課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

① 経営理念

 当社グループは、自動車関連事業での様々な革新と市場環境の変化に機動的に対応し、お客様一人ひとりの体験価値を創り出すことで持続的な成長を実現するため、「マーケットを広げて、楽しさを伝える」を経営理念とし、この経営理念を実践していく上でのブランドビジョンを、リユース業態と流通卸売業態の主要な2業態においてそれぞれ定めております。

 

② ブランドビジョン

 中古カー&バイク用品販売のリユース業態の「アップガレージ」では、「豊かなカー&バイクライフを世界中の人々に提供する」と定めております。

 タイヤ&カー用品の流通卸売業態の「ネクサスジャパン」では、「欲しいが見つかる」と定めております。

 当社グループでは、この経営理念とブランドビジョンを基に、お客様一人ひとりの体験価値まで創り出すことでマーケットを広げ、企業価値の向上を実現してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、企業価値の向上と株主利益の増大を図るため、事業の収益性と設備投資を効果的に実施しながら成長性を高めるため、売上総利益率、営業利益、売上高対営業利益率及び自己資本利益率(ROE)の向上を目指してまいります。

 また、今後の成長性及び収益性を確保する観点から、「既存店の客数・客単価前年同期比」「EC会員数」「タイヤ流通センター(旧名称東京タイヤ流通センター)加盟店数」も重要な指標として引き続き事業を推進してまいります。

 

(3)経営環境

 当社グループの主要事業である中古カー&バイク用品販売のリユース業態が属する国内のリユース市場は、スマートフォンの普及、インターネットの高速化とともにEC取引による市場拡大が続いております。

 特に2016年度の市場規模17,743億円のうちEC取扱高(BtoC及びCtoC)は7,955億円(EC取扱比率44.8%)でありますが、2020年度は市場規模24,169億円のうちEC取扱高14,909億円(EC取扱比率61.7%)と増加しております。要因としては、下記〔リユース市場規模の販売区分内訳〕のとおり、CtoC(個人間売買)取引の拡大による影響が大きいですが、BtoC取引についても2016年度2,862億円から2020年度4,326億円と増加傾向にあります。EC取引の増加に伴い、リユース市場は今後も成長が続くものと考えております。

〔リユース市場規模の推移〕

 

2015年度

2016年度

2017年度

2018年度

2019年度

2020年度

市場規模(億円)

16,517

17,743

19,932

21,880

23,585

24,169

前年比

7.4%

12.3%

9.7%

7.8%

2.5%

(注)㈱リフォーム産業新聞社発行のリサイクル通信「中古市場データブック2018、2020及び2021」を使用しております。

〔リユース市場規模の販売区分内訳〕

 

2016年度

2018年度

2020年度

店頭販売 (億円)

9,315

9,280

8,862

EC(CtoC) (億円)

5,093

8,343

10,583

EC(BtoC) (億円)

2,862

3,809

4,326

合計 市場規模 (億円)

17,743

21,880

24,169

EC取扱比率(CtoC・BtoC)

44.8%

55.5%

61.7%

(注)1.㈱リフォーム産業新聞社発行のリサイクル通信「中古市場データブック2018、2020及び2021」を使用しております。

2.2015年度、2017年度及び2019年度は調査データなしのため未掲載としております。

 

 また、当社グループが属する国内の自動車関連市場は、大別して新車販売市場と自動車アフターマーケット市場に区分され、更に自動車アフターマーケット市場は、中古車小売、自動車賃貸、補修部品・カー用品、自動車整備等の分野に分解されます。

 市場の牽引役となる新車販売台数(一般社団法人日本自動車販売協会連合会 公表データより)については、20年間の推移でみると1999年度291.8万台から2019年度282.2万台と減少しておりますが、2015年270.4万台、2017年294.3万台、2019年282.2万台と直近5年間では一進一退の推移となっております。

 自動車アフターマーケットのうち、2019年度補修部品・カー用品市場は、前年比0.7%増加の29,680億円となり僅かな増加となりましたが、2017年度に前年比3.2%増加の29,350億円となって以降、微増基調ではありますがほぼ横ばいで推移しております。

〔補修部品・カー用品市場〕

 

2014年度

2015年度

2016年度

2017年度

2018年度

2019年度

市場規模(億円)

28,635

28,010

28,445

29,350

29,460

29,680

前年比

△2.2%

1.6%

3.2%

0.4%

0.7%

(注)㈱矢野経済研究所発行の「自動車アフターマーケット総覧2020年版」を使用しております。

 

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響による店舗の時短営業、外出自粛に伴う一時的な来店顧客の減少等はありましたが、ユーザーのEC取引増加に伴う『Croooober.com(クルーバードットコム)』利用増加等があったため、当社グループの業績は好調に推移しております。

 

(4)中長期的な経営戦略

 当社グループは、中長期的な事業の成長戦略として、カー&バイク用品のリユース業態では、リユース品のEC販売拡充による売上高の増加及び直営店舗数拡大による営業利益の安定確保を進めてまいります。

 直営店舗数の拡大により、本部コストが希薄化され営業利益率の増加が図られるほか、ECについては、『Croooober.com(クルーバードットコム)』チャネルの認知度向上と、店舗による買取強化での商品拡充を進めてまいります。

 流通卸売業態では、受発注プラットフォーム「NEXLINK(ネクスリンク)」による受発注システムの加盟企業を拡大展開し、特に「タイヤ流通センター(旧名称東京タイヤ流通センター)」加盟店の積極的な誘致を行い、流通卸売業態の拡大と自動車用品に関連した業界の活性化を目指してまいります。さらにSPA(製造小売)でのオリジナル商材の企画、卸売による利益率の向上に取り組んでまいります。「チェーン展開企業向け受発注プラットフォーム」はチェーン展開企業、フランチャイズ展開企業向けサービスで、1社単価は高いため、サービス利用企業の誘致を図ってまいります。

 販売戦略につきましては、EC販売において海外拠点及び越境ECでの海外販売強化、ECで購入しやすいカー用品の企画開発を進めるとともに、「タイヤ流通センター(旧名称東京タイヤ流通センター)」加盟店の積極的な誘致を行い、受発注プラットフォーム「NEXLINK(ネクスリンク)」による自動車用品に関連した業界の流通改革と活性化を目指してまいります。

 店舗戦略につきましては、国内店舗は引き続き定期的な直営店舗の出店と、フランチャイズ加盟店での出店を進めてまいります。特にフランチャイズ加盟店が複数店舗の出店がしやすい専門店業態の開発と、出店の推進を積極的に取り組んでまいります。

 広告戦略につきましては、当社グループ連結売上高の概ね4~5%を目途として実施しており、直営店だけでなくフランチャイズ店を含めた「アップガレージ」チェーン及び「タイヤ流通センター(旧名称東京タイヤ流通センター)」の広告宣伝活動を広く行っております。

 広告宣伝費は、当社支出分及びフランチャイズ店からも共同広告費として受領したものを原資としており、主な使用方針としては、リスティング関連・WEB・SNS運営関連、モータースポーツ関連で概ね1/3ずつ使用しております。

 なお、モータースポーツ関連については、一般的に高性能車とされるGT(ジー・ティー)車両をベースとしたシリーズ戦レースである「SUPER GT(スーパー・ジーティー)」に「teamUPGARAGR(チームアップガレージ)」として参戦しており、レース結果によっては多大な広告宣伝効果が見込まれます。レース中のクラッシュ等による追加費用の発生も懸念されますが、レース用車両保険加入も行っているため追加費用の発生は限定的であります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 商品買取について

 当社グループは、事業の持続的な成長を実現するため、リユース業態の根幹であるカー&バイク用品の買取を強化していくことが最も重要な課題であると認識しております。

 当社グループの買取方法は、「店頭買取」、宅配便を利用した「宅配買取」、直接訪問して買取を行う「出張買取」という3つの買取方法があります。また、それらの強みとしてカスタムパーツの査定も積極的に行うという特徴を活かし、カスタムカーを中心とした車両買取を開始いたしました。今後も買取のチャネルの多様化を進めてまいります。

 更に、買取査定のデータベース化、買取査定書類や手続きのIT化を進めることで、お客様の利便性の向上と業務効率化を進めてまいります。

 

② 店舗展開について

 当社グループは、事業の持続的な成長と安定した収益を確保するため、直営店舗及びフランチャイズ店舗による継続的な新規出店を行うことが重要と認識しております。

 その中において、フランチャイズ出店を希望されるエリアを優先的に出店してきましたが、どうしてもエリアによる偏りが起こりやすくなっております。

 そのため、メインブランドである「アップガレージ」を出店すべきエリアと、既にブランド認知が進んだエリアにおいては、「アップガレージ ライダース」等の専門店を集中出店するエリアとで区分し、効果的な店舗展開を行ってまいります。

 

③ グローバル展開について

 当社グループは、今後の持続的な成長を実現するためには、グローバル展開の推進が重要でありますが、そのためには、現地ビジネス習慣の習得、リユース業態の現地法規制対応等といった様々な課題を克服する人的リソースの確保が重要であると認識しております。

 今後、海外ビジネスに精通した人材の確保と現地責任者スタッフの育成を行い、市場状況調査や経営管理強化を図り、速やかな海外展開が可能となる事業基盤の強化を進めてまいります。

 

④ システム開発投資について

 当社グループは、リユース業態における基幹システム(売上・在庫管理・買取査定システム)やモール型ECサイト『Croooober.com(クルーバードットコム)』、流通卸売業態における受発注プラットフォーム「NEXLINK(ネクスリンク)」等を自社開発することで、事業オペレーションに合わせたカスタマイズ、新たな試みのシステム反映等を有機的に行っております。

 今後、事業の持続的な成長を実現するためには、益々システム開発に対する重要性が高まってくると認識しており、継続的な投資によるシステムのリプレース、新たな機能の拡張、EC及び受発注プラットフォームを普及させるための取り組み、店舗オペレーション改善関連で開発したシステムの外部販売、システム開発人材の育成を重点課題として取り組んでまいります。

 

⑤ 人材確保と育成について

 当社グループは、お客様一人ひとりに付加価値を提供していくため、カー&バイク用品の多種多様な商品知識の他、自ら考え、行動していく柔軟な接客が求められてきます。そのため、教育体制や研修内容の整備、福利厚生の充実等によって人材の定着と能力の底上げを行うとともに、積極的な採用活動を通じて、人材の確保に努めてまいります。

 

⑥ 自動車関連企業の人手不足解決を目指す人材紹介事業の展開について

 自動車関連業界全般における人材不足や企業の求人費負担増加は、当社グループに限らず大きな課題であると認識しております。そのため、中小零細企業が多い自動車業界のニーズに応えるため、当社グループにおいて自動車業界に専門特化した人材紹介サービスを立ち上げ、業務に精通したスタッフが、求人希望者のスキルなど細かくヒアリングを実施することで、適合度の高いと思われる企業へ紹介し、人材紹介手数料を得ております。

 今後、人材紹介サービスについても事業の拡大発展を考えており、人員拡充や求人募集サイトシステムの改修等を行い、事業基盤の強化を進めてまいります。

 

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