業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計期年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進んだことに伴い徐々に経済活動の正常化への動きがみられましたが、2022年1月以降のオミクロン株による感染の再拡大など感染者数は増減を繰り返しており、いまだ収束は見通せていない状況にあります。またウクライナ情勢により国内外において経済活動への影響が懸念され、物価の上昇や円安の進行など、先行きは不透明な状況にあります。

一方で当社グループが主に事業を行う出版流通業界におけるコミック市場の概況は、公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所によると、2021年のコミック市場(紙と電子合計)は推計6,759億円と発表されており、2018年の1.9%増から、2019年は12.7% 増、2020年は23.0%増、2021年は10.3%増と前年をピークに増加率は下がったものの2年連続で過去最高を更新しております。当社グループの主力サービスが属する紙コミックス市場(コミック誌を除く)も、2018年の△4.6%と中長期的な減少傾向にあった市場が、2019年は「鬼滅の刃」のブームの発生により4.8%と増加傾向に転じ、2020年は巣ごもり需要と「鬼滅の刃」のブームの双方の後押しもあり24.9%と増加率はピークを迎えたものの、2021年も「呪術廻戦」「東京卍リベンジャーズ」等の継続的なヒットの発生もあり、0.4%増の2,087億円と、増加の勢いを持続しております。

当連結会計年度の経営環境については、前連結会計年度の当社グループの大幅な売上・利益の拡大要因になった新型コロナウイルス感染症拡大防止のための在宅勤務や外出自粛に伴って生じた、巣ごもり需要はゆるやかに減速しているものと思われますが、そのような条件下においても引き続き前年を上回る需要を持続しております。

このような当社グループのサービス成長持続の要因としては、巣ごもり需要が一時的な現象ではなくコロナの長期化に伴い人々のライフスタイルの変容として定着している事、また漫画を原作とするアニメ、テレビドラマ、映画等の各種メディアコンテンツ展開の継続的な活性化が原作漫画の全巻買い需要を強く支えている事、近年の当社グループのサービス認知度の向上が世の中の漫画作品の認知の仕方、買い方の変化と相まって当社グループのサービスへの需要拡大に繋がっている事、の3点が要因となったと当社は考えております。

このような経営環境の中で、当社グループは「漫画全巻ドットコム」でのコミック全巻セットの販売を基幹サービスとするECサービスにおいては、今連結会計年度よりECアプリをリリースし、アプリ経由での注文増加を図った事や、楽天市場やPayPayモール等の出店モールの大型キャンペーンでの販売拡大施策を実施した事、倉庫機能の拡大による仕入及び出荷体制の強化を継続した事で、大幅成長した前連結会計年度からさらに増収傾向を維持し、堅調な売上水準を継続しております。

また当社グループが成長サービスとして位置付けるイベントサービスについては、当連結会計年度におきましては、緊急事態宣言の解除によってリアルイベントが徐々に復調する中で、2022年3月に名古屋に新規店舗をオープン致しました。また来期からの海外進出に向けた台湾店舗の出店準備を行っております。またECの活用によるイベントグッズ販売の拡大にも注力する事で、コロナ禍でもリアルイベントに依存しない耐性の高いサービス構築を行いました。

上記の施策の結果、当連結会計年度における売上高は5,390,861千円と前年に比べ399,691千円(前年同期比8.0%増)の増収となりました。一方で、利益面につきましては、人員等の増加による販管費の増加により営業利益は、前年に比べ59,144千円減少し、199,546千円(前年同期比22.9%減)、経常利益は前年に比べ、65,936千円減少し、207,733千円(前年同期比24.1%減)となりました。また、前連結会計年度において税務上の繰越欠損金が解消されたことなどにより、法人税等合計が増加し、当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は、前年に比べ、101,523千円減少し、152,783千円(前年同期比39.9%減)となりました。

注.当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の業績の状況については記載しておりません。

 

 

② 財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末の総資産は1,930,277千円(前連結会計年度末比426,721千円増)となりました。総資産の内訳は、流動資産が1,767,688千円(前連結会計年度末比349,676千円増)、固定資産が162,588千円(前連結会計年度末比77,554千円増)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ、流動資産は、取引増加及び資本金増加等に伴い、現金及び預金が188,248千円増加、売掛金が37,958千円増加、商品が127,230千円増加したこと等によるものであります。また、固定資産は、本社事務所増床及び倉庫の拡張、新規イベント店舗の出店により建物附属設備等が増加したことにより、有形固定資産が31,038千円増加しました。また、自社サービス関連の開発活動の実施でソフトウェア仮勘定等が増加したことにより、無形固定資産が6,478千円増加しました。また新店舗等の差入保証金等が増加したことにより、投資その他の資産が40,037千円増加しました。

(負債の部)

当連結会計年度末における負債合計は858,909千円(前連結会計年度末比44,565千円増)となりました。負債の内訳は、流動負債が706,304千円(前連結会計年度比25,802千円増)、固定負債は152,605千円(前連結会計年度末比18,763千円増)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ、流動負債は、前年度において税務上の繰越欠損金が解消されたことなどにより未払法人税等が73,130千円増加したことと、ポイント引当金が契約負債への計上科目の変更により40,612千円減少したこと等によるものであります。 固定負債は、長期借入金が18,763千円増加したことによるものであります。

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計は1,071,367千円(前連結会計年度末比382,155千円増)となりました。主な変動要因は、東証マザーズ上場に伴う公募増資及び新株予約権(ストック・オプション)の行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ110,556千円増加したことや、当期純利益等の計上に伴い利益剰余金が158,803千円増加したことによるものであります。

以上の結果、財務指標としては、流動比率が250.3%、自己資本比率が55.4%になっております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、188,248千円増加し、737,259千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得た資金は、24,208千円(前年同期は288,598千円)となりました。これは、税金等調整前当期純利益207,733千円、減価償却費19,176千円等による資金の増加と、売上債権の増加37,958千円、棚卸資産の増加127,230千円、ポイント引当金の減少40,612千円等による資金の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、78,077千円(前年同期は29,310千円)となりました。 これは、有形固定資産の取得による支出46,722千円、無形固定資産の取得による支出9,682千円、差入保証金の差入による支出21,673千円等による資金の減少によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果得た資金は、242,117千円(前年同期は△9,111千円)となりました。 これは、株式の発行による収入221,112千円、長期借入金による収入50,000千円と長期借入金の返済による支出21,241千円等によるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載がなじまないため、当該記載を省略しております。

b.受注実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載がなじまないため、当該記載を省略しております。

c.販売実績

当社事業はマンガ事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

事業の名称

金額(千円)

前年比(%)

マンガ事業

5,390,861

108.0

合計

5,390,861

108.0

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。尚楽天グループ株式会社、アマゾンジャパン合同会社、ヤフー株式会社、に対する販売実績は、当社が同社等の運営するショッピングモールを介して、当社運営店舗が一般消費者へ販売した商品売上の総額であります。

相手先

第16期連結会計年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

第17期連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

販売高

(千円)

割合(%)

販売高

(千円)

割合(%)

楽天グループ株式会社

1,479,684

29.7

1,677,007

31.1

アマゾンジャパン合同会社

602,142

12.1

834,822

15.5

ヤフー株式会社

562,891

11.3

978,109

18.1

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債及び収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。なお、重要な会計上の見積りはありません。

 

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績

(売上高)

当社グループは、当連結会計年度において、「漫画全巻ドットコム」でのコミック全巻セットの販売を基幹サービスとするECサービスにおいては、今連結会計年度よりECアプリをリリースし、アプリ経由での注文増加を図った事や、楽天市場やPayPayモール等の出店モールの大型キャンペーンでの販売拡大施策を実施した事、倉庫機能の拡大による仕入及び出荷体制の強化を継続した事で、大幅成長した前連結会計年度からさらに増収傾向を維持しました。

また当社グループが成長サービスとして位置付けるイベントサービスについては、当連結会計年度におきましては、緊急事態宣言の解除によってリアルイベントが徐々に復調する中で、2022年3月に名古屋に新規店舗をオープン致しました。また来期からの海外進出に向けた台湾店舗の出店準備を行っております。またECの活用によるイベントグッズ販売の拡大にも注力する事で、コロナ禍でもリアルイベントに依存しない耐性の高いサービス構築を行いました。

その結果、当連結会計年度における売上高は5,390,861千円と前年に比べ399,691千円(前年同期比8.0%増)の増収となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は3,562,034千円となり、前連結会計年度に比べ339,406千円増加いたしました。主に主力ECサービスの売上拡大に伴うコミックの仕入が増加した事によります。結果として売上総利益は1,828,826千円となり、前連結会計年度に比べ60,285千円増加いたしました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費の主な増加項目として、人員増加に伴い給料手当217,313千円(前連結会計年度に比べ46,064千円の増加)、取引増加に伴いオンラインショップ運営費381,227千円(前連結会計年度に比べ80,692千円の増加)及び支払手数料167,898千円(前連結会計年度に比べ11,550千円の増加)、倉庫の増設等に伴い地代家賃63,366千円(前連結会計年度に比べ17,284千円の増加)を計上した結果、販売費及び一般管理費合計で1,629,279千円(前連結会計年度に比べ119,429千円の増加)となりました。

結果として、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引きました営業利益は199,546千円(前連結会計年度に比べ59,144千円の減少)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

営業外収益の主な減少項目として、前連結会計年度に計上した、キャッシュレス決済推進に関する補助金収入(前連結会計年度に比べ6,237千円の減少)及びコロナ感染症対策に関する助成金収入(前連結会計年度に比べ3,378千円の減少)が減少した事により、営業外収益で11,428千円(前連結会計年度に比べ6,464千円の減少)となりました。営業外費用の主な増加項目として、借入金増加に伴う支払利息2,105千円(前連結会計年度に比べ305千円の増加)を計上した結果、営業外費用で3,242千円(前連結会計年度に比べ328千円の増加)を計上しました。結果として経常利益は207,733千円(前連結会計年度に比べ65,936千円の減少)となりました。

 

(特別損失、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)

前連結会計年度に繰越欠損金が解消された事により、当連結会計年度は法人税等合計で54,949千円(前連結会計年度に比べ36,658千円の増加)を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は152,783千円(前連結会計年度に比べ101,523千円の減少)となりました。

 

 

b.財政状態

主な増減内容については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の分析」に記載のとおりであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループは事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。当社の運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入れ、荷造り運賃やECサイトの運営費用等があり、主な資金の源泉は、営業活動による純現金収入及び株式の発行及び借入によります。当社グループでは、継続して売上高が増加しているため、万一不足が見込まれる運転資金は銀行からの長期借入金及び短期借入金を活用して手当てしております。

当社グループでは過去の業績の拡大とそれにより発生した資金需要等を勘案し、事業拡大に必要となる資金は借入等を効率的に活用して調達する予定であります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

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