業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。

なお、当社の事業は投資・金融サービス業という単一セグメントであるため、セグメントごとの分析については記載を省略しております。

 

(1) 財政状態の分析

 

① 資産

当事業年度末における総資産は前事業年度末に比べ19億5百万円減少し、179億81百万円となりました。

募集等払込金が92百万円、その他の流動資産が75百万円それぞれ増加し、預託金が15億46百万円、信用取引資産が8億14百万円、現金・預金が71百万円それぞれ減少したこと等により流動資産は22億82百万円減少し、139億18百万円となりました。固定資産は3億76百万円増加し、40億63百万円となりました。

② 負債

預り金が13億39百万円、未払法人税等が5億16百万円、受入保証金が3億51百万円、信用取引負債が3億15百万円、未払金が49百万円それぞれ減少したこと等により負債合計は26億12百万円減少し、73億64百万円となりました。

③ 純資産

利益剰余金が7億28百万円増加したこと等により純資産は7億6百万円増加し、106億17百万円となりました。

 

当社は、金融機関等からの借入れは、信用取引にかかる借入れ及び一時的な資金繰りに必要な借入れを除いて行わない方針であります。信用取引での顧客への金銭等の貸付は、証券金融会社から借り入れる他、自己資金を充てています。固定資産の取得についても自己資金で賄っております。当事業年度は、敦賀支店新築及びシステム投資等に伴って有形固定資産が4億6百万円の増加(前事業年度は、61百万円の増加)となりました。一方、投資有価証券の値下がり等に伴って投資その他の資産が38百万円の減少(前事業年度は、2億61百万円の増加)となり、その結果、固定資産は3億76百万円の増加(前事業年度は、3億22百万円の増加)となっております。

また、利益剰余金の増加等により純資産は106億17百万円となりました。

 

(2) 経営成績の分析

当事業年度におけるわが国経済は、前半においては新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進展したことで落ち着きを取り戻し、経済活動の正常化が徐々に進んだことから持ち直しの動きがみられましたが、後半にかけては新たな変異株による感染再拡大、原油価格の高騰、ロシアのウクライナ侵攻等のリスク要因が顕在化し、先行き不透明な状況が続きました。

国内の株式市場において、期初29,441円で始まった日経平均株価は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて下落し、中国政府の規制強化等も悪材料となり下値を探る展開が続きました。7月には東京都に緊急事態宣言が発令されるなか東京五輪が開催されましたが株式市場にとって好材料とはならず、引き続き下落基調となりました。その後、9月に菅首相が退陣を表明すると新政権への政策期待から日経平均株価は大きく値上がりし、9月14日には31年ぶりの高値となる30,795円を付けました。しかし上昇の勢いは続かず、中国不動産大手の資金繰り悪化を機に日経平均株価は急落しました。岸田新政権が発足するなか、原油価格の上昇による世界的なインフレ懸念等も投資家心理を冷やし、さらには米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和の縮小(テーパリング)や新型コロナウイルスの新たな変異株に対する警戒感が強まると、一段と下げ幅を広げました。2月に入り国内企業の好決算が相次ぐと日経平均株価はやや持ち直しましたが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて地政学的リスクが高まると連日で大きく値を下げ、3月9日には24,681円の安値を付けました。その後は円安や原油価格の下落が好感され日経平均株価は急反発し、当事業年度を27,821円で終えました。

このような状況の中、当社は地域密着型の対面営業を行う証券会社として、株式営業や債券販売、投資信託販売を中心に営業を展開しました。株式営業においては、「情報シャトル特急便」、「Imamura Report」等当社作成の情報誌に加え、専門調査機関の作成するレポートによる情報提供をはじめ、お客様のニーズにお応えする提案・サポート等を積極的に行いました。また、10月に行われた日本郵政株式の第3次売出しに際しては、引受証券会社として参加しました。債券販売においては、他社株転換条項付円建社債の販売を推進するとともに、日経平均株価連動円建社債や福井県債、北陸電力債も取り扱いました。投資信託販売においては、米国株式配当貴族(年4回決算型)をはじめ多種類の投資信託を取り扱いました。このほか、定時定額に投資信託を買い付ける投信積立やつみたてNISAを積極的に提案し、顧客層の拡大と証券投資の普及を図りました。なお、当社の11店舗目の支店となる敦賀支店が2022年2月に竣工し、その他の開設に向けた準備も順調に進捗したことから、2022年4月11日付で営業を開始することといたしました。また、この新店舗開設に向けて当事業年度の初めより敦賀支店開設準備室を設置し、福井県嶺南地区における営業力の強化を図りました。

その結果、当事業年度の営業収益は45億10百万円前年同期比9.3%減)、純営業収益は44億92百万円同9.2%減)、経常利益は14億48百万円同23.7%減)、当期純利益は9億41百万円同21.9%減)となりました。

当事業年度における主な収益及び費用の状況は次のとおりであります。

 

① 受入手数料

当事業年度の受入手数料の合計は44億52百万円前年同期比9.4%減)となりました。その内訳は次のとおりであります。

イ 委託手数料

株券に係る委託手数料は15億(同32.8%減)となり、受益証券等を含めた委託手数料の合計は15億23百万円同32.8%減)となりました。

ロ 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は24億87百万円同6.9%増)となりました。

ハ 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は2億66百万円同38.1%増)となりました。

ニ その他の受入手数料

その他の受入手数料は1億74百万円同38.5%増)となりました。

② トレーディング損益

トレーディング損益は12百万円前年同期比14.6%減)となりました。

③ 金融収支

金融収益が45百万円前年同期比0.8%減)、金融費用が18百万円同25.3%減)となった結果、差し引き金融収支は27百万円(同26.7%増)となりました。

④ 販売費・一般管理費

販売費・一般管理費は30億70百万円前年同期比0.3%減)となりました。

⑤ 営業外損益

営業外収益は、受取配当金等26百万円前年同期比7.9%減)、営業外費用は、雑損等0百万円(同91.0%減)となりました。

⑥ 特別損益

特別利益は、投資有価証券売却益等3百万円(前年同期比35.9%増)、特別損失は、投資有価証券評価損等6百万円(同22.3%減)となりました。

 

 

当事業年度の受入手数料の合計は44億52百万円(前年同期比9.4%減)で、その商品別内訳は、株券15億4百万円(同32.7%減)、債券24億87百万円(同7.0%増)、受益証券4億34百万円(同34.7%増)、その他25百万円(同7.5%減)であります。債券部門及び受益証券部門においては前事業年度に比べ手数料が増加しましたが、株券部門及びその他の部門においては前事業年度に比べ手数料が減少しました。その結果、当社が採用する経営指標である経費カバー率は97.6%(前事業年度は88.8%)となり、目標とする80%を大幅に上回りました。また、当社は経営戦略の一つとして「新規顧客の獲得」を掲げており、その指標として5年間で15,000口座の新規顧客の獲得を目指し、単年度においては3,000口座以上の獲得を目安としております。当事業年度は4,485口座(前事業年度は3,747口座)となり目標を49.5%上回りました。これは、BIを活用し、営業員がリアルタイムで営業の現状を視覚的に把握できるようになったことで新規顧客の獲得に対する意識がより高まったことに加え、新たに福井県嶺南地区における新規顧客の獲得にも注力した結果であります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

当事業年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、期首残高に比べ71百万円減少し、67億82百万円となりました。

 

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、6億56百万円の資金増加(前事業年度は、13億44百万円の資金増加)となりました。これは、税引前当期純利益14億45百万円、減価償却費1億24百万円を計上したことに加え、顧客分別金信託の減少15億40百万円、信用取引資産の減少8億14百万円等により資金が増加する一方、預り金の減少13億39百万円、受入保証金の減少3億51百万円、信用取引負債の減少3億15百万円、未払金の減少97百万円、募集等払込金の増加92百万円、法人税等の支払額9億85百万円等により資金が減少した結果であります。

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出4億93百万円等により5億1百万円の資金減少(前事業年度は、1億76百万円の資金減少)となりました。

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額2億12百万円等により2億12百万円の資金減少(前事業年度は、59百万円の資金減少)となりました。

 

当事業年度の上半期は日経平均株価が30,000円を付ける場面があったものの、下半期にかけてマイナス要因が相次ぎ株式市況は膠着状態が続いたことから、過去最高益となった前事業年度と比較すると当社の主要顧客である個人投資家の取引は低調となりました。この結果、税引前当期純利益、減価償却費を計上したこと等により資金が増加した一方で、法人税等の支払い等により資金が減少したことから、営業活動によるキャッシュ・フローでの資金増加額は6億56百万円となり、前事業年度に比べ縮小しました。

また、自己資金による敦賀支店新築やシステム投資等有形固定資産の取得により、投資活動によるキャッシュ・フローでの資金減少額が前事業年度に比べ拡大しました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度の期末配当金が1株当たり80円と大幅に増加したため、資金減少額が前事業年度に比べ拡大しました。

これらの結果、当事業年度末の資金は67億82百万円となり、期首に比べ減少しましたが、依然として高水準を維持しております。また、当社では資金を手許現金及び要求払預金に限定しているため、その流動性に懸念はありません。

なお、現時点においては、重要な資本的支出の予定はありません。

当社の業績は経済情勢及び市場環境の変動による影響を大きく受けることから、将来に対する予測が困難であります。そのような状況のもと、当社は、一時的な業績不振に陥った場合にも柔軟な営業戦略の推進を維持できるよう、今後の事業展開の資金需要に備えるとともに、株主の皆様への継続的かつ安定的な利益還元を目指してまいります。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り及び仮定の設定を必要とします。経営者は、過去の実績やそれぞれの状況等を勘案し合理的と考えられる仮定を用いて見積りを行っておりますが、見積り及び仮定については特有の不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 
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