文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、宮城県と山形県を基盤とする地域金融グループとして、2012年の設立以来、「本業支援」と「統合効果」を経営計画の主要テーマとしております。この方針のもと、宮城県と山形県をつなぎ、当社グループの体制整備とノウハウ共有を通じて、東日本大震災の復興支援と中小企業支援、グループ効率化に継続的に取り組んでまいりました。
現在の中期経営計画(計画期間:2021年~2024年)においては、これまでの取り組みを継承しつつも、コロナ禍の影響によって、社会の行動様式が急変し、「人口減少・高齢化」「地域経済の縮小」「ITの進展」「環境問題」など、将来に想定していた社会が一気に到来したことから、これまで以上のスピード力で経営課題に対応することが重要であると認識しております。
こうした課題認識のもと、本計画では、「宮城と山形をつなぎ、本業支援を通じて、地元中小企業や地域に貢献する」ことを経営理念とし、「本業支援の深化」、「業務変革(DX)」、「経営管理」を計画の主要テーマとしております。また、計画の実施にあたっては、資本業務提携先であるSBIグループとの連携を積極的に活用する方針としております。
当社は、本計画の取り組みを通じて、中小企業の業況改善と地域発展に貢献し、そのことが当社グループの収益改善にもつながる「共通価値の創造」の実現を目指してまいります。
① 本業支援の深化
コロナ禍への対応を重要課題と位置づけ、当社グループの強みである「本業支援」を深化させ、中小企業の経営改善・事業支援に貢献してまいります。SBIグループとの連携により、本業支援の新たな提案メニューを拡大するなど、金融サービスの質の向上につなげてまいります。
② 業務変革DX
「店舗戦略・業務効率化・人員戦略」を一体で進めることで、経営資源を効率的に再配分し、営業体制を増強してまいります。とりわけ、DX分野については、資本業務提携先であるSBIグループとの連携を積極的に活用し、業務変革のスピードアップを図ってまいります。
③ 経営管理
SBIグループのノウハウを積極活用し、有価証券運用体制の高度化や人材育成を進めてまいります。また、コロナ禍の長期化に備えた信用リスク管理の強化、子銀行管理やグループ監査、サステナビリティの強化を通じて、ガバナンス態勢の実効性向上に取り組んでまいります。
(2)経営環境
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の長期化、世界的なサプライチェーンの混乱による物価・金利の急上昇、ロシアのウクライナ侵攻により、金融経済市場の混乱がさらに拡大し、先行きの不透明感が増している状況にあります。
当社グループの営業エリアである宮城県、山形県経済においても、新型コロナウイルス感染症の長期化により、中小企業では売上減少による収益悪化、それに伴う雇用環境の悪化などの多方面に影響が及んでおります。両県では、感染症対策としての経済活動の制約は緩和されておりますが、オミクロン株による感染者数の高止まり、さらには物価の上昇も加わり、地域経済への影響がさらに拡大、長期化することが懸念されております。
金融面では、長期金利は米国の長期金利上昇を受け6年ぶりの高水準での推移となりました。日経平均株価は、前年度に3万円台を回復しましたが、2021年10月以降の原油価格の高騰から下落が続き、当連結会計年度最終取引日では2万7千円台となりました。為替相場は、米国の長期金利上昇から円安が進み、年明けには、米国での利上発表や日本の貿易赤字等からさらに円安が進行し、当連結会計年度末は1ドル121円台となりました。
当社グループのセグメント毎の経営環境の認識は、以下のとおりであります。
銀行業
2021年度は、銀行間競争に加え、新型コロナウイルス感染症の影響や物価・金利の急上昇、ウクライナ情勢の影響により、国内外経済が足下で大幅に下押しされました。
これらに伴う個人消費抑制や仕入価格上昇等の影響が、中小企業の業況悪化、信用コストの増加に及びました。また、世界的な金利の急上昇により、有価証券の運用環境が急変しております。
2022年度においては、この環境が継続するとともに、中小企業における経営課題がコロナ禍での資金繰りから債務返済に移行していることから、銀行による経営改善・事業再構築への支援の重要性がさらに増すものと予想しております。
リース業・その他
2021年度は、規制緩和やDX・IT分野の進展、他業態との連携拡大により、地方銀行においても、利用者への金融サービスの多様化がさらに進みました。併せて、DXを活用した社内の業務再構築への取り組みも拡大しました。
2022年度においても、この環境が継続し、金融サービスの多様化、社内の業務再構築がさらに進展するものと予想しております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(1)に記載の、経営方針及び新中期経営計画を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下の通りです。
① 特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルス感染症により影響を受けた事業者の支援
新型コロナウイルス感染症の長期化、サプライチェーンの混迷による物価上昇、個人消費の抑制等により、国内外経済が足下で大幅に下押しされ、中小企業へ甚大な影響を及ぼしております。
こうした中小企業を継続支援することは、地域金融機関の果たすべき役割であると認識しており、これまでに相談窓口の設置や緊急融資の取り扱い、経営改善支援チームを設置する等、支援体制を整備してまいりました。
今後は、中小企業の経営課題が、コロナ禍での資金繰りから債務返済へ移行していることから、信用コストに備えた引当にさらに取り組むことが課題となっております。
併せて、コロナ禍で影響を受けた中小企業への支援は中長期的に及ぶことが想定されることから、その支援に万全の体制で取り組むため、当社グループの財務基盤を一層強化することが課題となっております。
こうしたなか、当社と連結子会社であるきらやか銀行は、2022年5月13日開催の両社の取締役会において、金融機能の強化のための特別措置に関する法律(2004年法律第 128 号)の新型コロナウイルス感染症特例金融機関等に対する資本参加に係る特例に基づく国の資本参加の申請に向けた検討を開始することを決議いたしました。公的資金の申請におきましては、当社に国の資本参加をいただき、同時に当社よりきらやか銀行に対し出資を行うことを検討しております。なお、申請の金額、資金の払込みの時期等については、今後検討してまいります。
その他有価証券評価損益への対応
当社子銀行のきらやか銀行と仙台銀行は、SBIグループとの連携により、海外債券(国債・地方債等)を中心とする有価証券ポートフォリオに入替えておりますが、海外金利の急上昇により、両行のその他有価証券の評価損が拡大しております。
一方で、両行の現在のポートフォリオは、海外債券(国債・地方債等)が中心であることから、評価損が生じた場合でも、市場動向にかかわらず、中長期的に評価損が減少することが期待されます。
このため今後も、SBIグループと引き続き連携し、海外金利をはじめとする市場環境の見通し、有価証券ポートフォリオの状況や課題を当社グループで共有するとともに、有価証券ポートフォリオのパフォーマンス改善に向けて努めてまいります。
② その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
業務変革DX
人口減少等を背景とした地方経済の縮小は、今後も加速する可能性が高く、「効率化・店舗戦略・人員戦略」の三位一体の業務変革をさらに進めることが必要と考えております。
DX戦略は、システム投資計画等に基づき計画的に進展しており、今後も、SBIグループのノウハウを活用し、中長期的な視点に立ちながら、計画的に対応してまいります。
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