業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ482百万円減少し11,809百万円(前期末比3.9%減)となりました。これは主に、現金及び預金の減少846百万円、売上債権の増加314百万円、棚卸資産の増加108百万円によるものであります。

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ434百万円減少し4,979百万円(前期末比8.0%減)となりました。これは主に、短期借入金の減少494百万円、未払法人税等の減少216百万円、買掛金及び電子記録債務の増加141百万円、人件費の増加による未払費用の増加137百万円によるものであります。

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ47百万円減少し6,830百万円(前期末比0.7%減)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益292百万円及び配当金の支払い237百万円に伴う利益剰余金の増加54百万円、自己株式の増加124百万円、新株予約権の行使に伴う資本金の増加10百万円及び資本剰余金の増加10百万円によるものであります。この結果、自己資本比率は57.8%(前連結会計年度末は56.0%)となりました。

 

② 経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が順調に進み経済活動の正常化に期待が高まる一方で、新たなオミクロン株の出現による感染者の急増や、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格の上昇などの影響を受け、個人消費や企業活動の状況は依然として先行き不透明な状況が続いております。

 こうした経済情勢にあって、当社グループを取り巻く事業環境は、企業や学校におけるリモート化の推進により新たな需要が創出される一方で、世界的な半導体の供給不足により自動車産業を中心として生産計画の見直しが発生しております。また、海外からの入国制限による海外人材の減少や経済活動の一斉再稼働により、市場全体で採用競争が激化傾向にあります。

 このような状況の下、当社グループでは、生産計画に即した人員配置や採用による人材確保、EMS事業においては電子部品等の調達に注力し、経営成績の確保に努めてまいりました。

 その結果、当連結会計年度における売上高は29,971百万円(前期比18.6%増)、営業利益は384百万円(同12.6%減)、経常利益は648百万円(同48.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は292百万円(同62.6%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績(内部売上を含む)は、次のとおりであります。

 

〔マニュファクチャリングサポート事業〕

 当セグメントにおいては、当社が、製造請負・製造派遣事業、機電系技術者派遣事業及び修理サービス事業を営んでおります。

 製造請負・製造派遣事業及び機電系技術者派遣事業においては、電子部品・デバイス関連分野は世界的な半導体不足を危惧した各メーカーにおける在庫の積み増し需要もあり堅調に推移いたしました。情報通信機械器具分野は企業や教育機関のDX化の流れを受けIoT及び5G関連製品の需要は旺盛に推移いたしました。電気機械器具分野でもDX及びGX(グリーントランスフォーメーション)の推進による関連製品の好調や、ゲーム機やスマート家電の需要に支えられました。一方で製造業全体において半導体を中心とした部材不足が生産計画に影響を及ぼしております。また、業界全体での求人増加に伴う採用競争激化の中、積極的に採用活動を行ったことから採用コストが増加いたしました。その結果、売上高は18,674百万円(前期比8.7%増)となり、セグメント利益は49百万円(同87.3%減)となりました。連結売上高に占める当セグメントの売上高(内部売上を除く)の比率は62.3%となり、前期に比べ5.7ポイント低下いたしました。

 

〔コンストラクションサポート事業〕

 当セグメントにおいては、株式会社ワット・コンサルティングが、建設系技術者派遣事業及び請負・受託事業を営んでおります。

 建設系技術者派遣事業においては、継続的な人材の需要に対応するため採用活動と人材の教育活動に注力しつつ、待機者の配属を積極的に推進するなど原価率の改善に努めました。しかし、建設系技術者のニーズに対して採用競争が激化するなど、人材の供給力に課題を残しました。請負・受託事業においては、商業施設などのリニューアル工事を中心に受注活動を展開し大型のリニューアル工事の請負契約の受注を実現しましたが、流通網の混乱によって建設資材の到着が遅れたことなどにより、工事に延長が発生いたしました。その結果、売上高は3,978百万円(前期比9.1%増)、セグメント利益は154百万円(同15.0%減)となりました。連結売上高に占める当セグメントの売上高(内部売上を除く)の比率は13.3%となり、前期に比べ1.1ポイント低下いたしました。

 

〔ITサポート事業〕

 当セグメントにおいては、株式会社パートナーが、IT技術者派遣事業を営んでおります。

 IT技術者派遣事業においては、新型コロナウイルス感染症による影響は比較的少なく、感染拡大の中で延期されていたプロジェクトも徐々に始動しております。ITシステムに付帯するサービスも継続的に需要があることから安定した受注を確保することができました。その結果、売上高は2,709百万円(前期比196.2%増)となり、セグメント利益は86百万円(同239.1%増)となりました。連結売上高に占める当セグメントの売上高(内部売上を除く)の比率は9.0%となり、前期に比べ5.4ポイント上昇いたしました。

 

〔EMS事業〕

 当セグメントにおいては、デバイス販売テクノ株式会社が、受託製造事業及び電子部品卸売事業を営んでおります。

 受託製造事業及び電子部品卸売事業においては、工作機械や半導体製造装置を中心に旺盛な需要に支えられ、受注は好調に推移しました。一方で、半導体等の電子部品は入手困難な状況が続いており、ユニットの納品が滞るなど受注残も増加傾向となっております。また、原材料高騰による顧客への価格調整等を行い製造原価の抑制にも努めました。その結果、売上高は4,111百万円(前期比32.1%増)となり、セグメント利益は118百万円(同1,300.8%増)となりました。連結売上高に占める当セグメントの売上高(内部売上を除く)の比率は13.7%となり、前期に比べ1.4ポイント上昇いたしました。

 

〔その他〕

 報告セグメントに含まれない事業として、OA機器の買取・販売事業、障がい者支援事業及び海外事業を営んでおります。

 売上高は721百万円(前期比14.2%増)、セグメント損失は23百万円(前期は50百万円のセグメント損失)となりました。連結売上高に占めるその他の売上高(内部売上を除く)の比率は1.7%となり、前期に比べ横ばいとなりました。

 

 

セグメント

売上高

前期比増減

前連結会計年度

当連結会計年度

金額

増減率

マニュファクチャリングサポート事業

百万円

17,174

百万円

18,674

百万円

1,499

8.7

コンストラクションサポート事業

3,647

3,978

331

9.1

ITサポート事業

914

2,709

1,794

196.2

EMS事業

3,110

4,111

1,000

32.1

その他(注)1

631

721

89

14.2

調整額(注)2

△200

△222

△22

25,277

29,971

4,693

18.6

(注)1.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、OA機器の買取・販売事業、障がい者支援事業、畜産業及び海外事業を含んでおります。

2.調整額は、セグメント間取引であります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ906百万円減少し3,148百万円(前期末比22.4%減)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は167百万円(前期は1,373百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益639百万円増加要因があった一方で、法人税等の支払額527百万円の減少要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は148百万円(前期は1,531百万円の使用)となりました。これは主に、定期預金の増加60百万円、有形固定資産の取得による支出78百万円の減少要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は929百万円(前期は108百万円の調達)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出621百万円、配当金の支払額237百万円及び自己株式の取得による支出124百万円の減少要因があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

EMS事業

1,742

116.5

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

ロ.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

EMS事業

6,057

166.6

2,940

257.4

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

ハ.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

マニュファクチャリングサポート事業

18,671

108.7

コンストラクションサポート事業

3,976

109.0

ITサポート事業

2,709

296.2

EMS事業

4,111

132.1

報告セグメント計

29,468

118.6

その他

503

116.7

合計

29,971

118.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額

(百万円)

割合(%)

金額

(百万円)

割合(%)

スカイワークスフィルターソリューションズジャパン株式会社

4,323

17.1

5,121

17.1

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.財政状態の分析

 当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

ロ.経営成績の分析

売上高

 当連結会計年度における売上高は29,971百万円となり、前連結会計年度比で4,693百万円増加いたしました。セグメントごとの売上高の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

売上原価

 当連結会計年度における売上原価は26,079百万円となり、主に人件費の増加により前連結会計年度比で4,423百万円増加いたしました。売上原価の売上高に対する比率は87.0%と前連結会計年度比で1.3ポイント上昇しております。

 なお、売上総利益は3,892百万円となり、前連結会計年度比で270百万円増加いたしました。

 

販売費及び一般管理費

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は3,507百万円となり、主に人件費の増加により前連結会計年度比で326百万円増加いたしました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は11.7%と前連結会計年度比で0.9ポイント低下しております。

 なお、営業利益は384百万円となり、前連結会計年度比で55百万円減少いたしました。

 

営業外損益

 当連結会計年度における営業外収益は274百万円となり、主に雇用調整助成金等の助成金収入の減少により前連結会計年度比で545百万円減少いたしました。営業外費用は10百万円となり、主に持分法による投資損失が増加した一方、支払利息が減少したことにより前連結会計年度比で1百万円減少いたしました。

 なお、経常利益は648百万円となり、前連結会計年度比で599百万円減少いたしました。

 

売上高経常利益率

 当連結会計年度における売上高経常利益率は2.2%となり、主に雇用維持と育成への取り組みに伴い人件費が増加した一方で、雇用調整助成金等の助成金収入が減少したことにより前連結会計年度比で2.8ポイント低下いたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析・検討内容につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金及び設備資金は内部資金または借入により資金調達することとしております。短期運転資金の調達につきましては自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入を基本としております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。重要な会計方針は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 

(のれん)

 当社グループは、企業結合等により発生したのれんについては、対象となる子会社の将来の超過収益力等に基づき認識し、その効果が発現されると見込まれる期間で均等償却するとともに、継続して減損の兆候の有無を検討しております。当該検討にあたっては、被取得企業の取得時点及び当連結会計年度末の事業計画等を基礎に、回収可能性について合理的に判断をしております。

 株式会社パートナーの取得にあたり発生したのれんの評価は、同社及び当社の経営者による理解や予測に基づいて作成した同社のITサポート事業の将来性及びIT技術者の増員等を前提とした事業計画を基礎としております。

 株式会社サザンプランの取得にあたり発生したのれんの評価は、同社及び当社の経営者による理解や予測に基づいて作成した同社のOA機器の買取・販売事業の将来性及び新商材の販売等を前提とした事業計画を基礎としております。

 見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、被取得企業の業績が悪化した場合等には当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(繰延税金資産)

 当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、繰延税金資産が減額され評価性引当額を設定した場合等には当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

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