められております。現在、多くのラインナップと商品点数を保有し顧客から一定の評価を頂いておりますが、生産性向上やICTを活用したソリューションなど業界を問わないマーケットニーズやスポーツ・ホスピタリティといったイベントマーケットにおける「おもてなし」需要、また今後マーケット規模拡大が予測されているe-sports向け需要など、個別業界におけるニーズを解決するために、より付加価値の高い商品やソリューションサービス提供が当社グループの課題となっております。これらを実現するために各メーカーや異業種企業など、業界を問わずコラボレーションし新規商品及びサービスを拡充してまいります。またニーズをいち早く捉え、自社サービスへとするべく情報共有可能な社内体制作りを推進してまいります。

 

②新たな収益源確保に向けたマーケットの開拓

 当社グループは、建設市場、イベント市場、マンション市場、官公庁市場と比較的限られたマーケットの顧客を主として収益を確保しております。そのため想定案件の計画中止や当該市場そのものが縮小になった場合、当社グループの収益が市場と連動して影響を受ける可能性があると認識しております。現在、建設市場における顧客数や売上額は安定しているものの、これら想定される影響をできる限り低減させるため、当社グループ全セグメントにおいて幅広いマーケットの顧客開拓を課題としております。保有するレンタル資産を最大限活用し、別業種へのレンタルサービス展開や、蓄積したデザイン力を生かした他市場でのサービス提供、またインターネットを活用した顧客の開拓など新たな収益源確保に向けた取り組みを推進してまいります。

 

③人材育成の強化

 人材育成は当社グループの成長の礎であり、いかに自律した「個」を備えた人材を育成できるかが、重要な経営課題の一つと認識しております。生産性向上や効率的な経営を実現するため、新入社員から幹部社員まですべての従業員のスキルアップを図り、事業の成長と企業価値向上を実現してまいります。

 

④物流分野におけるリソースの確保と生産性向上

 インターネット通販の拡大及び生産年齢人口の減少に起因した運輸業界における車両及び労働力不足が顕在化する中、当社グループにおいても運搬車両及び人員の安定的な確保と倉庫内業務の生産性向上は重要な課題となっております。今後の更なる成長に向けて、既存協力会社との関係強化と新たな協力会社の確保を通じて車両及び人材の安定的な確保に努めてまいります。また倉庫作業の効率化に向けて、専門家へのコンサルティング委託によるノウハウの習得に努めると共に、立地及び倉庫内ロケーションの最適化や運営体制の強化にICT技術や設備投資を通じて実現してまいります。

 

⑤ビジネスモデルの更なる強化

 レンタルサービスは自社で商品を保有し顧客へ貸し出すビジネスモデルのため、市場環境の悪化やマーケットニーズの変化により、保有する商品の稼働率が悪化した場合、その保管費用が増加するなど当社グループの収益に影響を与える可能性があると認識しております。これらの影響をできる限り低減させるため、顧客ニーズを満たす商品ラインナップへの定期的なリプレイスやバージョンアップを実施すると共に、保有在庫が過剰にならないための売却(リユース品販売)に向けた取り組みが課題となっております。リユース品販売のサービスはレンタルビジネスモデルにおける商品の出口戦略という一面を持っており、そのための販売力強化を推進してまいります。

 

⑥リスクマネジメント、コンプライアンスの推進

 当社グループでは、リスクの把握と未然防止を適切に推進できるよう、リスクマネジメント規程を定め、グループ全社に浸透させ継続的に取組んでいくことを目的にリスク・コンプライアンス委員会を設置しております。その活動では現場が直面しているリスクを把握し、同委員会により重点管理リスクの決定を行い、リスクアセスメントを有効に実施し、リスク管理体制を拡充していくことにより、経営の健全性及び企業価値の向上に努めてまいります。

 コンプライアンスについては、当社グループが事業展開している個別事業に関連する法令及び規則の遵守に努めております。加えて当社グループでは、単に法令及び規則にとどまらず、基本理念に則り企業倫理の遵守を保持しながら企業活動することがさらに重要であると考えております。この考えのもと、グループ全社員がコンプライアンスの意義を理解し、高い倫理観を持って企業活動のみならず社会活動においても実践できるように実効性のある教育体制の構築を推進してまいります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得