文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
当社は「フィットする暮らし、つくろう。」をミッションとして掲げ、「北欧、暮らしの道具店」を通じてライフカルチャープラットフォーム事業を展開しております。事業を持続的に成長させることを通じて、より多くの様々なステークホルダーの「フィットする暮らし」づくりに貢献することに努めてまいります。
そのために、クラシコムがあるべき姿=ビジョンは、「自由」「平和」「希望」としております。他者に支配されない「自由」を獲得する力、ユニークなポジションを築いて望まない競争に巻き込まれない「平和」を維持する力、未来は今よりも良いものだと無理なく思える「希望」を生み出す力、という三つの力を獲得することが重要であると考えております。
当社は、ライフカルチャー(世界観)によってユーザーと結びついており、共感してくださるユーザーがSNSをフォローしてくれたり商品購入といった行動に至ることでビジネスラインが展開できております。そのため、ユーザーとの関係の蓄積を表すと考えているエンゲージメントアカウント数及び累計会員数、また会計期間において購買に至った結果としての年間購入者数を重視しております。
同時に収益性、効率性及び安全性を重視した経営を行うために、売上高、売上総利益率、営業利益率、経常利益率といった収益指標とともに、商品回転率や自己資本比率などを重要指標として活用することで、健全な収益力の向上及び経営基盤の構築を進めております。
経済産業省による電子商取引に関する市場調査報告書(※)によりますと、 物販系分野のBtoC-EC市場規模は2021年に13.2兆円となり、伸長率8.6%となりました。2020年は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う巣ごもり需要の影響で一時的な底上げがあったと考えられますが、2021年において伸び率は鈍化しつつも増加しております。2013年以降、右肩上がりで2倍超に拡大しており、EC化率は8.8%のため今後も成長が期待されます。また利用端末としては「スマートフォン」が伸び続けており、物販系ECの売上高のスマートフォン比率は52.2%、6.9兆円に達しております。
このような市場環境のもと、当社はライフカルチャープラットフォーム事業としてD2Cドメインを展開し、コンテンツパブリッシャーとしての活動によりユーザーからのエンゲージメントを得ることで市場平均を超える売上高の成長率を続けておりますが、ユーザーの「フィットする暮らし」に貢献する様々なコンテンツを提供することが必要であると認識しております。
(※) 出典:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」
当社のライフカルチャープラットフォーム事業は、カルチャーアセットとエンゲージメントチャネルが土台となり、D2Cドメインとブランドソリューションドメインというビジネスラインを展開しております。
ユーザーに興味をもって貰える(リーチするに値すると思われる)価値あるコンテンツを提供することにより、エンゲージメントを最大化し、エンゲージしたユーザーに各エンゲージメントチャネルを通じて高頻度にコンテンツを提供することで、購買動機につながる機会を増やすことが可能になります。その結果としてユーザーが購入会員化していくとともに、購入後も毎日のようにエンゲージメントチャネルを通じてコンテンツを提供することでリテンション(再訪問を促すこと)を図っております。このように価値あるコンテンツの提供によってプラットフォームが拡大していく構造となっております。
そのため、ビジネスライン、カルチャーアセット、エンゲージメントチャネルという3つの層ごとに経営戦略を考えております。
ビジネスラインについては、既存ビジネスラインの拡大と新規ビジネスラインの開発を行ってまいります。D2Cドメインでは、引き続きカバレッジする商品カテゴリを拡充すること(当社ではこれは「カテゴリの花束戦略」と呼んでおります。)で、長期的成長を目指します。ブランドソリューションドメインでは、タイアップ等のより高単価なメニューを開発し、さらなる案件単価の向上とプレゼンスの向上で成長を図ります。また、ライフカルチャープラットフォームの拡大に伴って生まれた事業機会を活かし、順次新たなビジネスラインを開発し、展開を目指します。
カルチャーアセットについては、継続して投資を続けてまいります。当社のプラットフォームにとっての最重要戦略は、ユーザーと当社とを結びつけるライフカルチャー(世界観)に対する強いエンゲージメントを生み出し続けることであります。コンテンツ、デザインへの継続的な投資によって、魅力的な世界観を醸成し広げることが、エンゲージメントチャネルの拡大につながり、エンゲージメント、ブランド及びデータが蓄積されます。また、プラットフォーム上で取り組む事業の成長と収益性の向上にも直結します。
エンゲージメントチャネルについては、拡大を図ります。エンゲージメントアカウント数を最大化することによって、潜在顧客群を形成することが当社の一つの成長モデルであります。現在はアプリとYouTubeがエンゲージメントアカウント数の増加を牽引しております。特にアプリは、さらなる伸長の余地があり、中期的なエンゲージメントチャネル拡大の牽引役として期待しております。
当社の優先的に対処すべき主な課題は以下のとおりであります。なお、優先的に対処すべき財務上の課題につきましては、資金需要は自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とした手元資金にて対応してまいりましたので、現時点ではございません。
① 提供するコンテンツ、商品などの強化
当社は、「北欧、暮らしの道具店」に来店していただいたユーザーに、良質なコンテンツや商品を提供することを通して収益機会を得ております。お客様の本質的なニーズを捉えながら、提供するコンテンツの品質を高めるとともに映像コンテンツなど幅を広げる取り組みも継続しております。商品についても、オリジナル商品の企画力強化や新商品の開発に挑戦することで、商品とそれにまつわるユーザー体験をはじめとした提供する全てのコンテンツを通して、多くの人のフィットする暮らしづくりに貢献できるよう努めてまいります。
当社は、各種SNS、メルマガ、アプリといった様々な導線をつくり、それを活用することで効率的な集客を実現しております。既存チャネルにおいて使用する広告素材(クリエイティブ)の改善などによる効率化をさらに進めるとともに、消費者の行動変化を見通しながら新たなチャネルの開発にも取り組むことで、集客力の強化と効率性の維持に努めてまいります。
ミッションを実現し、今後の健やかな成長を目指す上で、有能な人材の獲得が重要であると考えております。当社のミッションやビジョンに共感し、今後の事業に必要な能力や求める資質を有する人材を惹きつけられるように、外部ノウハウの活用にも積極的に取り組み、採用活動を強化することで事業計画達成に必要となる適切な人材リソースの確保に努めてまいります。
事業の継続的な発展を実現させるためには各方面のステークホルダーの期待に応えられるよう、コーポレート・ガバナンス機能の強化は必須であると認識しております。そのために、常にミッション及びビジョンを念頭に置きながら経営状況を捉え、ステークホルダーとの対話の機会を通じて、自らのガバナンス上の課題の有無を十分に把握した上で、適切に対応してまいります。
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