業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態
(資産)

当事業年度末における資産総額は、2,987,236千円と前事業年度末に比べて506,600千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が365,922千円、商品が56,790千円増加したこと、及び、主に倉庫投資に関連して固定資産が78,946千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債総額は、672,657千円と前事業年度末に比べて54,748千円の減少となりました。これは主に、未払法人税等が16,556千円増加したものの、長期借入金(1年内返済予定含む)が68,142千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は、2,314,578千円と前事業年度末に比べて561,349千円の増加となりました。これは、当期純利益の計上によるものであります。

自己資本比率は77.5%と財務的健全性を維持しております。

 

② 経営成績の状況

当事業年度は、新型コロナウイルス感染症の日本国内の新規感染者数に収束の傾向が見えず、世界的な物流混乱や為替の影響など、依然として先行きの不透明な状況が続いております。また、新型コロナウイルス感染症対策に伴う巣ごもり需要によるEC市場の拡大は2021年春以降落ち着いた状況が続いており、当社においても一時的な需要の剥落といった影響を受けております。

新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中、当店を訪れてくださるユーザーに明るい気持ちになるきっかけや癒しをお届けできるようにと願い、運営を続けてまいりました。新作オリジナルドラマ『スーツケースジャーニー』、『庭には二羽』をはじめ、アニメやミュージックビデオなどの新たな取り組みを行い、引き続きライフカルチャープラットフォームの源泉となるカルチャーアセットの拡充を行いました。

これらの取り組みやエンゲージメント・チャネルへの継続投資によって、エンゲージメントアカウント数は順調に増加し、公式スマートフォンアプリ(iOS/Android)は、当事業年度末日現在、累計216万ダウンロードとなりました。当事業年度におけるアプリ経由の注文数は既に「北欧、暮らしの道具店」全体の約57%を占めております。

D2Cドメインは、オリジナルブランド「KURASHI & Trips PUBLISHING」の新作商品「ブラックフォーマル」やコスメの新作ネイルカラーが好評を博したほか、既存商品の積極的な再販売や北欧食器復刻版の展開などの施策により、前期の一時的な巣ごもり消費による増加は落ち着きを見せているものの、売上高は堅調に推移しました。

ブランドソリューションドメインでは、ドラマタイアップ『ひとりごとエプロン』×味の素「ほんだし」やharuコラボボトルなど、新規クライアント、リピーターのクライアント企業ともに多くのお取り組みを行い、売上高は堅調に推移しました。

 

 

以上の理由から、売上高についてはD2Cドメイン、ブランドソリューションドメインともに堅調に推移し5,163,136千円(前期比13.9%増)となりました。なお、当事業年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を適用しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表 (1)財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。

売上総利益は2,261,968千円(前期比10.2%増)となり、公式スマートフォンアプリ(iOS/Android)ダウンロード訴求のための広告施策等の結果、販売費及び一般管理費を1,420,113千円(前期比11.5%増)計上したものの、営業利益は841,854千円(前期比8.0%増)、経常利益は850,469千円(前期比6.7%増)、当期純利益は561,349千円(前期比1.7%減)となりました。今後もコンテンツを拡大し、「ひとさじの非日常(Trips)」を「私たち」みたいな「誰か」に届けることを進めてまいります。

なお、当社は、ライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末と比べ365,922千円増加し、2,385,482千円となりました。当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動により獲得した資金は、535,533千円(前事業年度は444,324千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上850,469千円等による増加要因と、法人税等の支払額255,571千円、棚卸資産の増加額55,978千円等の減少要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動により支出した資金は、99,468千円(前事業年度は15,504千円の獲得)となりました。これは主に、倉庫投資等に関連した有形固定資産の取得による支出46,440千円、無形固定資産の取得による支出53,028千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動により支出した資金は、70,142千円(前事業年度は87,543千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当社は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 セグメント情報等」に記載のとおりライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントでありますが、以下の販売実績については、事業ドメイン区分で記載しております。

 

a 生産実績

当社で行う事業は、提供する商品・サービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b 受注実績

当社で行う事業は、提供する商品・サービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

 

c 販売実績

当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。

 

ドメインの名称

販売高(千円)

前期比(%)

D2Cドメイン

4,860,060

114.1

ブランドソリューションドメイン

303,075

110.9

合計

5,163,136

113.9

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

この財務諸表の作成にあたって、見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。

当社の財務諸表の作成にあたって採用している会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績

(売上高)

当事業年度における売上高は、5,163,136千円(前期比13.9%増)となりました。当社は、ライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、売上高については、D2Cドメインとブランドソリューションドメインの2ドメインに区分しております。

ドメインの名称

前事業年度(千円)

当事業年度(千円)

D2Cドメイン

4,258,906

4,860,060

ブランドソリューションドメイン

273,248

303,075

合計

4,532,154

5,163,136

 

 

(D2Cドメイン)

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う巣ごもり需要が落ち着いた状況にありましたが、ブラックフォーマルやネイルカラーといったオリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHINGの新作商品が好評を博したこと等により、当事業年度における売上高は4,860,060千円(前期比14.1%増)となりました。

また、流入経路においても「北欧、暮らしの道具店」の公式スマートフォンアプリ(iOS/Android)は、当事業年度末日現在、累計約216万ダウンロードとなりました。当事業年度におけるアプリ経由の注文数は既に「北欧、暮らしの道具店」全体の約57%を占めております。

 

 

 

(ブランドソリューションドメイン)

継続した営業活動により需要を高めることができ、お取り組み案件数が増加したとともに、ドラマタイアップ『ひとりごとエプロン』×味の素「ほんだし」やharuコラボボトル等、既存のBRAND NOTE・BRAND MOVIE以外での大型案件の獲得により、当事業年度における売上高は303,075千円(前期比10.9%増)となりました。

 

(売上総利益)

アパレルを中心にオリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」が成長しており、売上高が堅調に推移していること、仕入商品より相対的に原価率の低いオリジナル商品取扱高の増加等により、原価率が改善したものの、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当事業年度の期首から適用し、D2Cドメインにおいて顧客から受け取る送料及び決済手数料を売上原価から控除する方法から、収益として認識する方法に変更したことにより、売上総利益率が43.8%(前期比1.5%減)となりました。

そのため、売上総利益は前事業年度から208,499千円増加し、2,261,968千円(前期比10.2%増)となりました。

なお、収益認識会計基準適用前の当事業年度の売上総利益率は45.9%(前期比0.6%増)となります。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

ユーザビリティの向上・システムの安定性のためのエンジニアの採用等で給料手当及び賞与を395,600千円(前年同期393,973千円)、アプリダウンロード訴求等のための広告宣伝費を391,826千円(前年同期298,363千円)計上し、事業規模の拡大に合わせた健全な体制、環境の整備を図ったことで、販売費及び一般管理費は1,420,113千円(前期比11.5%増)となりました。

そのため、営業利益は前事業年度から 62,301 千円増加し、 841,854 千円(前期比 8.0%増 )となりました。

 

(経常利益、法人税等、当期純利益)

経常利益は850,469千円(前期比6.7%増)と増加したのに対し、賃上げ・生産性向上のための税制による税額控除の適用外となったこと等により、法人税等は289,120千円(前期比21.3%増)と大幅に増加し、当期純利益は561,349千円(前期比1.7%減)となりました。

 

③ 財政状態に関する認識及び分析・検討内容

財政状態の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。

当社は、事業運営上、必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

当社の主な資金需要は、仕入資金、事業規模の拡大に係る人件費、物流費及び広告宣伝費に係る運転資金となります。これらの資金需要につきましては、自己資金によることを基本としておりますが、必要に応じて銀行借入で調達する方針であります。

なお、現在、支出が予定されている重要な資本的支出はありません。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、今後収益を拡大するためには、既存の事業の更なる拡大、知名度向上のための広告活動の展開、新規事業及び新サービスの開発が必要であると認識しております。

そのためには、優秀な人材の確保や組織体制の整備を引き続き行い、これらの課題に対して最善の事業戦略を立案するよう、努めていく所存であります。

 

 

⑥ 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社はユーザーとの関係の蓄積を判断するための指標として、エンゲージメントアカウント数、累積会員数及び年間購入者数といった指標を利用しております。経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、売上総利益率、営業利益率といった収益指標とともに、商品回転率や自己資本比率など重要指標を位置付けております。

当該指標については、2022年7月末時点でエンゲージメントアカウント数は5,649千アカウント(前期比29.1%増)、累積会員数は510千人(前期比21.1%増)、年間購入者数も186千人(前期比2.5%増)となり、売上高は5,163,079千円(前期比13.9%増)、売上総利益率は43.8%(前期比1.5%減)、営業利益率は16.3%(前期比0.9%減)、経常利益率は16.5%(前期比1.1%減)、商品回転率は10.1回(前事業年度末は14.1回)、自己資本比率は77.5%(前事業年度末は70.7%)となっております。

これは、現時点においては堅調に推移しているものと認識しております。

 

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