業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動の減速を背景に、個人消費は停滞傾向が続きました。ワクチン接種率の上昇や感染者数の減少によって一旦は経済の改善の兆しが見え始めたものの、新たな変異株の感染拡大や、世界的な半導体等の部品不足、原材料価格の高騰に加えロシアのウクライナ侵攻等、先行きが不透明な状況となりました。

 国内の自動車関連市場としては、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るった前期と比べ、上期の新車販売台数は増加傾向にあり、中古車登録台数は前年同水準を維持しておりましたが、下期は世界的な半導体不足等の影響によって、新車販売台数・中古車登録台数共に低迷しました。

 そのような市場環境の中、子会社㈱アップガレージにおいては、前期に引き続き移動手段として公共交通機関から自家用車へのシフト、新車買い控えによるパーツやタイヤ・ホイールの買替需要により店舗及びEC売上が伸捗し、当連結会計年度も業績は好調に推移いたしました。

 特に直営既存店舗の業務改善や効率化に注力し、WEBサイトからのタイヤ交換作業予約や買取査定予約を一元管理する予約管理ツール「テマレス」の開発や買取査定の電子化等、アップガレージ店舗におけるオペレーションのDX化を促進いたしました。これらの施策により店舗におけるスタッドレスタイヤ・ホイールの販売等が増加し、直営店舗における既存店売上高の対前年比は105.2%となりました。

 さらに、2022年3月に新業態となる中古自転車の買取・販売を行う「アップガレージ サイクルズ」を開始いたしました。自転車全般の車体及び部品を扱うリユース専門店として、既存のアップガレージ店舗とは異なる新たな顧客層の開拓を目指してまいります。

 また、フランチャイズ関連についても、フランチャイズ店舗の増収によるロイヤリティ、EC手数料、その他付帯収入が順調に推移いたしました。

 この結果、リユース業態(直営店舗運営、フランチャイズシステムの運営、ECサイト運営)による収入は6,405百万円(前期比5.8%増)となりました。

 当連結会計年度末時点の直営店及びフランチャイズ店の業態別の合計店舗数は、242店舗となり、その内訳は、「アップガレージ」127店舗、「アップガレージ ライダース」60店舗、「アップガレージ ホイールズ」12店舗、「アップガレージ ツールズ」25店舗、「パーツまるごとクルマ&バイク買取団」17店舗、「アップガレージ サイクルズ」1店舗となっております。なお、直営店及びフランチャイズ店の拠点数の合計は160拠点となっております。

 子会社㈱ネクサスジャパンにおいては、半導体不足の影響によるカーナビ等の受注減といった懸念がございましたが、「受発注プラットフォーム」においては既存取引先の受注増加及び新規取引先の増加により好調に推移いたしました。また、「タイヤ流通センター(旧名称東京タイヤ流通センター)」も、加盟店の増加により堅調に推移いたしました。

 この結果、流通卸売業態による収入は4,108百万円(前期比6.6%増)となりました。

 当連結会計年度末時点の「タイヤ流通センター(旧名称東京タイヤ流通センター)」ブランドの直営店及びフランチャイズ店の加盟店合計は169店舗となっております。

 新規事業となる、自動車関連業界に専門特化した人材紹介業態「BoonBoonJob(ブーンブーンジョブ)」も、企業の採用活動活性化に伴い順調に契約企業及び登録者が共に増加いたしました。

 この結果、その他の収入は16百万円(前期比8.1%増)となりました。

 販売費及び一般管理費としては、ECを中心とした新規顧客の獲得に伴う広告宣伝費等の増加、店舗スタッフの増加による人件費の増加があったものの、全体としては各種ミーティングのWEB化等によりコスト削減が進みました。

 この結果、当連結会計年度の経営成績は売上高10,530百万円(前期比6.1%増)、営業利益689百万円(前期比53.7%増)、経常利益699百万円(前期比50.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益412百万円(前期比41.9%増)となりました。

 なお、当社グループはカー&バイク用品関連の買取、販売及びその付随業務からなる単一セグメントのため、セグメントごとの記載を省略しております。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

 流動資産は3,535百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,220百万円増加いたしました。これは主に、商品が29百万円減少した一方で、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)への上場に伴う新株発行等により現金及び預金が1,247百万円、売掛金が20百万円増加したことによるものであります。

 固定資産は1,802百万円となり、前連結会計年度末に比べ112百万円増加いたしました。これは主に、繰延税金資産が35百万円減少した一方で、ソフトウエア開発に伴い無形固定資産が110百万円、新規出店等による設備投資及び既存店舗の改修に伴い有形固定資産が49百万円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は5,338百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,332百万円増加いたしました。

 

(負債)

 流動負債は1,835百万円となり、前連結会計年度末に比べ20百万円増加いたしました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が200百万円、その他の流動負債が102百万円減少した一方で、長期借入金の転換及び運転資金の確保によって短期借入金が300百万円、買掛金が36百万円増加したことによるものであります。

 固定負債は402百万円となり、前連結会計年度末に比べ17百万円減少いたしました。これは主に、リース債務が23百万円、資産除去債務が19百万円増加した一方で、長期借入金が59百万円減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は2,237百万円となり、前連結会計年度末に比べ3百万円増加いたしました。

 

(純資産)

 純資産合計は3,100百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,329百万円増加いたしました。これは主に、剰余金の配当102百万円、親会社株主に帰属する当期純利益412百万円の計上及び東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)への上場に伴う新株発行により資本金が509百万円、資本剰余金が509百万円増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,247百万円増加し、2,074百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、600百万円の収入(前連結会計年度は965百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が699百万円(前連結会計年度は431百万円)、減価償却費が158百万円(前連結会計年度は162百万円)あった一方で、法人税等の支払額が242百万円(前連結会計年度は55百万円)、未払消費税等の減少額が83百万円(前連結会計年度は89百万円の増加)あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、297百万円の支出(前連結会計年度は119百万円の支出)となりました。これは主に、システム開発に伴う無形固定資産の取得による支出が195百万円(前連結会計年度は85百万円)、店舗の新規出店等の設備投資及び既存店舗の改修に伴う有形固定資産の取得による支出が116百万円(前連結会計年度は40百万円)によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、943百万円の収入(前連結会計年度は653百万円の支出)となりました。これは主に、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場への上場に伴う株式の発行による収入1,018百万円、短期借入金の純増額が300百万円(前連結会計年度は純減額が550百万円)、長期借入金の返済による支出が259百万円(前連結会計年度は59百万円)、配当金の支払額が102百万円(前連結会計年度は35百万円)あったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループの事業は、カー&バイク用品関連の買取、販売及びその付随業務からなる単一セグメントであるため、売上区分別に記載しております。

 

a.生産実績

 当社グループは生産活動を行っていませんので、該当事項はありません。

 

b.仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績を売上区分別に示すと、次のとおりであります。

売上区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

仕入高(千円)

前年同期比(%)

リユース業態

2,556,762

104.3

流通卸売業態

3,630,986

103.8

その他

合計

6,187,748

103.9

 

c.受注実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を売上区分別に示すと、次のとおりであります。

売上区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

リユース業態

6,405,168

105.8

流通卸売業態

4,108,943

106.6

その他

16,505

108.1

合計

10,530,617

106.1

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱IDOM

2,098,176

21.1

2,111,697

20.1

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 リユース業態については、直営店の新規出店が拠点数で1店舗、退店が2店舗(社員独立制度による直営店舗からのフランチャイズ店化)あり、店舗数が減少したものの、新規出店を抑えて既存店舗に注力したことによって、既存店の売上高対前年同期比は105.2%と好調に推移いたしました。前期から引き続きコロナ禍の厳しい状況が続いておりましたが、ユーザーのEC取引増加に伴う『Croooober.com(クルーバードットコム)』利用増加や密を避けるドライブやツーリング、キャンプ、自宅での愛車のカスタムなど趣味やレジャーの場面においても自動車の利用頻度が高まったことにより売上は好調に推移いたしました。海外EC売上についても、世界的な新型コロナウイルス感染拡大により一時売上が落ち込む月があったものの、前年と同水準を維持しております。フランチャイズ関連についても、フランチャイズ店舗の新規出店が拠点数で5店舗ありました。直営店同様にフランチャイズ店の売上も好調に推移したことにより、ロイヤリティ等の収入が前期比で増加いたしました。また、ECサイト手数料については、フランチャイズ店舗のEC販売の増加により、前期比で増加いたしました。

 流通卸売業態については、世界的な半導体不足によるナビオーディオ系の取引量の減少等があったものの、自家用車利用頻度の高まりによる中古車需要の増加等により売上高は前期比で6.6%増加と順調に推移いたしました。

 この結果、売上高は10,530百万円(前期比6.1%増)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

 売上原価は6,187百万円(前期比3.9%増)となりました。これはリユース業態における直営店及びEC販売の好調及び流通卸売業態における取引増加によって、売上原価の金額が増加いたしました。売上総利益は在庫回転率の改善や長期在庫金額の圧縮、利益率改善の取り組みを進めてまいりました。この結果、売上総利益は4,342百万円(前期比9.4%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は3,653百万円(前期比3.8%増)となりました。リユース業態における直営店及びEC販売の売上高増加と人員増加によって運送費やクレジットカード手数料、人件費等が増加した一方で、コロナ禍の影響による旅費交通費や交際費等の経費が削減されました。さらに、全社でコスト削減の意識徹底を図ってまいりました。この結果、営業利益は689百万円(前期比53.7%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 営業外収益は助成金収入9百万円等により35百万円(前期比6.2%減)、営業外費用は上場関連費用9百万円等により25百万円(前期比19.9%増)となりました。この結果、経常利益は699百万円(前期比50.3%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別利益は固定資産売却益により1百万円(前期比28.0%減)、特別損失は固定資産除却損により2百万円(前期比94.2%減)となりました。

 また、法人税等合計は286百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は412百万円(前期比41.9%増)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 必要資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、複数の金融機関との当座貸越契約を設定しております。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、システム開発、設備投資、新規出店によるものであります。

 当社グループはリユース業態において多店舗展開を行っており、事業の成長のため継続的に出店及び改装に係る設備資金需要が生じておりますが、適切な設備投資と資金調達のバランスを保ちながら安定した財務基盤を維持することに努めております。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、企業価値の向上と株主利益の増大を実現するため、売上総利益率、営業利益、売上高対営業利益率及び自己資本利益率(ROE)を重要な指標として位置付けております。

 中長期の目標としては、売上総利益率は42.0%、営業利益は1,000百万円、売上高営業利益率10.0%、ROE20.0%の早期達成を目指しております。

 当連結会計年度における売上総利益率は41.2%(目標は41.3%、前期実績は40.0%)、営業利益は689百万円(目標は660百万円、前期実績は448百万円)、売上高営業利益率は6.5%(目標は6.3%、前期実績は4.5%)、ROEは16.9%(目標は14.0%、前期実績は17.7%)であり、新型コロナウイルス感染症拡大による厳しい状況が続いたものの、売上高の増加や全社的なコスト削減の徹底により、いずれも前期実績を上回り、中長期の目標の達成に向けて順調に推移しております。

 また、今後の成長性及び収益性を確保する観点から、「既存店の客数・客単価前年同期比」「EC会員数」「タイヤ流通センター加盟店数」も重要な指標としております。それぞれの指標の実績は、「既存店前年同期比」で2021年3月期客数104.5%・客単価100.5%、2022年3月期客数95.2%・客単価110.5%、「EC会員数」は2021年3月期43万人、2022年3月期49万人、「タイヤ流通センター加盟店数」は2021年3月期155店舗、2022年3月期169店舗となっております。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針

 経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

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